【R18】えっ、このスケスケの布が伝説の聖女のローブなんですか!?

茅野ガク

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 分厚い薬草と毒草の図鑑を何冊も暗記し、魔力を高めるために何時間も気を練り続け、呪いの土偶が出土したと聞いては戦闘を挑みに行き、薬の材料採取のために崖を素手で登ったこともある。

 血の滲むような努力と言うか、実際に滲んだ過酷な鍛錬の日々。なんなら青あざも大小いろんな形のものが出来たし、全身筋肉痛で動けなくなる日も何回も経験した。骨が折れても自分の治癒魔法で治せばいい。そう思って根性で乗りきってきた。

 そんなルミティアは、外見だけなら深窓の令嬢にも見えるほど可憐な容姿をしている。

 緩やかに背中を流れる銀の髪と明るい空色の瞳。きめ細かやかな白い肌に、程よい高さの鼻と、何も塗らなくても瑞々しい薄紅色の唇。小さな卵型の顔に収まるパーツはどれも形が整っている。身長は神殿の神子たちの平均よりは少々低めだが、そのぶん胸は大きめだ。

 彼女なら、危険な旅に参加せずともそれなりの男に求婚され平穏に幸せな人生を選ぶこともできただろう。神殿は結婚を機に還俗することを禁止してはいない。

 けれどルミティアにはド根性を発揮しても魔族討伐隊の聖女に選ばれたい理由があった。

 ルミティアが神殿へ神子として入ったのは10歳の時。今から8年前のこと。
 その日まで、ルミティアは農村に住むごく平凡な一家の娘の一人だった。

『ルミティアねーちゃん! ――わぁ!』

 両親の畑仕事を手伝いに行く自分を追いかけて来て転び怪我をした弟。泣きじゃくる弟を慰めるためのおまじない。いつもと変わらないはずの、姉と弟の些細なやりとり。

 なのに、その日だけはいつもと違った。

 弟の傷の具合を見るルミティアの手から溢れる青い光。その淡い輝きが、擦りむいた膝へと吸い込まれていく。
 そして次の瞬間には弟の膝は綺麗に治っていた。

『ねーちゃんすごい! もうぜんぜん痛くないよ!』

 治癒魔法の開花。
 この出来事がきっかけで、ルミティアは農村から王都の神殿へ預けられることになったのだ。

 けれど神殿の神子見習いとしての日々は決して楽しいものではなくて。
 10歳の少女にとって親元から離れ、祈りや清掃に従事する暮らしは心細く寂しかった。

『どうして私だけが神殿で暮らさなければならないの……! 治癒魔法の才能なんて欲しくなかった……!』

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