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038 少し遠出をしてみよう
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翌日。今日も冒険者ギルドへ赴き、依頼の掲示板を眺めている。
「さて、どんな依頼があるかなー。あ、これはどうだ? サイエー村への護衛任務。昨日見たゴブリンの討伐依頼は無くなってるけど、新しくこんなのが出てるぜ」
これまで護衛任務に挑戦したことはないが、五級の依頼だし挑めるものは挑んでみたいと思う。
「よく見てくださいレックスさん。この依頼、条件に四人以上のパーティーってありますよ」
……見落としていた。確かに護衛となると、対象から見て東西南北に一人ずつは護衛が欲しいよな。となると俺たちには受けられないか。臨時でメンバーを加えられればいいが、そうやすやすとはいかないしな。
「フレッサと同じくらいの規模の街って、近いところだとどこだ?」
「うーん……東にルーセイドっていう街がありますよ。フレッサよりも少しだけ大きな街ですね。工芸の街とも言われていて、職人が多数集まっています」
「よし、それじゃそこを目指すか」
「道中で討伐できそうな魔物の討伐依頼があるわね。これとか、これも」
どうやらフレッサの西と東じゃ魔物の分布が違うらしい。トカゲっぽい魔物やイタチっぽい魔物が出没するらしい。トカゲっぽい方はクイックリザードという魔物で、素早い動きで討伐難易度がやや高く、五級の依頼になっている。イタチっぽいファンギーゾルは六級の依頼となっている。
「で、でも……フレッサをあまり長く離れるのは……。ルーセイドまで往復したら半月くらいかかりますし、依頼を受けるとなるともっとかかりますよね……?」
ルーセイド行きにマリーが表情を曇らせる。まぁ、両親から離れるのは、フレッサにいない間に売られてしまったらという思いがあって嫌なのだろう。けれど、
「いつかはダンジョンにだって挑むんだ。いつまでもこの街にいるわけにも行かないぞ?」
「……それは……はい。分かります」
ここからダンジョンまで往復で四日から五日間ほどかかるという。ダンジョンでの討伐や探索の方がお金を稼ぎやすいなら、そちらに挑むのが当然だ。マリーにはその覚悟を持ってもらう必要がある。
「マリーはフレッサの街で育ったんでしょう? ご両親のことたまに様子を見てきてもらえるような人はいないの? それこそ、この前会った服屋の叔母様なんて頼りになりそうだけれど」
セフィリアの問いに、マリーはその発想はなかったと言わんばかりに目を見開いた。
「そ、そうですよね! 叔母様ならきっと……。ちょっと、今から行ってお願いしてみます。お二人は依頼の受注をしておいてください。すぐ戻りますから!」
マリーは駆け足でギルドを後にした。きっとあの人たちならマリーの頼みを聞いてくれるだろう。
なにはともあれ東方面への遠征をすることになった俺たちだが、予期せずセフィリアと二人きりになった。ちっと勇気はいるが、聞いてみるとしよう。
「俺とマリーは……男女の仲に見えるか?」
「まぁ、マリーの好意が分かりやすいから、かしらね」
「……セフィリアの好意は分かりにくそうだな」
「それなりに正面から伝えたつもりだけれどね」
「……ハーフエルフは妊娠しづらい、とか?」
「えぇ」
セフィリアは微笑んでいる。マリーが俺を慕ってくれるのは嬉しいし、セフィリアだって俺を好きでいてくれるならすごく嬉しい。マリーは可愛いし、セフィリアは綺麗だ。迫られて拒めるかと言われればちょっと怪しい。とりわけセフィリアは見た目の年齢が俺と近いから、明らかに少女なマリーと違って拒む理由がないのだ。
種族が、なんて言い出したとしてもそもそもハーフエルフのセフィリア相手には通用するまい。
「ふふ、マリーと違って私を抱かない理由がない、なんて考えているんじゃない?」
「勘が鋭いなぁ、まったく。それもハーフエルフの血筋の為せる技か?」
「ふふ、年の功と言ってしまえばある意味そうなのかもしれないわね。私はあなたよりずっと年上なんだもの」
そう言って悪戯っぽく笑う。その笑顔は綺麗さの中に可愛さと妖艶さを含んでいて、ボディブローのように効いてくる。
「マリーのためにも、私で慣れておくのもいいんじゃない?」
「……ぐぅ、それは、それで、セフィリアに対して不義理だろ。ほら、マリーも戻ってきたしこの話は終わりだ」
マリーがギルドに入ってきたのを見て、話を切り上げた。
「お姉ちゃんに、お願いしてきました。……ルーセイド、初めて行くのでちょっと緊張しますね」
野営の道具はいらないし、食糧も心配いらない。やっぱり俺のスキルは一か所にとどまるより旅をする上で重宝するな。
目指すは東の街ルーセイドだが、まず目指すのはフレッサ地方の東端であるサトン村だ。そこにもギルドの出張所があるから、そこまでまた以来の報告をして別の依頼を受ける。地方をまたいでも同じ国内だから依頼は持ち越せるようだ。そんな感じの予定となった。いざ、出発!
