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18話 久美と真花の会話
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「ねぇ、ママ!」
「どうしたの。まずは手を洗ってらっしゃい」
「学校の先生が探している手紙って……あれ、お姉ちゃんの部屋にあった『なおこちゃんの手紙』じゃないの⁉」
「そんなわけないでしょう? ほら。いまインフル流行ってるんだから。手を洗う」
「私、読んじゃったよ⁉」
「ママも読んだわよ?」
「私……、私、死んじゃうの⁉」
「何を言っているの。誰も死なないわよ。だいたい、新聞記事になったあの事件だって誰も死んでないわよ?」
「だってみんな学校に来てないって!」
「あのね。ママは説明会にも参加したの。ほら、PTAでいま書記をしているでしょう? だから出席して。いい席でちゃあんと校長先生や教育委員会のお話を聞きました。事件にかかわった子たちは、まだ入院したり、心が落ち着いてないから、学校に来てないだけよ」
「私……読んじゃったよ……?」
「真花、よく聞いて。大丈夫。さっき言ったでしょう? ママも読んだし、お姉ちゃんだって読んだの」
「お姉ちゃんは誰かに手紙を出したから大丈夫だったんじゃないの⁉ きっとあの事件の子たちに手紙を出し……」
「真花!」
「……っ」
「いい? 学校で絶対余計なことを言っちゃだめよ」
「で、ででも……私、見た……。読んだ」
「大丈夫だって言ってるでしょう?」
「……」
「そんなに心配なら、ママの知り合いに手紙を送るといいわ」
「ママの知り合い?」
「そう。内緒にしてたけど、実はもう相談してたの。手紙を写真に撮ってメール送信していたけど……。あの手紙をその人に渡しましょう。怖いのなら、真花が『なおこちゃんの手紙』をその人宛に書けばいいわ。ママが渡しに行くから」
「……でも、その人が呪われたりしない?」
「しないわよ。その人はプロフェッショナルなんだって」
「呪術師なの?」
「さあ、なんだかわからないけど、呪いとか怖い話に詳しいんだって。だからその人に5通分書いてあげなさい。ママが渡しておいてあげる」
「………その人の名前は?」
「なんでそんなこと聞くの? 真花の知らない人よ」
「ママ、嘘ついてるんでしょう。そうやって、私に手紙を書かせて捨てるんだ!」
「捨てないわよ! 本当にいるの、ママの友達で」
「だって会ったことないじゃん、私! ママの友達って吹奏楽関係でしょ⁉」
「ママが中学生の時のひとなの。伊勢涼子って言って、いまは本とか出してるんだって。でも検索しても出てこないから売れてないんでしょうね。ホラーの専門家なんだって」
「ホラーのせんもんか。いせ、りょうこ……」
「なんならしばっちに聞いてもいいわよ? 知ってるって言うわ。しばっちはわかるでしょ?」
「うん……。サックスのひと……」
「そう。しばっちの友達でもあるの。伊勢涼子」
「………」
「安心した?」
「……うん」
「だからその伊勢涼子に書けばいいわ」
「……いいの?」
「いいわよ。プロなんだから。どうにかしてくれるわ。さ、早く手を洗ってらっしゃい。そういえばお姉ちゃんは? 一緒に帰ってないの?」
「知らない。……ねぇ、ママ」
「なに?」
「お姉ちゃんには聞かないの? どうしてこの手紙をもらったの、って」
「お姉ちゃんが相談しに来るまで見守るつもりよ。ねぇ、真花。ママに約束して。学校の人や先生には絶対、お姉ちゃんの部屋から見つけた手紙のことを言わない。ね?」
「……うん」
「はい、じゃあこのお話はおしまい。あら、お姉ちゃんかしら。おかえり。いま、真花も帰ってきたところよ。というか、まだ一年生なんだから一緒に帰ってきてあげてよ」
「どうしたの。まずは手を洗ってらっしゃい」
「学校の先生が探している手紙って……あれ、お姉ちゃんの部屋にあった『なおこちゃんの手紙』じゃないの⁉」
「そんなわけないでしょう? ほら。いまインフル流行ってるんだから。手を洗う」
「私、読んじゃったよ⁉」
「ママも読んだわよ?」
「私……、私、死んじゃうの⁉」
「何を言っているの。誰も死なないわよ。だいたい、新聞記事になったあの事件だって誰も死んでないわよ?」
「だってみんな学校に来てないって!」
「あのね。ママは説明会にも参加したの。ほら、PTAでいま書記をしているでしょう? だから出席して。いい席でちゃあんと校長先生や教育委員会のお話を聞きました。事件にかかわった子たちは、まだ入院したり、心が落ち着いてないから、学校に来てないだけよ」
「私……読んじゃったよ……?」
「真花、よく聞いて。大丈夫。さっき言ったでしょう? ママも読んだし、お姉ちゃんだって読んだの」
「お姉ちゃんは誰かに手紙を出したから大丈夫だったんじゃないの⁉ きっとあの事件の子たちに手紙を出し……」
「真花!」
「……っ」
「いい? 学校で絶対余計なことを言っちゃだめよ」
「で、ででも……私、見た……。読んだ」
「大丈夫だって言ってるでしょう?」
「……」
「そんなに心配なら、ママの知り合いに手紙を送るといいわ」
「ママの知り合い?」
「そう。内緒にしてたけど、実はもう相談してたの。手紙を写真に撮ってメール送信していたけど……。あの手紙をその人に渡しましょう。怖いのなら、真花が『なおこちゃんの手紙』をその人宛に書けばいいわ。ママが渡しに行くから」
「……でも、その人が呪われたりしない?」
「しないわよ。その人はプロフェッショナルなんだって」
「呪術師なの?」
「さあ、なんだかわからないけど、呪いとか怖い話に詳しいんだって。だからその人に5通分書いてあげなさい。ママが渡しておいてあげる」
「………その人の名前は?」
「なんでそんなこと聞くの? 真花の知らない人よ」
「ママ、嘘ついてるんでしょう。そうやって、私に手紙を書かせて捨てるんだ!」
「捨てないわよ! 本当にいるの、ママの友達で」
「だって会ったことないじゃん、私! ママの友達って吹奏楽関係でしょ⁉」
「ママが中学生の時のひとなの。伊勢涼子って言って、いまは本とか出してるんだって。でも検索しても出てこないから売れてないんでしょうね。ホラーの専門家なんだって」
「ホラーのせんもんか。いせ、りょうこ……」
「なんならしばっちに聞いてもいいわよ? 知ってるって言うわ。しばっちはわかるでしょ?」
「うん……。サックスのひと……」
「そう。しばっちの友達でもあるの。伊勢涼子」
「………」
「安心した?」
「……うん」
「だからその伊勢涼子に書けばいいわ」
「……いいの?」
「いいわよ。プロなんだから。どうにかしてくれるわ。さ、早く手を洗ってらっしゃい。そういえばお姉ちゃんは? 一緒に帰ってないの?」
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