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22.歌音
歌音
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「ここが以前女性のバラバラ死体が遺棄されていた場所だそうです。私には今・・・」
不安げに顔を曇らせた歌音が、カメラに向かって語り掛けた。
「カット、カット!だそうですじゃねーよ。“だわ”だつったろ?」
巧は割って入ると、歌音の演技を中断した。
「はいはい、ゴメン。」
「おい、気持ちをいれてやれよな。お前は何者かの声により呼び寄せられて来たオカルト・ハンターなんだぜ。」
「設定は解ってるけどさ、それってホントなの?さっきから私なんにも感じないんですけど。」
歌音は周囲を見回して、尋ねた。
「ネットじゃ結構有名な心霊スポットなんだよ。まがりなりにも役者だろ?それなりの芝居はしてみせろよ。」
「あのねー安っぽい芝居を求めないでくれる?あたし映画女優になるんだからね!!」
「お前な・・・シッ!!」
突然、巧が手で制すと歌音の台詞を遮った。
「な、何よ?」
「悲鳴が聞こえた。」
「エエッ?」
「女だ。」
「・・・何も聞こえないじゃない。」
口を尖らせて歌音はとがめた。
「いや・・・待てよ・・・違う、マイクだ。マイクで拾ってる。イヤホンを通して聞こえるんだ!」
「ホントに!?」
「ああ、聴いてみろよ。」耳から外した片側のイヤーパッドを、歌音に渡して寄越した。
「嘘でしょ。」
半信半疑で歌音は耳をすました。
耳障りな風切り音しか聞こえない。
「何にも・・・Σ!?」
風切り音の向こうから、確かに若い女の苦しげにもだえる声が断続的に漏れ聞こえて来た。
「・・・聞こえる。」
歌音は全身から血の気がすぅーっと引いていくのを覚えた。
やがて悲鳴は一際高い断末魔の叫びに変わると、また風切り音だけが時折聞こえる不気味な静けさが訪れた。
緊張した面持ちで凍りついたまま、二人は暫くその場から動く事が出来ずにいた。
「・・・・・・死んだのか?」
ようやく耳からイヤホンを取り外すと、巧はつぶやいた。
「・・・解らない。」
「大体、今の何だよ?」
「知らないよ、私に聞かないでよ!・・・全然解んないよ。」
歌音はヒステリックにわめいた。
さきほどまでの女の叫びが、今だに耳の奥にこびりついていた。
自分の心の中が得体の知れないものにじくじくした膿の様に浸食されていくのを感じていた。
しかし、それが一体何なのか?具体的に言い表わせないジレンマに、苛立ちを隠し切れなかった。
「だよな。・・・すまん。」
彼女の心情を察知したのか、巧は素直に頭を下げた。
「ねぇ、今の録った?」
自分に向けられているカメラにようやく気づいた歌音は巧に向かって尋ねた。
「任せろ。最初はカメラ回ってなかったから、途中からだけどな。」
巧は得意げに親指を立て、ビデオカメラのRECボタンを押して録画を停止した。
「上出来!ビデオ再生して!」
歌音はせがんだ。
「お前、急にスイッチ入ったな?」
「いいから早く!」
歌音は急かす様に催促した。
「まあ待てよ、まず巻き戻さなきゃ。」
巧は、巻き戻しボタンを押した。
不安げに顔を曇らせた歌音が、カメラに向かって語り掛けた。
「カット、カット!だそうですじゃねーよ。“だわ”だつったろ?」
巧は割って入ると、歌音の演技を中断した。
「はいはい、ゴメン。」
「おい、気持ちをいれてやれよな。お前は何者かの声により呼び寄せられて来たオカルト・ハンターなんだぜ。」
「設定は解ってるけどさ、それってホントなの?さっきから私なんにも感じないんですけど。」
歌音は周囲を見回して、尋ねた。
「ネットじゃ結構有名な心霊スポットなんだよ。まがりなりにも役者だろ?それなりの芝居はしてみせろよ。」
「あのねー安っぽい芝居を求めないでくれる?あたし映画女優になるんだからね!!」
「お前な・・・シッ!!」
突然、巧が手で制すと歌音の台詞を遮った。
「な、何よ?」
「悲鳴が聞こえた。」
「エエッ?」
「女だ。」
「・・・何も聞こえないじゃない。」
口を尖らせて歌音はとがめた。
「いや・・・待てよ・・・違う、マイクだ。マイクで拾ってる。イヤホンを通して聞こえるんだ!」
「ホントに!?」
「ああ、聴いてみろよ。」耳から外した片側のイヤーパッドを、歌音に渡して寄越した。
「嘘でしょ。」
半信半疑で歌音は耳をすました。
耳障りな風切り音しか聞こえない。
「何にも・・・Σ!?」
風切り音の向こうから、確かに若い女の苦しげにもだえる声が断続的に漏れ聞こえて来た。
「・・・聞こえる。」
歌音は全身から血の気がすぅーっと引いていくのを覚えた。
やがて悲鳴は一際高い断末魔の叫びに変わると、また風切り音だけが時折聞こえる不気味な静けさが訪れた。
緊張した面持ちで凍りついたまま、二人は暫くその場から動く事が出来ずにいた。
「・・・・・・死んだのか?」
ようやく耳からイヤホンを取り外すと、巧はつぶやいた。
「・・・解らない。」
「大体、今の何だよ?」
「知らないよ、私に聞かないでよ!・・・全然解んないよ。」
歌音はヒステリックにわめいた。
さきほどまでの女の叫びが、今だに耳の奥にこびりついていた。
自分の心の中が得体の知れないものにじくじくした膿の様に浸食されていくのを感じていた。
しかし、それが一体何なのか?具体的に言い表わせないジレンマに、苛立ちを隠し切れなかった。
「だよな。・・・すまん。」
彼女の心情を察知したのか、巧は素直に頭を下げた。
「ねぇ、今の録った?」
自分に向けられているカメラにようやく気づいた歌音は巧に向かって尋ねた。
「任せろ。最初はカメラ回ってなかったから、途中からだけどな。」
巧は得意げに親指を立て、ビデオカメラのRECボタンを押して録画を停止した。
「上出来!ビデオ再生して!」
歌音はせがんだ。
「お前、急にスイッチ入ったな?」
「いいから早く!」
歌音は急かす様に催促した。
「まあ待てよ、まず巻き戻さなきゃ。」
巧は、巻き戻しボタンを押した。
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