ただの友人だったはずなのに思春期とは恐ろしいものです

ちなみ

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敏感な三角耳

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 新学期。窓の外を見ると、ピンク色の散る景色が見える。散ってしまう花びらに悲しい気持ちがほんのりとやってくる。
 学校のチャイムと共にその気持ちを振り払い前を向くと、丁度隣の人がやってきたようで椅子を引きながら「おはよう、零」と声をかけてくる。
 呼ばれた青年、零は鼻をスンと鳴らしてそっぽを向く。
「別に、人間と仲良くする趣味はないし」
 零の頭には大きな三角耳とおしりにはモフモフの尻尾があった。
 近年、と言っても数百年前。突如現れた獣人なる種類は世界を大きく騒がせた。
 獣人は年々数を増やし今は人口の半数が獣人になっている。獣人の中にも種類はあり、猫や犬などの親しみやすい動物から爬虫類なんて種類もいるらしい。
 昔は差別もあったが、こうやって獣人が普通に学校に通えるほどにはかなり落ち着いた。
「ご機嫌ななめ?」
 隣の男、颯太はクラスメイトになってから話しかけてくるようになった変な男だ。
「お前が話しかけてくるからな」
「その割には揺れてるよ。尻尾」
 颯太はニコニコしながら零の尻尾を指さす。
 そういうことは先に言え!
 零は急いで自身の尻尾を抱きしめる。抱きしめた腕の中で尻尾がくすぐったそうに暴れていて、尻尾の伸びる尾てい骨はまだまだ振り足りないよぉと振動しているがそんなのは関係ない。後ろで颯太が「あら残念」などと言ってるのも聞こえてないことにする。
 颯太はなにやら考える素振りをしたあと、ガシ! と零の尻尾を掴んだ。
「ヒッ!」
 シビビビと背中に電気が流れるような感覚になる。咄嗟に颯太の尻尾を掴む手を叩き落としてしまった。
「じゅ、獣人の尻尾は敏感だって知らないの」
 零は涙目である。それもそうだろう、自分が一生懸命綺麗に毛繕いしている尻尾、半身であり敏感でデリケートなそこを無作為に掴まれたのだ。泣きたくもなる。むしろ怒鳴らなかっただけマシだ。
「知らなかった」
 颯太は目をぱちくりとまん丸くして驚いていた。本当に知らなかったらしい。
「ごめんね」
 素直に謝る颯太に面を食らう。零はてっきり「ごめんごめん笑」と軽く謝られると思っていたから。
「うぅ……」
 許してあげたいけど、許したくない。
 だってこいつは俺の尻尾を……でも謝ってくれたし……。
 ぐるぐると考える。
「許してくれないの?」
 下から顔を覗くように聞かれる。そうなると颯太は自然と上目遣いになり、零はこちらを見つめる瞳に狼狽える。
 正直な話、許したくはない。
 零にとって尻尾は大切なものだ。自慢でもあるし相棒でもある。でも。
「……ゆる、す」
 颯太の目が潤んでるように見えて、なんだか可哀想だと思ったのだ。零は大きな三角耳をペタンと倒して許すことにした。
「つ、次はねーからな!」
 ビシ! と颯太を指さす零。颯太はふわりと心底嬉しそうに。
「うん。ありがとう」
 と笑うのだった。
「っ」
 なんでそんな嬉しそうに笑うんだ。なんだか負けた気分になり、零はぷいと前を向きなおした。

 放課後になって、ようやく勉強が終わったとカバンを持つ零の隣にはさも当然のように颯太がいた。
「なんでいるの」
「帰り道、途中まで一緒だから」
 零は何が楽しいのかニコニコと笑っている。
 こいつは基本こうだ。見ればだいたい笑っていることが多い。
「先に帰ってればいいでしょ」
 突き放すように言えば颯太は「えー?」なんて軽々返してくる。
「帰り道一人だと危ないよ?」
 こてんと首を傾げる姿に零は本気で言っているのかこいつ、と驚いた。
「おれは男だぞ。なにが危ないんだ」
「カラス」
 カラス。それは時に犬をも襲う獰猛な生き物。
「ってそれは本物の犬の話だろ! 動物と一緒にするな!」
「ありゃ」
 しまった、という顔をする颯太に零は呆れてため息をつく。本気でそう思っていたらしい。
「お前、馬鹿だろ」
「えへ」
「褒めてない!」
 颯太はまた笑う。何が楽しいのか零にはさっぱりわからないが、楽しそうな分にはいいかと思うことにした。
 帰り道を二人並んで歩く。獣人と人間で並んで歩くなんて変な感じだと零は思う。でもそれを嫌だとは思わないから不思議だ。
「そういえばさ」
 ふと思い出したかのように颯太が言うので、零もそちらを向く。
「なに」
「さっき尻尾掴んだ時に獣人の耳と尻尾が敏感だって言ってたけど」
 零はこくりと頷く。確かにそう言った。でもそれがなんだというのか。
「それってつまり、性感帯ってこと?」
 そんな颯太の言葉に零は思わず飛び上がった。そして慌てて距離をとる。
 こいつは何を言い出すんだ!
 颯太はそんな零を見てやっぱりと一人納得していた。
「おまっ! お前!」
 顔を赤くする零に颯太はニコニコと笑うばかりである。
「今までも、だから嫌がってたんだね」
 零は図星をつかれて言葉をなくす。それだけではないが、それも理由の一つだ。否定しようにも、事実であるからして否定する要素はなかった。
 颯太がこちらに近寄ってくる。それを後ずさって逃げるが、すぐに壁に当たってしまった。
颯太の手が壁につき、零は檻に囚われたような気持ちになる。なんだか変な感じだった。
 そんな零の気持ちを知ってか知らずか、颯太は気にせず話し出す。
「獣人の尻尾とか耳って性感帯なんでしょ?」
「そっ! そうだって言ってるだろ! だから今朝もっ!」
 颯太の顔が近付く。零は思わず目をつぶってしまった。
「今も敏感?」
 耳元で囁くように聞かれる。吐息が耳にあたってくすぐったいし、なんだか変な気持ちになってくるからやめてほしい。
「おまっ」
「ねぇ、教えてよ」
 ねっとりと耳に舌が這う。思わず声が出そうになって慌てて口を塞いだ。
 なんだこの雰囲気。
「ん、ぅ……」
 ぴちゃりと水音がする度に体が震える。耳を舐められているだけなのにどうしてこんなに気持ちいいのだろう。
「ねぇ」
「んぁっ!」
 耳を甘噛みされて、思わず声が出てしまった。慌てて口を塞ぐが、颯太はニヤニヤと笑っている。
「やっぱり敏感なんだ」
 零は顔を赤くする。なんだか負けた気分になったのだ。だから、つい。
「……試してみれば?」
 なんてことを言ってしまったのだった。



「んっ……ふっ……」
 ぴちゃりと水音が部屋に響く。ベッドに横になる零の尻尾を颯太が舐めていて、その刺激がたまらなく気持ちいい。
「やっぱり敏感だね」
 颯太の視線の先は零の股間だった。そこを隠すように尻尾を丸めているが、そこにはテントが張られていた。
「んぁっ!」
 ズボンの上からすりすりと擦られるとたまらない刺激が走る。思わず腰が浮き上がった。
そんな反応に満足したのか颯太はそのままやわやわと揉み続ける。
 どうしてこうなったんだろう。
「んんっ……ふっ……あぅ……」
 声を抑えるように手で口を塞いでいるためかくぐもった声が漏れる。それがまた颯太の興奮を煽るようで、手の動きは徐々に激しくなっていく。
「んっ! んんーっ!」
 ズボンの上から先端をぐりっと押されると零の体がビクビクと震えた。でも気持ちいいからいいや。零はそのまま快感に抗うことなく達してしまった。
