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「めんどくさがりのプリンセス」の末っ子エミリー
やれば、できる?
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料理はできませーんと思っていたけれど、私ってやればできる子なのかしら?
感心しきりのミズ・クレマーを見て、エミリーはちょっと気分が向上する。
(次は煮物ね。でもここからは包丁を使うのよー。材料を押さえるときは、にゃんにゃんの猫の手で押さえてね。指をのばしたままだと包丁で野菜と一緒に切っちゃうからね。血がピューと出たら嫌でしょ。)
という恐ろしい言葉が頭の中で聞こえた。
それに、にゃんにゃんって…なつみさん。
即座に舞い上がりかけていた気持ちがどーーんと沈む。
料理ってスペクタクルだ。
『まずニンジンの皮をピーラーでむきます。株のところは切り落としてね。肌かんぼになったニンジンをまな板の上で縦半分にして、それをまた縦半分にするの。今度は端から一口サイズに切ります。』
(それを二本ずつ一緒に切ったほうがめんどくさくなくていいわよ。)
頭の中にそんなアドバイスはあったが、なにせエミリーにとっては初めて握った包丁である。
野菜をそろえて切るのもコツがいるようだ。
試みたところ、おかしな形に切れてしまったので、それからは大人しく地道に一本ずつ切ることにした。
『では片手鍋に三分の一くらい水を入れて、切ったニンジンを放り込んで中火よりやや弱めの火で先にゆでていきます。ニンジンって煮えにくいからね。』
『次にジャガイモの皮をピーラーでむきます。肌かんぼになったジャガイモを三個、さっきのニンジンより少し大きめの一口大に切るの。ジャガイモって煮崩れしやすいから。』
『切れたらジャガイモも、ニンジンと一緒に地獄の茹で釜に入ってもらいましょう。』
自分の口元がニヤリと上がりちょっと悪い顔になっているのが分かる。
なんかおかしな料理番組になってきてる。
『次に玉ねぎの皮をむいて、頭の先っちょとお尻の根っこのところを切り落としてー。』
(この表現って、玉ねぎ星人とかが聞いたら震えあがりそう。)
もしもし、玉ねぎ星人って誰ですか?
『これも半分にして、また半分にして、それをまた四等分したら、ふふっ鍋に入れてね。』
今、釜と言おうとしましたね、なつみさん。
『さあ肝心の出汁を入れなくっちゃ。牛肉と言いたいところだけど、醤油がないと牛肉はパサパサのだしがら君になっちゃうからね。ベーコンを入れようかしら。ベーコンも一センチ幅に切って入れてー。』
『さあ味付けよ。塩少々とコンソメ顆粒を入れてー。こういう料理は粒コショウがいいのよ。』
なつみさんの指示に、ガリガリと粗挽きしたコショウを入れる。
『そして庭の月桂樹の葉っぱを…。』と言ったところで、少し悲しそうな声でブリーにローリエの葉を一枚持ってくるように言って、それを鍋に入れた。
『これを10分から15分煮込んで水分を飛ばせば、肉じゃがじゃない…野菜のポトフ風煮っころがしの完成でーす。』
だそうだ。
これは日本料理なのかしら? と首をひねっているミズ・クレマーは置いといて。
私は日本の料理だと思う。
なつみさんの心が懐かしさでいっぱいになっている。
『さあメインの2品よー。主食がパンだから下手に魚を使わないで、卵とぉ、鶏肉でも使ってみましょうか。』
ま、まだあるんだ…。
◇◇◇
『卵を3個ボールに割って入れてね。』
エミリーが卵をボールの角で叩いて割ろうとしたら(平たいところで割ったほうが卵の殻も入らないし上手に割れるわよ。)と言われたので、まな板の上で卵を叩いたらグシャッとつぶれた。
…上手に割れないし。
力加減が難しい。
「あーあ、何やってんのよ。」とブリーが代わりにやってくれた。
すみません。口では(なつみさんが)言えてもなんせ初心者、技術が伴いません。
『こ、ここでー、お砂糖を大きいスプーンに山盛り一杯入れます。』
えっ、山盛り?
デザートを作るの?
お弁当ってピクニックランチのようなものじゃないの?
『それにー、ほんの少しの塩を入れてー、お箸…じゃなかったフォークでかき混ぜます。ここでかき混ぜすぎて卵の繊維? をバラバラにしないのがポイントよ。ただ白みと黄みはきれいに混ざり合うようにね。』
なんじゃそりゃ難しい。
頭の中でなつみさんが、ストップっ!と言ってくれたからよかったけど、自分一人で出来る気がしない。
『さぁ、一番小さいフライパンで焼いていきますよ。焼き方はオムレツのロールケーキバージョンって感じかしら。これは技術がいるのでミズ・クレマーにお願いします。』
先ほどの卵の失態を見ていたので、ミズ・クレマーは快くエミリーと変わってくれた。
『卵料理は気持ち油を多めにひくの。油は卵をふんわりさせるからね。これポイント。』らしい。
薄く卵液を流して、全部が固まらないうちにくるくると巻いていく。
三回に分けて油や卵液を足すようだ。棒状になった卵を、雪玉を作るときのように卵液をまとわせながら崩さないように転がしていく。
『ここでは、表面が固まる一歩手前で巻いていくのがポイントよ。』だそうだ。
そうしないと間がスカスカして一つにまとまらないらしい。
ミズ・クレマーはフォークの穴もあけずに絶妙の力加減で作って行く。
さすがだ。
これ、誰でもできないよ。
甘く少し焦げた卵のにおいが厨房中に広がっていた。
(やっぱり卵焼き用のフライパンじゃないと四角にならないわね。)となつみさんは言っていたが、充分おいしそうな楕円形のオムレツの棒?が出来上がった。
『じゃーん、卵焼きの完成でーす。』
そのまんまのネーミングだね。
でもここにいる4人が4人ともお腹のすいた顔になっていた。
『卵焼きは冷めてから切り分けたほうがいいから、次の料理を作りましょう。』ということで、みんなしぶしぶ調理台に戻った。
『次にー、小麦粉、パンに使う強力粉じゃなくて魚のムニエルとかに使う薄力粉ね。』となつみさんは言っているが、どこが違うのかわからない。
まあ、ミズ・クレマーはわかっているようなのでいいのだろう。
『それと片栗粉…はないか、んーどうしよう。コーンスターチを使ってみよう。』
おいおい、それで本当にいいの?
『それをー、小麦粉の10分の1ぐらい混ぜます。』
あいよっ。
あっ、ちょっと力を入れ過ぎた。
粉が舞っています。
へへっ。
『それから鶏のもも肉があるかしら?』
あったらしい。
ミズ・クレマーが冷蔵室から持ってきた。
『あら、いい具合にカットしてあるわ。』
これジボアに怒られないかな…まぁ、皇太子のお弁当だもの、見逃してくれるよね。
『植物油をフライができるように温めてくれるかしら。』
これはブリーがしてくれた。
ドヤ顔をしているけれど、このくらい私にもできる…と思いたい。
『油の温度が大事なのよ。』とのことで、なつみさんが言ったお箸はないので木の棒を探してきて、それを油の中に挿し入れた。
鍋底の棒の先っちょから小さい泡が出てきたら適温だそうだ。
へぇーーー。
あっ、ホントに出てきた。
こうなったら火を調節して、油の温度が上がり過ぎないようにするらしい。
『じゃあ味付けね。』
味つけは油が適温になってからの方がいいらしい。
その方が肉から水分が出てこなくていいと、なつみさんは思ってるんだって。
『気持ちきつめに塩コショウをしまーす。』
ゆるめときつめの境が私にはわからないけどね。
これも、ストップ!の声でなんとかできた。
『この肉を小麦粉の野原で転げまわらせてあげてぇー、余分な粉をはたいて落とします。』
なつみさん、たまに変な人だよね。
この時まんべんなく粉が付いているほうが肉汁が逃げなくていいし、余分な粉がないほうが油が汚れなくて肉がカラッと揚がるんだって。
それにあまり早くから小麦粉をつけてしまうと、全体がじっとりとしてきて香ばしく仕上がらないらしい。
料理って…奥が深い。
肉を油で揚げるのは危ないので、ミズ・クレマーが肉を入れてブリーがキツネ色に揚がったものを取り出すという連係プレーでやってくれた。
いい色に揚がった鶏肉がいくつも網付きトレーに並んでいる。
