新設騎士団の人事さん

楠富 つかさ

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#04 部下(元上司)

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 あちゃあ。そうなると私の上司は……。
 翌日、騎士団本部の人事課に向かうと、案の定上司がいた。
 私が挨拶しても反応がない。これは相当機嫌が悪いみたいだ。
 彼女の名前はラヴィーニア・ピスタチオ。
 長い黒髪を後ろで束ねている女性。いつも不機嫌そうで、目つきが鋭い。そして無愛想。美人だけど怖い人、というのが周囲からの印象。
 私も最初会ったときは怖かった。いつも眉間にしわが寄っていて、話しかけづらい雰囲気だった。

「えっと……お疲れ様です。エリスです」
「聞いていますよ、第九騎士団の団長補佐になると。……どうやら私は、第九騎士団の総務部長になるようです」

 ラヴィ―ニアさんはもともと第三騎士団の経理課長であり、第二王女お気に入りの文官でもあった。第二王女に随伴してあちこちの舞踏会に行っていたのだが、そこである貴族と問題を起こして本部である第一騎士団で人事係長をしていたわけだ。もともと目つきが鋭い自覚があったそうだが、左遷の後はより仕事に専念しようと周りに厳しい態度を取っていたそうだ。
 しかし、私が上司になるならそんなに厳しくされる心配もないかな。……ないのかな?

「あ、はい。よろしくお願いします」
「……よろしくするつもりはないのですが。とはいえ、ようやくの部長職、ここで人事に携わったのも無駄ではなかったということですか」

 ラヴィ―ニアさんは昔から昇進に強い意欲を示していた。なにか理由があるんだろうけど、聞くのは怖いからやめておこう。
 取り敢えず、ある程度の頭数が揃うまでは第一騎士団の人事課が使っている事務所を間借りして業務を行うことになっている。まぁ、通常業務の引継ぎが残っているからね……。給与係が使っている事務所はここから少し離れていて、行き来が面倒だがあまり贅沢も言っていられない。

「じゃあ、早速ですがお茶を淹れましょうか」
「結構よ」

 うーん、取り付く島もないってこのことか。いや、私が上司なんだしいっそお茶を淹れてもらうというのもアリなのでは……いや、怖いからやめておこう。あんまり団長補佐っていう役職を振りかざすのも違う気がするし。

「あ、あの。騎士団新設にあたって必要な業務ってなんなんでしょうか?」

 取り敢えず仕事の話くらいはしてくれるのではなかろうかと、一縷の望みにかけるが……。

「私も経験がないのでわかりかねます。エルフィオーレ殿下から具体的な指示はないのですか?」
「いや……実はなくて。一応、昨日部長からいろいろ聞いて。騎士団を結成できるだけの騎士を揃えなきゃいけないじゃないですか。だから騎士学校とか傭兵とかそういった人を集めなきゃいけないかなって」
「なるほど……では騎士学校へ行きますか。顔合わせは大事でしょう?」
「た、確かに! では、同行……してくれますよね?」
「……手のかかる上司になりそうですね。致し方ありません。同行します」

 ふぅ……よかった。さすがに一人で行ってもどうしていいか分からないことだらけだからね。
 騎士団員を集める前にまずは騎士団の事務処理をしっかりやっていかなければいけない。騎士団として動き始めるにはもう少しかかりそうだけど、騎士団が本格的に始動したら忙しくてそれどころではないはずだ。
 私はラヴィ―ニアさんと一緒に騎士養成学校へ向かった。
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