12 / 12
#12 作戦会議
しおりを挟む
いよいよ明日から新人戦が行われる。私と寿奈は作戦会議を行うことにした――ベッドの上で。
「できるだけ魔力の受け渡してほしいとは言ったけど、この距離である必要はあるのかしら」
寿奈に抱きしめられながら声をひそめて作戦会議を行う。このシチュエーションに訳の分からなさを感じている。
「まぁいいわ。明日、どんな実力の相手とどういう順番で当たるかは分からないけれど、基本的に後から戦う相手程勝つのは難しいと考えた方がいいわ」
「手の内が見えてくるから?」
「その通りよ。最初に相手するようなコンビは私たちが99位と100位のコンビだからと舐めてかかるかもしれない。けど、そこで私たちが勝ったり、ある程度は善戦したりすれば、多少は警戒されるようになる」
できれは一戦目は勝ちたいと考えているが、あまりむやみにプレッシャーをかけるわけにもいかないから、善戦して負けた場合も想定して伝えておく。とはいえ、私たちの実力がどの程度通用するかは不明だ。四組上位の大宮相澤ペアには勝てたが、新人戦でもそう上手くいくとは限らない。
「一戦目はラッキーパンチを狙うってことだね」
「そうなるわね。出来るだけ魔法を温存したいくらいよ」
魔導学園での戦い方としていかがなものかとは思うが、基本的に連戦になりがちな新人戦では追加で魔力の受け渡しができないかもしれない。場合によっては、体術や警棒術だけで勝利を狙うのも考えなければならない。
「使う魔法もある程度は決めておいた方がいいと思う。せめて属性だけでも。寿奈って属性で言えばどれが得意?」
魔法の属性には基本として炎・水・風・地・氷・雷・光・闇の八つがあり、初級の魔法であれば複数属性を使いこなす人もそれなりに存在する。だが中級上級となっていくにつれて扱える属性の数は減っていくものとされている。
「綾乃ちゃんはどの属性が一番使いやすい?」
「そうね、中級くらいならほぼ全属性問題ないはず。上級となれば風は使いやすい方ね。まぁ、新人戦で上級魔法まで使うなんてことはないだろうけれど」
そもそも魔導学園の一年生なら中級魔法を一属性使えればそれで充分好成績だ。私の場合、術式を組むことができるだけで発動しえないものも多々あるけれど、こうして寿奈から魔力を受け渡してもらえれば発動だって可能なはず。それに、火球魔法と言えど込める魔力やその精度を高めていけば十分戦いに通用するものになる。
「風属性をメインで使う人のパートナーは何属性を使えばいいかな?」
「ふふ、寿奈だってどの属性も万遍なく使えるわけじゃないでしょう? 使いやすいのを使いなさい」
「そうだよね。じゃあ、やっぱり地属性かな。足元を崩すのに使いやすいし」
「なるほど、じゃあ踏み込みの時とか風で少し背中押してみようか」
「いいね! そしたら相手が思うより早く懐に飛び込めるし、ぶっつけ本番になるだろうけど、うっかりタイミングがズレたらそこはもう警棒でえいってやるしかないよね」
相手によりけりだろうけど、人一人が風魔法で加速してタックルして来たらなかなか対応しきれないだろう。ほわほわして見えるが寿奈の体術は本物だ。できるだけ魔力温存で戦うことを考えれば、本当に頼れるパートナーに出会えたものだ。
「どうしたの?」
「いいえ。さぁ、ゆっくり寝て明日に備えましょう」
「うん。おやすみ」
新人戦前夜、これ以上ないほど穏やかな気持ちで私は眠りにつくのだった。
「できるだけ魔力の受け渡してほしいとは言ったけど、この距離である必要はあるのかしら」
寿奈に抱きしめられながら声をひそめて作戦会議を行う。このシチュエーションに訳の分からなさを感じている。
「まぁいいわ。明日、どんな実力の相手とどういう順番で当たるかは分からないけれど、基本的に後から戦う相手程勝つのは難しいと考えた方がいいわ」
「手の内が見えてくるから?」
「その通りよ。最初に相手するようなコンビは私たちが99位と100位のコンビだからと舐めてかかるかもしれない。けど、そこで私たちが勝ったり、ある程度は善戦したりすれば、多少は警戒されるようになる」
できれは一戦目は勝ちたいと考えているが、あまりむやみにプレッシャーをかけるわけにもいかないから、善戦して負けた場合も想定して伝えておく。とはいえ、私たちの実力がどの程度通用するかは不明だ。四組上位の大宮相澤ペアには勝てたが、新人戦でもそう上手くいくとは限らない。