『鶏のから揚げの完成でーす。』
ごくりっ、とマリカが喉を鳴らして見つめている。
お腹すいたね。
ちょっとつまんでもいいよね。
「たくさんあるからお弁当の分を取り分けたらみんなで食べてみようよ。」そんなエミリーの提案に、ミズ・クレマーだけが「でも、もうすぐお茶の時間ですし…。」と言っていたが、自分でも食べてみたかったのだろうすぐに賛成にまわった。
卵焼きを切り分けて、真ん中の状態がいい所をお弁当用に取っておく。
『カッコは悪いけど端っこもしっかり焼けてておいしいの…って聞いたわ。』
なつみさんのご希望に沿って、エミリーは端っこの方を食べてみる。
甘ーーい。
そして卵の味がしっかりする。
ほんのり焦げ目がついててそれがまたおいしい。
「いつも食べてるオムレツとは全然違いますね。似たような材料なのになんでだろう。」
ブリーも不思議そうだ。
『今は甘く感じるけど、完全に冷めたら甘みはもっと落ち着くのよ。お弁当は冷めた料理を食べるものだからね。食べる時に一番おいしいように作るのが大事なの。』
なるほどーー。
「さすが日本の料理人。何事にも繊細な心遣いを忘れない。職人芸ですね。」
あのーミズ・クレマー、感動しているのに悪いんですがなつみさんって別にプロの料理人じゃないんじゃ…でもそうなのかな?
いやにいろいろこだわりがあるみたいだけど…。
(何言ってんの。適当でめんどくさがりの私がそんな厳しい職業を選ぶわけないでしょ。若い頃にちょっと保母さんしただけの、筋金入りの専業主婦よ。料理なんて完璧な自己流。省いていい手間は省くし。ちょっと蘊蓄述べちゃったのはテレビの料理番組の受け売りよ、受け売り。)
そっ、そうだよねー。
ピクニック用のランチボックスを持ってきて、その辺にあった果物やパンも入れて彩りよくプチトマトなども入れると、お弁当の完成だ!!
できたーー!と喜んでたら(これって庶民の一般的なお弁当だけど、皇室の人が食べてもおいしいのかしら?)となつみさん。
なんですとっ!
ちょっとなつみさん。
今更、なに言ってんのよーーーーっ!
叫んでもいいよね私。
信じらんなぁーーーーーーーーい!!!
感心しきりのミズ・クレマーを見て、エミリーはちょっと気分が向上する。
(次は煮物ね。でもここからは包丁を使うのよー。材料を押さえるときは、にゃんにゃんの猫の手で押さえてね。指をのばしたままだと包丁で野菜と一緒に切っちゃうからね。血がピューと出たら嫌でしょ。)
という恐ろしい言葉が頭の中で聞こえた。
それに、にゃんにゃんって…なつみさん。
即座に舞い上がりかけていた気持ちがどーーんと沈む。
料理ってスペクタクルだ。
『まずニンジンの皮をピーラーでむきます。株のところは切り落としてね。肌かんぼになったニンジンをまな板の上で縦半分にして、それをまた縦半分にするの。今度は端から一口サイズに切ります。』
(それを二本ずつ一緒に切ったほうがめんどくさくなくていいわよ。)
頭の中にそんなアドバイスはあったが、なにせエミリーにとっては初めて握った包丁である。
野菜をそろえて切るのもコツがいるようだ。
試みたところ、おかしな形に切れてしまったので、それからは大人しく地道に一本ずつ切ることにした。
『では片手鍋に三分の一くらい水を入れて、切ったニンジンを放り込んで中火よりやや弱めの火で先にゆでていきます。ニンジンって煮えにくいからね。』
『次にジャガイモの皮をピーラーでむきます。肌かんぼになったジャガイモを三個、さっきのニンジンより少し大きめの一口大に切るの。ジャガイモって煮崩れしやすいから。』
『切れたらジャガイモも、ニンジンと一緒に地獄の茹で釜に入ってもらいましょう。』
自分の口元がニヤリと上がりちょっと悪い顔になっているのが分かる。
なんかおかしな料理番組になってきてる。
『次に玉ねぎの皮をむいて、頭の先っちょとお尻の根っこのところを切り落としてー。』
(この表現って、玉ねぎ星人とかが聞いたら震えあがりそう。)
もしもし、玉ねぎ星人って誰ですか?
