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初恋
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気がついたら、イソギンチャクに押さえつけられていた。
否。自分に絡み付く何本もの透き通った青色の触手はアイシェルの腕と同じくらいの太さだ。イソギンチャクのはずがない。
もっと、別の何かだ。
何かが、この身を拘束している。
恐る恐る触手の元を辿って行くと、プニプニとしたそれは泉から伸びていた。
正確には、いつの間にか泉の中に立っていた銀髪の少女の背後から。
ああでも違う。自分より少し年上であろう彼女は上半身に何も着けていないし髪も短い。と言うことはこんなに綺麗な顔をしているけれど少年?
だけどあの紅を塗った様な唇はやはり少女?
もっと考えなければいけないことが有るはずなのに混乱した思考は上手くまとまらない。
そのままズルズルと泉の側へ引きずられて行く。
銀色の睫毛の長さがわかる距離にまで近づくと性別不明の人物が口を開いた。
「君、人間?」
その声は変声期の少年のものだった。
「俺よりちっちゃい人間初めて見た!」
泉の中から上半身を乗り出し床に倒れたアイシェルを覗き込む。
「ずいぶんピラピラした布巻いてるんだな~」
そう言って彼は────
アイシェルのスカートを捲った。
………………な。
「何すんのよおぉおおぉぉぉぉぉっ?!」
ドゴォン!
何か折れちゃいけないものが折れた音を立ててアイシェルの膝がふとどき者の鳩尾にめり込む。
「がぁっ?!」
瞬間、触手が引っ込み相手がバチャンッ! と泉の中に倒れた。
「わー?! 予想よりイイ感触が! 大丈夫?!」
慌てて助け起こし膝を当てた部分を確認する。
幸い折れてはいなかったみたいだ。
患部を確かめているはずなのに触れた身体の美しさに思わず目を奪われる。
太陽を知らない様な白く滑らかな肌。
少年特有のほっそりとした身体のライン。
そして形の良いヘソの下には、青い鱗。
…………………………鱗?
水の中に揺れる少年の下半身は魚だった。
いや、でも、まさか。
「自分は怒ったくせに俺のことは観察するんだな?」
鱗と肌の繋ぎ目に触れようとしたアイシェルの手を不機嫌な少年の声が止める。
睨み付けてくる金色の瞳が綺麗だった。
「あっごめんなさい」
「……いいよ。俺も何かシツレーなことしたみたいだし」
「そ、そうよ! レディの足をいきなり見るなんて破廉恥なんだから!」
「いきなりじゃなきゃ良いの?」
上目遣いに尋ねられてドキリとする。
「……男の子に見せるのは仲良くなった相手だけってお父様とお母様は言ってたわ」
「じゃあ俺と友達になってよ。俺は人魚の国の王の子ルーギス。11才。君は?」
人懐っこい笑顔は猫の様だった。
「私はこの国の第四王女アイシェル、9才よ。……あなたやっぱり人魚なの?」
「そうだよ。セアントルドを囲む海の中には俺たち人魚の国が有る。俺の父さんは海の皆が平和に暮らせるように治めているんだ」
「私のお父様も同じよ! みんなが幸せになれるようにいつも頑張ってるの!」
「人魚の王も人間の王も同じなんだ」
「私たち仲良くなれそうね」
そう言って異形の少年に手を差し出す。
「よろしくアイシェル」
ずぶ濡れのまま、泉の中で握手をした。
それから二人は毎日遊ぶようになった。
禊の間に入るのはいけないことだから誰にも知られないようにこっそりと。仲良しのメリザでさえ知らない内緒のお友達。
その秘密の高揚感でルーギスに会う時はいつもワクワクした。
どうやら地下の泉は海から水を引いていて、その水の路からルーギスはあの部屋へ入って来ていたらしい。
いつもは誰も来ない部屋に人間が、それも自分より小さな女の子が来たから思わず捕まえてしまったのだと彼は言った。
「あの触手はルーの一部なの?」
「うん。腰の後ろから自由に出し入れできるんだ。見てて」
言葉通りにあの透き通った青色が現れる。
「ゼリーみたいで美味しそうね」
