最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)

排他的経済水域

文字の大きさ
133 / 192

外伝6話 宇宙飛行士田中

しおりを挟む


宇宙飛行士田中は、ケイン達が住む星に到着した時、絶望を感じた。
燃料タンクが小惑星とぶつかった際に破損していて、帰りの分のエネルギーが足りないと気付いたからだ。
つまり、帰れない。一生をこの未開の地で過ごすしか無いのだ。…それもほんの数日だろうが……
この星は太陽系の中で、火星と木星の間に位置する地球型惑星だ。太陽からの距離は地球よりも遙かに遠く、我々人間にはその寒さに耐えられない。生物の生存は確認されているが、それはこの星でそのようにして進化してきた生物だからだ。外に出たら寒さですぐにまともに動けなくなってしまう。かと言って宇宙船の中にある食糧は有限。宇宙船にいれば暫くは生活できるだろうが、いつか食料が尽きたら餓死してしまう。
だから数日しか持たない。しかし、成す術もない。ならば地球から救助が来るという極小の確率に賭けるしか道は無い。
……最も、通信機もこの距離では届かず、我々の様子を管理する手段も無いので、極小どころか0と言い切っても良いのだが……
そう思って宇宙船から出ようとはしなかったのだ。
ところが、ここで宇宙船の乗組員であるボブがとんでもない発見をした。
なんと外の温度を測ってみたら23度。地球の気温と変わらなかったのだ。

「や、やった!これなら外に出れる。そうすれば何か食糧が手に入るかもしれない!」

ボブが宇宙船の外に出ようとするところを慌てて止める。

「待て!ボブ!」

「な、なんだよタナカ。外は安全だと分かったじゃないか」

「お前それでもNAZAの宇宙飛行士か!?気温が同じでも気圧や酸素濃度が違ったら意味ないだろうが!!」

「あ、あぁ…そうだった………」

※本人達は英語で喋っています。

しかし、その後外気の状態などを調べてみても人間が生存可能な場所だと判明した。

「ど、どうなってやがる……なんで太陽系の中にこんなに地球と環境が似通った星があるんだ……そもそも、なんでこんな星が文明が発展してからのこの1000年間1度も望遠鏡で発見すらされなかったんだ……?」

「分からんな……だが、これなら外に出ても大丈夫そうだ」

警戒はしたが、このまま宇宙船の中で怯えているより行動をした方がいいと結論付き、宇宙船に乗っていた5人は念の為宇宙服を着て外に出た。
すると、周りの草木は地球と似たような見た目をしていたのだ。
空は青く、雲まで浮かんでいる。
地面を見ると虫のようなものまでいた。

「……おい、これを見てみろよ。蟻だ」

「別に蟻なんか珍しくもないだろう?」

「……本気で言ってるのか?蟻だぞ?……この星には居ないはずの蟻がいるんだ」

「えっ…あ、ああ……そうだな。たしかに変だ」

「まったく……ボブ、お前調子がおかしくないか?これは世紀の発見なんだぞ?」

「う、うん……そうだな」

先程からボブは元気がなさげだ。よく見ると皆んなも調子が良くなさそうだ。まぁ、こんな星でサバイバルしていかなくちゃいけないわけだからな。落ち込むのも無理はない。
だが、後になって後悔する……
この時宇宙船に引き返しておかなかったことを……
  



しおりを挟む
感想 116

あなたにおすすめの小説

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

処理中です...