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どうして?
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初めてだった。好きな人と両思いになれた事も。
みなみに彼を取られなかった事も。
すべてが上手く行っていた。
あれから賢太郎とは恋人達が出かけるデートスポットに行ったり、些細な会話ひとつとっても嬉しくて幸せで、私は舞い上がっていた。
安心しきっていた。
でも、何処かで不安に思っていた。
みなみがまた何かをしてくるんじゃないかって。
そして、その予感は間もなく的中する事となる…。
「賢?何してるの?」
秋の深まる公園のベンチで、私たちは学校の帰り道で寄り道をしていた時の事だった。
うん?何だろう。スマホかな。
「ちょっと、友達からメール来てた。ごめん」
「そうなんだ」
珍しいな、と思った。
べつに束縛したい訳じゃないけど、賢太郎が私と居るときにスマホをいじったことなんてなかったから。
彼は友達が多くてクラスでも人気者だったから、その誰かからメールが来るのは当たり前だと思ったし。
嫉妬するつもりもなく、ただ私は隣に居てはいけない様な気がしたんだ。
「…もう暗くなってきたし帰る?」
気まずそうな表情になる。
お互い無言だ。
どうして何も言ってくれないの?
普段みたく「何でもねーよ」って笑ってくれないのはどうして?
答えが見つからず二人とも押し黙っている。
秋風が乾いた音を立てる。
「帰ろう」
賢太郎と繋いだ手が、この日は簡単に離れてしまった気がした。
今日は見送りもなくて、まだ彼はスマホを見ている。
どうして?考えの先にみなみの自信に満ちた笑顔が脳裏に浮かぶ。
怖い。
みなみに彼を取られなかった事も。
すべてが上手く行っていた。
あれから賢太郎とは恋人達が出かけるデートスポットに行ったり、些細な会話ひとつとっても嬉しくて幸せで、私は舞い上がっていた。
安心しきっていた。
でも、何処かで不安に思っていた。
みなみがまた何かをしてくるんじゃないかって。
そして、その予感は間もなく的中する事となる…。
「賢?何してるの?」
秋の深まる公園のベンチで、私たちは学校の帰り道で寄り道をしていた時の事だった。
うん?何だろう。スマホかな。
「ちょっと、友達からメール来てた。ごめん」
「そうなんだ」
珍しいな、と思った。
べつに束縛したい訳じゃないけど、賢太郎が私と居るときにスマホをいじったことなんてなかったから。
彼は友達が多くてクラスでも人気者だったから、その誰かからメールが来るのは当たり前だと思ったし。
嫉妬するつもりもなく、ただ私は隣に居てはいけない様な気がしたんだ。
「…もう暗くなってきたし帰る?」
気まずそうな表情になる。
お互い無言だ。
どうして何も言ってくれないの?
普段みたく「何でもねーよ」って笑ってくれないのはどうして?
答えが見つからず二人とも押し黙っている。
秋風が乾いた音を立てる。
「帰ろう」
賢太郎と繋いだ手が、この日は簡単に離れてしまった気がした。
今日は見送りもなくて、まだ彼はスマホを見ている。
どうして?考えの先にみなみの自信に満ちた笑顔が脳裏に浮かぶ。
怖い。
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