最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)

排他的経済水域

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外伝20話 襲撃

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時は少し遡り、ケイン達によって魔物の脅威が取り除かれた惑星ジムダは平和そのものであった。

「クウガ隊長!大変です!」

慌ただしく騎士団の者が騎士団長室に入ってきた。

「どうした?何か事件か?」

「それが……エルファトクレス様とエルナ様が喧嘩をしておられまして……」

「喧嘩?どうして?」

「どうやら、つぶあん派かこしあん派で意見が割れたようで……」

「なんだ、焦って損したよ」

「しかし、お2人とも全力で戦っておられ……止められません!」

「それはまずい、すぐ行くよ」

クウガが出動し、2人を宥めにいく。すると、エルファトクレスとエルナが木剣で模擬戦をしていた。模擬戦とはいえ、人類トップクラスの二人がセーブせずにその力を奮っていたので、周りには少なからず被害が及んでいる。衝撃波で地形に影響が出ていたが、クリフが空気による壁で建物への被害は皆無だった。

「あっ!クウガ隊長」

「ありがとうクリフさん。……やれやれ、2人ともそこら辺にしなよ。ケインが居なくなってから喧嘩ばかりじゃないか。するにしても、もっと平和的に解決しなよ」

実の所、ケインが居た時も喧嘩はあったのだが、その都度ケインが上手く丸めていたのだ。師匠と弟子であり、戦闘スタイルも似ている2人だが、日常生活では意外と反りが合わず、些細な事でこんな感じになっていた。

「だって!つぶあんの方が食感が良いじゃ無いですか!」

「いいえ!こしあんの方が舌触りが良いです。つぶあんなんて変な異物が混じってて不味いです!」

聞くと、かれこれ30分程この様子らしい。

「まったく、世界最強格の2人がこの状態って……平和になった証拠でもあるんだけどね」


と、2人を宥めようとしてクウガが近づくと、突然嫌な気配がした。
それはエルナやエルファトクレスも同じだった様で、動きを止めて警戒体制に入った。

「……、近い」

「気配はあるのに……これは一体?クウガさん、直ぐに騎士団の者をここに……」

「クウガか……それはこの男の名前かね?」

「「っ!?」」

声がした方を向くと、いつの間にか長身の男が立っており、その手でクウガの首元を締めていた。

「お前は……誰だ」

クウガは苦しそうに男の手から逃れようとしているが、残念ながらそれは叶わない。

「おい、クウガさんを放せ」

「放してやっても良いが……こちらからも条件をつけさせてもらおう」

「何だ?」

「勇者エルナを渡せ。そうすればこの男やそこらの人間には手を出さずにおいてやると誓おう。ああ、案ずるな。勇者エルナも殺しはしない。少し計画を手伝ってもらうだけだ」

「だ、ダメだ。エル………ナ。この男の言う事を聞いちゃ」

「五月蝿いぞ。余計なことを言うな」

クウガが必死に声を出すが、残念ながらその声は謎の男によって無理やり止められてしまう。

「分かりました。私がそちらに行くので手を離して下さい」

「フッ、それで良い……?」

そう言ってクウガを解放しようとした所で、ようやくクウガが自分の手から既に離れていた事に気づいた。

「奴はどこに?」

「後ろだ、馬鹿野郎」


その言葉が聞こえた時にはもう遅く、謎の男はクウガの抜刀で大ダメージを受けてしまった。

「なっ、何故……」

クウガは自分のオリジナルスキル『魔鎧』を発動させ、スピードを急速に高めた。更に、スキル『隠密』を一瞬発動し、エルナとの会話で気を取られたタイミングでそれらを行った事により、まるで消えた様に逃れることが出来たのだった。

対して、交渉に成功し油断していた謎の男は、不意を突かれた一撃をモロに喰らってしまった。

「ったく……いきなり人の首を絞めてくれちゃって」

「クウガ……といったか、やるな」

「こっちが名乗ったんだ。君も名乗れ」

「ふん、答えてやる義理もないが……君と呼ばれるのも気分が悪い。教えてやる。私は亜神スクリットだ」


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