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5章 迷宮
5章ー1:迷宮で生き抜く極意と、【虹の御柱】
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迷宮への潜行を本格的に開始した命彦達は、精霊付与魔法《旋風の纏い》による魔法力場を纏い、廃墟の屋上を跳ね飛んで、荒れた道路へは降りず、夕焼け空の下を時速60kmを超える人外の速度で駆け抜けていた。
荒れてはいてもまだ歩きやすい道路を使わずに、ひたすら移動しにくい廃墟の上を屋上伝いに移動する命彦達。
足場が崩れて少し走る体勢を崩した舞子が、ヒヤリとしつつ口を開いた。
「おっとと……あ、あの、この廃墟の屋上をこうして走って跳ぶ意味は?」
「移動距離の短縮よ。道路の上を走ってたら、崩れた建物とか障害物を避ける必要があるから、目的地に着くまでの総移動距離が増えるでしょ? かと言って魔法でずっと飛行してたら、今度は魔力の過剰消費で目的地へ着く前に気絶する可能性があるわ。じゃあ間を取って、障害物の上を跳んで走りましょうってね?」
メイアが崩れた箇所を避けて、舞子の前をひょいひょい跳び走る。
「廃墟の上を移動するんはもう1つ、敵性型魔獣との不意の遭遇回避の意味もある。地上におったら餌を探しとる魔獣らと、どこでカチ遭うか分からん。第1迷宮域は他の迷宮域と比べて魔獣の生息率が低いけど、魔獣が全くおらんわけやあらへん。地下に地上に空、三方から敵性型魔獣に襲撃される可能性は当然ある」
「でも、こうして廃墟の上を移動してれば、地上と地下を移動する魔獣はある程度無視できるだろう? 僕らだけで移動してれば、幾らでも地上を走って出て来る敵性型魔獣を片っ端から討伐してもいいんだけど、今は舞子がいるからね。念には念を入れて、魔獣との遭遇を極力避けられる高所地帯を通ってるのさ」
勇子と空太も、メイアに負けず劣らず余裕の表情で廃墟の上を走り跳ぶ。
確かに距離のある建物の間を跳ぶ時以外は、ほとんど魔法力場で風を起こしておらず、飛行する場合と比べて魔力消費は抑えられているし、最短距離で目的地を目指せる上に、魔獣との遭遇も今のところ回避できていた。
舞子にとっては思うところもあるが、新人魔法士を抱えた魔法士小隊にとっては、最適の移動方法である。
悔しそうに唇を噛み、やや遅れて3人の後を追う舞子を見て、勇子が口を開く。
「ウチ的には命彦とミサヤが2重で探査魔法を使ってるから、地上を移動してても魔獣との遭遇を結構回避できると思うねんけど、探査魔法の裏をかく魔獣も一応おるからね? 用心は必要や。そう悔しがらんでも、舞子が魔獣と戦闘経験をようけ積んだら、普段通りに地上を移動して出て来る魔獣を狩るつもりやから、今だけやと思っとき」
「はい! ……それにしても驚きです。皆さんは《旋風の纏い》を全員が使えるんですね? 空太さんも使ってて、びっくりしました」
勇子の気遣いに笑顔を浮かべた舞子が、自分の数歩先を行く空太に声をかけると、空太が1番前を跳び走る命彦を見て言う。
「そりゃあこの小隊にいたら必要だからね? 僕も命彦に修得しろって言われて、勇子が探査魔法の修得でヒイヒイ言ってる頃に、僕は僕で付与魔法の修得でヒイヒイ言ってたのさ」
「空太の場合はホンマにヒイヒイ言っとったもんね?」
「そりゃそうだよ? 最低限の体力作りもさせられたんだよ、僕は? 走り込みとか腕立て伏せとか、本当にしんどかったよ。僕、運動系全般苦手だし。でもまあそのおかげで、同期の〔精霊使い〕より断然動けるし、第1迷宮域ぐらいだったら、1人でもどうにか行動できるけどね?」
「空太さんって戦闘型の、しかも後衛系の魔法士ですよね? 第1迷宮域ぐらいは1人で行動できるって……普通は探査型の魔法士の言葉ですよ」
「そう言われても、ウチらの小隊って命彦に特訓されとるせいで、全員が単独でも第1迷宮域やったらそこそこ活動できるで? 小隊に入ったばっかの頃はともかく、メイアも今は1人で活動できるし」
