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Day33‐⑪ リヴァンコ
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「誰だお前は」
開口一番のイオタの挑発に一瞬身を震わせるスーツェーだが、すぐに平常心を取り戻した。
「もう挑発に乗るか。あの若白髪に、情けで生き返らせて貰ったのさ。お前を殺す為にな」
「私を殺したら自殺するのか? それとも私に殺されるか?」
「そんな心配はすんな。大体、俺はお前よりずっと強い」
「ほ~。私は自分より強いヤツが相手だからと言って、手加減はせんぞ」
「ん?」
半笑いになるスーツェーだが、特に何を言うでもない。言ったのは勇示である。
『下んねー事ばっか言ってねーでサッサと戦えってェェ! 話が進まねーんだよォォ!』
「大声出すなよ、ションベン我慢してんだからよお」
『だったら早いトコ終わらせろォォ! ったく、この馬鹿は……』
「ヘ~イ」
イオタはバッグの中を探って軍手を取り出し、手に嵌める。そして再び武器を床に放った。
「拳法のプロに合わせてやる。これでお前の勝率は上がった。しかし良いのか? プロが素人に勝とうが負けようが、良い笑い種だぜ。まして殺し合いではな」
イオタは両腕を広げ、瞬時にスーツェーとの距離を詰めた。
「おっ! 速い!」
スーツェーはイオタの右ストレートをイナし、腰を沈めて腹に肘を入れる。イオタが怯んで前のめりになった所へ掌底突きのアッパーを繰り出す。が、イオタは左手でそれを受け止め、右手でスーツェーの髪を掴むと、鼻先に膝を見舞った。
スーツェーは鼻血の出る鼻を押さえつつ、後退する。
「ブッヒッヒ。可燃性操作も、直接触れなきゃ怖くない。それに軍艦の中では元々無理だしな。ナナナナナ」
「心配性だな。殴り殺すだけだから使う必要がねーよ」
スーツェーはユラりと接近し、イオタの蹴りを避けると沈んで足払いし、イオタが宙に舞った瞬間、脇腹を蹴る。蹴り飛ばされて床を転がり、仰向けになった所に、宙返りして遠心力を乗せた踵落としを腹に決める。
お互い、床を転がって間合いを離し、立ち上がる。
イオタは軽く腹を押さえた。
「ゴフ……。確かに少しはやるな」
「よく言うぜ、ゴムタイヤみてーにガチガチな体しやがって」
「チンポゥコゥはもっと固いぞ」
「全身、それ位固くしてやるよ。死後硬直でな」
―――――
その頃、カールは仲間の安否確認をしていた。
「おい、大丈夫か!?」
「ああ……、ちょっと脳震盪を起こしただけみたいだ」
「デイブレイクはどこだ?」
「デイブレイクさんなら、あの戦艦の上に。甲板の高さが、この階と殆ど同じだったから」
カールの問いに、床の裂け目に立つホワイトは、やや下の方を指差す。
そこでは、イオタとスーツェーが一進一退の殴り合いを演じていた。テクニックの面でイオタが押され気味だが、唯一地肌を晒している頭への攻撃は全て見切っていて、受け止めるか回避している。
「あいつは! デイブレイクが殺した筈の……!」
「トワイライト? ですっけ……。が生き返らせたそうで。リベンジさせる為に」
その時、ウーキャンが後退し、出航を始めた。
「ち、仕方無い! 俺も行く!」
カールは、割れた床が甲板にもたれて滑り台の様になっている箇所を滑り降り、二人の戦闘に躍り出た。
「デイブレイク、しゃがめ!」
「遅いぜ!」
カールは突撃銃を構えるが、スーツェーが拳銃を撃つのが先だった。
「ぐっ……!」
カールは弾がかすった肩を気にしながら物陰に隠れる。
対するスーツェーはカールの方を見ずに片手撃ちで威嚇射撃をしながら格闘を続ける。
「軍人は軍人らしく、ビクビクと隠れていろ」
「コイツは私が始末する! すぐ追い付くから他の奴を頼む!」
イオタはスーツェーの腕を掴んで振り回し、壁に叩き付けようとするが、スーツェーは壁に足を着いて受け身を取り、壁を蹴った勢いを込めてイオタの額に頭突きをした。
「く……」
イオタは一瞬フラつき、片膝を突いた。
「トドメだ!」
スーツェーはすかさず拳銃を突き付け、トリガーを引く。
「パンッ……!」と言うクラッカーに似た銃声が響き、銃創から血が吹き出した。スーツェーの腹部から。
イオタは引き金を引かれるタイミングを見計らい、スーツェーの手を捻って銃口をスーツェーに向けていたのだ。
「うっぐ……!」
スーツェーが呻き始めてから終わるまでの一瞬で、その首は後ろにねじ曲げられていた。
イオタは拳銃を奪い取ると、スーツェーの後頭部に銃を向けた。
「トドメ! トドメ! トドメ! トドメっつってんじゃあないのさ!」
「トドメ」の一言につき一発、合計4発を頭に撃ち込まれたスーツェーは、今度は断末魔も上げられずに倒れ、絶命した。
「ようカール! 待たせたな!」
「お、おう……」
カールは戸惑いながら軽く手を挙げた。
開口一番のイオタの挑発に一瞬身を震わせるスーツェーだが、すぐに平常心を取り戻した。
「もう挑発に乗るか。あの若白髪に、情けで生き返らせて貰ったのさ。お前を殺す為にな」
「私を殺したら自殺するのか? それとも私に殺されるか?」
「そんな心配はすんな。大体、俺はお前よりずっと強い」
「ほ~。私は自分より強いヤツが相手だからと言って、手加減はせんぞ」
「ん?」
半笑いになるスーツェーだが、特に何を言うでもない。言ったのは勇示である。
『下んねー事ばっか言ってねーでサッサと戦えってェェ! 話が進まねーんだよォォ!』
「大声出すなよ、ションベン我慢してんだからよお」
『だったら早いトコ終わらせろォォ! ったく、この馬鹿は……』
「ヘ~イ」
イオタはバッグの中を探って軍手を取り出し、手に嵌める。そして再び武器を床に放った。
「拳法のプロに合わせてやる。これでお前の勝率は上がった。しかし良いのか? プロが素人に勝とうが負けようが、良い笑い種だぜ。まして殺し合いではな」
イオタは両腕を広げ、瞬時にスーツェーとの距離を詰めた。
「おっ! 速い!」
スーツェーはイオタの右ストレートをイナし、腰を沈めて腹に肘を入れる。イオタが怯んで前のめりになった所へ掌底突きのアッパーを繰り出す。が、イオタは左手でそれを受け止め、右手でスーツェーの髪を掴むと、鼻先に膝を見舞った。
スーツェーは鼻血の出る鼻を押さえつつ、後退する。
「ブッヒッヒ。可燃性操作も、直接触れなきゃ怖くない。それに軍艦の中では元々無理だしな。ナナナナナ」
「心配性だな。殴り殺すだけだから使う必要がねーよ」
スーツェーはユラりと接近し、イオタの蹴りを避けると沈んで足払いし、イオタが宙に舞った瞬間、脇腹を蹴る。蹴り飛ばされて床を転がり、仰向けになった所に、宙返りして遠心力を乗せた踵落としを腹に決める。
お互い、床を転がって間合いを離し、立ち上がる。
イオタは軽く腹を押さえた。
「ゴフ……。確かに少しはやるな」
「よく言うぜ、ゴムタイヤみてーにガチガチな体しやがって」
「チンポゥコゥはもっと固いぞ」
「全身、それ位固くしてやるよ。死後硬直でな」
―――――
その頃、カールは仲間の安否確認をしていた。
「おい、大丈夫か!?」
「ああ……、ちょっと脳震盪を起こしただけみたいだ」
「デイブレイクはどこだ?」
「デイブレイクさんなら、あの戦艦の上に。甲板の高さが、この階と殆ど同じだったから」
カールの問いに、床の裂け目に立つホワイトは、やや下の方を指差す。
そこでは、イオタとスーツェーが一進一退の殴り合いを演じていた。テクニックの面でイオタが押され気味だが、唯一地肌を晒している頭への攻撃は全て見切っていて、受け止めるか回避している。
「あいつは! デイブレイクが殺した筈の……!」
「トワイライト? ですっけ……。が生き返らせたそうで。リベンジさせる為に」
その時、ウーキャンが後退し、出航を始めた。
「ち、仕方無い! 俺も行く!」
カールは、割れた床が甲板にもたれて滑り台の様になっている箇所を滑り降り、二人の戦闘に躍り出た。
「デイブレイク、しゃがめ!」
「遅いぜ!」
カールは突撃銃を構えるが、スーツェーが拳銃を撃つのが先だった。
「ぐっ……!」
カールは弾がかすった肩を気にしながら物陰に隠れる。
対するスーツェーはカールの方を見ずに片手撃ちで威嚇射撃をしながら格闘を続ける。
「軍人は軍人らしく、ビクビクと隠れていろ」
「コイツは私が始末する! すぐ追い付くから他の奴を頼む!」
イオタはスーツェーの腕を掴んで振り回し、壁に叩き付けようとするが、スーツェーは壁に足を着いて受け身を取り、壁を蹴った勢いを込めてイオタの額に頭突きをした。
「く……」
イオタは一瞬フラつき、片膝を突いた。
「トドメだ!」
スーツェーはすかさず拳銃を突き付け、トリガーを引く。
「パンッ……!」と言うクラッカーに似た銃声が響き、銃創から血が吹き出した。スーツェーの腹部から。
イオタは引き金を引かれるタイミングを見計らい、スーツェーの手を捻って銃口をスーツェーに向けていたのだ。
「うっぐ……!」
スーツェーが呻き始めてから終わるまでの一瞬で、その首は後ろにねじ曲げられていた。
イオタは拳銃を奪い取ると、スーツェーの後頭部に銃を向けた。
「トドメ! トドメ! トドメ! トドメっつってんじゃあないのさ!」
「トドメ」の一言につき一発、合計4発を頭に撃ち込まれたスーツェーは、今度は断末魔も上げられずに倒れ、絶命した。
「ようカール! 待たせたな!」
「お、おう……」
カールは戸惑いながら軽く手を挙げた。
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