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第一章 弘樹,転生す
第八話 やっと魔窟攻略が始まった件
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「おかしいです。ここは館の中だったはずなのに」
霧が晴れると辺りには墓が並んでいた。そう,墓地である。
「おい。ここって,墓地だよな」
「ええ,そのようですね」
~サイド 永井弘樹~
弘樹がスライムと戦い,強くなるためにダンジョンを下ることを決めてから一週間がたった。その間も弘樹は戦い,下り続けてきた。ある時は牛の魔物と,ある時は虫の魔物と。そして,弘樹は思った。敵,よっわ,と。
なーなー。俺ってだいぶ深くまで潜ってきたよな。
「はい。マスターはだいぶ潜られました」
一つ聞いていいか。
「はい,構いませんが」
じゃあ聞くけどよ,何で魔物が全然強くならないんだよ。
そうなのである。俺は前に階層を下がることを決意してからすごい階層をさがったのだ。だが一向にレベルが上がらない。正直に言うと敵の魔物が弱すぎるのだ。どれも一発攻撃を当ててしまえばやられてしまった。それに経験値も全然入ってない。まったく,これはモチベがもたないな。
そう思いながら弘樹は出てきた狼を瞬殺する。どうやらここら辺の魔物では弘樹の気を引くこともできないようだ。
俺が百階層降りて,上がってレベルはたったの3か。これは本格的にどうにかしないとまずいな。このままだと進化するのに何年かかるかわからない。あと進化するのには37レベルか。これは骨が折れるな。
「マスター,それにこのダンジョン,なかなか深いようですし,もっと潜っていけばより効率の良い狩場があるかと。それに何度も言いますが,ここら辺のモンスターは決して弱くありません。むしろもしここら辺のモンスターが地上に溢れたら地上はモンスターの楽園になってしまいますよ」
はー。君もお世辞を言うのがうまいね。まあ,そのおかげで今までやる気が続いたんだし,今もちょっと頑張ってみようと思えたからダメとは言えないんだけどね。
「はぁあ。お世辞,ですか⋯⋯」
よし,もうちょっと頑張ろう!
そして少しだけやる気を取り戻した俺はまた魔窟を攻略するのだった。
余談だが,鑑定の言っていたことは決してお世辞などではなく,れっきとした事実である。このことに弘樹が気付くのはだいぶ後になりそうだが。
◇
ここら辺の魔物もだいぶ強くなってきたな。やったぜ。
「そうですね。炎の海では一発で倒せない魔物が出てきましたね」
いま,弘樹たちがいるのは弘樹が魔窟攻略飽きた発言からだいたい五十階層下に進んだところである。
いやぁ,ここまで長かったな。だがその疲れもここまで。ここからは本当のダンジョン攻略だ。なんせ火の海で倒れない魔物が出てきたんだからな。
「そうですね。大幅な時間のロスです。それにここら辺の魔物は強さのわりに経験値が少ないので効率も悪い」
まったく,鑑定は分かってないな。ダンジョン攻略っていうのは自分の体でしてなんぼだろ。今までは全部火の海任せだったから,その場に出現した魔物としか戦闘してなかったけど,これからはもっとたくさんの魔物と戦えるんだぞ。
「そうですね。ところでなんでそんなにはしゃいでいるのですか」
まあ,いつか鑑定もこの気持ちがわかるよ。このドラ〇エを適正レベルで攻略するような感じ,最高じゃないか。今まではLv99でスタートしていた感じだったけどこれからは違うぞ。
「は,はぁ」
つまり今までも魔窟攻略は邪道。ここからが本当の攻略だ。
「よっしゃあ。ガンガン攻略していくぜ」
「全く,人間というのは分かりません。なぜこんなに無駄なことを楽しめるのか」
「ん? 何か言ったか」
弘樹は難聴主人公である。
ここからは魔窟攻略をはしゃぐ弘樹とともにダイジェストでお送りする。
一~十階層まで(弘樹がはしゃいだ階層をゼロとする)
永遠に続くかのような砂の地獄。吹きすさむ砂の嵐。沈まぬ太陽はこの灼熱の大地を照らし続ける。そう,砂漠である。そんな地獄の中を一人の,いや一体のトカゲが爆走していた。
「やべーー」
「ですね」
ここは何なんだ。地面がすごく熱いぞ。絶対これ地球の砂漠よりもきついでしょ。ほんとにこのダンジョンではなんでもありかよ。て,鑑定さん,この暑さどうにかならない?
「マスター,このダメージ,炎耐性でもなくなりません。あと前にアリジゴクです」
「まじかい」
ここに住む魔物はただ一種。その名もアリジゴク(仮)。生態は日本のアリジゴクと変わらないがその巣の規模がすさまじく,一キロもの範囲の巣穴を持つ。つまりそれはその範囲に入ればつかまってしまうということであり,すなわち死を意味する。
「これ,ド〇クエよりハードだよ」
そんな弘樹の声は砂の嵐によってかき消された。
弘樹は十階層分走り続けた。
十一~二十階層まで
俺さあ,こういうの,無理なんだよね。鑑定さん,どうよ。
「(無)」
ねえ,鑑定さん? ここでだんまりとか一番怖いよ。ねぇ。
そう,ここは砂漠を抜けた階層。砂漠の熱さを相殺するかのようにここの気温は常に低い。そう,ここはアンデットたちが住む根城。
そして,俺は見事九階層分踏破し,残るは一階層になった。そして今弘樹の目の前には大きな洋館が建っている。
これはお化け屋敷ていう感じかな。ていうかここ,見るからにやばいでしょ。ほんと帰りたい。もともと俺お化け屋敷とか苦手なんだよ。だけど今までの攻略階層からしてここを攻略すれば違うステージになるよな。
「ソウデスネ」
よし,ここを急いで攻略するぞ。一気に行けば怖くない。って鑑定さん,さっきから思ってるけどもしかして怖いのかな?
「まさか,そんなわけは。マスターこそこの階層に来てから動きが鈍いですよ」
そ,そ,そ,そんなことはないかな。
お察しの通り,ここは魔物というより怖がらせに来ている階層。そしてその効果は二人にとって効果抜群であった。
ギィ。ドアが勝手に開いた。
「ひぃ」
なんで。え,何が起こったん。今ドア開いたよな。気のせい? 気のせいなん。
「マスター,怖がりすぎです。ただ勝手にドアが開いただけじゃにゃいですか」
は! 鑑定さんが怖がっている。しかも噛んでるし。これはレアなチャンスだ。だけど俺もそんなことを楽しんでいる余裕がない!
「なんか今良からぬことを考えられた気がするのですが」
そして俺たちは洋館に入った。
俺は全力で洋館の中を歩き回る。
どこだ,どこに通路はあるんだ。早く,速く,はやくでてこいや。
だが俺の努力むなしく通路はなかなか出てこない。
これで,残るは最初に入った場所のすぐ横にある部屋だけだな。そこにあるに違いない。だけど俺運悪いな。最後の最後まで通路は見るからないなんて。
そして俺は最初の扉があるエントランスまで戻ってきた。だがそこには一人の男が立っていた。
「ひぃぃ」
思わず声が出てしまう。でもしょうがないよね。怖いんだもん。だけどあの男は誰だ。さっきまでは居なかったのに。ひとまず話しかけてみるか。
「あ,あの」
「ふっふっふ。この館に来客なんて何年ぶりでしょう。これは盛大にもてなさなくてはいけませんねぇ」
そんな声が聞こえるといきなり霧が辺りを覆い始める。
これは霧? おかしいぞ。今まで洋館にいたから霧なんて出てくるはずはないのに。だとしたらこれは魔法か。
霧が晴れると辺りには墓が並んでいた。そう,墓地である。
おい。ここって,墓地だよな。
「ええ,そのようですね」
すると上から声が響いてくる。
「かかったな,トカゲ」
「だれだっ」
「わが名はアークバンパイア。この階層をすべるものなり。久しぶりの来客がトカゲというのは嘆かわしいが,せいぜい遊んでいくしよう」
そういうとアークバンパイアは弘樹の前に姿を現した。そして弘樹によって真っ二つになった。
「また,つまらぬものを切ってしまった」
「何馬鹿なことを行ってるんですか。それより,霧が晴れませんね」
そしてまた声が聞こえてくる。
「フハハハハハ。そこは我の固有結界の中。故にそこは我にとって都合のいいことしか起きんのだよ」
「マスター,あいつの言っていることは本当みたいです。ここではあいつは死にませんし,私たちも本来の力が出ません」
「なんだって」
そう,それが固有結界である。それは自分に都合のいいことしか起きさせない結界。作るのは難しいが一度かかってしまうと,使用者とかなりの実力差が無いと抜け出せない,恐ろしい結界である。
なるほど。これは厄介だな。でも俺とは最高に相性がいい。これなら勝てる。
「どうしたのですか,マスター」
なあ,鑑定さん。俺の種族,何魔法が得意か知ってるかい。
「炎ですよね。それがどうしましたか」
物は捉えようさ。この魔法は何かを燃やすことが得意な魔法。つまり,この固有結界だろうと,燃やせるのさ。
「つまり,この霧の固有結界は俺の魔法で燃やせる!」
俺はつい口に出てしまった。
「いきなり何をとち狂ったかと思えば,そのような暴論,できるはずがなかろう」
あ,声が外に出てた。これは恥ずかしい。だけど,それも目撃者を消してしまえばいいのだよ。
「はー。次元燃脚ディメンジョン・バース」
俺がそういうと霧に火が付いた。そしてその火はどんどん霧を,空間を燃やしていく。
「マスター,そんなことしてもって,嘘? 固有結界が燃えてる。いや,空間が燃やされている?」
「ば,ばかな。そんなはずはない。そんな暴論が通るなどーー」
そして,霧が晴れた。そしてそこには元通りの洋館があった。ただ一つ違うのは扉から入ってすぐのエントランスにバンパイアが倒れていることだろうか。
ふ。ぬかったな。これが俺の戦い方さ。そしてあのバンパイアには俺がとどめを刺してやろう。てか,俺すごい悪役だな。ラスボス急だぞ。
倒れているバンパイアに俺が近づく。
「終わりだ,バンパイア」
俺がそう言って尻尾で打つとバンパイアは魔素に戻った。
「マスター,感動の展開の中悪いのですが,通路を見つけないとこの階層から抜け出せませんよ」
「そうだー。忘れてた」
その後,弘樹は近くの部屋に階段を見つけて無事下の階へ行くことができるのであった。
霧が晴れると辺りには墓が並んでいた。そう,墓地である。
「おい。ここって,墓地だよな」
「ええ,そのようですね」
~サイド 永井弘樹~
弘樹がスライムと戦い,強くなるためにダンジョンを下ることを決めてから一週間がたった。その間も弘樹は戦い,下り続けてきた。ある時は牛の魔物と,ある時は虫の魔物と。そして,弘樹は思った。敵,よっわ,と。
なーなー。俺ってだいぶ深くまで潜ってきたよな。
「はい。マスターはだいぶ潜られました」
一つ聞いていいか。
「はい,構いませんが」
じゃあ聞くけどよ,何で魔物が全然強くならないんだよ。
そうなのである。俺は前に階層を下がることを決意してからすごい階層をさがったのだ。だが一向にレベルが上がらない。正直に言うと敵の魔物が弱すぎるのだ。どれも一発攻撃を当ててしまえばやられてしまった。それに経験値も全然入ってない。まったく,これはモチベがもたないな。
そう思いながら弘樹は出てきた狼を瞬殺する。どうやらここら辺の魔物では弘樹の気を引くこともできないようだ。
俺が百階層降りて,上がってレベルはたったの3か。これは本格的にどうにかしないとまずいな。このままだと進化するのに何年かかるかわからない。あと進化するのには37レベルか。これは骨が折れるな。
「マスター,それにこのダンジョン,なかなか深いようですし,もっと潜っていけばより効率の良い狩場があるかと。それに何度も言いますが,ここら辺のモンスターは決して弱くありません。むしろもしここら辺のモンスターが地上に溢れたら地上はモンスターの楽園になってしまいますよ」
はー。君もお世辞を言うのがうまいね。まあ,そのおかげで今までやる気が続いたんだし,今もちょっと頑張ってみようと思えたからダメとは言えないんだけどね。
「はぁあ。お世辞,ですか⋯⋯」
よし,もうちょっと頑張ろう!
そして少しだけやる気を取り戻した俺はまた魔窟を攻略するのだった。
余談だが,鑑定の言っていたことは決してお世辞などではなく,れっきとした事実である。このことに弘樹が気付くのはだいぶ後になりそうだが。
◇
ここら辺の魔物もだいぶ強くなってきたな。やったぜ。
「そうですね。炎の海では一発で倒せない魔物が出てきましたね」
いま,弘樹たちがいるのは弘樹が魔窟攻略飽きた発言からだいたい五十階層下に進んだところである。
いやぁ,ここまで長かったな。だがその疲れもここまで。ここからは本当のダンジョン攻略だ。なんせ火の海で倒れない魔物が出てきたんだからな。
「そうですね。大幅な時間のロスです。それにここら辺の魔物は強さのわりに経験値が少ないので効率も悪い」
まったく,鑑定は分かってないな。ダンジョン攻略っていうのは自分の体でしてなんぼだろ。今までは全部火の海任せだったから,その場に出現した魔物としか戦闘してなかったけど,これからはもっとたくさんの魔物と戦えるんだぞ。
「そうですね。ところでなんでそんなにはしゃいでいるのですか」
まあ,いつか鑑定もこの気持ちがわかるよ。このドラ〇エを適正レベルで攻略するような感じ,最高じゃないか。今まではLv99でスタートしていた感じだったけどこれからは違うぞ。
「は,はぁ」
つまり今までも魔窟攻略は邪道。ここからが本当の攻略だ。
「よっしゃあ。ガンガン攻略していくぜ」
「全く,人間というのは分かりません。なぜこんなに無駄なことを楽しめるのか」
「ん? 何か言ったか」
弘樹は難聴主人公である。
ここからは魔窟攻略をはしゃぐ弘樹とともにダイジェストでお送りする。
一~十階層まで(弘樹がはしゃいだ階層をゼロとする)
永遠に続くかのような砂の地獄。吹きすさむ砂の嵐。沈まぬ太陽はこの灼熱の大地を照らし続ける。そう,砂漠である。そんな地獄の中を一人の,いや一体のトカゲが爆走していた。
「やべーー」
「ですね」
ここは何なんだ。地面がすごく熱いぞ。絶対これ地球の砂漠よりもきついでしょ。ほんとにこのダンジョンではなんでもありかよ。て,鑑定さん,この暑さどうにかならない?
「マスター,このダメージ,炎耐性でもなくなりません。あと前にアリジゴクです」
「まじかい」
ここに住む魔物はただ一種。その名もアリジゴク(仮)。生態は日本のアリジゴクと変わらないがその巣の規模がすさまじく,一キロもの範囲の巣穴を持つ。つまりそれはその範囲に入ればつかまってしまうということであり,すなわち死を意味する。
「これ,ド〇クエよりハードだよ」
そんな弘樹の声は砂の嵐によってかき消された。
弘樹は十階層分走り続けた。
十一~二十階層まで
俺さあ,こういうの,無理なんだよね。鑑定さん,どうよ。
「(無)」
ねえ,鑑定さん? ここでだんまりとか一番怖いよ。ねぇ。
そう,ここは砂漠を抜けた階層。砂漠の熱さを相殺するかのようにここの気温は常に低い。そう,ここはアンデットたちが住む根城。
そして,俺は見事九階層分踏破し,残るは一階層になった。そして今弘樹の目の前には大きな洋館が建っている。
これはお化け屋敷ていう感じかな。ていうかここ,見るからにやばいでしょ。ほんと帰りたい。もともと俺お化け屋敷とか苦手なんだよ。だけど今までの攻略階層からしてここを攻略すれば違うステージになるよな。
「ソウデスネ」
よし,ここを急いで攻略するぞ。一気に行けば怖くない。って鑑定さん,さっきから思ってるけどもしかして怖いのかな?
「まさか,そんなわけは。マスターこそこの階層に来てから動きが鈍いですよ」
そ,そ,そ,そんなことはないかな。
お察しの通り,ここは魔物というより怖がらせに来ている階層。そしてその効果は二人にとって効果抜群であった。
ギィ。ドアが勝手に開いた。
「ひぃ」
なんで。え,何が起こったん。今ドア開いたよな。気のせい? 気のせいなん。
「マスター,怖がりすぎです。ただ勝手にドアが開いただけじゃにゃいですか」
は! 鑑定さんが怖がっている。しかも噛んでるし。これはレアなチャンスだ。だけど俺もそんなことを楽しんでいる余裕がない!
「なんか今良からぬことを考えられた気がするのですが」
そして俺たちは洋館に入った。
俺は全力で洋館の中を歩き回る。
どこだ,どこに通路はあるんだ。早く,速く,はやくでてこいや。
だが俺の努力むなしく通路はなかなか出てこない。
これで,残るは最初に入った場所のすぐ横にある部屋だけだな。そこにあるに違いない。だけど俺運悪いな。最後の最後まで通路は見るからないなんて。
そして俺は最初の扉があるエントランスまで戻ってきた。だがそこには一人の男が立っていた。
「ひぃぃ」
思わず声が出てしまう。でもしょうがないよね。怖いんだもん。だけどあの男は誰だ。さっきまでは居なかったのに。ひとまず話しかけてみるか。
「あ,あの」
「ふっふっふ。この館に来客なんて何年ぶりでしょう。これは盛大にもてなさなくてはいけませんねぇ」
そんな声が聞こえるといきなり霧が辺りを覆い始める。
これは霧? おかしいぞ。今まで洋館にいたから霧なんて出てくるはずはないのに。だとしたらこれは魔法か。
霧が晴れると辺りには墓が並んでいた。そう,墓地である。
おい。ここって,墓地だよな。
「ええ,そのようですね」
すると上から声が響いてくる。
「かかったな,トカゲ」
「だれだっ」
「わが名はアークバンパイア。この階層をすべるものなり。久しぶりの来客がトカゲというのは嘆かわしいが,せいぜい遊んでいくしよう」
そういうとアークバンパイアは弘樹の前に姿を現した。そして弘樹によって真っ二つになった。
「また,つまらぬものを切ってしまった」
「何馬鹿なことを行ってるんですか。それより,霧が晴れませんね」
そしてまた声が聞こえてくる。
「フハハハハハ。そこは我の固有結界の中。故にそこは我にとって都合のいいことしか起きんのだよ」
「マスター,あいつの言っていることは本当みたいです。ここではあいつは死にませんし,私たちも本来の力が出ません」
「なんだって」
そう,それが固有結界である。それは自分に都合のいいことしか起きさせない結界。作るのは難しいが一度かかってしまうと,使用者とかなりの実力差が無いと抜け出せない,恐ろしい結界である。
なるほど。これは厄介だな。でも俺とは最高に相性がいい。これなら勝てる。
「どうしたのですか,マスター」
なあ,鑑定さん。俺の種族,何魔法が得意か知ってるかい。
「炎ですよね。それがどうしましたか」
物は捉えようさ。この魔法は何かを燃やすことが得意な魔法。つまり,この固有結界だろうと,燃やせるのさ。
「つまり,この霧の固有結界は俺の魔法で燃やせる!」
俺はつい口に出てしまった。
「いきなり何をとち狂ったかと思えば,そのような暴論,できるはずがなかろう」
あ,声が外に出てた。これは恥ずかしい。だけど,それも目撃者を消してしまえばいいのだよ。
「はー。次元燃脚ディメンジョン・バース」
俺がそういうと霧に火が付いた。そしてその火はどんどん霧を,空間を燃やしていく。
「マスター,そんなことしてもって,嘘? 固有結界が燃えてる。いや,空間が燃やされている?」
「ば,ばかな。そんなはずはない。そんな暴論が通るなどーー」
そして,霧が晴れた。そしてそこには元通りの洋館があった。ただ一つ違うのは扉から入ってすぐのエントランスにバンパイアが倒れていることだろうか。
ふ。ぬかったな。これが俺の戦い方さ。そしてあのバンパイアには俺がとどめを刺してやろう。てか,俺すごい悪役だな。ラスボス急だぞ。
倒れているバンパイアに俺が近づく。
「終わりだ,バンパイア」
俺がそう言って尻尾で打つとバンパイアは魔素に戻った。
「マスター,感動の展開の中悪いのですが,通路を見つけないとこの階層から抜け出せませんよ」
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