 颯太が手を離すとぐったりとベッドに体を沈める。そんな零に覆い被さるように颯太は顔を近付けた。
「ねぇ、零」
「……なに」
 まだ息が整っておらず少し掠れた声で答えると、颯太は少し言いづらそうに口を開いた。
「僕、もう我慢できないんだけど……」
 そう言って視線を下に向ける。彼のテントもなかなか立派に立っていた。
「無理。トイレ貸すからひとりでシて」
 そう言って零は体を起こす。早くトイレに行かせて寝たいのが本音だ。
 それに男同士でスるとなると当然後ろを使うことになる。それは零としても勘弁してほしかった。
 しかし颯太はそんな零の手を掴み、再びベッドに押し倒す。そしてそのまま覆いかぶさった。
「颯太?」
 戸惑う零を無視して颯太はその唇を塞いだ。驚きで開いた口に舌を差し込み好き勝手に蹂躙する。舌を絡めたり吸ったりしてやればどんどんと力が抜けていくのがわかった。
 そっと口を離すと二人の間を銀糸が繋ぐ。それが途切れる頃にはすっかり蕩けた顔になっていた。
「んっ……なに、するんだよ」
「僕も気持ちよくなりたい。零は耳と尻尾だけでいっぱいだったみたいだけど僕はまだ満足してないよ」
 颯太の真剣な目に見つめられて何も言えなくなってしまう。確かに一方的に触っていただけだし、颯太はまだ一回も達していない。それに関しては申し訳なく思うがそれとこれとは話が別だ。そう思っているうちにカチャカチャとベルトを外す音が聞こえる。ズボンを下着ごと引き下ろされ、零は慌てて手で隠した。
「おま! おまっ!」
 混乱している零に颯太は低い声で言う。
「素股だけだから、ごめんね」
「素股?」
 聞きなれない言葉に首を傾げると、颯太は零の足を開かせる。そしてその間に自身のものを差し込んだ。
「え、あ」
「動くね」
 そう言ってゆっくりと腰を動かす。零のものを裏筋に当てるようにして何度も抜き差しを繰り返す。その度に零のものから溢れた先走りがぐちゅりと音を立てた。
「んっ……あっ……」
 なにこれ。なにこれ。なにこれ!
 もの同士が擦れて気持ちいい。ひとりでは絶対に知れない快感だった。
 颯太の動きが次第に速くなるにつれて二人の息遣いも荒くなる。そして限界を迎えたのはほぼ同時だった。二人分の精液が腹に飛び散り、零は思わず目を瞑る。
「っう」
「はー……気持ちよかった……」
 颯太が離れる気配がしてそっと目を開ければ満足そうな颯太の顔が見えた。
「……満足した?」
「うん」
「じゃあもう帰って」
 零はベッドから降り、ティッシュで腹の上の精液を拭き取りながら言う。
「え、でもまだ僕満足してない……」
 そんな颯太の言葉に零はため息をつく。さっき満足したと言っていたろうにこの男は。
 正直もうダルいし一歩も動きたくない。だけど、まあ……。
 零は少し考えてから口を開いた。
「素股ならいいよ」
 その言葉に颯太の目が輝くのがわかったが、気付かないふりをして続ける。
「ただし! 尻尾と耳は触るなよ!」
 そう言って再びベッドに横になった。そんな零に覆い被さるようにして颯太が近付く。
「わかった」
 そう言って再び動き始める。まだ敏感な尻尾と耳を触られないようにぎゅっと握りながら、零はこれから与えられる刺激を想像し体を震わせたのだった。
「んぁっ! あっ、あっ!」
 ぐちゅぐちゅと水音が響く。颯太のものが出入りする度に中が擦れて気持ちいい。
 素股ならいいとは言ったものの、これはこれでなかなか恥ずかしいものだった。
「んっ……はぁ……」
 颯太も興奮しているのか息が荒い。それがまた妙に色っぽくてドキドキする。
 そんなことを考えていたら不意に尻尾を掴まれた。
「んぁっ!