「まあ多少はね? ただ精神的には1人での迷宮探索は遠慮したいわ」
暢気に語る勇子達の言葉に絶句する舞子。会話に参加せず、悠々と先頭を跳び走る命彦に、舞子の視線は吸い寄せられた。
通常、迷宮内を単独で動けるのは、魔獣の接近を察知できる探査型の学科魔法士のみであり、非探査型の魔法士である小隊員全員が、第1迷宮域限定とはいえ、迷宮内を1人でうろつけるというのは異例であった。
小隊員一人一人が、探査型魔法士の魔法技能や専門的知識・技能を、必要最低限は持っている、ということを意味するからである。
自分と同年代でそれだけの力を持つ勇子達に驚くのは勿論だが、特訓でそれだけの力を勇子達に身に付けさせた命彦に対して、舞子はより驚きを感じた。
さすがは勇子達の師匠たる〔忍者〕と言うべきか。崩れた場所を的確に避けて、足取りも軽く移動し、風に舞うように命彦はシュタタッと移動する。
舞子の視線に気付いたのか、会話を聞くばかりだった命彦が舞子へ言った。
「魔法学科は、限られた期間内に魔獣に匹敵する力を持った魔法士を作るべく考え出された、魔法士の型だ。必然、特定の魔法分野に特化することで、その分野に限って魔獣と比肩し、凌駕できるように修得する魔法や知識が設定され、学習課程に組み込まれている。しかし迷宮の、それもより深部で生き残るためには、それだけじゃ足りねえ。型以上の力が必要だ」
「型以上の力、ですか?」
『ええ。自分のできることを増やし、あらゆる能力を高める必要があるということです。戦闘能力は勿論のこと、魔獣をより早く見付ける探査能力や、必要物を自ら作り出す生産能力も必要。迷宮の深部に入れば入るほど、頻繁に魔獣と命のやり取りをしますからね? 生き残るためには自分のできることを増やすしかありません』
ミサヤの《思念の声》に、勇子が続いた。
「実際、戦闘型の学科魔法士で長いこと第1線で活躍しとる人らは、修了しとる魔法学科が1つでも、複数の魔法学科を修了しとるって思うほど、自分の魔法学科以外の知識や技能を持っとる人が多い」
「後衛系の魔法士のくせに付与魔法を使えたり、前衛系の魔法士のくせに探査型や生産型魔法士の知識・技能を持ってたり、とかね? 無論、実際に複数の魔法学科を修了してる人も多くいるわ」
「戦闘型の魔法士以外でも、自分の修了した魔法学科以上の、型以上の力を求めて、手に入れてる人らもおる。一定以上の力を持った魔法士は、今の世界で安心して生き残るために、自ずと型以上の力が必要やと気付くんやろね? 当然専門と専門外の魔法やと、どうしても魔法の練度に差が出るから、それ専門の他の魔法士と比べると専門外の魔法には多少の粗があったりするけど……」
「それでも魔法士としてできることが多い方が、今の世界では長く生きられる。自分の守りたいモノを守れるんだ。僕達の場合、命彦の押し付けから修得した魔法や知識が多いんだけど、でも今はそれが本当に必要だと、あの時押し付けられて良かったと思えるくらいに、役に立ってるよ」
「押し付けられ、修得させられた魔法や知識で、命を救われたことが何度もあるからね? 命彦に押し付けられとらんかったら、ウチらは自分でその魔法や知識を教えてって、後から命彦に頼みに行ってたやろ」
「舞子も必要と思う魔法や知識はどんどん私達に聞いてね? 気兼ねするのは駄目よ? そういう依頼、仕事を受けてるんだからね」
「はい!」
舞子がそう返事をした時、先を行く命彦がとある廃墟の屋上で足を止めた。
足を止めた命彦の横に舞子が立つと、命彦が眼前に建つ、原型を残すものの所々崩れた高層分譲住宅を指差した。
「話してる間に目的地に到着だ。結構速度出したがよく付いて来た。そこは褒めてやるよ。【結晶樹】はあの崩れた分譲住宅の裏手だ。今のところ、ここらに魔獣の気配はねえ。安心して採集できるぞ?」
「はい、褒めてくださってありがとうございます! 《旋風の纏い》は得意ですからね、もう少し速く移動しても付いて行けますよ? 私、この状態で走ったら最高時速80kmくらいまでは出せますから。別荘で計ったことがあるので」
自分を売り込むように息巻く舞子へ、勇子が少しがっかりした様子で返した。
「えー、《旋風の纏い》使って走っても時速80kmが最高速か……メイアや空太と同じやん。ちっと物足りんわ。ウチと命彦は道まっすぐやったら、《旋風の纏い》だけで最高時速100km以上出せるで?」
「ひゃ、100kmっ!」
「魔法力場で空気抵抗を極限まで減らし、体重も軽くして自分の背後に加速気流を作ったら、それぐらいは出せる。走ってるのか飛んでるのか傍から見れば微妙だろうが……。しかし魔法抜きの、物理法則の制限がある状態でも、地球には最高時速100km以上を叩き出す生物がいるんだ。物理法則を書き換えられる筈の魔法士が、それも高い身体能力を持つ筈の前衛系の魔法士が、それより遅くてどうするよ」
命彦の説得力がある言葉に、凹むように舞子が顔を歪めた。
「うぐ! た、確かに」
「あと命彦と勇子は、付与魔法の重ねがけや精霊融合付与魔法で、走ってというか地面に足が付いてる状態で移動して、最高時速198kmを叩き出したことがあるから普通に車を抜くよ? 日本の乗用車って表示最高時速180kmだからね? まあ速度制限を取っ払ったら、車は200kmとかも出せるだろうけど」
「それ言いだしたらウチらかて空飛んだ方がもっと速いし、瞬間移動もできるやんか!」
「どこで対抗意識を燃やしてんだバカが。舞子も早く付いて来い。【結晶樹】はすぐそこにあるぞ」
「あ、はい!」
命彦に先導されて廃墟の屋上を降り、道路に面した分譲住宅の裏に回ると、壁面が円形に抉れて、その抉れた円形の範囲に納まるように、1本の【結晶樹】がひっそりと立っていた。
そこだけ剥き出しの地面であり、異世界のものと思しき花が広く円形の範囲に咲き乱れている。
その様子を見て舞子は目を丸くした。
「はわぁぁー……以前も見ましたけど、不思議ですねこの地形。周囲の地形空間が円形に抉れて、抉れた範囲にすっぽり納まるように、異世界の地形があります。これって【虹の御柱】のせいですよね?」
「そうだよ。今後も迷宮に潜ってればいつか実際に見られると思うけど、【魔晶】が異世界の地形空間ごと魔獣を召喚する時には、【虹の御柱】が上空から地上へ降りて来るんだ」
「私、その場面を報道番組で見たことがあります。地球の地形空間と異世界の地形空間を入れ換える、特殊現象ですよね?」
「せや。現象自体が虹色に輝くどデカい円柱に見えるから、【虹の御柱】って言われとるんよ。【魔晶】が魔獣を召喚する際、上空に次元の裂け目ができて、そっから【虹の御柱】が落ちて来るんや」
「地球と異世界とを繋ぐ回廊とも言われてるわね? 【虹の御柱】が落ちた地球の地形空間は、円形に切り取られ、同じ様に円形に切り取られた異世界の地形空間とそっくり入れ換えられるのよ」
「【魔晶】に近い場所ほど【虹の御柱】がよく落ちて来る。そういう場所じゃ、切り取り範囲が重複することも多いから、第3迷宮域や第2迷宮域では、ここみたいに円形に抉られた地形を見ることが少ねえ」
『しかし、第1迷宮域は【魔晶】から距離がある分、【虹の御柱】が落ちる機会が限られています。そのため、地形交換が限定的であり、円形に抉られた場所もよく見れられるわけです』
「はへえぇー」
「そら、いつまでボーっと見てるんだ。さっさと採集作業を終わらせるぞ?」
「は、はい!」
前回【蔓女】の奇襲に遭い、失敗した[結晶樹の樹液]を採集する依頼。
その依頼が遂に達成できると思い、舞子は興奮した様子で命彦から水筒を受け取った。
依頼所から預かった提出用の水筒、採集容器を手に持つ舞子に、自前の短刀を〈余次元の鞄〉から取り出して、命彦が言う。
「これを貸してやるから採集してみろ。樹液の採集方法は一昨日の依頼所受付で梢さんに聞いたろ? 幹の曲線に合わせて、弧を描く感じで切れ込みを入れるんだ。……そうだ、切れ込みはそのぐらいでいい。あとは出て来る樹液を容器に入れるだけだ。[結晶樹の樹液]は採集方法が単純だから新人でもすぐ採れる。簡単だろ?」
「はい!」
「舞子、樹液こぼさんように容器持って、ここ見てみ? 木の幹に結晶の膜や柱がくっ付いてるやろ?」
「あ、ホントだ。これって……樹液が固まったモノですよね?」
【結晶樹】の幹に生えた結晶柱を不思議そうに見る舞子へ、命彦とミサヤが言う。
「そうだ。[結晶樹の樹液]は、周囲の空間に同化する精霊を引きずり出して取り込み、その力を蓄えて固まる性質を持つ。魔力も閉じ込められるから、消費型魔法具である魔法結晶の素材として重宝されるわけだ」
『魔法具が壊れると、異相空間に歪みが生じて閉じ込められていた魔法が外に出るのは分かりますね? 消費型魔法具はその原理を利用して、意図的に魔法具を壊すことで魔法具内に封入し、定着・保管していた魔法を発動させるのです』
「[結晶樹の樹液]が固まった琥珀、樹液の結晶は、異相空間処理が簡単だし、結晶自体に精霊や魔力を蓄積できるから、結晶が破損した際は結晶内に閉じ込められた魔法の効力を底上げして、現実空間に放出してくれるの。だから凄い需要があるわけね」
「意外と凄いんですね、この樹……」
「せやで。分かったら丁重に扱いや? ありがたい樹やからね?」
「切れ込みを入れたら、樹液が切れ込みの溝に沿って滴るでしょ? その樹液で切れ込みが塞がるには30分くらいかかるから、それまでは樹液が採取できる。採り過ぎには注意だけどね?」
「分かりました」
舞子が真剣に樹液を採集する様子見て、昔の自分達を思い出したのか、命彦達が懐かしそうに笑い合った。
「……よし、容器の目盛り一杯です。1度で全部採れてしまいましたけど、取り過ぎましたか?」
「いや、1分くらいで出た量にしては確かに多いが、樹自体が元気だったらこれぐらいは取れる時がたまにある。心配はいらん。運が良かったってことだ」
「それを持ち帰れば採集依頼は達成よ。それじゃあ舞子、作業も終わったし、樹の傷口に魔力を送ってくれる?」
「ま、魔力ですか? むむむ……」
メイアに言われた通り、舞子が【結晶樹】の切れ込みに魔力を送ると、溢れていた樹液がすぐに固まった。
「これって?」
「[結晶樹の樹液]は魔力や精霊といった高次元の力を取り込み、結晶化して閉じ込める。さっきも言ったろ? 通常は30分ほどかけて精霊を取り込み、樹液が固まるんだが、魔力の場合は精霊より取り込みやすいのか、樹液に取り込んですぐに固まるんだよ」
『こうした応急処置をしてあげることで、【結晶樹】は枯れずに残ってくれるのです。【結晶樹】は精霊を吸収して成長しますが、樹液の結晶に蓄えた魔力や精霊を吸うことでも成長します。樹液を貰った代価を払った、そう思えばいいのですよ』
「……しっかり憶えておきます。しかし、まさか迷宮を進んでから、たった10分で依頼対象物を手に入れるとは。一昨日は3時間近く迷宮を歩いた挙句、採集にも失敗したのに」
「3時間歩いてって、どこまで行ってたんよ?」
目を丸くする勇子へ、命彦が答える。
「【迷宮外壁】から8km地点だ」
「はあ? 第2迷宮域のすぐ傍やんか! ホンマによう生きとったね? というか、ようそこまで行けたね?」
「あははは……運が良かったんです」
勇子がしみじみ言うのに、舞子は苦笑を返した。
夕焼け空に夜空が混じり始めた空模様を見て、命彦が言う。
「さて、採集依頼もほぼ終わったし、いよいよ魔獣との戦闘だ」
「そうね。いい具合に陽も落ちかけだし、芋も弱体化してる頃だわ」
「まあ、最初の訓練の相手には相応しいでしょ? どういう戦いを舞子がするのか、見ものだね」
「せやね。しかし完全に陽が落ちると1対1で戦う相手としては少し物足りへん。さっさと芋と戦いに行こか? ほら舞子、はよ水筒を〈余次元の鞄〉へ仕舞い? [結晶樹の樹液]は水筒に入れてても腐敗すんのが早い。〈余次元の鞄〉へ放り込んで、時間止めんと痛んでまうで」
「あ、はい! 命彦さん、これありがとうございました」
舞子が採集道具の短刀を命彦に返し、自分の〈余次元の鞄〉へ[結晶樹の樹液]入りの水筒を仕舞った。
