5 / 5
#05 騎士学校を視察
しおりを挟む
騎士養成学校は、王都の中央に位置する王立魔法学園の隣にある。王都に住む平民は腕に覚えがあれば大抵この学校を目指すはずだ。王都で立身出世したいならここを卒業していることが必須条件となる。卒業したらほぼ間違いなく就職できるし、卒業生はエリートとして扱われることになるからだ。
……うちのような新設の騎士団にどれほどの人員が集まるかは分からないけど、頑張って説明会をするしかないよね。
騎士学校は広々とした敷地に平屋の建屋が並び、剣技の授業には広い中庭を使用する。王都のはずれにあるこの学校には国内各地から少年少女たちが集まっているそうだ。貴族や商人の子女もいるが、そういった人たちは寄宿舎に専用の部屋を与えられていることが多いらしい。
教員用の入口から敷地内に入った私たちはまず剣術の授業をやっている演習場に向かうことにした。演習場には剣と盾を構えた生徒たちが集まっており、その中には教官と思われる男性もいて声を張り上げていた。
「剣を振るう時は決して迷うな! 国のため、主君のために振るう刃に迷いがあってはならないぞ!!」
なかなかに熱血指導って感じで……ちょっと暑苦しそうだな。
私と同じ感想を抱いたのか、ラヴィ―ニアさんは顔をしかめていた。
教官がこちらを見たので会釈すると、すぐさま駆け寄ってきた。おそらく騎士団のスカウトだと分かってのことだろう。実際、すぐに所属の団を問われたからね。
「えっと、我々はこの度新設となった第九騎士団の人員を集めるために来た次第でありまして……」
「なるほど、第九騎士団か! 君が団長補佐か」
「え、えぇ。エリスと申します」
いきなりの大声でちょっと不快だったが、我慢してにこやかな顔を装う。隣のラヴィ―ニアさんは礼儀正しくスカートを摘まみながらお辞儀をした。……この人も一応貴族令嬢なんだなぁ。
「それで、現状で配属先が決まっていない騎士候補生はどれほどいますか?」
「そうですなぁ。戦争も終わったばかりで新規の配属は多少落ち着きはしましたが、それでもすぐに戦地へ赴けるような者はそう多くありませんな。多く見積もったところで百は切るでしょうな」
……少ない。新たに騎士団を立ち上げるにあたり、どれほどの人手があればいいというのは厳密には用意されていないのだが、少なくとも百名の騎士は用意したい。だが百人の騎士を用意するということは少なくとも小隊長が出来る者が十名、中隊長となれば三名ほどは欲しい。大隊長については最悪の場合団長としてのエルフィオーレ殿下がいるから構わないが……。
「それに、いくら実戦で通用する学生が百人弱いたとしても、全員を第九騎士団に連れていくことは他の騎士団のメンツもあって不可能……それに、何人かは配属先として既にどこかの騎士団を決めている者もいるでしょうね」
ラヴィ―ニアさんの冷静なコメントが全てだ。とはいえ十人から二十人はすぐに用意したいところでもある。
「何名か実戦レベル、あるいはその一歩手前くらいの生徒を紹介してもらえますか?」
私の依頼に、教官はふぅむと少しだけ悩んでから訓練中の生徒たちを見渡した。
「実戦レベル一歩手前であれば、この中から何人か紹介できそうですなぁ」
では早速、スカウトを頑張っていきましょうか。
……うちのような新設の騎士団にどれほどの人員が集まるかは分からないけど、頑張って説明会をするしかないよね。
騎士学校は広々とした敷地に平屋の建屋が並び、剣技の授業には広い中庭を使用する。王都のはずれにあるこの学校には国内各地から少年少女たちが集まっているそうだ。貴族や商人の子女もいるが、そういった人たちは寄宿舎に専用の部屋を与えられていることが多いらしい。
教員用の入口から敷地内に入った私たちはまず剣術の授業をやっている演習場に向かうことにした。演習場には剣と盾を構えた生徒たちが集まっており、その中には教官と思われる男性もいて声を張り上げていた。
「剣を振るう時は決して迷うな! 国のため、主君のために振るう刃に迷いがあってはならないぞ!!」
なかなかに熱血指導って感じで……ちょっと暑苦しそうだな。
私と同じ感想を抱いたのか、ラヴィ―ニアさんは顔をしかめていた。
教官がこちらを見たので会釈すると、すぐさま駆け寄ってきた。おそらく騎士団のスカウトだと分かってのことだろう。実際、すぐに所属の団を問われたからね。
「えっと、我々はこの度新設となった第九騎士団の人員を集めるために来た次第でありまして……」
「なるほど、第九騎士団か! 君が団長補佐か」
「え、えぇ。エリスと申します」
いきなりの大声でちょっと不快だったが、我慢してにこやかな顔を装う。隣のラヴィ―ニアさんは礼儀正しくスカートを摘まみながらお辞儀をした。……この人も一応貴族令嬢なんだなぁ。
「それで、現状で配属先が決まっていない騎士候補生はどれほどいますか?」
「そうですなぁ。戦争も終わったばかりで新規の配属は多少落ち着きはしましたが、それでもすぐに戦地へ赴けるような者はそう多くありませんな。多く見積もったところで百は切るでしょうな」
……少ない。新たに騎士団を立ち上げるにあたり、どれほどの人手があればいいというのは厳密には用意されていないのだが、少なくとも百名の騎士は用意したい。だが百人の騎士を用意するということは少なくとも小隊長が出来る者が十名、中隊長となれば三名ほどは欲しい。大隊長については最悪の場合団長としてのエルフィオーレ殿下がいるから構わないが……。
「それに、いくら実戦で通用する学生が百人弱いたとしても、全員を第九騎士団に連れていくことは他の騎士団のメンツもあって不可能……それに、何人かは配属先として既にどこかの騎士団を決めている者もいるでしょうね」
ラヴィ―ニアさんの冷静なコメントが全てだ。とはいえ十人から二十人はすぐに用意したいところでもある。
「何名か実戦レベル、あるいはその一歩手前くらいの生徒を紹介してもらえますか?」
私の依頼に、教官はふぅむと少しだけ悩んでから訓練中の生徒たちを見渡した。
「実戦レベル一歩手前であれば、この中から何人か紹介できそうですなぁ」
では早速、スカウトを頑張っていきましょうか。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる