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「めんどくさがりのプリンセス」の末っ子エミリー
料理はできません
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パーティーの翌日、エミリーは学校からマリカと一緒に子爵邸に帰ってきた。
迎えの車に乗って帰る道々、マリカは申し訳なさそうに言った。
「昨日、力になってあげられなくてごめんね。エムの言っていること信じてるつもりだったけど、エムが作業小屋の所で一人でおかしなことをしゃべり始めた時に、私なんだか怖くなっちゃって…。」
マリカにしては口数が少ないと思っていたけど、そういうことだったのか。
それはそうよね。
あの状態は不気味だわ。
ロブほど自分が役に立てなかったと、気に病んでいたらしい。
そんなこと、気にしないでいいのに。
でも気にしているなら今日は力になってもらえるかも…。
めんどくさいことはとっとと片付けるに限る。
エミリーは今日、お弁当を作っておじいさまの所へ持っていこうと考えていた。
「マリカは、料理、作れる?」と尋ねると、さすがに親友、エミリーの意図をすぐに察した。
そして昨日の王子様との会話を思い出したのか、すぐに顔をぶんぶんと横に振った。
「私に手伝わせようって言っても駄目よ。うちはコックがいるから料理なんて作ったことないもん。」
そうだよね、みんなそうだと思う。
私たちは、10歳だ。
花嫁修業で料理を習うのは、まだ先の話だ。
「なつみさんに作ってもらえばいいじゃない。本人が請け負ったんだから。」
「マリカ、あなた私がなつみさん本人だってわかってる? なつみさんは手足がないのよ。作らなきゃいけなくなったのは、わ・た・し。」
「えっ? …そうか。」
いまいち理解できてないね。
なつみさんが動かしている?のは口だけで、あの不思議な状態のときにエミリーは身体全部を乗っ取られている訳じゃない。
…こういう場合はそのほうがよかったかも。
私が意識を失っている間に、ちゃっちゃとなつみさんがお料理してくれたら、めんどくさくなくていいよねぇ。
記憶チートって使えない…。
でも…あっ、そうだ。
いーこと思いついたー。
ブリーがいるじゃん。
ブリーなら去年から料理を習ってるし、あの王子様のためなら全面的に協力してくれそうな気がする。
◇◇◇
エミリーは家に帰ると早速ブリーを探した。
母様に聞くと、家庭教師のミズ・クレマーと縫物をしているという。
しめたっ。
ブリーは縫物が嫌いだ。
うまく言いくるめたらこちらの提案に乗ってくれそうだ。
マリカと二人で裁縫室に向かうことにした。
できたらミズ・クレマーにも手伝って欲しいんだけど…。
あの人は花嫁修業の先生だから家事全般なんでもござれなのよね。
一階にある裁縫室に行って、扉口からこっそり覗いてみると、…いたいた。
明るい日差しをいっぱいに取り込むようにできているこの裁縫部屋は、通称「居眠り部屋」とも言われている。
ミズ・クレマーのほうは熱心に刺繍をしているようだが。
ブリーはミズ・クレマーの目が届かないように、斜に構えて時々うつらうつらと舟をこいでいる。
「ミズ・クレマーにあの変な状態を見られないほうがいいよね。」とエミリーが言うと、マリカもすぐに頷いた。
「おじい様や王子様と話した時みたいにやったほうがいいよ。あれ、ちょっと変だもん。」
マリカのアドバイスも受けて、部屋に入る前に記憶チートを可動モードにしておくことにした。
なにせ日本のお弁当とやらがどんなものなのかさっぱりわからない。
なつみさんの知識を貸してもらってこしらえるしかないのだ。
マリカが言う、自分で請けた注文だもの、本人には協力してもらわないとね。
「【アラバ グアイユ チキ チキュウ】」
ピーーンポォー…『呼ばれて飛び出て、ジャジャジャジャーン』
な、なつみさん。
なにそれぇ…?
自分で言ってて脱力する。
なんだかまったりとした低い男の人の声をマネしてる感じ。
誰よ?
