なごり雪

赤松帝

文字の大きさ
4 / 11
第3章

「息吹き」

しおりを挟む
翌日、再び会った医師の顔は、昨日よりもずっと険しかった。
その表情を見ただけで、僕は先生の話を聞くまでもなく、芳しくないであろう結果を理解した。

「やはり、と言っては失礼ですが、赤血球と血小板の数値が極端に低くなっています。」

「・・・と、言いますと?」

「急性骨髄性白血病です。」

「嘘でしょう?」

「残念ですが。」

「まさか・・・命に関わるんですか?」

「安静にしていれば、今は良く効く抗生物質も放射線治療もあります。ただ、若い方の場合は、病の進行もより早いのです。」

「死ぬ可能性もあるってことですか?」

「最悪の場合は・・・」

「その場合、余命は?」

「持って半年から1年でしょう。勿論、治療の効果が出れば、もっと生きられます。状態が上向けば、完治することだって有り得ます。」

「先生、絶対治して下さい!お願いします!俺もなんだってしますから。」

「おっしゃる通り、この病気の治療はご本人の努力だけでなく、支えていただく周りの方のお力添えも大変重要となります。」

「彼女には家族がいません。僕がしっかりと支えてみせますから、どうかよろしくお願いします!」

「ええ、一緒に病気に立ち向かいましょう!」

「はい。」
空元気だったが、先生に約束した。



その日の夜、不安そうな彼女には病気のことだけ打ち明け、詳しい症状に関してはまだ解らないと伝えた。
彼女が死ぬ?まさか、愛する彼女のいない生活なんて、そんなことは考えられない。
絶対に良くなる。絶対に完治する。それだけを見据えて二人三脚できっと病気に打ち勝ってやる!
僕は心に強くそう誓った。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

嘘をつく唇に優しいキスを

松本ユミ
恋愛
いつだって私は本音を隠して嘘をつくーーー。 桜井麻里奈は優しい同期の新庄湊に恋をした。 だけど、湊には学生時代から付き合っている彼女がいることを知りショックを受ける。 麻里奈はこの恋心が叶わないなら自分の気持ちに嘘をつくからせめて同期として隣で笑い合うことだけは許してほしいと密かに思っていた。 そんなある日、湊が『結婚する』という話を聞いてしまい……。

処理中です...