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第2話
9・バイト先の苦手な人(その8)
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呼ばれた時点で、嫌な予感はしていた。
けど、告げられた内容は、思っていた以上にクソなものだった。
「急で悪いんだけどさぁ、明日シフトに入ってくれない?」
いやいや、待ってくれ。
俺、今8連勤中なんですけど。
「すみません、俺、明日はちょっと用事が……」
「えーそれ大事な用事? バイトよりも?」
そう言われると、言葉に詰まる。だって、本当は用事なんて入っていない。ただ、さすがに明日は休みたかったってだけで。
「あの……明日って人いますよね?」
「いるけど、バイトリーダーがねぇ」
……は?
「明日バイトリーダーだった佐藤くん、急に来られなくなっちゃってさ。それでもまわせるにはまわせるんだけど、レジ管理と売上報告できる子がいないんだよねぇ」
その日の売上報告を行うのは、店長か社員だ。ただ、ふたりとも店舗に来ない日もあるので、その場合はバイトリーダーが行うことになっている。
「それにバイトリーダーがいないと、お店をまわすの大変だよねぇ。特に夜のシフトは新人がふたりも入っているし」
いや、こういうときこそ社員の出番じゃねーの? 社員が、ヘルプとバックヤード業務を引き受けるものなんじゃねーの?
そう言いたいところだけど、口にはできない。目の前のこの人は、バックヤード業務はともかく、レジやドリンクのヘルプには絶対に入らないからだ。
「あーあ、明日の子たち大変だなぁ。バイトリーダーできる子たちが誰も来てくれないなんて、何かあったらどうするのかなぁ。ちゃんと終電までに帰れるのかなぁ」
ねっとりとした坂沼さんの口調に、腹が立たないはずがない。
けれど、指摘していることも事実だ。特に夜のシフトには、バイトリーダークラスの誰かが入らないと、大変なことになるだろう。
「いいっす、俺が入ります」
渋々そう言うと、坂沼さんは「さっすがぁ」と楽しそうに笑った。
「ほんと頼りになるよねぇ、若井くんって。俺とは違って優秀だもんねぇ」
うるせぇ、思ってもいないことを口にするな。
腹の中で悪態をつきながら、俺はマグカップを傾けた。自分好みにいれたカフェラテは、すっかり冷めておいしさが半減してしまっていた。
けど、告げられた内容は、思っていた以上にクソなものだった。
「急で悪いんだけどさぁ、明日シフトに入ってくれない?」
いやいや、待ってくれ。
俺、今8連勤中なんですけど。
「すみません、俺、明日はちょっと用事が……」
「えーそれ大事な用事? バイトよりも?」
そう言われると、言葉に詰まる。だって、本当は用事なんて入っていない。ただ、さすがに明日は休みたかったってだけで。
「あの……明日って人いますよね?」
「いるけど、バイトリーダーがねぇ」
……は?
「明日バイトリーダーだった佐藤くん、急に来られなくなっちゃってさ。それでもまわせるにはまわせるんだけど、レジ管理と売上報告できる子がいないんだよねぇ」
その日の売上報告を行うのは、店長か社員だ。ただ、ふたりとも店舗に来ない日もあるので、その場合はバイトリーダーが行うことになっている。
「それにバイトリーダーがいないと、お店をまわすの大変だよねぇ。特に夜のシフトは新人がふたりも入っているし」
いや、こういうときこそ社員の出番じゃねーの? 社員が、ヘルプとバックヤード業務を引き受けるものなんじゃねーの?
そう言いたいところだけど、口にはできない。目の前のこの人は、バックヤード業務はともかく、レジやドリンクのヘルプには絶対に入らないからだ。
「あーあ、明日の子たち大変だなぁ。バイトリーダーできる子たちが誰も来てくれないなんて、何かあったらどうするのかなぁ。ちゃんと終電までに帰れるのかなぁ」
ねっとりとした坂沼さんの口調に、腹が立たないはずがない。
けれど、指摘していることも事実だ。特に夜のシフトには、バイトリーダークラスの誰かが入らないと、大変なことになるだろう。
「いいっす、俺が入ります」
渋々そう言うと、坂沼さんは「さっすがぁ」と楽しそうに笑った。
「ほんと頼りになるよねぇ、若井くんって。俺とは違って優秀だもんねぇ」
うるせぇ、思ってもいないことを口にするな。
腹の中で悪態をつきながら、俺はマグカップを傾けた。自分好みにいれたカフェラテは、すっかり冷めておいしさが半減してしまっていた。
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