「どうかな? 舐めてみる?」
ほら。と唇に触手を当てられた。
ぷるんとした感触が気持ちいい。
ペロッ……と舌を出して舐めるとなんの味もしなかった。
「甘いかと思ったのに。……顔が赤いけどどうしたの?」
「…………なんでもないよ」
何故かルーギスは口を手で押さえて真っ赤になっている。
「俺にもイーシャの身体を見せてよ。……まだ足は見ちゃダメなの?」
「……いいわ。ルーは仲良しだもの。見せてあげる」
水辺から立ち上がりおずおずとドレスの裾をたくし上げる。
なんだかとてもイケナイことをしているみたいでドキドキした。
「可愛い足」
膝下までを晒すとツッと少年の指が足をなぞる。
「っ……」
今度はアイシェルが顔を赤くして震える番だった。
「人間は皆こういう足の形をしているの? 陸なんて歩いて疲れない?」
「私たちには普通のことだから。ルーたちみたいに水の中で息ができる方が不思議よ。鱗はみんな同じ色をしているの?」
「いろんな色のヤツがいるよ。尾びれの形にも個性が有る」
そう語る少年の顔は誇らしげだった。
「……ルー以外の人魚にも会ってみたいな」
水の中に手を入れながらポツリと呟く。
「……そうだね。父さんは人魚の存在を人間に知られたらいけないって言うけど、俺もイーシャに俺たちの国を見て欲しいよ」
ルーギスの言葉を聞いてアイシェルがパッと両手を合わせた。
「そうだ! 私とルーが結婚すればいいのよ! セアントルドの姫は15才になったら国のために外国へお嫁に行くのだから、それなら私、ルーのお嫁さんがいい!」
「俺で、良いの?」
「ルーは王子様なんでしょう? ならきっとお父様も良いって言うわ!」
「──では、愛しのアイシェル姫。君が15才になったら、どうか俺の花嫁に」
宣言と共に爪先に落とされた誓いのキス。
幼い約束。
その時の自分は何もわかっていなかった。
自分の立場も、種族の違いも、ルーギスとでは幸せになれないことも────
結婚の誓い以降、二人の距離はますます近くなっていく。
ルーギスがアイシェルを見る瞳はどんどん優しくなり甘くなった。
アイシェルが綺麗だと褒めたら特別だと言って彼の鱗もくれた。
人間には秘密の人魚の歌も聞かせてくれた。
ルーギスの歌声を聞くとふわふわとした気持ちになりいつも眠くなった。
幸せだった。
あの日までは。
ルーギスと出会ってから一年。
10才になったアイシェルは本格的に淑女の勉強をすることになった。
礼儀作法に刺繍やダンス。他国へ嫁ぐ王女の心得。堅苦しいマナーの授業は苦手だったが人魚の国へ嫁ぐためだと思えば頑張れた。
まだ誰にもルーギスとの婚約は話していなかったけれど、アイシェルは15になるのが待ちきれなかった。自分は彼と結婚し、たくさんの子供を産んで父と母の様な明るい家庭を築くのだ。
政略結婚だった両親があんなに仲の良い夫婦なのだから、種族の違いは有れど両思いの自分たちはきっと上手く行く。
大勢の子供や孫に囲まれることがアイシェルの夢だった。
自分とルーギスの子はどんな髪と瞳の色だろう。尾びれや鱗は?
その日『"より深い"花嫁の心得』の授業を終えたアイシェルはフラフラと禊の間に向かった。
「どうしたの? 顔色が悪いよ?」
先に来ていたルーギスが心配そうに頬に触れる。
「────ない」
「え?」
「もう、ルーとは──ない」
「ごめん、よく聞こえな……」
聞き返してくる声に涙で滲んだ視界を上げて叫ぶ。
「もうっルーとは遊べないっ!」
「イーシャ? 何言って、具合でも悪いの?」
「悪くない! でも、もうルーとは会わない!」
「……俺のこと嫌いになった?」
美しい相貌から表情が消える。
「好きよ!」
「じゃあっなんでっ」
「だからこそ、もう二度とルーとは遊べない!」
そう言って、振り返らずに走り出す。
「イーシャ!!」
悲痛な声も聞こえないふりをした。
好き。大好き。私の秘密の王子様。
あなたと共に未来を歩みたかった。
だけど、だけどっ
あなたチン●ン無いじゃないのよおおおおおぉおぉおぉぉっっ?!
