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大規模戦闘
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「さ、砦人くん…どこまで行く気!?」
砦人が梓を連れて校舎まで逃げるつもりだった。しかし、聞えてしまった。舞斗が綾音に指示を出す声を。あの化け物との戦闘に綾音が参加している。その事実が小川に焦りを生じさせた。それでも、梓を残して向かう訳にもいかず、教室まで送ろうと走っている。普段以上に速く走っているのは、気持ちのせいか魔力のせいか。
「お、学級委員ペアだ。どうしたんだよ?」
そこに現れたのは翔だった。奥には政成もいる。手短に砦人が説明をする。もちろん、花音が戦闘に参加していることも……。
「花音……危ないことに関わるなって言っていたのに……。政成、力を貸してくれ」
「もちろん、長い付き合いだろ?」
過ぎ去る二人の背中、振り返った梓は言う。
「やっぱり、私たちも行こう! 行かなきゃいけないよ!」
砦人は咄嗟に、この言葉を逆手に取る考えを閃いた。
「いや、少人数だと逆に危険だ。梓さんは教室に戻って応援を呼んできて欲しい。特に、弓道部の三人、祐也や龍牙は確実な戦力だ。あとは……残る人たちの力になってほしい」
「……分かったわ。砦人くんも、無茶しないでよ!!」
届かぬ想いを仕舞い込んで、少女は少年と逆方向へ駆け出す…。
「小川か。見ての通り、苦戦を強いられている……」
「いや、それほど劣勢ではない。拮抗状態か…」
十人での戦闘……既に疲弊し始めた綾音に代わって、光技を乱発する光輝の援護を砦人は受け持つ。
「正直…魔力が空っぽな感覚だぜ…」
獅子の爪による攻撃を大剣で防いだ光輝は、少しふらつきつつある。もう一撃を仕掛けようとする魔物を、今原の刃が捉える。
「喰らえ、月花斬!」
「続くぞ、崩影槍!」
そこに、槍を逆手に持ち替えた舞斗の技が命中する。槍の長所であるリーチを敢えて捨てることで、かなりの威力は出すことができるらしい。その分、込める魔力が増えるため連発できない。
「もうじき大規模な援軍がくる。それまで踏ん張ってくれ」
「私ももう平気です。光の粒子よ魔を祓え、フォトン!」
檄を飛ばす砦人と回復した綾音のお陰か、怯んだ魔物に飛来するなにか。
「……きたみたいね。はっ、瞬連閃!」
暴れだす獅子の尾を剣技で切り返した理紗の視線の先、梓を先頭に教室にいた生徒達の大半が集結していた。工藤、夏目、大田の弓道部の他にも祐也や龍牙といった前衛の剣士、約二十名の援軍に舞斗も僅かに口角を上げる。
「自分の立ち位置くらい、分かるよな? だったら戦闘開始だ!」
舞斗は一人の戦士として、この大規模戦闘を潜り抜けたいと感じていた。
砦人が梓を連れて校舎まで逃げるつもりだった。しかし、聞えてしまった。舞斗が綾音に指示を出す声を。あの化け物との戦闘に綾音が参加している。その事実が小川に焦りを生じさせた。それでも、梓を残して向かう訳にもいかず、教室まで送ろうと走っている。普段以上に速く走っているのは、気持ちのせいか魔力のせいか。
「お、学級委員ペアだ。どうしたんだよ?」
そこに現れたのは翔だった。奥には政成もいる。手短に砦人が説明をする。もちろん、花音が戦闘に参加していることも……。
「花音……危ないことに関わるなって言っていたのに……。政成、力を貸してくれ」
「もちろん、長い付き合いだろ?」
過ぎ去る二人の背中、振り返った梓は言う。
「やっぱり、私たちも行こう! 行かなきゃいけないよ!」
砦人は咄嗟に、この言葉を逆手に取る考えを閃いた。
「いや、少人数だと逆に危険だ。梓さんは教室に戻って応援を呼んできて欲しい。特に、弓道部の三人、祐也や龍牙は確実な戦力だ。あとは……残る人たちの力になってほしい」
「……分かったわ。砦人くんも、無茶しないでよ!!」
届かぬ想いを仕舞い込んで、少女は少年と逆方向へ駆け出す…。
「小川か。見ての通り、苦戦を強いられている……」
「いや、それほど劣勢ではない。拮抗状態か…」
十人での戦闘……既に疲弊し始めた綾音に代わって、光技を乱発する光輝の援護を砦人は受け持つ。
「正直…魔力が空っぽな感覚だぜ…」
獅子の爪による攻撃を大剣で防いだ光輝は、少しふらつきつつある。もう一撃を仕掛けようとする魔物を、今原の刃が捉える。
「喰らえ、月花斬!」
「続くぞ、崩影槍!」
そこに、槍を逆手に持ち替えた舞斗の技が命中する。槍の長所であるリーチを敢えて捨てることで、かなりの威力は出すことができるらしい。その分、込める魔力が増えるため連発できない。
「もうじき大規模な援軍がくる。それまで踏ん張ってくれ」
「私ももう平気です。光の粒子よ魔を祓え、フォトン!」
檄を飛ばす砦人と回復した綾音のお陰か、怯んだ魔物に飛来するなにか。
「……きたみたいね。はっ、瞬連閃!」
暴れだす獅子の尾を剣技で切り返した理紗の視線の先、梓を先頭に教室にいた生徒達の大半が集結していた。工藤、夏目、大田の弓道部の他にも祐也や龍牙といった前衛の剣士、約二十名の援軍に舞斗も僅かに口角を上げる。
「自分の立ち位置くらい、分かるよな? だったら戦闘開始だ!」
舞斗は一人の戦士として、この大規模戦闘を潜り抜けたいと感じていた。
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