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#011 人型の魔物
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お風呂でのバタバタトラブルはあったものの、グロウセルでの日々はわりと落ち着いたものだった。食料や水を補給し、装備のメンテナンスを行う。魔物との最前線ということもあって、もっと殺伐とした感じなのかと思っていたが、意外にもみんな気さくに話しかけてくれるし、街の人々とも和やかに挨拶を交わしている。
「そういえば、ここから先の魔物ってどんなのがいるんですか?」
「そうね、まずはこの辺りだとオークやゴブリンとか人型の魔物が増えてくるわね」
タバサさんが答えてくれる。
「うぇ、人型か……やりづらそうだな」
これまでの魔物は動物って感じの姿だったから、多少怖くても戦えたが二足歩行となると……忌避感がすごいな。
「大丈夫よ、私もいるし!」
「ソウヤさんならきっと大丈夫です」
アリーシャとナナリーが励ましてくれた。
「……ああ、ありがとう」
「最初は怖いですからな。ここを拠点に少し慣らすとしましょう」
エリックさんの提案に俺は頷き、さっそくグロウセルの街から西に行った森で魔物狩りをすることにした。森という地形もありナナリーは留守番にした。山火事なんて起こされた日にはたまったものじゃないからな。一人じゃかわいそうということもあってタバサさんも留守番だ。というわけで今回は俺とアリーシャとエリックさんの三人。
「いました、オークが七体……一つの群れですね」
「了解」
アリーシャが見つけたオークたちの所へ駆けていく。俺も後に続いた。
「ブモォッ!!」
「ガァウッ!!」
俺達に気付いたオークたちが雄叫びを上げて威嚇してくる。オークの武装は太い枝だけ。だがその巨腕で振るわれればかすっただけで吹っ飛ばされそうだ。
大きさとしては2メートルには少し足りないくらい。だが横幅も考えればその威圧感はとんでもない。
「せぁあ!!!」
俺は低く踏み込んで刀を振り上げる。刀の持つ瞬間移動のスキルは立体的な挙動を可能にし、オークの背後かつ頭上に転移することで死角から重力加速をともなった一撃を加えることができる。
「次だ!」
脳天から切り裂いたオークを一瞥し、次のオークに狙いを定める。
「グギャアアッ!!」
仲間を殺されて怒ったのか、オークが拳を握りしめ殴りかかってきた。
「ソウヤ!!」
アリーシャが生み出した障壁に拳を弾かれオークがのけぞる。そのガラ空きの腹部に刃を突き立てる。一刀両断とはいかないが、腹部を深々と切り裂き、二体目を屠る。剣から衝撃波を飛ばすようなファンタジー技は使えないが、それでも身体が軽々と動き、次々とオークの命を奪う。
「グギィイッ!?」
エリックさんのシールドバッシュで木に打ち付けられたオークの首を切り裂き、残るは一匹になった。
「逃がしません!!」
アリーシャの障壁が逃げ道をふさぐことで俺はオークの背後をとることができた。
「これで最後だ!!」
オークを切り裂き、血ぶりをしてから刀を納める。
「ふぅ……」
「お疲れ様です」
「お見事です」
「二人もありがとう、助かったよ」
俺は笑顔で二人にお礼を言う。
「それにしても、初陣からの成長速度が目覚ましくて感動いたしましたぞ」
エリックさんの言葉に自分自身頬をかく。草原で狼に苦戦していた頃がたった数日前だというのに、今日のオークにはまったく苦戦しなかった。この世界にレベルなんて概念はないだろうが、着実に成長しているということだろうか。
「まぁ、動きも遅いし的も大きかったからな。当てやすかったのかもしれない」
人型の魔物を斬ることに思ったより抵抗がなかった。やはりオークは豚って認識なのかな。二足歩行だったけど。
もっと人間っぽい魔物が現れた時、俺はちゃんと戦えるだろうか……。
「そういえば、ここから先の魔物ってどんなのがいるんですか?」
「そうね、まずはこの辺りだとオークやゴブリンとか人型の魔物が増えてくるわね」
タバサさんが答えてくれる。
「うぇ、人型か……やりづらそうだな」
これまでの魔物は動物って感じの姿だったから、多少怖くても戦えたが二足歩行となると……忌避感がすごいな。
「大丈夫よ、私もいるし!」
「ソウヤさんならきっと大丈夫です」
アリーシャとナナリーが励ましてくれた。
「……ああ、ありがとう」
「最初は怖いですからな。ここを拠点に少し慣らすとしましょう」
エリックさんの提案に俺は頷き、さっそくグロウセルの街から西に行った森で魔物狩りをすることにした。森という地形もありナナリーは留守番にした。山火事なんて起こされた日にはたまったものじゃないからな。一人じゃかわいそうということもあってタバサさんも留守番だ。というわけで今回は俺とアリーシャとエリックさんの三人。
「いました、オークが七体……一つの群れですね」
「了解」
アリーシャが見つけたオークたちの所へ駆けていく。俺も後に続いた。
「ブモォッ!!」
「ガァウッ!!」
俺達に気付いたオークたちが雄叫びを上げて威嚇してくる。オークの武装は太い枝だけ。だがその巨腕で振るわれればかすっただけで吹っ飛ばされそうだ。
大きさとしては2メートルには少し足りないくらい。だが横幅も考えればその威圧感はとんでもない。
「せぁあ!!!」
俺は低く踏み込んで刀を振り上げる。刀の持つ瞬間移動のスキルは立体的な挙動を可能にし、オークの背後かつ頭上に転移することで死角から重力加速をともなった一撃を加えることができる。
「次だ!」
脳天から切り裂いたオークを一瞥し、次のオークに狙いを定める。
「グギャアアッ!!」
仲間を殺されて怒ったのか、オークが拳を握りしめ殴りかかってきた。
「ソウヤ!!」
アリーシャが生み出した障壁に拳を弾かれオークがのけぞる。そのガラ空きの腹部に刃を突き立てる。一刀両断とはいかないが、腹部を深々と切り裂き、二体目を屠る。剣から衝撃波を飛ばすようなファンタジー技は使えないが、それでも身体が軽々と動き、次々とオークの命を奪う。
「グギィイッ!?」
エリックさんのシールドバッシュで木に打ち付けられたオークの首を切り裂き、残るは一匹になった。
「逃がしません!!」
アリーシャの障壁が逃げ道をふさぐことで俺はオークの背後をとることができた。
「これで最後だ!!」
オークを切り裂き、血ぶりをしてから刀を納める。
「ふぅ……」
「お疲れ様です」
「お見事です」
「二人もありがとう、助かったよ」
俺は笑顔で二人にお礼を言う。
「それにしても、初陣からの成長速度が目覚ましくて感動いたしましたぞ」
エリックさんの言葉に自分自身頬をかく。草原で狼に苦戦していた頃がたった数日前だというのに、今日のオークにはまったく苦戦しなかった。この世界にレベルなんて概念はないだろうが、着実に成長しているということだろうか。
「まぁ、動きも遅いし的も大きかったからな。当てやすかったのかもしれない」
人型の魔物を斬ることに思ったより抵抗がなかった。やはりオークは豚って認識なのかな。二足歩行だったけど。
もっと人間っぽい魔物が現れた時、俺はちゃんと戦えるだろうか……。
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