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prologue
茉都香
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「ガーーンッ!」
大きな衝撃音が、それまで闇夜の静寂に包まれていた公園に鳴り響いた。
茉都香(まどか・16)はビクリとして居眠りしていたベンチから飛び起きると、追っ手でも気にしている様にオドオドと辺りを見回した。
今の音は何だったのだろう?
少し離れた場所のベンチでは、何語だか判らない言語を交わす外国人ふたりが、茉都香の事などまるで意に介さず、喋り通しで話している。傍らのラジカセからはやはりよく判らない外国語の歌謡曲を大きな音で流している。
話すのか、音楽を聴くのか、どっちかにすればいいのに。彼女は彼らをあまり観ないようにしながら呟いた。
さほど身の危険を感じる必要は無さそうだったが、とはいえ少女一人きりの今、あまり長居はしたくない。
そそくさと逃げるようにして、茉都香は座っていた公園のベンチを後にした。
行く当てもなく彷徨っているところに、ゴロゴロという雷音が響き始めた。と思った途端、頭上からはパラパラと大粒の雨が降り始める。
雨滴がみるみる灰色のアスファルトを黒く湿らせてゆくと、次第に路面に虹色の油脂が浮きあがり、辺りにはオイルの芳ばしい匂いが立ちこめた。
不思議なことにそれが夏らしい香りに感じられた。
先程、茉都香を脅かした衝撃音の正体はもしかしたら雷だったのかも知れない。
雨粒の量は益々勢いを増して、まもなく滝の様な豪雨へと変わった。
傘を持って出忘れた茉都香は、街路樹の木立ちの下に身を寄せると、何処か雨宿り出来る場所はないものかと探し求めた。
しかし、それも無駄なことと悟ると、諦めたのか数メートル先すらも霞んで見えない滝の中へと小走りで駆け出していき、飛沫の向こう側に姿を消した。
大きな衝撃音が、それまで闇夜の静寂に包まれていた公園に鳴り響いた。
茉都香(まどか・16)はビクリとして居眠りしていたベンチから飛び起きると、追っ手でも気にしている様にオドオドと辺りを見回した。
今の音は何だったのだろう?
少し離れた場所のベンチでは、何語だか判らない言語を交わす外国人ふたりが、茉都香の事などまるで意に介さず、喋り通しで話している。傍らのラジカセからはやはりよく判らない外国語の歌謡曲を大きな音で流している。
話すのか、音楽を聴くのか、どっちかにすればいいのに。彼女は彼らをあまり観ないようにしながら呟いた。
さほど身の危険を感じる必要は無さそうだったが、とはいえ少女一人きりの今、あまり長居はしたくない。
そそくさと逃げるようにして、茉都香は座っていた公園のベンチを後にした。
行く当てもなく彷徨っているところに、ゴロゴロという雷音が響き始めた。と思った途端、頭上からはパラパラと大粒の雨が降り始める。
雨滴がみるみる灰色のアスファルトを黒く湿らせてゆくと、次第に路面に虹色の油脂が浮きあがり、辺りにはオイルの芳ばしい匂いが立ちこめた。
不思議なことにそれが夏らしい香りに感じられた。
先程、茉都香を脅かした衝撃音の正体はもしかしたら雷だったのかも知れない。
雨粒の量は益々勢いを増して、まもなく滝の様な豪雨へと変わった。
傘を持って出忘れた茉都香は、街路樹の木立ちの下に身を寄せると、何処か雨宿り出来る場所はないものかと探し求めた。
しかし、それも無駄なことと悟ると、諦めたのか数メートル先すらも霞んで見えない滝の中へと小走りで駆け出していき、飛沫の向こう側に姿を消した。
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