───その日、王女は人生初の性教育を受けたのだった。
*
あれから6年。初恋を振り切って以来一度も禊の間には足を踏み入れていない。
自分を呼ぶ様な歌声も何度か聞こえた気がしたけれど、それも次第に無くなった。
あぁだけど今日は鱗のネックレスを握り締めて眠ったからだろうか。歌が聞こえる気がする。
あの、美しい人魚の歌声が。
「────え?」
自室のものではない大理石の天井。地下なのに作られた月光の通り道。
心臓が煩いくらいに音を立てる。
寝間着から伸びた足に当たる水の感触。記憶と変わらない、部屋の中央に有る泉。
そして────自分に絡み付く青色の触手。
「なっ」
まさか
「久しぶりだねイーシャ」
床と泉の境目に押さえつけられた自分を見下ろす金色の瞳。
青年に成長した銀髪の人魚は二人だけの愛称をうっとりと口にした。
否。自分に絡み付く何本もの透き通った青色の触手はアイシェルの腕と同じくらいの太さだ。イソギンチャクのはずがない。
もっと、別の何かだ。
何かが、この身を拘束している。
恐る恐る触手の元を辿って行くと、プニプニとしたそれは泉から伸びていた。
正確には、いつの間にか泉の中に立っていた銀髪の少女の背後から。
ああでも違う。自分より少し年上であろう彼女は上半身に何も着けていないし髪も短い。と言うことはこんなに綺麗な顔をしているけれど少年?
だけどあの紅を塗った様な唇はやはり少女?
もっと考えなければいけないことが有るはずなのに混乱した思考は上手くまとまらない。
そのままズルズルと泉の側へ引きずられて行く。
銀色の睫毛の長さがわかる距離にまで近づくと性別不明の人物が口を開いた。
「君、人間?」
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「ずいぶんピラピラした布巻いてるんだな~」
そう言って彼は────
アイシェルのスカートを捲った。
………………な。
「何すんのよおぉおおぉぉぉぉぉっ?!」
ドゴォン!
何か折れちゃいけないものが折れた音を立ててアイシェルの膝がふとどき者の鳩尾にめり込む。
「がぁっ?!」
瞬間、触手が引っ込み相手がバチャンッ! と泉の中に倒れた。
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そして形の良いヘソの下には、青い鱗。
…………………………鱗?
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いや、でも、まさか。
「自分は怒ったくせに俺のことは観察するんだな?」
鱗と肌の繋ぎ目に触れようとしたアイシェルの手を不機嫌な少年の声が止める。
睨み付けてくる金色の瞳が綺麗だった。
「あっごめんなさい」
「……いいよ。俺も何かシツレーなことしたみたいだし」
「そ、そうよ! レディの足をいきなり見るなんて破廉恥なんだから!」
「いきなりじゃなきゃ良いの?」
上目遣いに尋ねられてドキリとする。
「……男の子に見せるのは仲良くなった相手だけってお父様とお母様は言ってたわ」
「じゃあ俺と友達になってよ。俺は人魚の国の王の子ルーギス。11才。君は?」
人懐っこい笑顔は猫の様だった。
「私はこの国の第四王女アイシェル、9才よ。……あなたやっぱり人魚なの?」
「そうだよ。セアントルドを囲む海の中には俺たち人魚の国が有る。俺の父さんは海の皆が平和に暮らせるように治めているんだ」
「私のお父様も同じよ! みんなが幸せになれるようにいつも頑張ってるの!」
「人魚の王も人間の王も同じなんだ」
「私たち仲良くなれそうね」
そう言って異形の少年に手を差し出す。
「よろしくアイシェル」
ずぶ濡れのまま、泉の中で握手をした。
それから二人は毎日遊ぶようになった。
禊の間に入るのはいけないことだから誰にも知られないようにこっそりと。仲良しのメリザでさえ知らない内緒のお友達。
その秘密の高揚感でルーギスに会う時はいつもワクワクした。
どうやら地下の泉は海から水を引いていて、その水の路からルーギスはあの部屋へ入って来ていたらしい。
いつもは誰も来ない部屋に人間が、それも自分より小さな女の子が来たから思わず捕まえてしまったのだと彼は言った。
「あの触手はルーの一部なの?」
「うん。腰の後ろから自由に出し入れできるんだ。見てて」
言葉通りにあの透き通った青色が現れる。
「ゼリーみたいで美味しそうね」
「どうかな? 舐めてみる?」
ほら。と唇に触手を当てられた。
ぷるんとした感触が気持ちいい。
ペロッ……と舌を出して舐めるとなんの味もしなかった。
「甘いかと思ったのに。……顔が赤いけどどうしたの?」
「…………なんでもないよ」
