サカサマ

桜乃みなも

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奪う理由

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みなみは自宅に戻ると、部屋に飾った一枚の写真を眺めていた。
理奈に頼んであたしとトオルさんがツーショットで撮った写真…。
「トオルさん…何で理奈がっ」
そこまで言ってひとりで泣き崩れた。
勘違いだと願ってた。みなみはトオルが好きだった。小さな頃からずっと。
一目惚れだったけど、理奈と公園で遊んでいる時に転んでひざを擦りむいて泣いていたあたしを「大丈夫?」と言って絆創膏を貼ってくれた理奈のお兄ちゃんが好きだった。
後に理奈が打ち明けてくれた。
「トオルお兄ちゃんと私は、本当の兄妹じゃないの」
何気ない会話の流れで、理奈はそう言ったけれどあたしの心は複雑な思いでいっぱいになった。
思い込みだったらどれだけ良かったか。
知ってしまったからにはもうやるしかない。
そうなの?じゃあトオルさんは理奈の事を妹として大事にしてるの?
あたしは気になってそわそわして…トオルさんの後を追いかけた。
「ごめん、みなみちゃん…俺は理奈を妹としてだけじゃなくて」
「好きだ」
そう続けたトオルさんの瞳は真っ直ぐだった。
「だったら?」
みなみは強がってトオルに近づく。
「そんな恋、とっとと終わらせてあげる」
そして不敵に笑った。
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