特殊型魔法具の〈余次元の鞄〉は、迷宮内の物品の輸送を目的として作られた魔法具であり、鞄内部には陰闇の精霊と陽聖の精霊の、時空間にも干渉できる性質を持つ2種の心象精霊を介した、精霊融合儀式魔法による亜空間が作られている。
その亜空間へ鞄口から入った物品を収納しているため、収納された物品は本来の世界との関わりを断たれて、時間が停止した。
〈余次元の鞄〉の亜空間内は、物理法則の適用が除外される特殊空間であり、亜空間に隔離されたモノが生物であろうが無生物であろうが、基本的に全て時間を止められ、劣化や腐敗を防止できる。
具体例を挙げると、〈余次元の鞄〉にポマコンを入れていたら、電源を入れた状態で鞄に入れているというのに、電力残量は鞄に入れた時のままで一切減らず、何時間後でも入れた時の電力残量のまま取り出せた。
ついでに言うと、亜空間内は本来の世界と一切の関わりを断った時空間であるため、当然電波の圏外域であり、通信も不通である。
〈余次元の鞄〉から取り出した時にポマコンが着信を知らせるのは、電波状態が回復して、鞄内にあった時に止められていたポマコンの通信が、一気に届くからであった。
「採集物も仕舞ったところで、抜けてる新人への実戦訓練を開始するしようか。おっ……運良く芋も見付かった」
命彦がそう言ってミサヤの喉をくすぐると、勇子が嬉しそうに宣言した。
「さっすが小隊長、仕事が早いわ。それじゃあモノ共、芋狩りじゃあ!」
「「おおーっ!」」
「さあ舞子、楽しい芋の試練の始まりだぞ?」
「……はい?」
命彦達がにやにや笑う様子を見て、舞子はたらりと冷や汗をかいた。
荒れてはいてもまだ歩きやすい道路を使わずに、ひたすら移動しにくい廃墟の上を屋上伝いに移動する命彦達。
足場が崩れて少し走る体勢を崩した舞子が、ヒヤリとしつつ口を開いた。
「おっとと……あ、あの、この廃墟の屋上をこうして走って跳ぶ意味は?」
「移動距離の短縮よ。道路の上を走ってたら、崩れた建物とか障害物を避ける必要があるから、目的地に着くまでの総移動距離が増えるでしょ? かと言って魔法でずっと飛行してたら、今度は魔力の過剰消費で目的地へ着く前に気絶する可能性があるわ。じゃあ間を取って、障害物の上を跳んで走りましょうってね?」
メイアが崩れた箇所を避けて、舞子の前をひょいひょい跳び走る。
「廃墟の上を移動するんはもう1つ、敵性型魔獣との不意の遭遇回避の意味もある。地上におったら餌を探しとる魔獣らと、どこでカチ遭うか分からん。第1迷宮域は他の迷宮域と比べて魔獣の生息率が低いけど、魔獣が全くおらんわけやあらへん。地下に地上に空、三方から敵性型魔獣に襲撃される可能性は当然ある」
「でも、こうして廃墟の上を移動してれば、地上と地下を移動する魔獣はある程度無視できるだろう? 僕らだけで移動してれば、幾らでも地上を走って出て来る敵性型魔獣を片っ端から討伐してもいいんだけど、今は舞子がいるからね。念には念を入れて、魔獣との遭遇を極力避けられる高所地帯を通ってるのさ」
勇子と空太も、メイアに負けず劣らず余裕の表情で廃墟の上を走り跳ぶ。
確かに距離のある建物の間を跳ぶ時以外は、ほとんど魔法力場で風を起こしておらず、飛行する場合と比べて魔力消費は抑えられているし、最短距離で目的地を目指せる上に、魔獣との遭遇も今のところ回避できていた。
舞子にとっては思うところもあるが、新人魔法士を抱えた魔法士小隊にとっては、最適の移動方法である。
悔しそうに唇を噛み、やや遅れて3人の後を追う舞子を見て、勇子が口を開く。
「ウチ的には命彦とミサヤが2重で探査魔法を使ってるから、地上を移動してても魔獣との遭遇を結構回避できると思うねんけど、探査魔法の裏をかく魔獣も一応おるからね? 用心は必要や。そう悔しがらんでも、舞子が魔獣と戦闘経験をようけ積んだら、普段通りに地上を移動して出て来る魔獣を狩るつもりやから、今だけやと思っとき」
