異世界で友達100人クリエイション!! ~自分好みの魔導人形を作って百合百合していたら次元犯罪組織に勧誘されちゃった!?~

楠富 つかさ

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友達2人 ダンジョンに行ってみよう

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 三日目の朝、さすがに毎日お洗濯する文化はないようで、昨日着た服は畳んで椅子の上に置いてある。ひとまずそれに着替えて、食堂へ向かう。

「おはようエリカ。メリッサさん、副業で宿を空けてるから朝食は好きにしてくれって」

 メリッサさんの副業……お姉さまに花を売るというお仕事。その花はただのフラワーじゃない。だったら夜中に行く理由がない。花売りは売春婦の隠語だなんて現代日本でも聞いたことあるけど、メリッサさんまだ十五歳なんだよなぁ。ちょっと心配だし、ちょっと興味がある。
 だがひとまず今は朝食の方が問題だ。好きにしてくれとお墨付きをいただいているので、ひとまずキッチンに入り戸棚を開けてみる。私たちが服を買いに行っている間に買い物をしてくれたのか、食材はけっこう豊富に入っている。
 そしてキッチンに入って思ったが、すごく現代的なのだ。マジックアイテムのようなものなのだろうが、コンロみたいなものもあれば、冷蔵庫のようなものもある。水道らしきものもあり、それはお風呂と同じく水を循環させて使うようだ。ひとまず冷蔵庫のような箱から野菜を取り出して、サラダを作る。

「エリカ、料理も出来るのね」
「……まぁ、すごく簡単なものならね」

 トースターのようなものはないので、パンは薄くスライスしてそれっきり。サラダとハムエッグを作ってから、挟んで食べれば良かったのではないかと思ったが、時既に遅し。

「食べ終わって少ししたらルビーを迎えに行く? 絵の出来も気になるし」
「えぇそうしましょう。そしたら午後は実戦訓練ね。ルビーとの連携を考えないと」

 私はサファイアの言葉に頷いて、朝食を食べ進めた。
 食休みを挟んで出発しようとした頃には、メリッサさんも帰ってきた。

「お仕事お疲れ様ですメリッサさん」
「あはは、ありがと」

 お風呂に入ってから帰るようにしているのか、ほのかに石けんの香りを漂わせるメリッサさんに、私は思いきって聞いてみることにした。

「あの、メリッサさんっていくら貰って売ってるんですか?」
「ん? 基本的には7000マイラくらいだよ。エリカさんこの仕事に興味ある?」

 なかなか言葉に出来ず慌てふためく私を、メリッサさんが笑う。恥ずかしくなって、結局俯いてしまった。

「相手も女の人だからって軽く見てると、けっこう大変だよ。まぁ、情婦も冒険者も若いうちに荒稼ぎしないとやってけないから大変さは変わらないか。おまけに冒険者は命がけだから。……私は多少痛い思いしても死にたくはないかな。後遺症が残るような大けがも御免だね」

 実感に満ちたその言葉に思わずしんみりしてしまった。もしサファイアやルビーの生命力が0になってしまったら、どうなってしまうんだろう……? 悪い方へ思考が流れかけた私は、パンパンと手を叩く音で正気に戻った。

「ほら、出掛けるんでしょう? 行ってらっしゃい」

 さっきまでと打って変わって普段通りの表情になったメリッサさんに見送られ、私とサファイアは宿を後にする。ひとまずミランダさんの家へ向かうことにした私たち。

「こんにちは。サファイアです!!」

 サファイアがドアをノックする。すると、昨日よりは多少俊敏な動きでミランダさんがドアを開けてくれた。なんとなく疲れた顔から察するに……寝ていない?
 アトリエへと案内されると、そこには全裸で眠るルビーの姿があった。まさかミランダさんとルビーが……!? なんていうわけではなく、どうにもミランダさんの専門は裸婦画らしい。キャンバスには赤髪の美女が描かれていた。正真正銘ルビーだ。

「す、すごい……。これ、何を使って描いているんですか?」
「画材のこと? 粉末魔石を油で練ったものとか、魔物素材とか、いろいろ……」

 魔物の素材もこんな綺麗な絵の一部になるんだ……不思議。

「ふーん、初めて見るけど上出来じゃない。ま、また……アタシを描かせてあげてもいいわよ?」

 服を着たルビーがキャンバスの前に立つ。跳ねっ返りの彼女も納得の出来のようだ。

「また機会があれば頼むよ。……久々に画家仲間に連絡を取ろうと思う。ちゃんと売って、お金にしないと」
「そ、そうよね。……これ、色んな人に見られちゃうの?」
「えぇ。だから裸婦画のモデルには多額のマイラを支払うの。その人の尊厳を描く仕事だから」

 きっと大金持ちが道楽で買うんだろうけど、そのお金持ちの若い息子とかが、この絵のモデルを探して連れて来いとか、そんなことにならなければいいのだけれど。写真のない世界といっても、これほど精巧に描かれた絵ならルビーを一目見た人ならルビーだって分かるはず。

「ま、見られて恥ずかしい身体に作られちゃいないけどさ」

 ルビーは結構けろっとしている。やはり感覚的な問題なのだろうか。私は絶対に嫌かな。
 私たちはミランダさんの家を後にしてギルドの寄合所へ向かうことにした。

「また……よろしく」

 ミランダさん、なんだか元気になったようだ。
 五番街でルビーの朝食を買い、私も一口つまみ食いさせてもらった。アメリカンドッグのような食べ物で、外側のパンがかりっとしつつもちっと感があって美味しかった。

「さーて、お仕事選ぼうか」

 掲示板を眺めるが、やはり星なし冒険者向けの依頼というのはアルバイトとかおつかいみたいな物が多い。安心に暮らすのもいいが、ルビーが戦いたがっていることもあるし今日はモンスターの討伐任務をしたい。

「あれ、ギルドが依頼者の任務もあるみたい」
「本当だ。モンスターととにかく20体討伐せよ、かぁ。これがいいんじゃない? 場所は……ミセクダンジョン地下一階。ダンジョン??」

 せっかくなので受付のお姉さんに聞いてみることにした。
 どうやらこの世界には108のダンジョンがあり、しかもそのうち72のダンジョンは未だに完全踏破されていないらしい。ダンジョンでは魔物が多数出没するため、調査のために定期的に魔物の掃討任務が発行されるらしい。

「でもそれって、討伐数を誤魔化されたりしないんですか?」

 今回は20体だが、それこそ半分くらいで終わったことにしてしまうなんてこともありそうだ。

「ですのでこちらの装置をお渡ししているんです。魔物が死に際に放つ魔力に反応して、カウントが増えていく計測器です。こちらあくまで見本でして、ダンジョンに潜る際に職員からお渡しします。この数値が20を超え、ギルドへ持ってきていただければ任務は完了。3000マイラと、手に入れた素材がそっくりそのまま報酬となります。ちなみにミセクダンジョンは六番街の正門から北西へ一時間ほど歩けば着きますよ」

 なるほど。計測器もある種のマジックアイテムらしい。かゆいところに手が届く便利なものが多いねぇ。ひとまず私たちはその任務を受託し、一路北西へと向かうのだった。
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