「さて、どんな依頼があるかなー。あ、これはどうだ? サイエー村への護衛任務。昨日見たゴブリンの討伐依頼は無くなってるけど、新しくこんなのが出てるぜ」
これまで護衛任務に挑戦したことはないが、五級の依頼だし挑めるものは挑んでみたいと思う。
「よく見てくださいレックスさん。この依頼、条件に四人以上のパーティーってありますよ」
……見落としていた。確かに護衛となると、対象から見て東西南北に一人ずつは護衛が欲しいよな。となると俺たちには受けられないか。臨時でメンバーを加えられればいいが、そうやすやすとはいかないしな。
「フレッサと同じくらいの規模の街って、近いところだとどこだ?」
「うーん……東にルーセイドっていう街がありますよ。フレッサよりも少しだけ大きな街ですね。工芸の街とも言われていて、職人が多数集まっています」
「よし、それじゃそこを目指すか」
「道中で討伐できそうな魔物の討伐依頼があるわね。これとか、これも」
どうやらフレッサの西と東じゃ魔物の分布が違うらしい。トカゲっぽい魔物やイタチっぽい魔物が出没するらしい。トカゲっぽい方はクイックリザードという魔物で、素早い動きで討伐難易度がやや高く、五級の依頼になっている。イタチっぽいファンギーゾルは六級の依頼となっている。
「で、でも……フレッサをあまり長く離れるのは……。ルーセイドまで往復したら半月くらいかかりますし、依頼を受けるとなるともっとかかりますよね……?」
ルーセイド行きにマリーが表情を曇らせる。まぁ、両親から離れるのは、フレッサにいない間に売られてしまったらという思いがあって嫌なのだろう。けれど、
「いつかはダンジョンにだって挑むんだ。いつまでもこの街にいるわけにも行かないぞ?」
「……それは……はい。分かります」
ここからダンジョンまで往復で四日から五日間ほどかかるという。ダンジョンでの討伐や探索の方がお金を稼ぎやすいなら、そちらに挑むのが当然だ。マリーにはその覚悟を持ってもらう必要がある。
「マリーはフレッサの街で育ったんでしょう? ご両親のことたまに様子を見てきてもらえるような人はいないの? それこそ、この前会った服屋の叔母様なんて頼りになりそうだけれど」
セフィリアの問いに、マリーはその発想はなかったと言わんばかりに目を見開いた。
「そ、そうですよね! 叔母様ならきっと……。ちょっと、今から行ってお願いしてみます。お二人は依頼の受注をしておいてください。すぐ戻りますから!」
マリーは駆け足でギルドを後にした。きっとあの人たちならマリーの頼みを聞いてくれるだろう。
なにはともあれ東方面への遠征をすることになった俺たちだが、予期せずセフィリアと二人きりになった。ちっと勇気はいるが、聞いてみるとしよう。
「俺とマリーは……男女の仲に見えるか?」
「まぁ、マリーの好意が分かりやすいから、かしらね」
「……セフィリアの好意は分かりにくそうだな」
「それなりに正面から伝えたつもりだけれどね」
「……ハーフエルフは妊娠しづらい、とか?」
「えぇ」
セフィリアは微笑んでいる。マリーが俺を慕ってくれるのは嬉しいし、セフィリアだって俺を好きでいてくれるならすごく嬉しい。マリーは可愛いし、セフィリアは綺麗だ。迫られて拒めるかと言われればちょっと怪しい。とりわけセフィリアは見た目の年齢が俺と近いから、明らかに少女なマリーと違って拒む理由がないのだ。
種族が、なんて言い出したとしてもそもそもハーフエルフのセフィリア相手には通用するまい。
「ふふ、マリーと違って私を抱かない理由がない、なんて考えているんじゃない?」
「勘が鋭いなぁ、まったく。それもハーフエルフの血筋の為せる技か?」
「ふふ、年の功と言ってしまえばある意味そうなのかもしれないわね。私はあなたよりずっと年上なんだもの」
そう言って悪戯っぽく笑う。その笑顔は綺麗さの中に可愛さと妖艶さを含んでいて、ボディブローのように効いてくる。
「マリーのためにも、私で慣れておくのもいいんじゃない?」
「……ぐぅ、それは、それで、セフィリアに対して不義理だろ。ほら、マリーも戻ってきたしこの話は終わりだ」
マリーがギルドに入ってきたのを見て、話を切り上げた。
「お姉ちゃんに、お願いしてきました。……ルーセイド、初めて行くのでちょっと緊張しますね」
野営の道具はいらないし、食糧も心配いらない。やっぱり俺のスキルは一か所にとどまるより旅をする上で重宝するな。
目指すは東の街ルーセイドだが、まず目指すのはフレッサ地方の東端であるサトン村だ。そこにもギルドの出張所があるから、そこまでまた以来の報告をして別の依頼を受ける。地方をまたいでも同じ国内だから依頼は持ち越せるようだ。そんな感じの予定となった。いざ、出発!
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