40 / 118
第一章 NICU
生後42日目 術後の様子とこれからのこと
しおりを挟む
気管切開手術というものは、親や家族の精神的な負担以外はさしてたいしたことのないもののような気がします。
昨日「手術が終わりましたよ~。リノちゃんがNICUに戻って来ました」と伝えにきてくれた看護師さんは、家族全員が一斉に立ち上がって「無事に済んだんですか?!」と詰め寄ってきたことに驚いていました。
先日の耳鼻科の執刀医の先生の話もそうですが、医療関係者にとってはさほど難しくない手術なんでしょうね。
顔を見に行ったネムルーとムコーは「リノはほっとしているような、穏やかな顔をしていた」と言ってました。本人も自発呼吸があるとはいえ、だいぶ必死な努力をして酸素を取り入れていたんでしょう。
手術が本人の安らぎに繋がったのなら、良かったです。
術後は一度SPO₂の値を落としたそうです。
理由はカニューレが大きすぎたからだったそうな。まだ身体が小さいので、気管がカニューレでいっぱいになったんでしょうね。身体とカニューレの間にガーゼを挟んで、カニューレの挿入角度を調節したら、数値が落ち着いたそうです。主治医の先生の話によると「もう少しして身体が大きくなったら、丁度良くなりますよ~」ということらしいです。アバウトだね。
※ SPO₂・・・血中の酸素の濃度を、身体に電気を通すことで常時モニターしています。リノは泣くことで外に異常を知らせることができません。そのためこのSPO₂の値と心拍の値は、一生モニターしていくことになります。
リノは目を覚まして、キョトンとした顔で写真にうつっていました。
本人は何が起こったかわかってないでしょう。でもダースベーダーの呼吸器がなくなっていたので、顔がスッキリとしていました。呼吸器をつけていると耳や髪などもバンドで締め付けられてペチャンコになっていましたから、そういう意味でのうっとうしさはなくなったでしょうね。
後は口に入っている胃までのマーゲンチューブと十二指腸まで入っているEDチューブを取り除くために胃瘻を考えなければなりませんね。
※ 胃瘻・・・お腹と胃に穴を開けて、固定のチューブコネクターを差し込み、大きな注射器シリンジでペースト食を胃に流し込みます。経管栄養ミルクだけでは大きくなって身体に必要になる微量元素を取り込むことができないので、それを補うために薬を飲むことになるのです。できたら自然界の身の回りに存在する食材の中から栄養を取らせてやりたいと思っているので、この胃瘻造設を早くから頼んでいます。リノの場合は早めに手術をしないと使っていない胃が小さくなってしまうため、手術ができる体重になったらすぐに取り掛かることになっています。
我が家は全員、老人になってお迎えが来たら、できるだけ自然な形で死にたいという『自然死』の信奉者です。
そんな人たちが、気管切開や胃瘻をすぐに決断したのはなぜかというと、年寄りと若い人の死への道筋は別物だと思っているからです。
これは年寄りと同居するのがごく普通になっている田舎のいいところなのかもしれません。
どなたかが言っていました。年寄りが子孫に残してやれることは、自分の死にざまを見せることだと。
そんなことで「死」という話題が日常のものになっているので親しみもありますし、自分の死についても普段から薄っすらとした希望を周りに伝えています。つまり、死やそれ以前にある生き方についても熟考できているので、ことさら慌てたり悩んだりしなくても、すぐに判断がつくんです。
亡くなった義理の両親も「食べられなくなったら、ごめんせいするわ(あの世に行くわ)」と言っていましたので、胃瘻を作ることもなく枯れるように自然にあちらの世界に旅立ちました。
八十歳は過ぎていましたし、七人の孫が全員成人を迎えていましたので、大往生と言っていいと思います。
働き盛りの人やその人が生きていてくれることで家族が心強く思える人は、医学に頼ってでも生きながらえる必要があると思います。ただ本人が苦しくないならという前提条件はあるでしょうが……
すい臓がんで亡くなった従姉妹がいるのですが、彼女ががんの告知をされた時は、下の子がまだ小学生だったのです。ラクーは「子どもが小さい内は、岩にかじりついてでも長生きせんといけんよ!」と従姉妹にはっぱをかけました。本人も「わかっとる!」とやる気満々でした。すい臓がんの五年生存率に挑戦するかのように手術を何回もして、必死に頑張っていました。
彼女が亡くなった時、二人の子どもは高校生と中学生になっていました。
そして頑張る母親の背中を見ていて思うところもあったのか、学年でもトップクラスの成績をおさめていました。
お葬式での子ども達のしっかりとした挨拶や振舞いを見て、涙が溢れましたが、ラクーは心の中で従姉妹に「よくやったね、ご苦労さん」と声をかけたのです。
リノの場合、出生時のアプガースコアが0ということは一度は死んでいたということですし、拾い物の余生を今、生きているわけです。
リノが今後、酷く苦しむようになったら、あちらに送ってやればいい。
その時がくるまでは本人の痛みをできるだけ取り除いて、家族全員で小さな幸せを積み重ねていけたらなと思っています。
リノのような症状の子たちには「三歳の壁」というのがあるそうですが、ラクーがブログで読ませて頂いた感じでは一歳半から二歳にかけての壁が最初にあるような気がします。
その壁に至るまでに、呼吸と栄養、そして排出の三本柱をしっかりと確立させて、できるだけ余力のある身体を作っていく必要があるような気がします。
脳のシナプスを繋ぐには「繰り返し」が一番効果があります。何度も繰り返すことによって、その情報が自分にとって必要なものだと脳が判断していくのです。
最初は細い繋がりだったものが段々と太くなり、高速で情報伝達ができるようになります。
小道→一般道→県道→国道→高速道路
というイメージで、5%だけ残ったリノの脳細胞を、10%、いえいえ20%ぐらいまでフル活用する能力へと育てていけたらなという野望を持っています。(笑)
脳細胞が活動するようになったら、点とうてんかんとかウェスト症候群とかいった「てんかん」の発作が起きてくるのかもしれません。
そのことを先輩ママたちのブログから知った時にはがっくりと膝をつきましたが、今はもう開き直っています。
先のことを心配していても仕方がないのです。とにかく目の前にあることを一つずつ片付けながら、その中に喜びを見い出していくしかありません。
こうなったからには、ラクーは全力でリノに付き合いますよ! (`・ω・´)ゞ
昨日「手術が終わりましたよ~。リノちゃんがNICUに戻って来ました」と伝えにきてくれた看護師さんは、家族全員が一斉に立ち上がって「無事に済んだんですか?!」と詰め寄ってきたことに驚いていました。
先日の耳鼻科の執刀医の先生の話もそうですが、医療関係者にとってはさほど難しくない手術なんでしょうね。
顔を見に行ったネムルーとムコーは「リノはほっとしているような、穏やかな顔をしていた」と言ってました。本人も自発呼吸があるとはいえ、だいぶ必死な努力をして酸素を取り入れていたんでしょう。
手術が本人の安らぎに繋がったのなら、良かったです。
術後は一度SPO₂の値を落としたそうです。
理由はカニューレが大きすぎたからだったそうな。まだ身体が小さいので、気管がカニューレでいっぱいになったんでしょうね。身体とカニューレの間にガーゼを挟んで、カニューレの挿入角度を調節したら、数値が落ち着いたそうです。主治医の先生の話によると「もう少しして身体が大きくなったら、丁度良くなりますよ~」ということらしいです。アバウトだね。
※ SPO₂・・・血中の酸素の濃度を、身体に電気を通すことで常時モニターしています。リノは泣くことで外に異常を知らせることができません。そのためこのSPO₂の値と心拍の値は、一生モニターしていくことになります。
リノは目を覚まして、キョトンとした顔で写真にうつっていました。
本人は何が起こったかわかってないでしょう。でもダースベーダーの呼吸器がなくなっていたので、顔がスッキリとしていました。呼吸器をつけていると耳や髪などもバンドで締め付けられてペチャンコになっていましたから、そういう意味でのうっとうしさはなくなったでしょうね。
後は口に入っている胃までのマーゲンチューブと十二指腸まで入っているEDチューブを取り除くために胃瘻を考えなければなりませんね。
※ 胃瘻・・・お腹と胃に穴を開けて、固定のチューブコネクターを差し込み、大きな注射器シリンジでペースト食を胃に流し込みます。経管栄養ミルクだけでは大きくなって身体に必要になる微量元素を取り込むことができないので、それを補うために薬を飲むことになるのです。できたら自然界の身の回りに存在する食材の中から栄養を取らせてやりたいと思っているので、この胃瘻造設を早くから頼んでいます。リノの場合は早めに手術をしないと使っていない胃が小さくなってしまうため、手術ができる体重になったらすぐに取り掛かることになっています。
我が家は全員、老人になってお迎えが来たら、できるだけ自然な形で死にたいという『自然死』の信奉者です。
そんな人たちが、気管切開や胃瘻をすぐに決断したのはなぜかというと、年寄りと若い人の死への道筋は別物だと思っているからです。
これは年寄りと同居するのがごく普通になっている田舎のいいところなのかもしれません。
どなたかが言っていました。年寄りが子孫に残してやれることは、自分の死にざまを見せることだと。
そんなことで「死」という話題が日常のものになっているので親しみもありますし、自分の死についても普段から薄っすらとした希望を周りに伝えています。つまり、死やそれ以前にある生き方についても熟考できているので、ことさら慌てたり悩んだりしなくても、すぐに判断がつくんです。
亡くなった義理の両親も「食べられなくなったら、ごめんせいするわ(あの世に行くわ)」と言っていましたので、胃瘻を作ることもなく枯れるように自然にあちらの世界に旅立ちました。
八十歳は過ぎていましたし、七人の孫が全員成人を迎えていましたので、大往生と言っていいと思います。
働き盛りの人やその人が生きていてくれることで家族が心強く思える人は、医学に頼ってでも生きながらえる必要があると思います。ただ本人が苦しくないならという前提条件はあるでしょうが……
すい臓がんで亡くなった従姉妹がいるのですが、彼女ががんの告知をされた時は、下の子がまだ小学生だったのです。ラクーは「子どもが小さい内は、岩にかじりついてでも長生きせんといけんよ!」と従姉妹にはっぱをかけました。本人も「わかっとる!」とやる気満々でした。すい臓がんの五年生存率に挑戦するかのように手術を何回もして、必死に頑張っていました。
彼女が亡くなった時、二人の子どもは高校生と中学生になっていました。
そして頑張る母親の背中を見ていて思うところもあったのか、学年でもトップクラスの成績をおさめていました。
お葬式での子ども達のしっかりとした挨拶や振舞いを見て、涙が溢れましたが、ラクーは心の中で従姉妹に「よくやったね、ご苦労さん」と声をかけたのです。
リノの場合、出生時のアプガースコアが0ということは一度は死んでいたということですし、拾い物の余生を今、生きているわけです。
リノが今後、酷く苦しむようになったら、あちらに送ってやればいい。
その時がくるまでは本人の痛みをできるだけ取り除いて、家族全員で小さな幸せを積み重ねていけたらなと思っています。
リノのような症状の子たちには「三歳の壁」というのがあるそうですが、ラクーがブログで読ませて頂いた感じでは一歳半から二歳にかけての壁が最初にあるような気がします。
その壁に至るまでに、呼吸と栄養、そして排出の三本柱をしっかりと確立させて、できるだけ余力のある身体を作っていく必要があるような気がします。
脳のシナプスを繋ぐには「繰り返し」が一番効果があります。何度も繰り返すことによって、その情報が自分にとって必要なものだと脳が判断していくのです。
最初は細い繋がりだったものが段々と太くなり、高速で情報伝達ができるようになります。
小道→一般道→県道→国道→高速道路
というイメージで、5%だけ残ったリノの脳細胞を、10%、いえいえ20%ぐらいまでフル活用する能力へと育てていけたらなという野望を持っています。(笑)
脳細胞が活動するようになったら、点とうてんかんとかウェスト症候群とかいった「てんかん」の発作が起きてくるのかもしれません。
そのことを先輩ママたちのブログから知った時にはがっくりと膝をつきましたが、今はもう開き直っています。
先のことを心配していても仕方がないのです。とにかく目の前にあることを一つずつ片付けながら、その中に喜びを見い出していくしかありません。
こうなったからには、ラクーは全力でリノに付き合いますよ! (`・ω・´)ゞ
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる