深淵ニ舞フ昏キ乙女ノ狂詩曲　～厨二少女だって百合したい！～

楠富　つかさ

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光と闇のバトル　後編

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　そして翌日、星花女子にもほど近い商店街の奥まった雑居ビルの二階に店を構える武蔵ゲームショップへとやってきた。長浜先輩は既にプレイエリアのテーブルを確保していた。ネクロマンサーらしい漆黒の装いだった。

「ふむ、逃げずに来たか。デッキを調整する時間は必要か？」
「否、不要である」

　そこから多くを語る必要はなかった。対面して座り、互いのデッキをシャッフルする。ジャンケンで先攻後攻を決めると、先輩先攻でゲームが始まった。

「我のターン、ドローそしてストックにセット。エクシードフェイズに移行、手札が五枚以上の時レベル２へ進化出来る。出でよ、『狐耳の女剣士』ルシカ・フォンテーヌ」

　先輩のデッキはファンタジー世界の住人たちで構成された闇属性のデッキのようだ。さらに二つコストを支払って手札からサーバントを登場させる。ウィッチの効果でコストを一つ回復させるとアクションカードを使ってBPと呼ばれる数値を上昇させていく。

「バトルだ！」

　一ターン目だというのにプレイヤーポイント、PPを1000も削られてしまった。

「余のターン、ドロー！」

　二枚のカードを引き、一枚ストックにセットする。ウィッチデッキにはPP4000未満で出せるレベル２ウィッチと、ストックが二枚以上の時に出せるレベル２ウィッチがいる。ここは前者だな。

「レベル２『引き出す力』神薙さくら――その効果を発動。山札からコスト０のアクションカードを手札に加える。アクションカード『枕投げ』を加え、発動する」

　600PPを支払って、手札にある修学旅行と名の付いたサーバントをノーコストで登場させられる。もっとも、ウィッチのレベルより二つ以上高いサーバントは場に出せないが。

「『修学旅行』大越由輝子の効果を発動、このターン、個性に風紀委員を持つウィッチを出す時のコストを一つ減らす。二コストでレベル３光浦絢華、さらにストック１と大越由輝子をコストにレベル３円成寺瑞希を場に出す」

　先輩の場にいるウィッチもサーバントもBPは1700。こちらのレベル３サーバントのBPは2000。これでは与えられるダメージはたったの600。しかしまだメインフェイズは終わりじゃ無い。

「余は『光の剣』光浦絢華の効果を発動、場の一体の攻撃を放棄する代わりに、光属性サーバントのBPを500上昇させる。余はさくらの攻撃を放棄し、絢華と瑞希のBPを500アップ！」

　これで余の与えるダメージは1600にまで上がった。バトルフェイズに移行する。……だが。ここでネクロマンサーが妨害工作に出る。

「これほどの攻撃、想定の範囲内だよ。なにせ我は深淵を識る者だからな。手札から『魔砲盾の守護者』カノン・シビックの効果を発動！」

　WSは登場初期から手札が余りがちという評価だったが、二年目にはバトルフェイズ中に手札から捨て札に送って効果を発動するタイプのサーバントが登場し、戦略は大きく広がった。

「このバトル中、受けるダメージは半減する。ただし、ストックを一枚捨て札に送るがな」
「それすらも全知全能の神は予知していたさ！　バトルフェイズに相手が闇属性ユニットの効果を発動した時、相手よりPPが少ないなら手札一枚をコストにこのカードは発動できる！」

　それは汐見のカードショップで桐花からもらったカードだった。すごくピンポイントな効果を持つが、相性としては最高のカードだった。ちなみにユニットとはウィッチとサーバントをまとめて指す時の用語だ。

「『風紀を正す輝き』円成寺瑞希の効果！　その闇属性ユニットの効果を無効にする！　さらに、自分の場に円成寺瑞希がいるなら、相手の闇属性ユニットのBPは０になる！」

　これにより、ネクロマンサーが操る少女は丸裸も同然。BP2500の二連打により、PP初期値の5000に一挙に焼き払う。

「この勝負、余の勝ちだ！！」
「なん、だと……」

　三番勝負の出だしを勝利で飾った余は、その後日が暮れるまでネクロマンサーとWSに興じたがデッキ相性もあり勝ち越して終わるのだった。

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