4 / 5
#04 部下(元上司)
しおりを挟む
あちゃあ。そうなると私の上司は……。
翌日、騎士団本部の人事課に向かうと、案の定上司がいた。
私が挨拶しても反応がない。これは相当機嫌が悪いみたいだ。
彼女の名前はラヴィーニア・ピスタチオ。
長い黒髪を後ろで束ねている女性。いつも不機嫌そうで、目つきが鋭い。そして無愛想。美人だけど怖い人、というのが周囲からの印象。
私も最初会ったときは怖かった。いつも眉間にしわが寄っていて、話しかけづらい雰囲気だった。
「えっと……お疲れ様です。エリスです」
「聞いていますよ、第九騎士団の団長補佐になると。……どうやら私は、第九騎士団の総務部長になるようです」
ラヴィ―ニアさんはもともと第三騎士団の経理課長であり、第二王女お気に入りの文官でもあった。第二王女に随伴してあちこちの舞踏会に行っていたのだが、そこである貴族と問題を起こして本部である第一騎士団で人事係長をしていたわけだ。もともと目つきが鋭い自覚があったそうだが、左遷の後はより仕事に専念しようと周りに厳しい態度を取っていたそうだ。
しかし、私が上司になるならそんなに厳しくされる心配もないかな。……ないのかな?
「あ、はい。よろしくお願いします」
「……よろしくするつもりはないのですが。とはいえ、ようやくの部長職、ここで人事に携わったのも無駄ではなかったということですか」
ラヴィ―ニアさんは昔から昇進に強い意欲を示していた。なにか理由があるんだろうけど、聞くのは怖いからやめておこう。
取り敢えず、ある程度の頭数が揃うまでは第一騎士団の人事課が使っている事務所を間借りして業務を行うことになっている。まぁ、通常業務の引継ぎが残っているからね……。給与係が使っている事務所はここから少し離れていて、行き来が面倒だがあまり贅沢も言っていられない。
「じゃあ、早速ですがお茶を淹れましょうか」
「結構よ」
うーん、取り付く島もないってこのことか。いや、私が上司なんだしいっそお茶を淹れてもらうというのもアリなのでは……いや、怖いからやめておこう。あんまり団長補佐っていう役職を振りかざすのも違う気がするし。
「あ、あの。騎士団新設にあたって必要な業務ってなんなんでしょうか?」
取り敢えず仕事の話くらいはしてくれるのではなかろうかと、一縷の望みにかけるが……。
「私も経験がないのでわかりかねます。エルフィオーレ殿下から具体的な指示はないのですか?」
「いや……実はなくて。一応、昨日部長からいろいろ聞いて。騎士団を結成できるだけの騎士を揃えなきゃいけないじゃないですか。だから騎士学校とか傭兵とかそういった人を集めなきゃいけないかなって」
「なるほど……では騎士学校へ行きますか。顔合わせは大事でしょう?」
「た、確かに! では、同行……してくれますよね?」
「……手のかかる上司になりそうですね。致し方ありません。同行します」
ふぅ……よかった。さすがに一人で行ってもどうしていいか分からないことだらけだからね。
騎士団員を集める前にまずは騎士団の事務処理をしっかりやっていかなければいけない。騎士団として動き始めるにはもう少しかかりそうだけど、騎士団が本格的に始動したら忙しくてそれどころではないはずだ。
私はラヴィ―ニアさんと一緒に騎士養成学校へ向かった。
翌日、騎士団本部の人事課に向かうと、案の定上司がいた。
私が挨拶しても反応がない。これは相当機嫌が悪いみたいだ。
彼女の名前はラヴィーニア・ピスタチオ。
長い黒髪を後ろで束ねている女性。いつも不機嫌そうで、目つきが鋭い。そして無愛想。美人だけど怖い人、というのが周囲からの印象。
私も最初会ったときは怖かった。いつも眉間にしわが寄っていて、話しかけづらい雰囲気だった。
「えっと……お疲れ様です。エリスです」
「聞いていますよ、第九騎士団の団長補佐になると。……どうやら私は、第九騎士団の総務部長になるようです」
ラヴィ―ニアさんはもともと第三騎士団の経理課長であり、第二王女お気に入りの文官でもあった。第二王女に随伴してあちこちの舞踏会に行っていたのだが、そこである貴族と問題を起こして本部である第一騎士団で人事係長をしていたわけだ。もともと目つきが鋭い自覚があったそうだが、左遷の後はより仕事に専念しようと周りに厳しい態度を取っていたそうだ。
しかし、私が上司になるならそんなに厳しくされる心配もないかな。……ないのかな?
「あ、はい。よろしくお願いします」
「……よろしくするつもりはないのですが。とはいえ、ようやくの部長職、ここで人事に携わったのも無駄ではなかったということですか」
ラヴィ―ニアさんは昔から昇進に強い意欲を示していた。なにか理由があるんだろうけど、聞くのは怖いからやめておこう。
取り敢えず、ある程度の頭数が揃うまでは第一騎士団の人事課が使っている事務所を間借りして業務を行うことになっている。まぁ、通常業務の引継ぎが残っているからね……。給与係が使っている事務所はここから少し離れていて、行き来が面倒だがあまり贅沢も言っていられない。
「じゃあ、早速ですがお茶を淹れましょうか」
「結構よ」
うーん、取り付く島もないってこのことか。いや、私が上司なんだしいっそお茶を淹れてもらうというのもアリなのでは……いや、怖いからやめておこう。あんまり団長補佐っていう役職を振りかざすのも違う気がするし。
「あ、あの。騎士団新設にあたって必要な業務ってなんなんでしょうか?」
取り敢えず仕事の話くらいはしてくれるのではなかろうかと、一縷の望みにかけるが……。
「私も経験がないのでわかりかねます。エルフィオーレ殿下から具体的な指示はないのですか?」
「いや……実はなくて。一応、昨日部長からいろいろ聞いて。騎士団を結成できるだけの騎士を揃えなきゃいけないじゃないですか。だから騎士学校とか傭兵とかそういった人を集めなきゃいけないかなって」
「なるほど……では騎士学校へ行きますか。顔合わせは大事でしょう?」
「た、確かに! では、同行……してくれますよね?」
「……手のかかる上司になりそうですね。致し方ありません。同行します」
ふぅ……よかった。さすがに一人で行ってもどうしていいか分からないことだらけだからね。
騎士団員を集める前にまずは騎士団の事務処理をしっかりやっていかなければいけない。騎士団として動き始めるにはもう少しかかりそうだけど、騎士団が本格的に始動したら忙しくてそれどころではないはずだ。
私はラヴィ―ニアさんと一緒に騎士養成学校へ向かった。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる