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「友達とショッピングってこんなに楽しいんだね」
結局、下着のみならず全身トータルコーディネートされることになった佑奈。服は今日着ているものも含め、既に何着か贈られていることもあって、佑奈もあまり強く拒むことができなかった。
思いのほか大きな買い物になってしまったので、途中で一度モール内のコインロッカーに預けることにした。持って歩くのは大変という理由もあるが、なにより佳子にとっては両手に荷物をもってしまったら佑奈と手を繋げないというのが、より主な理由であった。
「佳子……本当に、こんなの買ってもらうわけにはいかないよ。私、前にもらったお金で払うから……」
佳子はすぐに応えた。
「だめ」
その一言には一切の迷いがなかった。
「今日はデートなんだもん。私に払わせて」
「デ、デート……?」
佑奈が戸惑いながら繰り返すと、佳子はいたずらっぽく笑った。
「そうだよ? だって私、佑奈とこうやって一緒にいるのが楽しいし、嬉しいんだもん」
その言葉に、佑奈の心臓がドキリと跳ねる。
「ずっと楽しみにしてたんだよ。一緒にショッピングして、それからご飯を食べるの。映画は……家で見るからいいとして」
ご飯と聞いて佑奈は近くにあった時計店に飾られた時計を見やる。時刻は正午を過ぎていた。
「お昼ご飯どうしようか?」
「せっかくだし食べて帰ろうよ。ここでご飯食べたことなくって」
「そうなんだ。じゃあ……どこか行きたいお店はある?」
佑奈がそう尋ねると、佳子はフロアガイドを見ながらある箇所を指さした。
「ハンバーガー、食べてみたい、かも」
「じゃあ決まりだね。行こうか」
当たり前のように手を繋いで、二人はフードコートに向かうのだった。
大混雑のフードコートでなんとか昼食を済ませた二人は、ファンシーショップでお揃いのアクセサリーを購入し、今日の記念にとそのアクセサリーを身に着けて、ゲームコーナーでプリントシールを撮影した。
「あぁ、大満足。えへへ、ここってこんなに楽しい場所だったんだね。それとも、佑奈とだから、かな」
コインロッカーで荷物を回収し、外に出た瞬間、冷たい風が二人を包んだ。それでも佳子は満足げな表情で、佑奈の手を取る。
「佑奈、今日のデート、楽しかった?」
「うん! もちろんだよ。……でも、やっぱり買いすぎたと思う。お金の心配もあるけど、帰るの……大変じゃない?」
佳子とショッピングをしたという充実感、買ってもらいすぎたことへの罪悪感、それと少しの疲労。とかく満足げな佳子も確かに大荷物を抱えて帰るのは大変だと顎に手を当てる。
「私、タクシーって乗ったことないんだけど、乗ってみない?」
ひらめいたという顔で最寄り駅のタクシー乗り場へと歩き出す佳子。流されるままついていき、タクシーに乗り込んだ二人。女性運転手に佑奈を自慢する佳子をなだめつつも、佑奈は上がっていく金額メーターに妙な緊張感を覚えていた。
「ふぅ、帰ってきたね」
玄関で靴を脱いで上がる佳子に、佑奈も続く。
「今日はありがとう。私、佳子にもらってばかりだよね」
「もう、何回それを言うのよ。いいの、だって私が佑奈にあげたいんだもん」
洗面所で手洗いうがいをし終えた二人は、ちょうど同じ空間にある洗濯機をじっくり見始めた。
「佳子の家って洗濯機までおしゃれだよね。白くない洗濯機って初めて見たかも」
グレージュのボディにシャンパンゴールドの加飾がほどこされた洗濯機を見ながら、佑奈はドラム式ってこんな感じなんだと扉を開けたり、操作パネルを眺める。洗剤や柔軟剤をストックする場所があり、自動で投入する機能もある。
佳子がスマホで型番を調べ、インターネット上で取扱説明書を開く。それを見ながら、佑奈は今朝使ったバスタオルや洗濯ネットに入れた新品の下着たちを投入する。
「これで開始っと」
「なーんだ、簡単じゃん。私にも出来そう。一緒に住み始めたら交代でやろうね」
「うん。そうしようっか」
「えへへ、じゃあ勉強始めようか。佑奈と一緒にいられる時間がたくさんあるって思うと、やる気も湧いてくるってものだよ。お茶、淹れてくるから先に部屋で待ってて」
ダイニングで紅茶の準備をし、部屋に持っていく。洗濯が終わるまでの時間、まずはこつこつと問題集に向かう。ペンの走る音だけが響き、二人は言葉を交わさない。ただ、お互いが隣にいるというだけでモチベーションが上がる。
無言で集中していたからこそ、洗濯機から完了のアラームが鳴ったことにも気付けた。
「あ、もうこんな時間なんだ。私、干してくるから佳子は休憩してて」
「そう? ありがとう佑奈。あ、じゃあお夕飯のデリバリー、頼んでおくね。時間は……六時でいい?」
現在時刻は午後三時、お昼は二人ともハンバーガーのセットメニューだったこともあり、勉強に集中していた二人のお腹は少しだけ空腹を感じ始めていた。
「そうだね、六時にしようか」
佑奈は頷いて洗面所へと向かっていった。
「ピザは定番だよね。ここのお店のオードブルもいいなぁ。あ、このパスタ美味しそう。えへへ……佑奈、喜んでくれるかな」
デリバリーのサイトを見ながら、あれもこれもと注文する佳子。佑奈に喜んでもらおうと期待を膨らませる佳子は、その思いが裏目に出ることをまだ知らない。
結局、下着のみならず全身トータルコーディネートされることになった佑奈。服は今日着ているものも含め、既に何着か贈られていることもあって、佑奈もあまり強く拒むことができなかった。
思いのほか大きな買い物になってしまったので、途中で一度モール内のコインロッカーに預けることにした。持って歩くのは大変という理由もあるが、なにより佳子にとっては両手に荷物をもってしまったら佑奈と手を繋げないというのが、より主な理由であった。
「佳子……本当に、こんなの買ってもらうわけにはいかないよ。私、前にもらったお金で払うから……」
佳子はすぐに応えた。
「だめ」
その一言には一切の迷いがなかった。
「今日はデートなんだもん。私に払わせて」
「デ、デート……?」
佑奈が戸惑いながら繰り返すと、佳子はいたずらっぽく笑った。
「そうだよ? だって私、佑奈とこうやって一緒にいるのが楽しいし、嬉しいんだもん」
その言葉に、佑奈の心臓がドキリと跳ねる。
「ずっと楽しみにしてたんだよ。一緒にショッピングして、それからご飯を食べるの。映画は……家で見るからいいとして」
ご飯と聞いて佑奈は近くにあった時計店に飾られた時計を見やる。時刻は正午を過ぎていた。
「お昼ご飯どうしようか?」
「せっかくだし食べて帰ろうよ。ここでご飯食べたことなくって」
「そうなんだ。じゃあ……どこか行きたいお店はある?」
佑奈がそう尋ねると、佳子はフロアガイドを見ながらある箇所を指さした。
「ハンバーガー、食べてみたい、かも」
「じゃあ決まりだね。行こうか」
当たり前のように手を繋いで、二人はフードコートに向かうのだった。
大混雑のフードコートでなんとか昼食を済ませた二人は、ファンシーショップでお揃いのアクセサリーを購入し、今日の記念にとそのアクセサリーを身に着けて、ゲームコーナーでプリントシールを撮影した。
「あぁ、大満足。えへへ、ここってこんなに楽しい場所だったんだね。それとも、佑奈とだから、かな」
コインロッカーで荷物を回収し、外に出た瞬間、冷たい風が二人を包んだ。それでも佳子は満足げな表情で、佑奈の手を取る。
「佑奈、今日のデート、楽しかった?」
「うん! もちろんだよ。……でも、やっぱり買いすぎたと思う。お金の心配もあるけど、帰るの……大変じゃない?」
佳子とショッピングをしたという充実感、買ってもらいすぎたことへの罪悪感、それと少しの疲労。とかく満足げな佳子も確かに大荷物を抱えて帰るのは大変だと顎に手を当てる。
「私、タクシーって乗ったことないんだけど、乗ってみない?」
ひらめいたという顔で最寄り駅のタクシー乗り場へと歩き出す佳子。流されるままついていき、タクシーに乗り込んだ二人。女性運転手に佑奈を自慢する佳子をなだめつつも、佑奈は上がっていく金額メーターに妙な緊張感を覚えていた。
「ふぅ、帰ってきたね」
玄関で靴を脱いで上がる佳子に、佑奈も続く。
「今日はありがとう。私、佳子にもらってばかりだよね」
「もう、何回それを言うのよ。いいの、だって私が佑奈にあげたいんだもん」
洗面所で手洗いうがいをし終えた二人は、ちょうど同じ空間にある洗濯機をじっくり見始めた。
「佳子の家って洗濯機までおしゃれだよね。白くない洗濯機って初めて見たかも」
グレージュのボディにシャンパンゴールドの加飾がほどこされた洗濯機を見ながら、佑奈はドラム式ってこんな感じなんだと扉を開けたり、操作パネルを眺める。洗剤や柔軟剤をストックする場所があり、自動で投入する機能もある。
佳子がスマホで型番を調べ、インターネット上で取扱説明書を開く。それを見ながら、佑奈は今朝使ったバスタオルや洗濯ネットに入れた新品の下着たちを投入する。
「これで開始っと」
「なーんだ、簡単じゃん。私にも出来そう。一緒に住み始めたら交代でやろうね」
「うん。そうしようっか」
「えへへ、じゃあ勉強始めようか。佑奈と一緒にいられる時間がたくさんあるって思うと、やる気も湧いてくるってものだよ。お茶、淹れてくるから先に部屋で待ってて」
ダイニングで紅茶の準備をし、部屋に持っていく。洗濯が終わるまでの時間、まずはこつこつと問題集に向かう。ペンの走る音だけが響き、二人は言葉を交わさない。ただ、お互いが隣にいるというだけでモチベーションが上がる。
無言で集中していたからこそ、洗濯機から完了のアラームが鳴ったことにも気付けた。
「あ、もうこんな時間なんだ。私、干してくるから佳子は休憩してて」
「そう? ありがとう佑奈。あ、じゃあお夕飯のデリバリー、頼んでおくね。時間は……六時でいい?」
現在時刻は午後三時、お昼は二人ともハンバーガーのセットメニューだったこともあり、勉強に集中していた二人のお腹は少しだけ空腹を感じ始めていた。
「そうだね、六時にしようか」
佑奈は頷いて洗面所へと向かっていった。
「ピザは定番だよね。ここのお店のオードブルもいいなぁ。あ、このパスタ美味しそう。えへへ……佑奈、喜んでくれるかな」
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