 」思わず声が出てしまい慌てて口を塞ぐが、颯太はニヤリと笑ってさらに強く握ってくる。
「んんっ……ふっ……あっ……」
「気持ちいい? 零」
 耳元で囁かれて背筋がぞくぞくする。それに答えるようにこくこくと首を振れば満足そうに笑った。
 そしてそのまま耳を舐められる。ぴちゃりと音が直接脳に響いているようで頭がおかしくなりそうだと思った。
「んっ! んんっ!」
 そんな零のことなどお構いなしに耳を舐め続ける。触っちゃダメだって言ったのに! と心の中で悪態をつくが、それを口に出したところでやめてもらえるとは思えないしそもそもそんな余裕もない。
「んっ! んんっ!」
 もうイくという時になってようやく解放される。肩で息をしていると颯太は零の尻尾を撫でながは耳元で囁くように言った。
「次は耳も触っていい?」
 その言葉に零は「絶対やだ」と心の中で叫んだのだった。



 零は頭を悩ませていた。
 それは隣の席の人間、颯太のことだ。ちょっと意地になって言い返してしまったら売り言葉に買い言葉。なぜか性感帯でもある尻尾と三角耳を触られることになった。そして案の定零はあんあん喘いだし未遂だが、危ないところまで行った。本当に危なかった。
 もう二度と尻尾には触らせない。そう決意したね。
「おはよ~」
 来た! この軽~い声は颯太だ。零はビシッと耳を尖らせて身を固める。絶対に触らせないぞ、という意思表示である。
「おはよう零。昨日はごめんね、今日は絶対触らないから」
 いつも通りのニコニコ顔で近づいてきた男に耳が勝手に動く。ピルピルとまるで媚びてみるみたいだ。
「……おはよう」
 恥ずかしい。
「ん? どうしたの?」
 そんな零の心情など知らずに颯太が聞いてくる。
「なんでもない!」とだけ答えて、さっさと席に着いた。
「あ、そうだ」
 席に座った瞬間声をかけられる。嫌な予感しかしないが無視するわけにもいかないので仕方なく振り返った。
「なに」
「尻尾触らない代わりに耳触ってもいい?」
 は? 思わず耳を疑った。こいつ今なんて言った?
「いや、だから……」
「ダメに決まってんだろ!!」
 いや、ほんと何言ってるんだこいつは!?
 昨日あれだけ触っておいてまだ触り足りないのか!?
「そっかあ、流石にだめか。ごめんね」
 颯太は謝って自分の席に座った。あっさりと引いて行ったあいつに零は唇を尖らせる。これは無意識的な行動だ。唇をむいむいと動かして零は考える。
 なんだか颯太のやつにいつも振り回されている気がする。
 ……たまにはおれが振り回してやりたい。ギャフンと言わせて参ったと降参させるんだ。
しかし、一体いつ……
「零」
 颯太に名を呼ばれる。顔を横に向ければいつも通りのニコニコ笑顔で座っている。いや、いつもより、ほんの少しだけ困ったような顔をしているか。
「耳、動いてるけどどうかしたの?」
「!」
 このワガママ三角耳はまたも勝手に動いてたらしい。どうしても颯太の近くだと尻尾や耳が動いてしかたない。
 獣人は獣の耳と別に、人間の耳もある場合がある。零はどちらもある四つ耳獣人だ。
 流石に人間の丸い耳が動くことは無いが三角耳の可動域は広い。そして獣人特有の尻尾や耳が動くのは本能と関係がある。
 本当は零だって知っている。自分の本能と颯太の相性がいいことくらい。だから颯太の近くにいると耳が勝手に動いてしまう。わかってる。わかってるさ。
 でも、本能なんかに負けたくないと思うのが男心というやつなのだ。
「別に」
 今日も零は耳を隠す。
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