サカサマ

桜乃みなも

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再来

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家に帰ると、何故かみなみがリビングにいて。
「理奈!夜中にごめんね。ちょっと、会って話がしたくて」
みなみがペコリと母に頭を下げてお辞儀をした。
「お母さん、どうしてみなみが?」
母はお茶を淹れながら笑顔で答える。
「みなみちゃん、理奈にお話があるそうよ。2階でも行って話したら?」
そう促されて私達は2階の私の部屋に向かう。
「お邪魔してます!」
みなみは元気よく挨拶すると、私と一緒に階段を上がってく。
部屋に着くと、みなみがドアをパタンと閉めて振り返った。
「ねぇ、今日賢太郎くんメールしてたでしょ?」
ドキッとした。どうしてみなみが知っているの?
「なんで…?」
ニヤリと笑うみなみが恐ろしくなった。
「だって、メールの相手はあたしだから」
え?なんでみなみと賢がメールしてるの?
「実はね、賢太郎くん…ふふっ、理奈と別れてあたしとー、付き合って欲しいんだって」
は?何だって??
不適に笑い、目の前にあったクマのぬいぐるみを抱き締めた。やめて、それは賢太郎から貰ったものなのに!
「さわらないで」
私はみなみから、ぬいぐるみを奪い取る。
「あれー?怒ってる?でも理奈は捨てられたんだよ?賢太郎くんメールで言ってたもん。理奈は重いって。気持ちが重たいからもう嫌だってあたしにこぼしてたの。知らなかった?」
ほら見て?と言わんばかりに、みなみはスマホを取り出して見せた。
そこには、確かに賢太郎のメールアドレスからみなみに宛てられたメールがあった。
そして「理奈の気持ちが重い、疲れた」と、書いてあった。
ドキドキしてしまった。嫌な胸のドキドキ。
こんなことってあるの?青木くんの時は、ただ単にみなみの方が好きだと言われてフラれてしまったけれど今回は違う。
弱味を握られた訳でもなく、みなみに惚れたという訳でもなく…私の気持ちが重いから。
…もう、だめだ。
「分かった?」
「な、んで…」
私はどうしてみなみが賢太郎のメールアドレスを知っているかだとか、何で親友の好きな人に手を出して横取りするのかとか、何もかもを問いただしたかった。
「そんなの、理奈があたしの好きな人にいつも守られてる、いつだって理奈がいちばん愛されてるからに決まってるでしょ!?」
そう吐き捨てて、みなみは私の部屋から出て行ってしまった。
玄関まで追いかけた所で、家族の誰かにぶつかった。
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