マリカの白けた様子がわかったのか『あら、通じない? でも日本のアニメって、ヨーロッパに普及してたんじゃ…そうよねここは異世界か。』となつみさんは独り言を言って、独りで納得している。
その可笑しなセリフはなつみさんの子供の頃に流行ったアニメの主人公の口癖らしい。
アラビアン・ナイトの壺の中から現れる、魔法が使える召し使いのずっこけパロディバージョンだそうだ。
魔法か…魔法が使えたらいいのになぁ。
神様もめんどくさいことをパパッと片づけてくれるギフトを授けてくれればいいのに。
かえってめんどーを増やしてくれるこの記憶チートって…使えない。
◇◇◇
エミリーが皇太子様のお弁当をこれから作りたいと言ったら、ありがたいことにブリーもミズ・クレマーも手伝ってくれるという。
「お裁縫より料理のお勉強をしたほうがいいかもしれませんね。こんなにお天気の良い日だと、ブリジットさんも刺繍に身が入らないみたいですから。」
ふふん、ブリー、バレてるね。
さすがのブリーの如才なさも、いつも一緒にいるミズ・クレマーには本性が筒抜けだ。
「それにエミリーさんにも、機会があったら少しずつ家事の手ほどきをして欲しいと奥様から伺っておりますし。最近は貴族の方でも、自分でできることは自分でするべきだという傾向になっていますからね。」
ギョッ、そうなの?
16歳からでいいのにーー。
こういうのを藪蛇というんだろうか。
夕食の準備にはまだ時間があったので、コックのジボアもしぶしぶ厨房を明け渡してくれた。
「必ず、いつものように片付けといてくださいね。」と言うことは忘れなかったが…。
エプロンを付けて手をしっかりと洗うと、ミズ・クレマーが指導役で料理の開始である。
マリカはうまいことを言って逃げて、見学にまわった。
「まず野菜を切るところから始めましょう。エミリーさんは、なつみさんという方から何を作ったら皇太子殿下が喜ばれるのか、教えてもらってこられたのですよね。」
「ええ。今日学校で聞いてきました。」
「どの野菜から下ごしらえしましょうか?」
「こっ、こほん。」
『まずカブからですね。ピクルスの浅漬けのような料理から始めたほうが段取りがいいでしょう。』
「段取り? すばらしい。さすが改善の国ニッポンですね。」
なんだかわからないが、ミズ・クレマーはしょっぱなから感心している。
小カブの皮をピーラーでむいて半分に切る。
これは丸のままだとフードプロセッサーに入らないからだそうだ。
フードプロセッサーだと専用の用具でカブを抑えているだけで、紙のような薄切りに機械が切ってくれる。
わー面白ーいこれ、楽ちん楽ちん。
このスライスしたカブの中に、お砂糖を甘めにどっさり入れ、塩を少々、そこに砂糖を溶かすだけの酢を入れるそうだ。
しかしなつみさんの求めていた米酢が無かったので、うちに置いてある酢の中で一番味の近いビネガーを使った。
『乾燥した昆布をキッチンバサミで、切って入れまーす。』
最後に『鷹の爪』って言いかけて『ペッパー』って言い直してたけど、小ぶりなペッパーを一つ入れて全部をビニールのキッチンバッグに入れたら完成だ。
わー簡単。
これを三日ぐらい冷蔵庫においておけば『千枚漬けの完成でーす』だそうだけど、完成じゃないよ!
