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ケインと魔法少女達②
しおりを挟む「悪の組織?って何ですか」
「……分かんないけど、きっと悪い組織が何かの目的でこのモンスター達をばら撒いて、みんなからハッピーを奪ってるの!」
「そうですか、助けてくれてありがとうございました。悪の組織退治頑張ってくださいさよなら」
それだけ言って家に帰ろうとしたが、3人は帰ろうとする僕の手を引き留めてきた。
「ねえ……今ちょーっと人手不足なんだけど……」
「へー……そうなんですか。求人募集かけてみては?」
「誰が悪の組織と戦う為に一緒に魔法少女やりませんかなんて怪しい求人載るのよ!」
自覚あるんかい
「だからお願い……人助けだと思って、ね?」
「……一回だけですよ」
「やった!」
ここでケインの人の良さが出てしまい、彼女らの遊びに乗る事にしたのだった。
助けてもらった恩もあるし……、という気持ちが大部分を占めていたが、十中八九嘘だと思うが、もしかしたら本当にその悪の組織というのが今回の魔物の騒動に絡んでいるかもしれない。
そう考えたからこその行動であった。
「それで?その悪の組織というのは何て名前で具体的にはどういう狙いがあるんですか?」
「………悪の組織は悪の組織よ」
「へっ!?」
まさか悪の組織の名前が悪の組織だとかそんな馬鹿みたいな話……
「悪の組織は悪い組織だから悪の組織なのよ」
ここにあった。
「じゃあ悪の組織を倒す為に手伝ってもらえる?ケイン」
「で、何をするんですか?」
「うーん……まずは衣装を着てもらわないとね」
「ねえスズナ、この子ちょうど銀髪だし白の衣装は?」
「白にしろなんて似合わないわよ。ここは補色の黒にしましょ」
「黒って補色でしたっけ?」
などなど、僕の衣装の件で3人は結構真剣に議論している。
「そういえば……見た所3人とも僕とそんなに年齢変わらなく見えるけど学校はどうしたの?」
僕はまだ17歳、日本ならば高校生である。
3人も似た様な年齢に見えるが、今は平日の真昼間だ。
何故こんなところに高校生くらいの3人が……?
「えーっと……それはですね、北海道の危機を救う為に仕方なく……」
「おいサボんな学校」
どうやら学校をサボってこんな所で遊んでいたようだ。
「そ、そういうケインはどうなんですか!?貴方だって高校生くらいですよね!学校サボってたんじゃ無いんてますかぁ!」
「いや、僕は学校行ってないから」
「えっ……その、なんかごめんなさい」
どうしよう、なんか無性にイラッときた。
まあ良いや……
「衣装……だっけ?それ着て一緒に遊んだらちゃんと学校行くか?」
「遊びじゃ無いです!私達真剣なんです!」
「もうそれで良いから、何をすれば良いんだ?具体的には」
「まず貴方の得意な特技を教えてもらうわ……その特技を……」
「おい、待て」
ケインは何か気配を感じた様で耳をすます。
その様子を見て只事ではないと感じ3人は黙って見守っていた。
「何か……何か魔物が街の方にいる」
ケイン達が今いるのは人通りの少ない高速道路だった。
一応そこそこ近くに街があるが、街は小さく人の住んでいる気配はあまり無い。
「た、大変です!確かあそこはお年寄りばっかりの街というより村で……魔術を使える人がいない!」
「ヤベェ!すぐに行かないと……」
ケインが遊びは終わりだとばかりに3人を置いて縮地をしようとする。
……が、またしても3人は引き留めた。
「おい!本当に時間が……」
「私達も連れてって」
「……分かった」
揉める方が時間の無駄である。
どうせ彼女達なら自分の事くらいなら自分で守れるだろうと考えたケインは3人を連れて一斉に縮地をした。
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