『これも半分にして、また半分にして、それをまた四等分したら、ふふっ鍋に入れてね。』
今、釜と言おうとしましたね、なつみさん。
『さあ肝心の出汁を入れなくっちゃ。牛肉と言いたいところだけど、醤油がないと牛肉はパサパサのだしがら君になっちゃうからね。ベーコンを入れようかしら。ベーコンも一センチ幅に切って入れてー。』
『さあ味付けよ。塩少々とコンソメ顆粒を入れてー。こういう料理は粒コショウがいいのよ。』
なつみさんの指示に、ガリガリと粗挽きしたコショウを入れる。
『そして庭の月桂樹の葉っぱを…。』と言ったところで、少し悲しそうな声でブリーにローリエの葉を一枚持ってくるように言って、それを鍋に入れた。
『これを10分から15分煮込んで水分を飛ばせば、肉じゃがじゃない…野菜のポトフ風煮っころがしの完成でーす。』
だそうだ。
これは日本料理なのかしら? と首をひねっているミズ・クレマーは置いといて。
私は日本の料理だと思う。
なつみさんの心が懐かしさでいっぱいになっている。
『さあメインの2品よー。主食がパンだから下手に魚を使わないで、卵とぉ、鶏肉でも使ってみましょうか。』
ま、まだあるんだ…。
◇◇◇
『卵を3個ボールに割って入れてね。』
エミリーが卵をボールの角で叩いて割ろうとしたら(平たいところで割ったほうが卵の殻も入らないし上手に割れるわよ。)と言われたので、まな板の上で卵を叩いたらグシャッとつぶれた。
…上手に割れないし。
力加減が難しい。
「あーあ、何やってんのよ。」とブリーが代わりにやってくれた。
すみません。口では(なつみさんが)言えてもなんせ初心者、技術が伴いません。
『こ、ここでー、お砂糖を大きいスプーンに山盛り一杯入れます。』
えっ、山盛り?
デザートを作るの?
お弁当ってピクニックランチのようなものじゃないの?
『それにー、ほんの少しの塩を入れてー、お箸…じゃなかったフォークでかき混ぜます。ここでかき混ぜすぎて卵の繊維? をバラバラにしないのがポイントよ。ただ白みと黄みはきれいに混ざり合うようにね。』
なんじゃそりゃ難しい。
頭の中でなつみさんが、ストップっ!と言ってくれたからよかったけど、自分一人で出来る気がしない。
『さぁ、一番小さいフライパンで焼いていきますよ。焼き方はオムレツのロールケーキバージョンって感じかしら。これは技術がいるのでミズ・クレマーにお願いします。』
先ほどの卵の失態を見ていたので、ミズ・クレマーは快くエミリーと変わってくれた。
『卵料理は気持ち油を多めにひくの。油は卵をふんわりさせるからね。これポイント。』らしい。
薄く卵液を流して、全部が固まらないうちにくるくると巻いていく。
三回に分けて油や卵液を足すようだ。棒状になった卵を、雪玉を作るときのように卵液をまとわせながら崩さないように転がしていく。
『ここでは、表面が固まる一歩手前で巻いていくのがポイントよ。』だそうだ。
そうしないと間がスカスカして一つにまとまらないらしい。
ミズ・クレマーはフォークの穴もあけずに絶妙の力加減で作って行く。
さすがだ。
これ、誰でもできないよ。
甘く少し焦げた卵のにおいが厨房中に広がっていた。
(やっぱり卵焼き用のフライパンじゃないと四角にならないわね。)となつみさんは言っていたが、充分おいしそうな楕円形のオムレツの棒?が出来上がった。
『じゃーん、卵焼きの完成でーす。』
そのまんまのネーミングだね。
でもここにいる4人が4人ともお腹のすいた顔になっていた。
『卵焼きは冷めてから切り分けたほうがいいから、次の料理を作りましょう。』ということで、みんなしぶしぶ調理台に戻った。
『次にー、小麦粉、パンに使う強力粉じゃなくて魚のムニエルとかに使う薄力粉ね。』となつみさんは言っているが、どこが違うのかわからない。
まあ、ミズ・クレマーはわかっているようなのでいいのだろう。
『それと片栗粉…はないか、んーどうしよう。コーンスターチを使ってみよう。』
おいおい、それで本当にいいの?