今日、お弁当を持っていくんだってば。
三日後じゃ使えないじゃん。
『そうなの? 京都といえば千枚漬けなんだけど…。じゃあこれはおみやげにして、似たような味の副菜を作りますか。』
『まず、キュウリを塩ずりします。塩を多めに手に取ってキュウリの皮をずりずりこすることで、皮の青臭さが取れるのよ。』
『できたら、塩を水で流します。』
『次にキュウリを薄く切って・・これも機械を使ったら簡単ね。』
再びフードプロセッサーの登場だ。
『切ったキュウリを塩もみして水分を出しておきます。』
『水分が出たら両手でぎゅっと絞ってボールに入れてね。』
『この時塩をかるく水で流してから絞るのがポイントよ。ね、塩をたくさん使うけど下処理だからしょっぱくないわよ。』
味見をして見る。
うん、まだ味は付いてないね。
『それから三杯酢を作るけど、醤油がないんだから二杯酢よね。塩を岩塩にして味に深みを出せばいいか…。でもなにか出汁になるものが必要よね。タコが定番だけどめんどくさいし、シーチキン缶はあるかしら。』
ミズ・クレマーがパントリーからシーチキン缶を探して持って来てくれた。
『わー日本の缶詰じゃない。異世界でも世界進出してるのね。』となつみさんはひとしきり喜んだ後で『この缶詰のオイルは、使えるのよー』と言って、少しオイルを取り除いただけで、あとは全部キュウリの塩もみと一緒にあえた。
『シーチキンといえばマヨネーズよねー。あら、これキュウリの三杯酢和えじゃなくなっちゃったわ。ドイツのザワークラフトもあることだしこれでいいか。』
随分てきとーである。
『味をきいて塩味を整えてぇー。やっぱりもう一つまみいるわ。はいパラパラ。』
『これで、キュウリのシーチキン和えザワークラフト風味の完成でーす。』
この間、ブリーとミズ・クレマーはずっとお料理番組のアシスタントのようだった。
二人が用意した材料や調味料を、エミリーが、切ったり(機械だけど)混ぜたり調味料を調整したり(頭の中で分量を指示されてたけど…)したのだ。
このことでミズ・クレマーはすっかり勘違いしたようで、変に興奮していた。
「エミリーさん、今日作り方を聞いてきただけでこのように作れるとは。エミリーさんにはお料理の才能があるのかもしれませんねぇ。」
マリカはそれを聞いて吹き出していた…。
でもこんな簡単料理ばかりではないだろう。
他の物もエミリーにできるのか?
お料理レッスンはまだまだ続くようである。
迎えの車に乗って帰る道々、マリカは申し訳なさそうに言った。
「昨日、力になってあげられなくてごめんね。エムの言っていること信じてるつもりだったけど、エムが作業小屋の所で一人でおかしなことをしゃべり始めた時に、私なんだか怖くなっちゃって…。」
マリカにしては口数が少ないと思っていたけど、そういうことだったのか。
それはそうよね。
あの状態は不気味だわ。
ロブほど自分が役に立てなかったと、気に病んでいたらしい。
そんなこと、気にしないでいいのに。
でも気にしているなら今日は力になってもらえるかも…。
めんどくさいことはとっとと片付けるに限る。
エミリーは今日、お弁当を作っておじいさまの所へ持っていこうと考えていた。
「マリカは、料理、作れる?」と尋ねると、さすがに親友、エミリーの意図をすぐに察した。
そして昨日の王子様との会話を思い出したのか、すぐに顔をぶんぶんと横に振った。
「私に手伝わせようって言っても駄目よ。うちはコックがいるから料理なんて作ったことないもん。」
そうだよね、みんなそうだと思う。
私たちは、10歳だ。
花嫁修業で料理を習うのは、まだ先の話だ。
「なつみさんに作ってもらえばいいじゃない。本人が請け負ったんだから。」