「一戦目はラッキーパンチを狙うってことだね」
「そうなるわね。出来るだけ魔法を温存したいくらいよ」
魔導学園での戦い方としていかがなものかとは思うが、基本的に連戦になりがちな新人戦では追加で魔力の受け渡しができないかもしれない。場合によっては、体術や警棒術だけで勝利を狙うのも考えなければならない。
「使う魔法もある程度は決めておいた方がいいと思う。せめて属性だけでも。寿奈って属性で言えばどれが得意?」
魔法の属性には基本として炎・水・風・地・氷・雷・光・闇の八つがあり、初級の魔法であれば複数属性を使いこなす人もそれなりに存在する。だが中級上級となっていくにつれて扱える属性の数は減っていくものとされている。
「綾乃ちゃんはどの属性が一番使いやすい?」
「そうね、中級くらいならほぼ全属性問題ないはず。上級となれば風は使いやすい方ね。まぁ、新人戦で上級魔法まで使うなんてことはないだろうけれど」
そもそも魔導学園の一年生なら中級魔法を一属性使えればそれで充分好成績だ。私の場合、術式を組むことができるだけで発動しえないものも多々あるけれど、こうして寿奈から魔力を受け渡してもらえれば発動だって可能なはず。それに、火球魔法と言えど込める魔力やその精度を高めていけば十分戦いに通用するものになる。
「風属性をメインで使う人のパートナーは何属性を使えばいいかな?」
「ふふ、寿奈だってどの属性も万遍なく使えるわけじゃないでしょう? 使いやすいのを使いなさい」
「そうだよね。じゃあ、やっぱり地属性かな。足元を崩すのに使いやすいし」
「なるほど、じゃあ踏み込みの時とか風で少し背中押してみようか」
「いいね! そしたら相手が思うより早く懐に飛び込めるし、ぶっつけ本番になるだろうけど、うっかりタイミングがズレたらそこはもう警棒でえいってやるしかないよね」
相手によりけりだろうけど、人一人が風魔法で加速してタックルして来たらなかなか対応しきれないだろう。ほわほわして見えるが寿奈の体術は本物だ。できるだけ魔力温存で戦うことを考えれば、本当に頼れるパートナーに出会えたものだ。
「どうしたの?」
「いいえ。さぁ、ゆっくり寝て明日に備えましょう」
「うん。おやすみ」
新人戦前夜、これ以上ないほど穏やかな気持ちで私は眠りにつくのだった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
白雪様とふたりぐらし
南條 綾
恋愛
高校1年生の紫微綾は、生きることに疲れ、雪の山で自らの命を終えようとしたその瞬間――
美しい御小女郎姿の少女・白雪が現れ、優しく彼女を救う。
白雪は実は古の仏神・ダキニ天の化身。暇つぶしに人間界に降りた彼女は、綾に「一緒に暮らそう」と提案し……?
銀髪の少女と神様の、甘く温かなふたりぐらしが始まる。
【注意事項】
本作はフィクションです。
実在の人物・団体・宗教・儀礼・場所・出来事とは一切関係ありません。 作中で登場する神仏や信仰に関する表現は、物語の雰囲気づくりを目的とした創作によるものであり、特定の宗教や思想を推進・否定する意図は一切ございません。
純粋なエンターテイメントとしてお楽しみいただければ幸いです。
短編)どうぞ、勝手に滅んでください。
黑野羊
恋愛
二度も捨てられた聖女です。真実の愛を見つけたので、国は救いません。
あらすじ)
大陸中央にあるルオーゴ王国で、国を守る結界を維持してきた聖女ロザリア。
政略のため王太子と婚約していた彼女は、突如『真の聖女』が現れたとして婚約を破棄され、聖女の座を追われてしまう。さらに、代わりに婚姻しろと命じられた聖騎士からも拒絶され、実家にも見捨てられたロザリアは、『最果ての修道院』へと追放された。
けれど彼女はそこで、地位や栄光、贅沢などとはほど遠い、無条件に寄り添ってくれる『真実の愛』と穏やかな日々を手にいれる。
やがて聖女を失った王国は、崩壊へ向かっていき――。
ーーー
※カクヨム、なろうにも掲載しています
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる