かみのこHigh school!

空姫流めると

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転校生の××

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 千春がリムジンでご飯を食べていると。やはり周りの目がリムジンに向く。そして、ヤクザではなく、どこかのお嬢様が乗っているのかと勘違いする輩がいたりする。まあ、一種のお嬢だけどね。
 千春が今まで通ってきた学校には、ヤクザに憧れてそうな不良っぽい人達がたくさんいた。その人達に逆らえる人はいなかったのだが、千春や、兄達の護衛や脅し的な何かもあって、学校中の頂点にいたのであった。しかし、その堅苦しい狭い環境に、千春はうんざりしていた。転校生という、嘘でも肩書きがあるものの、本当は学校なんか通ったことがなくて、通えても周りからの視線を感じる日々だった。

 高校には、ゴールデンウィーク明けに登校する予定で、まさに今日この日が明けた日(?)なのだ。そして、今千春は、教室の前にいる。上の階では、琥太が待機している。琥太の保護者が拓海で、あの後ご飯を食べてすぐ来たらしい。千春の保護者はお父様。かと思いきや、仕事で急用が入ったがために、仕事場に戻ってしまった。

 千春は先生らしき人と五分くらい話した後、教室に入っていった。
「今日は転校生を紹介するわね。ゴールデンウィーク明けで皆疲れてるでしょうけど、仲良くしなさいね。さあ、どうぞ。」
一瞬で全員が千春の方を向く。友達の方を向いては、可愛いとか、綺麗とか、そんな言葉を発している。やはり天の子なのだ。
「あ、えと、笹本千春です。仲良くしたいです。よろしくお願いします。」
そこで、一気に手が挙がった。先生何も言ってないよね?という表情かおできょとんとする千春。これは質問責めされる、そう察した。
「はい、笹本って苗字、ヤクザの?」
一番聞いて欲しくなかった質問。最初に聞かれると思った質問。本当は答えたくなかったけれど、答えないのも悪い気がしてしまって。
「そうです。その笹本です。」
教室内がガヤガヤとしていく。そして、その後に告げられた言葉は。
「笹本さん、大変な家庭で育ったのね。」
「私達で良ければ、仲良くしてね。」
今まで聞いたことない言葉。とても温かい、心のこもった言葉。嬉しさのあまり、泣き出す千春。
「ありがとう。では、改めてよろしくお願いします!」

 HRが終わったところで、千春の机の周りには、人が沢山集まった。
「千春ちゃん、ヤクザって、やっぱり怖いの?」
「う、ううん。本当はみんな、心優しいよ。今度家においでよ。」
「え、マジ?私も行きたいー!」
「私もー。」
高校生活が一つの楽しみになりそうだ。そう思った時だった。
「ヤクザ一家には関わんない方がいいんじゃない?怖いよぉ。」
こいつはどこかのお嬢っぽい人。財団がどうとか言ってるけど、笹本家に比べたら弱っちいものだ。
「やっぱり、西野にしの様もそう思いますか。ヤクザの娘と関わってもいい事なんてありませんの。行きましょう。」
「アンタらね、人の気持ちも考えられないの。馬っ鹿じゃない?西野、アンタさ、いつも思ってたけど自己中心的なんだよ。何が財団よ。ちっぽけな会社じゃない。振り回されるのはもう飽きた。みんなもそうよね。笹本さん、この人達には関わらないでおこう。」
クラスの八割方が彼女の味方についた。しかし千春は。
「ダメ。」
「ほら、笹本さんは私の言っていることが理解できますの。あなた方とは脳のつくりが違うことでして。」
「あなたもダメ。」
そう。千春は、どちらにもつかないつもりだ。
「みんなでそうやって、罪を擦り付けあっても、解決出来ないじゃん。私は、みんなの仲が良くなるまで、どちらにもつかないので。ヤクザだとか言いたい人は言っといて下さい。人の家の事情に首を突っ込む人もです。では。」
この瞬間、全員が千春の事をかっこいいと思った。

「こ、今回は私が幼稚な態度を取ってしまっので、私が謝ります。笹本さんが私側につくまでは。」
「ふん、上等。私は笹本さんとの好感度上げてやるから。」
結局みんな千春の事が大好きんですね、はい。

「千春ー。」
琥太の声が教室内に響く。
「お兄ちゃん!ご飯一緒に食べよ!」
「いや、あのさ、飯忘れた。」
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