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そんな真面目な話が終わったのを見届けてから、カルザスが小さな袋を俺に差し出した。
「これは?」
「親玉が持っていたマジックバッグだ。といっても、鍵もないし袋も小さい安物だから、大したものは入ってないかもしれないな」
「マジックバッグ、収納の魔法がかけられた見た目より物が入れられる袋のことよね。ダンジョンから手に入るものか、それらを素材にした錬金術師製のものがあるけれど、これは前者かしら」
今更ながら、そもそも盗賊が持っていた所持品を自分たちのものにしていいのか不安になる。とりわけ、ガストンが持っていた剣は自分で使うつもり満々だから、返せと言われても返したくないのだが。
「盗賊の所持品については拘束した側が自由にしていい。ただ、ギルドへの報告は必須だがな。場合によっては盗まれた物を取り返してほしいなんて依頼があるかもしれないし。だがそういった依頼さえなければ、捕まえた側の自由だ」
「それを聞いて安心した。さっそくマジックバッグの中を……」
着替えらしき服に毛布や砥石、薬草やポーションといった携行品に、いくつかの魔物素材、これといってめぼしいものはないかと思っていた矢先、俺の手に硬貨が触れる。
「さてさて次は……小金貨! しかも2枚入ってるぞ!!」
それを見て小躍りする勢いの俺に、エリックが生暖かい視線を向ける。
「なんだよレックス、金にがめついやつだったんか」
「いや、これはその、まぁ、目標があって貯めてるもんだから、ついな」
「まぁ気にしないけどよ。ちゃんとこの護衛依頼の報酬を等分してくれればな」
「ていうか、この金だって四分の一は……えぇと、大銀貨で5枚かな。それは渡すぞ」
おそらくどこかで両替する必要があるかもしれないな。そこで手数料とか取られるかもしれないけど、そこはまぁこっちの負担でいいや。マジックバッグも俺がもらっちゃうだろうし。収納があるとはいえ、収納が使えることを大っぴらにせずに済むなら、それもありがたいし。
「受け取れねぇよ。それは一番強そうな親玉を一人で抑えてくれたレックスが貰う金だ。そこから先の使い方にまで文句はつけないけどな」
「っふ、じゃあニオレングに着いたら飯を奢るよ。その時はジュードとカルザスも一緒に。スランツさんもぜひ」
「それはありがたいですな」
合計で小金貨2枚、小銀貨6枚、大銅貨7枚、小銅貨2枚が出てきた。これに加えて盗賊を捕まえたことで得られる報酬もギルドから支払われると思うと、マリーの両親を買い戻すっていう目標に大きく前進できたんじゃなかろうか。
ガストンの持ち物の検分を終えた俺たちは、他の盗賊たちも何か持っていないか確認したが、装備品以外は特に持ち合わせていなかった。おそらくガストンのマジックバッグにまとめて入れて管理していたのだろう。容量はさほど大きくないとは言っていたが、彼らの所持品だってそう多くもないのだろう。どこかにアジトでもあるのだろうか。まぁ、それは彼らの身柄をギルドへ渡してから分かることだろう。
ひとまず自分たちのケガの手当も終え、俺はこれまで使っていた犬狼の片手剣をマリーへ手渡し、ガストンからかっぱらった蒼石錬鉄の長剣を装備する。片手で振るうには多少重いが、これを使いこなせるころには一端の剣士を語れるような気がする。ガストンがこれをどういう経緯で手に入れたのか少し気になるが、ペールブルーの刀身は美しく、これからの相棒として頼れる一振りだと感じる。
「なるほど、なんとなく水の魔法が使いやすくなった気がするぞ」
生み出した水球を使って盗賊たちを叩き起こす。引きずって行くことも可能だが、脚がある以上は自分たちで歩かせるに超したことない。
「最低な気分だぜ。剣を奪われるなんて……」
「これまで散々奪ってきたんだろう。自分が奪われる側になったからって、文句は言わせないさ」
「言うもんかよ。いつだって全て奪うか全て失うかの覚悟で生きてるんだからな」
馬車の後ろに五人の盗賊をぞろぞろと連れて俺たちはニオレングへ進んでいく。道中、体力的には十分に回復したジュードとカルザスが盗賊たちの監視を受け持ってくれたおかげで、多少は楽させてもらった。
