僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ

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幕間 ゴールデンウィーク編

#21 父との遭遇/本屋さんへ

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 新入生研修が終わり、代休とゴールデンウィークの合わさった長い連休に突入した。それなりに課題もあるし、研修の感想をまとめろというものもある。そんな連休の初日、四月二十七日土曜日の朝、ボクはリビングで父に会った。

「やぁ悠希。話は希さんから聞いたよ。大変だったね」

 ボクやお姉ちゃん、そして夏希の父である姫宮光。大手アイドルプロダクションの企画部長でありながら、今でも最前線でアイドルたちをプロデュースしている生粋のプロデューサーだ。

「ところで、アイドルなんて興味ない? 今ならきっと世界一にだってなれるさ」
「お父さん、ボクは普通に生きたいよ。アイドルにはならない」

 開口一番、というわけではなかったけど、やっぱりアイドルへと勧誘してきたお父さん。まぁ、お互いに想定の範囲内だったらしい。

「まぁ、そう言うだろうと思っていたよ。勿体ないなぁ。悠希は男の子だった時からアイドルに興味なかったもんなぁ」

 父の仕事柄、アイドル関連のグッズが家には多くあったが以前から心惹かれることもなく、テレビで見かけても特に何を思うわけでもなかった。何でかはよく分からないけど。

「光希にも無理させたし、唄や踊りをさせなかったけど、こうなることなら教えておくべきだったのか……。縁とは不思議なものだよ」

 自分がプロデュースしているであろうアイドルたちのライブ映像をチェックしながら、うんうん頷くお父さん。

「そうだ悠希、小遣いは足りてるかい? 女の子なんだ、服にすぐ飛んでいっちゃうだろ? 今まで通り本を買ったり買い食いしたり、人付き合いもあるだろうから、持って行きなさい」

 そう言ってそばに置いていた封筒をボクに渡すお父さん。……けっこう重い。

「星鍵への入学は希さんがねじ込んだと聞いていたけど、もともと行くつもりだった高校の合格祝いと中学の卒業祝い、それから高校の入学祝いのまとめだ。半分は口座に入れたが、半分は渡しておこうと思ってな」

 ……これで半分なんだ。ちょっと、いくら入ってるか分からない重みなんだけど。

「えっと、ありがとう」

    そう言って部屋に戻る。ドキドキしながら、封筒の中身を確認する。……一万円札が、ひ、ふ、み、よ、いつ、む……え?

「十五万円……高校生が持っていい額じゃないって。どど、どうしよう?」

 確かにうちは敏腕アイドルPと凄腕服飾デザイナーの課程で、それなり以上にいい暮らしをしているけれど、だからといって普段からこんなに大きい額を持つことはない。これはもう……どうしよう? 確かに服や化粧品にお金かかってるけど、こんなにいいのかな?

「ラノベと……あと新しいレシピ本でも買おうかな」

 どっぷりとはまっているわけじゃないけど、ライトノベルはよく読むしアニメも見る。文化系の人間ってそういうもんだよねって認識してる。……取り敢えず、本屋さん行こうかな。

 駅前のそこそこ大きい本屋さんに来た。服装はパステルカラーのチェックが入ったシャツに白のロングスカート、風が吹くと肌寒いからデニム地のジャケットを羽織っている。流石にスカートには慣れたけどまだヒールの靴は履けない。

「あ、ユウちゃんだ!」

 聞き覚えのある声に振り向くと、明音さんがいた。

「明音さんもお買い物?」
「うん。これを買いにきたの」

 手に持っていたのは映画化されると噂の有名な小説。けっこう泣けるラブストーリーらしい。

「ユウちゃんって普段何読むの?」
「ラノベとか、ミステリーとか?」

 けっこう好き嫌いせず読む方だと思ってたけど、ケータイ小説とか純愛系の小説って読んだことないかも。

「けっこう男の子っぽい趣味なんだね。こういうの、あんまり読まないの?」

 ……男の子っぽい趣味なんだ。えぇと、どうしよう。

「読みたいなぁって思ってると、ドラマになったり映画になったりするから、つい、ね」

 いい感じに誤魔化せたのではなかろうか。そんなことを思っていると、明音さんが閃いたような表情をした。

「わたしが読み終わったら貸してあげるね。映画は夏らしいし、見に行こうよ。綾ちゃん、こういうの全然興味ないみたいで、一人で行くのも嫌だからなかなか行けなくて」
「うん、それじゃあ今度行こうか」

 女の子になって感性も少し変わってるかもしれないし、いろいろ読んでみるのもいいかもしれないなぁなんて思いながら返事をして、明音さんはお会計に向かった。ボクも欲しい本買って帰ろうっと。
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