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第六話 市場
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翌日、私とレリエは当初の目的を果たすべく市場へと買い物へ来た。コーゼスの村は農業が盛んであり、多くの作物を購入することが出来る。村で人が一番多い道でもあり、店主の客引き声や客の値切りをしようとする声が聞えてくる。どの店もバザーのようなテントで作られていて、木製の大きな箱に色とりどりの野菜や果物が詰められている。この世界の野菜や果物は私がいた世界のものと大きな違いはなく、とても食べやすい。そんな市場を歩いていると、私の目に一人の少女が映った。年は15か16。私自身と同じくらいに見えた。ショートパンツにあれがチューブトップというのだろうか。胸部しか覆っていないトップスを身に着けた露出度の高い格好をしている。いや、だから目に映った訳ではなくて……買い物中なのか少し膨らんだトートバッグを肘にかけている。そんな彼女とレリエがすれ違うとき、どこか違和感を覚えた。
「レリエ、財布ある?」
買い物に出掛けるということで、レリエの支配領域から銀貨20枚くらいを財布に入れて持ち歩いているのだ。その財布の有無を確認する。
「……ないです!」
「やっぱりか!」
私とレリエは急いで方向転換し、スリと思しき先ほどの少女を追った。
「転移できる?」
見失わないように気を配りながら、レリエに問いかける。
「人が多くて厳しそうです……。でも!」
「風術で移動速度上昇でしょう?」
レリエに教わった知識で大体の取るべき行動は分かった。レリエが頷くと同時に身体が軽くなり、走りが速くなっている。じりじりと距離は詰めている。それに、細いわき道に入った関係もあり、周囲から人の数が減りつつある。ただ……向こうに土地の利があると厳しい。
「レリエ、そろそろ」
「はい、転移します!」
レリエがそう言うと私の足元が揺らぎ、件の少女の目の前にワープした。レリエは後方で土術を行使して道を塞いでいるだろう。
「きゃ!」
かなりの前傾姿勢で走っていた少女に私の存在は見えなかったようで、頭からぶつかって私を押し倒すように転んだ。
「おぉ~」
高い露出度のせいで顔にまで目が向いていなかったのだが、かなり整った顔立ちをしている。凛としたクールな感じで、ひょっとしたら年上かもしれない。角度的に覗ける浅い谷間もまた魅力的で、けっこう興奮する。しかも彼女、かなり目が泳いでいる。こういう状況に不慣れなのかもしれない。そっと腕を彼女の背中へ回し、抱きしめる。私のそれなりに大きい胸に埋めるように抱き、それはレリエの呆れたような声を聞くまで続いた。
「レリエ、財布ある?」
買い物に出掛けるということで、レリエの支配領域から銀貨20枚くらいを財布に入れて持ち歩いているのだ。その財布の有無を確認する。
「……ないです!」
「やっぱりか!」
私とレリエは急いで方向転換し、スリと思しき先ほどの少女を追った。
「転移できる?」
見失わないように気を配りながら、レリエに問いかける。
「人が多くて厳しそうです……。でも!」
「風術で移動速度上昇でしょう?」
レリエに教わった知識で大体の取るべき行動は分かった。レリエが頷くと同時に身体が軽くなり、走りが速くなっている。じりじりと距離は詰めている。それに、細いわき道に入った関係もあり、周囲から人の数が減りつつある。ただ……向こうに土地の利があると厳しい。
「レリエ、そろそろ」
「はい、転移します!」
レリエがそう言うと私の足元が揺らぎ、件の少女の目の前にワープした。レリエは後方で土術を行使して道を塞いでいるだろう。
「きゃ!」
かなりの前傾姿勢で走っていた少女に私の存在は見えなかったようで、頭からぶつかって私を押し倒すように転んだ。
「おぉ~」
高い露出度のせいで顔にまで目が向いていなかったのだが、かなり整った顔立ちをしている。凛としたクールな感じで、ひょっとしたら年上かもしれない。角度的に覗ける浅い谷間もまた魅力的で、けっこう興奮する。しかも彼女、かなり目が泳いでいる。こういう状況に不慣れなのかもしれない。そっと腕を彼女の背中へ回し、抱きしめる。私のそれなりに大きい胸に埋めるように抱き、それはレリエの呆れたような声を聞くまで続いた。
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