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第百二十二話 決着
しおりを挟む胸を貫かれたガルドはその場に倒れ込む。
「グッ……」
「はぁはぁ…ガルド、僕達の勝ちだ!」
「ま、まだ負けてないっす……こんな所で……死にたく…な…ないっす!」
「諦めろガルド。その傷じゃ僕の回復かエレナの魔法でない限り助からない」
「諦める?……ふふ、たしかに……俺はこの期に及んで……まだ舐めてたみたいっすね……。諦めます」
「そうか、ならせめて一瞬で楽に……」
「何を勘違いしてるんですか?…俺が……諦めると言ったのは生き残る事です!もうこの身がどうなっても良い!でも貴方には勝ちます!」
そう言うと、ガルドの体に闇が集まる。
一回り大きくなり、溢れ出る魔力量も増えたようだ。
此方を睨みつけると、先程までの数倍の速度で斬りかかってきた。
更に力も上がっていて魔法剣まで使ってきた。
速度も、力も互角になって魔法剣まで使われ始めたら流石に不利だ。
「一体何をしたんだ!」
「別に大したことはしてないですよ。ただテクストがやったように命を燃やして力を底上げするのを自分にかけただけっす。クウガさんみたいに生き残る可能性はゼロだけど……これなら勝てる!これからが本当の戦いっすよ!」
「厄介な…」
ガルドのパワーアップは精々10分が限度。
それ以上力を上げるのは不可能だ。
それに対してケインの狂化はエルナのリラックス頼り……
つまりエルナの魔力量だけ動けるというわけだ。
両者の実力は互角。
ステータスもほぼ同等になった以上、エルナの魔力が10分持つかどうかの勝負だ。
彼等は互いに殴り合う。
剣で斬り合うのではなく、純粋に己の拳を頼って……
避けようともせずに攻撃を2人で受け続けた。
2人にとって永遠のように感じられたその時間は突然終わりを告げる。
殴り合いはじめて9分が経った頃、エルナの魔力が切れたのだ。
「す、すみませんケイン!」
こうなってはケインの負けだ、と誰もが思った。
「さらばです!ケインさん!」
ガルドは残りの力を振り絞るように殴りかかった。
しかし、その拳は受け止められてしまう。
「そんな!なんでですか!?もう狂化の効果は切れているはずなのに!」
「切れてないさ……エルナのリラックスが止まっただけで切れてない」
「まさか!狂化の重ねがけをそのまま受けているんですか!そんなことしたら死んじゃ……」
「ふっ、お前は元々僕を殺そうとしてたのに何言ってんだよ……お前が命をかけるなら……僕も命をかけてやる!」
そう言ってケインは命懸けの狂化を行なった。
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
2人は同時に殴った。
殴られた2人は倒れてしまい、動かない。
「ど、どうなったのでしょう?」
暫くすると一方が立ち上がって笑みを浮かべる。
「僕の勝ちだガルド」
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