ある日,トカゲに転生~ダンジョン暮らしの少年は外の世界の強さが分からない~

ルー

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二章 人間での生活

第十四話 Bランク冒険者になった件

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「認めるよ,俺が悪かった」
ここはギルドのカウンターの前。そこでギルマスのガルムさんは俺に謝っていた。

 だがこの剣で俺も悪かったと思う。新人冒険者があんなに薬草を持ってきたらそれは疑ってもしょうがない。俺も正直に謝る。
「いや,それは俺のミスだ。君がそんなに強い優秀な冒険者だと気づけなかった」
「優秀な冒険者ですか。ありがとうございます。これからも頑張っていくのでよろしくお願いします」

 俺は素直にそう思った。冒険者というのまだわからないことだらけだ。この世界のこともあまり知らない。だけどこのガルムさんがいい人っだって言うことは知っている。
「おめえは,その,なんというか冒険者らしくないな」
ガルムさんが照れながら言う。おじさんのツンデレなんて誰得だよ。隣で受付嬢さんがガルムさんの脇腹をつんつんしている。どうやら仲がいいようだ。

「これ,約束のBランクカードだ」
そういうとガルムさんはBと書かれた冒険者証を俺に渡してきた。
「あ,ありがとうございます。これでかなりの数の依頼を受けれますね」
「そうだな。それに指名依頼や護衛依頼も来るぞ。これから忙しくなるな」
そういうとガルムさんはガハッハと笑った。
「ちょうどよかったです。どんどんランクを上げていきたいので」
「そうか。そりゃあいいことだ。がんばれ」

 さっきから話していて思うのだが何やらガルムさんの態度が違うように見える。きっと何かいいことがあったのだろう。それにしてもBランクか。これからどんどん強くなれるな。

(ですね。これは好都合です。討伐依頼をどんどんこなして強くなりましょう)
だな。

「それじゃあ俺はここらへんで失礼します」

「おいおい,お前酒場で飲んでいかないのか。みんなお前が来るのを待っているぞ」

「俺をですか」

「そうだ。なんていったって俺に勝ったんだからな」

「行きたいのはやまやまなんですが,実は手持ちの金が少なくて⋯⋯」

 そういうとガルムさんはガハッハと笑って

「そうか。そうだもんな。ちょっと前までEだもんな。盲点だったぞ」

そして酒場にむかって大声で

「おいお前ら。今日は全部俺のおごりだ。好きに飲め。好きに食え」
といった。すると当然冒険者たちは大はしゃぎした。

「マジすかーーー」
「よっしゃ。今日は飲みまくるぞ。おいウォル,お前俺に付き合え」
「断る。それよりギルマス,友達呼んでもいいですかー?」
「ああいいとも。呼べよべいくらでも呼べ。それと俺はガルムでいいぞ」
「「「ウォォォ」」」
「さ,これでお前も好きに飲めるな」
「もしかして俺のためにですか」
「違うな。俺のためにだ。たまにはバカ騒ぎしたかったんだよ」
「ガルムさん,ありがとうございます」
そういうと俺は酒場まで走っていく。その後ろをガルムさんが眺めている。

 弘樹の背中を見ながら,ガルムと先ほど脇腹をつついた受付譲さんが話していた。
「ギルマス,雰囲気変わりましたね」
「そうか」
「やっぱり,あの弘樹っていう冒険者のおかげですか」
「そうだな。なんていうか今まで俺は自分を作りすぎていたんだと思うな。これからは本性出していくぜ」
「そうですか。じゃあ私も本性出していいですか」
そういうと小悪魔のように笑う。
「ああ。お前はもう出している気もするが」
そういわれると受付譲さん,名前はミューはガルムの方へ向き直す。
「えっと,ガルムさん。ずっと前から好きでした」
「ん? 今なんて」
「ですから好きです。結婚を前提に付き合って下さい」
今日もエンラは活気に満ちている。まだまだ夜は更けそうになかった。
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