『それをー、小麦粉の10分の1ぐらい混ぜます。』
あいよっ。
あっ、ちょっと力を入れ過ぎた。
粉が舞っています。
へへっ。
『それから鶏のもも肉があるかしら?』
あったらしい。
ミズ・クレマーが冷蔵室から持ってきた。
『あら、いい具合にカットしてあるわ。』
これジボアに怒られないかな…まぁ、皇太子のお弁当だもの、見逃してくれるよね。
『植物油をフライができるように温めてくれるかしら。』
これはブリーがしてくれた。
ドヤ顔をしているけれど、このくらい私にもできる…と思いたい。
『油の温度が大事なのよ。』とのことで、なつみさんが言ったお箸はないので木の棒を探してきて、それを油の中に挿し入れた。
鍋底の棒の先っちょから小さい泡が出てきたら適温だそうだ。
へぇーーー。
あっ、ホントに出てきた。
こうなったら火を調節して、油の温度が上がり過ぎないようにするらしい。
『じゃあ味付けね。』
味つけは油が適温になってからの方がいいらしい。
その方が肉から水分が出てこなくていいと、なつみさんは思ってるんだって。
『気持ちきつめに塩コショウをしまーす。』
ゆるめときつめの境が私にはわからないけどね。
これも、ストップ!の声でなんとかできた。
『この肉を小麦粉の野原で転げまわらせてあげてぇー、余分な粉をはたいて落とします。』
なつみさん、たまに変な人だよね。
この時まんべんなく粉が付いているほうが肉汁が逃げなくていいし、余分な粉がないほうが油が汚れなくて肉がカラッと揚がるんだって。
それにあまり早くから小麦粉をつけてしまうと、全体がじっとりとしてきて香ばしく仕上がらないらしい。
料理って…奥が深い。
肉を油で揚げるのは危ないので、ミズ・クレマーが肉を入れてブリーがキツネ色に揚がったものを取り出すという連係プレーでやってくれた。
いい色に揚がった鶏肉がいくつも網付きトレーに並んでいる。
『鶏のから揚げの完成でーす。』
ごくりっ、とマリカが喉を鳴らして見つめている。
お腹すいたね。
ちょっとつまんでもいいよね。
「たくさんあるからお弁当の分を取り分けたらみんなで食べてみようよ。」そんなエミリーの提案に、ミズ・クレマーだけが「でも、もうすぐお茶の時間ですし…。」と言っていたが、自分でも食べてみたかったのだろうすぐに賛成にまわった。
卵焼きを切り分けて、真ん中の状態がいい所をお弁当用に取っておく。
『カッコは悪いけど端っこもしっかり焼けてておいしいの…って聞いたわ。』
なつみさんのご希望に沿って、エミリーは端っこの方を食べてみる。
甘ーーい。
そして卵の味がしっかりする。
ほんのり焦げ目がついててそれがまたおいしい。
「いつも食べてるオムレツとは全然違いますね。似たような材料なのになんでだろう。」
ブリーも不思議そうだ。
『今は甘く感じるけど、完全に冷めたら甘みはもっと落ち着くのよ。お弁当は冷めた料理を食べるものだからね。食べる時に一番おいしいように作るのが大事なの。』
なるほどーー。
「さすが日本の料理人。何事にも繊細な心遣いを忘れない。職人芸ですね。」
あのーミズ・クレマー、感動しているのに悪いんですがなつみさんって別にプロの料理人じゃないんじゃ…でもそうなのかな?
いやにいろいろこだわりがあるみたいだけど…。
(何言ってんの。適当でめんどくさがりの私がそんな厳しい職業を選ぶわけないでしょ。若い頃にちょっと保母さんしただけの、筋金入りの専業主婦よ。料理なんて完璧な自己流。省いていい手間は省くし。ちょっと蘊蓄述べちゃったのはテレビの料理番組の受け売りよ、受け売り。)
そっ、そうだよねー。
ピクニック用のランチボックスを持ってきて、その辺にあった果物やパンも入れて彩りよくプチトマトなども入れると、お弁当の完成だ!!
できたーー!と喜んでたら(これって庶民の一般的なお弁当だけど、皇室の人が食べてもおいしいのかしら?)となつみさん。
なんですとっ!
ちょっとなつみさん。
今更、なに言ってんのよーーーーっ!
叫んでもいいよね私。
信じらんなぁーーーーーーーーい!!!
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