無視されたので好きに生きていきます

高田 和奈

文字の大きさ
14 / 27

−14−

しおりを挟む
......

エマお姉様のお茶会に参加出来るお姉様方は、それだけで箔が付くので、良縁に恵まれて嫁いで行かれたり、新しいお姉様が参加されたりしている。
エマお姉様にとっても、このお茶会は人脈作りなんだろうなと察せられた。

「エリカちゃん、バーン家は今年、幼妻をデビューさせるってホントですの?」

支店長の部屋で、試作のお菓子をつまみながらマーガレットお姉様が聞いてくる。

「なんですって?今頃、エリカちゃんの可愛らしさに気づいたとでも言うんですの?」と、エマお姉様がすかさず聞いてくる。

お二人のお姉様は、ちょくちょく、ここで油を売っていらっしゃる。試作のお菓子やお茶会の評価をして下さる有難い方々だ。
お礼は新製品を一番にお届けということになっている。こちらとしては、インフルエンサーのお二人に真っ先にお渡しした時の効果が絶大なので、願ったり叶ったりなので、とっても有難い話である。

「黒バラ姫様が王家に私の事を話してくれた時、とりあえず、バーン家が私をデビューさせるつもりがないのか分かったら、黒バラ姫様の話に乗るって事になったみたいで」

それで、王家からバーン家にデビューしていない妻をデビューさせなさいって連絡が入ったのだ。
さすがに王家の意向を無視することは出来ず、すっかりエリカの事を忘れていたバーン家の面々は大慌てで物置小屋に駆けつけると、当然、そこはもぬけの殻。
勝手に実家に帰ったのだと文句を言いに乗り込んできたところ、食べ物も与えられず、何も無い物置小屋に放置しておいて、発見するのが遅かったら死んでいた。慰謝料を請求したいくらいだとお父様に言われて、エリカの安否確認もせず帰って行ったらしい。

「ホント、どうしようもない人達というか」

子爵家のしかも平民出の妻のデビューのことなんか王家が気にするわけなないのにね。何かあるって普通なら勘ぐるよね。ホントどうしようもない人達なんだからとため息が出る。

「そしたら、アン様が、私が代わりに出るとかって騒いだらしくって」
「「えつ!王家を騙すの?」」

二人同時に試作品に伸びていた手が止まる。

「まー、そこは常識があったというか」

エリカの事は重い病気のため実家で療養中のため妻は欠席するが、知り合いの男爵家の娘を連れていくみたいな返事を出して許可されたらしい。

「凄いわね。今シーズン最初の由緒ある王家の舞踏会に愛人って」
「そして本妻は上席からそれを眺めるのよ。茶番でしょ」

なんの罰ゲームだとため息を着いていると、お姉様方はふふふっと笑っている。この笑いが怖い。

社交界開催を宣言するもっとも重要な王家開催の舞踏会は、夫婦揃っての参加が決まりだ。あまりにも当たり前のことで、他の人と参加するなんて、誰も考えない。どんなに仮面夫婦であろうとも、この日ばかりは仲良がよさそうに参加するのだ。
そして、今年デビューする娘がいる家は、社交界へ参加する許可を王から得、また去年、婚約や結婚した人達は王への挨拶となるわけだ。

例外もある。デビューする歳の娘の後見を家格が上の者がする場合だ。それは、この娘が、後見の家にとって大切な人物であることを示すためのものだ。

つまり、人々にとって、カイお姉様の遠縁の娘という立場は、婚家に見捨てられた可哀想な幼妻を公爵夫人が見兼ねて後見になっていると案に示しているものだ。王姉の公爵夫人が後見ということは王家がそれを了承していることに他ならない。
そして、既に、事業成功し女実業家として渡り歩いているエリカの後ろに公爵夫人が居ても不思議ではないという評価でもあった。舞踏会で、大々的に公表することによって、若いくせにとか、女のくせにとかと侮られていたエリカの評判を塗り替えてもくれる。ああ、お父様とお兄様のニンマリ顔が目に浮かぶ。

しかし、アン様の場合は違う。エマお姉様やマーガレットお姉様達の布教活動?によりエリカが白い結婚をしていること、バーン家にアン様が愛人として本宅に居ることは暗黙の了解だった。知らないのは当の本人たちだけである。

「なんでもアン様はデビューしていなかったらしくて、私が王家から出席命令が届いたことが気に入らなかったらしくて、ごねたらしいの」

さすがに子爵夫妻は大反対したらしいのだが、したくない結婚をしたから、今の生活が出来ているんだという旗印と、家格が上の家が後見するのはOKという暗黙のルールを回曲した息子が押し通したらしい。

よく気位の高い子爵夫妻が、アン様を伴って出席するのを許したなー。と、驚いた。王家主催の舞踏会に愛人を伴うことの意味くらい子爵夫妻も理解出来るだろうにと不思議に思っていると

「そうそう、バーン家に初孫が生まれるかもっていう噂もあるわよ」
と、ニコニコしながらマーガレットお姉様が教えてくれた。

!!
それか、あの人達がアン様を認めた理由は!!
その情報は無かった。
新情報にびっくりするエリカ17歳だった。

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

私、お母様の言うとおりにお見合いをしただけですわ。

いさき遊雨
恋愛
お母様にお見合いの定石?を教わり、初めてのお見合いに臨んだ私にその方は言いました。 「僕には想い合う相手いる!」 初めてのお見合いのお相手には、真実に愛する人がいるそうです。 小説家になろうさまにも登録しています。

9年ぶりに再会した幼馴染に「幸せに暮らしています」と伝えたら、突然怒り出しました

柚木ゆず
恋愛
「あら!? もしかして貴方、アリアン!?」  かつてわたしは孤児院で暮らしていて、姉妹のように育ったソリーヌという大切な人がいました。そんなソリーヌは突然孤児院を去ってしまい行方が分からなくなっていたのですが、街に買い物に出かけた際に9年ぶりの再会を果たしたのでした。  もう会えないと思っていた人に出会えて、わたしは本当に嬉しかったのですが――。現状を聞かれたため「とても幸せに暮らしています」と伝えると、ソリーヌは激しく怒りだしてしまったのでした。

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

いざ離婚!と思ったらそもそも結婚していなかったですって!

ゆるぽ
恋愛
3年間夫婦としての実態が無ければ離婚できる国でようやく離婚できることになったフランシア。離婚手続きのために教会を訪れたところ、婚姻届けが提出されていなかったことを知る。そもそも結婚していなかったことで最低だった夫に復讐できることがわかって…/短めでさくっと読めるざまぁ物を目指してみました。

安息を求めた婚約破棄

あみにあ
恋愛
とある同窓の晴れ舞台の場で、突然に王子から婚約破棄を言い渡された。 そして新たな婚約者は私の妹。 衝撃的な事実に周りがざわめく中、二人が寄り添う姿を眺めながらに、私は一人小さくほくそ笑んだのだった。 そう全ては計画通り。 これで全てから解放される。 ……けれども事はそう上手くいかなくて。 そんな令嬢のとあるお話です。 ※なろうでも投稿しております。

処理中です...