「マリカ、あなた私がなつみさん本人だってわかってる? なつみさんは手足がないのよ。作らなきゃいけなくなったのは、わ・た・し。」
「えっ? …そうか。」
いまいち理解できてないね。
なつみさんが動かしている?のは口だけで、あの不思議な状態のときにエミリーは身体全部を乗っ取られている訳じゃない。
…こういう場合はそのほうがよかったかも。
私が意識を失っている間に、ちゃっちゃとなつみさんがお料理してくれたら、めんどくさくなくていいよねぇ。
記憶チートって使えない…。
でも…あっ、そうだ。
いーこと思いついたー。
ブリーがいるじゃん。
ブリーなら去年から料理を習ってるし、あの王子様のためなら全面的に協力してくれそうな気がする。
◇◇◇
エミリーは家に帰ると早速ブリーを探した。
母様に聞くと、家庭教師のミズ・クレマーと縫物をしているという。
しめたっ。
ブリーは縫物が嫌いだ。
うまく言いくるめたらこちらの提案に乗ってくれそうだ。
マリカと二人で裁縫室に向かうことにした。
できたらミズ・クレマーにも手伝って欲しいんだけど…。
あの人は花嫁修業の先生だから家事全般なんでもござれなのよね。
一階にある裁縫室に行って、扉口からこっそり覗いてみると、…いたいた。
明るい日差しをいっぱいに取り込むようにできているこの裁縫部屋は、通称「居眠り部屋」とも言われている。
ミズ・クレマーのほうは熱心に刺繍をしているようだが。
ブリーはミズ・クレマーの目が届かないように、斜に構えて時々うつらうつらと舟をこいでいる。
「ミズ・クレマーにあの変な状態を見られないほうがいいよね。」とエミリーが言うと、マリカもすぐに頷いた。
「おじい様や王子様と話した時みたいにやったほうがいいよ。あれ、ちょっと変だもん。」
マリカのアドバイスも受けて、部屋に入る前に記憶チートを可動モードにしておくことにした。
なにせ日本のお弁当とやらがどんなものなのかさっぱりわからない。
なつみさんの知識を貸してもらってこしらえるしかないのだ。
マリカが言う、自分で請けた注文だもの、本人には協力してもらわないとね。
「【アラバ グアイユ チキ チキュウ】」
ピーーンポォー…『呼ばれて飛び出て、ジャジャジャジャーン』
な、なつみさん。
なにそれぇ…?
自分で言ってて脱力する。
なんだかまったりとした低い男の人の声をマネしてる感じ。
誰よ?
マリカの白けた様子がわかったのか『あら、通じない? でも日本のアニメって、ヨーロッパに普及してたんじゃ…そうよねここは異世界か。』となつみさんは独り言を言って、独りで納得している。
その可笑しなセリフはなつみさんの子供の頃に流行ったアニメの主人公の口癖らしい。
アラビアン・ナイトの壺の中から現れる、魔法が使える召し使いのずっこけパロディバージョンだそうだ。
魔法か…魔法が使えたらいいのになぁ。
神様もめんどくさいことをパパッと片づけてくれるギフトを授けてくれればいいのに。
かえってめんどーを増やしてくれるこの記憶チートって…使えない。
◇◇◇
エミリーが皇太子様のお弁当をこれから作りたいと言ったら、ありがたいことにブリーもミズ・クレマーも手伝ってくれるという。
「お裁縫より料理のお勉強をしたほうがいいかもしれませんね。こんなにお天気の良い日だと、ブリジットさんも刺繍に身が入らないみたいですから。」
ふふん、ブリー、バレてるね。
さすがのブリーの如才なさも、いつも一緒にいるミズ・クレマーには本性が筒抜けだ。
「それにエミリーさんにも、機会があったら少しずつ家事の手ほどきをして欲しいと奥様から伺っておりますし。最近は貴族の方でも、自分でできることは自分でするべきだという傾向になっていますからね。」
ギョッ、そうなの?
