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47話 11月26日 到着した手紙より①
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多々良リョウ先生
はじめまして。カクヨムに掲載されている『怪談実話 本当にあった話を集めてみた』を読んでお手紙を書きました。
本当はⅩとか、ホムペとかに書き込もうかと思ったんですが、リョウ先生はお持ちでないようなので。
出版されているラノベを見たら「お手紙は編集部まで」と書いてあったので、ダメ元で手紙を出しています。
さて、今回ご連絡したのは『なおこちゃんの手紙』の件です。
リョウ先生は、なおこちゃんに会いましたか? もしいまから会うのであれば、伝言をお願いしたいんです。
ありがとう、って。
ぼくがなおこちゃんに会ったのは、平成13年でした。そのころぼくは小学3年生で、あの◎◎小学校に通っていました。
当時のぼくは毎日いじめられていて、あの日は学校の駐車場で死のうと考えていました。
なぜ駐車場かというと、相談したのになにもしてくれない担任の車がそこに停まっているからです。あいつのミラーにロープをかけて首をくくろうとおもっていました。
そのとき、なおこちゃんに出会ったんです。
「なわとび?」
なおこちゃんの第一声はいまでも忘れません。彼女はロープをなわとびだと思って、一緒にあそぼうと誘ってきたのです。
ぼくの手からロープを奪い、ぴょんぴょんと飛び始めたのを見て、ぼくは大笑いをしました。
そのあと、無性に悲しくなって大泣きしていると、なおこちゃんが慰めてくれました。
彼女の手はとても冷たかったけど、とてもやさしかった。
「学校、行かないの?」
なおこちゃんが言うので、いじめられていることや、いま、死のうとしていたことを伝えました。
なおこちゃんは黙って聞いてくれた後、短パンのポケットから、しわくちゃの手紙を出してくれました。
「これをそのいじわるなやつらに渡すといいよ。なおこちゃん、会いにいけるんだ」
まるでヒーローのように胸をそびやかしたなおこちゃん。でも、そのあと少しだけ不安そうな顔をして付け足しました。
「その子の家にお父さんがいないときだけだけどね」
彼女から受け取った手紙。
それが、『なおこちゃんの手紙』でした。
リョウ先生が掲載されていた手紙は不十分でしたよね? まあ、掲載にあたりちゃんと書けなかったのかな、とは思いますが。
ぼくが覚えているのは、「かくれんぼするぞ」のあとに、『実際に◎◎小学校の・・・さんは手紙を出さなかったので、なおこちゃんに見つかり、別の世界に連れて行かれました。』というようなものが続いたんじゃないでしょうか。
なおこちゃんは、ぼくが手紙を読んでいる間に消えてしまいました。
ぼくはそのあと、その手紙を出しました。ぼくをいじめるやつらに。
ちょうどバレンタインデーが近かったため、彼らは女子からの手紙と勘違いして読みました。
そして「こんな卑怯なものを出すのはお前だろう」とぼくは追及されましたが、「知らない」と言い張りました。
「ぼく以外にも君ら、恨まれているんじゃないか」と。
途端に彼らは疑心暗鬼になり、ぼくを疑わなくなりました。
彼らはすぐにおかしな言動をはじめ、心配をした両親たちによって病院に連れて行かれました。その後、転校したり、私立を受験したりしてぼくの人生とは関わらなくなりました。
『なおこちゃんの手紙』は、ぼく以外誰も出さなかったようです。
ぼくをいじめたあいつら。
あいつらは、『こんなのを出すなんて卑怯者のすることだ』と言っていたので誰にも出さなかったのだと思います。だから、「なおこちゃんの手紙」は広がらなかった。
ぼくがいま、こうやって生活できているのは、なおこちゃんのおかげです。
地元の中学に行き、高校に進学し、大学を卒業し。
希望の職種で職に就き、恋愛して結婚し、来年こどもが生まれます。
リョウ先生、もしなおこちゃんがいたら、「あのときはありがとう」と伝えてください。
心残りなのは、あのとき「パン食べる?」と勧められたのに断ってしまったことです。
なおこちゃんの好きそうなパンを今度は買ってお供えしたいです。
もし彼女の情報をなにかお持ちでしたら教えていただければ幸いです。
それでは。
