四季物語~The Four Seasons Story~

赤松帝

文字の大きさ
31 / 31
春はあけぼの

春はあけぼの

しおりを挟む
「集計は以上です。ご覧の通り、浅倉さん立案で田村くんが主演の『フェンシング・ミュージカル』と、篠原さん立案で田村くんが主演の『秘密の花園』が15票ずつの獲得で同数のトップです。」
春海が集計結果を発表する。

「勝手に俺を主役に据えるなよ!」
田村が吠え、クスクス笑いが教室内にもれる。

「いずれにせよ田村を主役に抜擢するのは決まったとして、どうしたもんかな?」
田宮先生が皆を見回した。

「よくないっスよ!薔薇の名前なんて絶対ヤバいって!!」

田村の泣き言に一同が噴き出した。
確かに、万が一、彼が演じることになったなら、田村の高校生活は暗黒時代と化すだろう。

「それもいいな。」
千秋が呟いたのを真冬は聞き逃さなかった。

“千秋って、結構怖いとこあるかも”
仲間は大切にしよう、真冬は強く誓った。


「田宮先生、おかしいです。票が一票足りません。」
数を数え直していた夏樹が、気がついて言った。

「本当か?間違いないか?」

「ハイ。このクラスの人数は41人なのに、集計した数は全部で40票です。」

「そうか、それは困ったな。どうしたもんかな。ン?そういえばクラス委員長、おまえ自分の分は書いたか?おい御厨、おまえだおまえ!」

「は、ハヒ?そういえば書いてません。」

「ばかもん!ソレだ、ソレ!」

「ぁあーそっかソレかぁ?!」
のん気な春海の素っ頓狂な答えに、教室中に爆笑の渦が湧き起こる。

「流ッ石春海!スイカ頭は無敵だわ」
呆れて真冬が呟く。

「ヒー!春海の天然ったら最高w」
千秋など涙ぐみながら手を叩いて大喜びしている。

「千秋、笑い過ぎだよ。」
真冬も釣られて笑い出す。

「真冬だって笑ってるじゃない。あー可笑しい!」
千秋と真冬は肩を叩き合って、ついには涙を流して大笑いし始めた。女子高生は、こうなるともう誰にも止められないのだ。

生徒らの笑いがひと段落すると、田宮は両手で皆を制し、
「君たちのリーダーに春を選んでしまった俺の責任だ。みんな許してくれ。」
と、謝罪した。

「しょんなぁー。」
春海が情けない声を出し、生徒たちのクスクス笑いが止まらない。

「今更、無記名投票しても仕方ない。御厨、おまえならどっちを選ぶ?」

「あたしはそのお色気お花茶屋カフェがいいかな~って」

「ダメだ。“ミュージカル”か“映画”か、どちらかで選べ!」
田宮が二択で決断を迫る。



しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

せんせいとおばさん

悠生ゆう
恋愛
創作百合 樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。 ※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

処理中です...