16歳からでいいのにーー。
こういうのを藪蛇というんだろうか。
夕食の準備にはまだ時間があったので、コックのジボアもしぶしぶ厨房を明け渡してくれた。
「必ず、いつものように片付けといてくださいね。」と言うことは忘れなかったが…。
エプロンを付けて手をしっかりと洗うと、ミズ・クレマーが指導役で料理の開始である。
マリカはうまいことを言って逃げて、見学にまわった。
「まず野菜を切るところから始めましょう。エミリーさんは、なつみさんという方から何を作ったら皇太子殿下が喜ばれるのか、教えてもらってこられたのですよね。」
「ええ。今日学校で聞いてきました。」
「どの野菜から下ごしらえしましょうか?」
「こっ、こほん。」
『まずカブからですね。ピクルスの浅漬けのような料理から始めたほうが段取りがいいでしょう。』
「段取り? すばらしい。さすが改善の国ニッポンですね。」
なんだかわからないが、ミズ・クレマーはしょっぱなから感心している。
小カブの皮をピーラーでむいて半分に切る。
これは丸のままだとフードプロセッサーに入らないからだそうだ。
フードプロセッサーだと専用の用具でカブを抑えているだけで、紙のような薄切りに機械が切ってくれる。
わー面白ーいこれ、楽ちん楽ちん。
このスライスしたカブの中に、お砂糖を甘めにどっさり入れ、塩を少々、そこに砂糖を溶かすだけの酢を入れるそうだ。
しかしなつみさんの求めていた米酢が無かったので、うちに置いてある酢の中で一番味の近いビネガーを使った。
『乾燥した昆布をキッチンバサミで、切って入れまーす。』
最後に『鷹の爪』って言いかけて『ペッパー』って言い直してたけど、小ぶりなペッパーを一つ入れて全部をビニールのキッチンバッグに入れたら完成だ。
わー簡単。
これを三日ぐらい冷蔵庫においておけば『千枚漬けの完成でーす』だそうだけど、完成じゃないよ!
今日、お弁当を持っていくんだってば。
三日後じゃ使えないじゃん。
『そうなの? 京都といえば千枚漬けなんだけど…。じゃあこれはおみやげにして、似たような味の副菜を作りますか。』
『まず、キュウリを塩ずりします。塩を多めに手に取ってキュウリの皮をずりずりこすることで、皮の青臭さが取れるのよ。』
『できたら、塩を水で流します。』
『次にキュウリを薄く切って・・これも機械を使ったら簡単ね。』
再びフードプロセッサーの登場だ。
『切ったキュウリを塩もみして水分を出しておきます。』
『水分が出たら両手でぎゅっと絞ってボールに入れてね。』
『この時塩をかるく水で流してから絞るのがポイントよ。ね、塩をたくさん使うけど下処理だからしょっぱくないわよ。』
味見をして見る。
うん、まだ味は付いてないね。
『それから三杯酢を作るけど、醤油がないんだから二杯酢よね。塩を岩塩にして味に深みを出せばいいか…。でもなにか出汁になるものが必要よね。タコが定番だけどめんどくさいし、シーチキン缶はあるかしら。』
ミズ・クレマーがパントリーからシーチキン缶を探して持って来てくれた。
『わー日本の缶詰じゃない。異世界でも世界進出してるのね。』となつみさんはひとしきり喜んだ後で『この缶詰のオイルは、使えるのよー』と言って、少しオイルを取り除いただけで、あとは全部キュウリの塩もみと一緒にあえた。
『シーチキンといえばマヨネーズよねー。あら、これキュウリの三杯酢和えじゃなくなっちゃったわ。ドイツのザワークラフトもあることだしこれでいいか。』
随分てきとーである。
『味をきいて塩味を整えてぇー。やっぱりもう一つまみいるわ。はいパラパラ。』
『これで、キュウリのシーチキン和えザワークラフト風味の完成でーす。』
この間、ブリーとミズ・クレマーはずっとお料理番組のアシスタントのようだった。
二人が用意した材料や調味料を、エミリーが、切ったり(機械だけど)混ぜたり調味料を調整したり(頭の中で分量を指示されてたけど…)したのだ。
このことでミズ・クレマーはすっかり勘違いしたようで、変に興奮していた。
「エミリーさん、今日作り方を聞いてきただけでこのように作れるとは。エミリーさんにはお料理の才能があるのかもしれませんねぇ。」
マリカはそれを聞いて吹き出していた…。
でもこんな簡単料理ばかりではないだろう。
他の物もエミリーにできるのか?
お料理レッスンはまだまだ続くようである。
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