リョウ先生の今後のご活躍をお祈りするとともに。
名村隼人
はじめまして。カクヨムに掲載されている『怪談実話 本当にあった話を集めてみた』を読んでお手紙を書きました。
本当はⅩとか、ホムペとかに書き込もうかと思ったんですが、リョウ先生はお持ちでないようなので。
出版されているラノベを見たら「お手紙は編集部まで」と書いてあったので、ダメ元で手紙を出しています。
さて、今回ご連絡したのは『なおこちゃんの手紙』の件です。
リョウ先生は、なおこちゃんに会いましたか? もしいまから会うのであれば、伝言をお願いしたいんです。
ありがとう、って。
ぼくがなおこちゃんに会ったのは、平成13年でした。そのころぼくは小学3年生で、あの◎◎小学校に通っていました。
当時のぼくは毎日いじめられていて、あの日は学校の駐車場で死のうと考えていました。
なぜ駐車場かというと、相談したのになにもしてくれない担任の車がそこに停まっているからです。あいつのミラーにロープをかけて首をくくろうとおもっていました。
そのとき、なおこちゃんに出会ったんです。
「なわとび?」
なおこちゃんの第一声はいまでも忘れません。彼女はロープをなわとびだと思って、一緒にあそぼうと誘ってきたのです。
ぼくの手からロープを奪い、ぴょんぴょんと飛び始めたのを見て、ぼくは大笑いをしました。
そのあと、無性に悲しくなって大泣きしていると、なおこちゃんが慰めてくれました。
彼女の手はとても冷たかったけど、とてもやさしかった。
「学校、行かないの?」
なおこちゃんが言うので、いじめられていることや、いま、死のうとしていたことを伝えました。
なおこちゃんは黙って聞いてくれた後、短パンのポケットから、しわくちゃの手紙を出してくれました。
「これをそのいじわるなやつらに渡すといいよ。なおこちゃん、会いにいけるんだ」
まるでヒーローのように胸をそびやかしたなおこちゃん。でも、そのあと少しだけ不安そうな顔をして付け足しました。
「その子の家にお父さんがいないときだけだけどね」
彼女から受け取った手紙。
それが、『なおこちゃんの手紙』でした。
リョウ先生が掲載されていた手紙は不十分でしたよね? まあ、掲載にあたりちゃんと書けなかったのかな、とは思いますが。
ぼくが覚えているのは、「かくれんぼするぞ」のあとに、『実際に◎◎小学校の・・・さんは手紙を出さなかったので、なおこちゃんに見つかり、別の世界に連れて行かれました。』というようなものが続いたんじゃないでしょうか。
なおこちゃんは、ぼくが手紙を読んでいる間に消えてしまいました。
ぼくはそのあと、その手紙を出しました。ぼくをいじめるやつらに。
ちょうどバレンタインデーが近かったため、彼らは女子からの手紙と勘違いして読みました。
そして「こんな卑怯なものを出すのはお前だろう」とぼくは追及されましたが、「知らない」と言い張りました。
「ぼく以外にも君ら、恨まれているんじゃないか」と。
途端に彼らは疑心暗鬼になり、ぼくを疑わなくなりました。
彼らはすぐにおかしな言動をはじめ、心配をした両親たちによって病院に連れて行かれました。その後、転校したり、私立を受験したりしてぼくの人生とは関わらなくなりました。
『なおこちゃんの手紙』は、ぼく以外誰も出さなかったようです。
ぼくをいじめたあいつら。
あいつらは、『こんなのを出すなんて卑怯者のすることだ』と言っていたので誰にも出さなかったのだと思います。だから、「なおこちゃんの手紙」は広がらなかった。
ぼくがいま、こうやって生活できているのは、なおこちゃんのおかげです。
地元の中学に行き、高校に進学し、大学を卒業し。
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リョウ先生、もしなおこちゃんがいたら、「あのときはありがとう」と伝えてください。
心残りなのは、あのとき「パン食べる?」と勧められたのに断ってしまったことです。
なおこちゃんの好きそうなパンを今度は買ってお供えしたいです。
もし彼女の情報をなにかお持ちでしたら教えていただければ幸いです。
それでは。
リョウ先生の今後のご活躍をお祈りするとともに。
名村隼人
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