何故かルーギスは口を手で押さえて真っ赤になっている。
「俺にもイーシャの身体を見せてよ。……まだ足は見ちゃダメなの?」
「……いいわ。ルーは仲良しだもの。見せてあげる」
水辺から立ち上がりおずおずとドレスの裾をたくし上げる。
なんだかとてもイケナイことをしているみたいでドキドキした。
「可愛い足」
膝下までを晒すとツッと少年の指が足をなぞる。
「っ……」
今度はアイシェルが顔を赤くして震える番だった。
「人間は皆こういう足の形をしているの? 陸なんて歩いて疲れない?」
「私たちには普通のことだから。ルーたちみたいに水の中で息ができる方が不思議よ。鱗はみんな同じ色をしているの?」
「いろんな色のヤツがいるよ。尾びれの形にも個性が有る」
そう語る少年の顔は誇らしげだった。
「……ルー以外の人魚にも会ってみたいな」
水の中に手を入れながらポツリと呟く。
「……そうだね。父さんは人魚の存在を人間に知られたらいけないって言うけど、俺もイーシャに俺たちの国を見て欲しいよ」
ルーギスの言葉を聞いてアイシェルがパッと両手を合わせた。
「そうだ! 私とルーが結婚すればいいのよ! セアントルドの姫は15才になったら国のために外国へお嫁に行くのだから、それなら私、ルーのお嫁さんがいい!」
「俺で、良いの?」
「ルーは王子様なんでしょう? ならきっとお父様も良いって言うわ!」
「──では、愛しのアイシェル姫。君が15才になったら、どうか俺の花嫁に」
宣言と共に爪先に落とされた誓いのキス。
幼い約束。
その時の自分は何もわかっていなかった。
自分の立場も、種族の違いも、ルーギスとでは幸せになれないことも────
結婚の誓い以降、二人の距離はますます近くなっていく。
ルーギスがアイシェルを見る瞳はどんどん優しくなり甘くなった。
アイシェルが綺麗だと褒めたら特別だと言って彼の鱗もくれた。
人間には秘密の人魚の歌も聞かせてくれた。
ルーギスの歌声を聞くとふわふわとした気持ちになりいつも眠くなった。
幸せだった。
あの日までは。
ルーギスと出会ってから一年。
10才になったアイシェルは本格的に淑女の勉強をすることになった。
礼儀作法に刺繍やダンス。他国へ嫁ぐ王女の心得。堅苦しいマナーの授業は苦手だったが人魚の国へ嫁ぐためだと思えば頑張れた。
まだ誰にもルーギスとの婚約は話していなかったけれど、アイシェルは15になるのが待ちきれなかった。自分は彼と結婚し、たくさんの子供を産んで父と母の様な明るい家庭を築くのだ。
政略結婚だった両親があんなに仲の良い夫婦なのだから、種族の違いは有れど両思いの自分たちはきっと上手く行く。
大勢の子供や孫に囲まれることがアイシェルの夢だった。
自分とルーギスの子はどんな髪と瞳の色だろう。尾びれや鱗は?
その日『"より深い"花嫁の心得』の授業を終えたアイシェルはフラフラと禊の間に向かった。
「どうしたの? 顔色が悪いよ?」
先に来ていたルーギスが心配そうに頬に触れる。
「────ない」
「え?」
「もう、ルーとは──ない」
「ごめん、よく聞こえな……」
聞き返してくる声に涙で滲んだ視界を上げて叫ぶ。
「もうっルーとは遊べないっ!」
「イーシャ? 何言って、具合でも悪いの?」
「悪くない! でも、もうルーとは会わない!」
「……俺のこと嫌いになった?」
美しい相貌から表情が消える。
「好きよ!」
「じゃあっなんでっ」
「だからこそ、もう二度とルーとは遊べない!」
そう言って、振り返らずに走り出す。
「イーシャ!!」
悲痛な声も聞こえないふりをした。
好き。大好き。私の秘密の王子様。
あなたと共に未来を歩みたかった。
だけど、だけどっ
あなたチン●ン無いじゃないのよおおおおおぉおぉおぉぉっっ?!
───その日、王女は人生初の性教育を受けたのだった。
*
あれから6年。初恋を振り切って以来一度も禊の間には足を踏み入れていない。
自分を呼ぶ様な歌声も何度か聞こえた気がしたけれど、それも次第に無くなった。
あぁだけど今日は鱗のネックレスを握り締めて眠ったからだろうか。歌が聞こえる気がする。
あの、美しい人魚の歌声が。
「────え?」
自室のものではない大理石の天井。地下なのに作られた月光の通り道。
心臓が煩いくらいに音を立てる。
寝間着から伸びた足に当たる水の感触。記憶と変わらない、部屋の中央に有る泉。
そして────自分に絡み付く青色の触手。
「なっ」
まさか
「久しぶりだねイーシャ」
床と泉の境目に押さえつけられた自分を見下ろす金色の瞳。
青年に成長した銀髪の人魚は二人だけの愛称をうっとりと口にした。
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