そうこうしているうちに、ニオレングの街が見えてきた。
「これは?」
「親玉が持っていたマジックバッグだ。といっても、鍵もないし袋も小さい安物だから、大したものは入ってないかもしれないな」
「マジックバッグ、収納の魔法がかけられた見た目より物が入れられる袋のことよね。ダンジョンから手に入るものか、それらを素材にした錬金術師製のものがあるけれど、これは前者かしら」
今更ながら、そもそも盗賊が持っていた所持品を自分たちのものにしていいのか不安になる。とりわけ、ガストンが持っていた剣は自分で使うつもり満々だから、返せと言われても返したくないのだが。
「盗賊の所持品については拘束した側が自由にしていい。ただ、ギルドへの報告は必須だがな。場合によっては盗まれた物を取り返してほしいなんて依頼があるかもしれないし。だがそういった依頼さえなければ、捕まえた側の自由だ」
「それを聞いて安心した。さっそくマジックバッグの中を……」
着替えらしき服に毛布や砥石、薬草やポーションといった携行品に、いくつかの魔物素材、これといってめぼしいものはないかと思っていた矢先、俺の手に硬貨が触れる。
「さてさて次は……小金貨! しかも2枚入ってるぞ!!」
それを見て小躍りする勢いの俺に、エリックが生暖かい視線を向ける。
「なんだよレックス、金にがめついやつだったんか」
「いや、これはその、まぁ、目標があって貯めてるもんだから、ついな」
「まぁ気にしないけどよ。ちゃんとこの護衛依頼の報酬を等分してくれればな」
「ていうか、この金だって四分の一は……えぇと、大銀貨で5枚かな。それは渡すぞ」
おそらくどこかで両替する必要があるかもしれないな。そこで手数料とか取られるかもしれないけど、そこはまぁこっちの負担でいいや。マジックバッグも俺がもらっちゃうだろうし。収納があるとはいえ、収納が使えることを大っぴらにせずに済むなら、それもありがたいし。
「受け取れねぇよ。それは一番強そうな親玉を一人で抑えてくれたレックスが貰う金だ。そこから先の使い方にまで文句はつけないけどな」
「っふ、じゃあニオレングに着いたら飯を奢るよ。その時はジュードとカルザスも一緒に。スランツさんもぜひ」
「それはありがたいですな」
合計で小金貨2枚、小銀貨6枚、大銅貨7枚、小銅貨2枚が出てきた。これに加えて盗賊を捕まえたことで得られる報酬もギルドから支払われると思うと、マリーの両親を買い戻すっていう目標に大きく前進できたんじゃなかろうか。
ガストンの持ち物の検分を終えた俺たちは、他の盗賊たちも何か持っていないか確認したが、装備品以外は特に持ち合わせていなかった。おそらくガストンのマジックバッグにまとめて入れて管理していたのだろう。容量はさほど大きくないとは言っていたが、彼らの所持品だってそう多くもないのだろう。どこかにアジトでもあるのだろうか。まぁ、それは彼らの身柄をギルドへ渡してから分かることだろう。
ひとまず自分たちのケガの手当も終え、俺はこれまで使っていた犬狼の片手剣をマリーへ手渡し、ガストンからかっぱらった蒼石錬鉄の長剣を装備する。片手で振るうには多少重いが、これを使いこなせるころには一端の剣士を語れるような気がする。ガストンがこれをどういう経緯で手に入れたのか少し気になるが、ペールブルーの刀身は美しく、これからの相棒として頼れる一振りだと感じる。
「なるほど、なんとなく水の魔法が使いやすくなった気がするぞ」
生み出した水球を使って盗賊たちを叩き起こす。引きずって行くことも可能だが、脚がある以上は自分たちで歩かせるに超したことない。
「最低な気分だぜ。剣を奪われるなんて……」
「これまで散々奪ってきたんだろう。自分が奪われる側になったからって、文句は言わせないさ」
「言うもんかよ。いつだって全て奪うか全て失うかの覚悟で生きてるんだからな」
馬車の後ろに五人の盗賊をぞろぞろと連れて俺たちはニオレングへ進んでいく。道中、体力的には十分に回復したジュードとカルザスが盗賊たちの監視を受け持ってくれたおかげで、多少は楽させてもらった。
そうこうしているうちに、ニオレングの街が見えてきた。
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