「はい! ……それにしても驚きです。皆さんは《旋風の纏い》を全員が使えるんですね? 空太さんも使ってて、びっくりしました」
勇子の気遣いに笑顔を浮かべた舞子が、自分の数歩先を行く空太に声をかけると、空太が1番前を跳び走る命彦を見て言う。
「そりゃあこの小隊にいたら必要だからね? 僕も命彦に修得しろって言われて、勇子が探査魔法の修得でヒイヒイ言ってる頃に、僕は僕で付与魔法の修得でヒイヒイ言ってたのさ」
「空太の場合はホンマにヒイヒイ言っとったもんね?」
「そりゃそうだよ? 最低限の体力作りもさせられたんだよ、僕は? 走り込みとか腕立て伏せとか、本当にしんどかったよ。僕、運動系全般苦手だし。でもまあそのおかげで、同期の〔精霊使い〕より断然動けるし、第1迷宮域ぐらいだったら、1人でもどうにか行動できるけどね?」
「空太さんって戦闘型の、しかも後衛系の魔法士ですよね? 第1迷宮域ぐらいは1人で行動できるって……普通は探査型の魔法士の言葉ですよ」
「そう言われても、ウチらの小隊って命彦に特訓されとるせいで、全員が単独でも第1迷宮域やったらそこそこ活動できるで? 小隊に入ったばっかの頃はともかく、メイアも今は1人で活動できるし」
「まあ多少はね? ただ精神的には1人での迷宮探索は遠慮したいわ」
暢気に語る勇子達の言葉に絶句する舞子。会話に参加せず、悠々と先頭を跳び走る命彦に、舞子の視線は吸い寄せられた。
通常、迷宮内を単独で動けるのは、魔獣の接近を察知できる探査型の学科魔法士のみであり、非探査型の魔法士である小隊員全員が、第1迷宮域限定とはいえ、迷宮内を1人でうろつけるというのは異例であった。
小隊員一人一人が、探査型魔法士の魔法技能や専門的知識・技能を、必要最低限は持っている、ということを意味するからである。
自分と同年代でそれだけの力を持つ勇子達に驚くのは勿論だが、特訓でそれだけの力を勇子達に身に付けさせた命彦に対して、舞子はより驚きを感じた。
さすがは勇子達の師匠たる〔忍者〕と言うべきか。崩れた場所を的確に避けて、足取りも軽く移動し、風に舞うように命彦はシュタタッと移動する。
舞子の視線に気付いたのか、会話を聞くばかりだった命彦が舞子へ言った。
「魔法学科は、限られた期間内に魔獣に匹敵する力を持った魔法士を作るべく考え出された、魔法士の型だ。必然、特定の魔法分野に特化することで、その分野に限って魔獣と比肩し、凌駕できるように修得する魔法や知識が設定され、学習課程に組み込まれている。しかし迷宮の、それもより深部で生き残るためには、それだけじゃ足りねえ。型以上の力が必要だ」
「型以上の力、ですか?」
『ええ。自分のできることを増やし、あらゆる能力を高める必要があるということです。戦闘能力は勿論のこと、魔獣をより早く見付ける探査能力や、必要物を自ら作り出す生産能力も必要。迷宮の深部に入れば入るほど、頻繁に魔獣と命のやり取りをしますからね? 生き残るためには自分のできることを増やすしかありません』
ミサヤの《思念の声》に、勇子が続いた。
「実際、戦闘型の学科魔法士で長いこと第1線で活躍しとる人らは、修了しとる魔法学科が1つでも、複数の魔法学科を修了しとるって思うほど、自分の魔法学科以外の知識や技能を持っとる人が多い」
「後衛系の魔法士のくせに付与魔法を使えたり、前衛系の魔法士のくせに探査型や生産型魔法士の知識・技能を持ってたり、とかね? 無論、実際に複数の魔法学科を修了してる人も多くいるわ」
「戦闘型の魔法士以外でも、自分の修了した魔法学科以上の、型以上の力を求めて、手に入れてる人らもおる。一定以上の力を持った魔法士は、今の世界で安心して生き残るために、自ずと型以上の力が必要やと気付くんやろね? 当然専門と専門外の魔法やと、どうしても魔法の練度に差が出るから、それ専門の他の魔法士と比べると専門外の魔法には多少の粗があったりするけど……」
「それでも魔法士としてできることが多い方が、今の世界では長く生きられる。自分の守りたいモノを守れるんだ。僕達の場合、命彦の押し付けから修得した魔法や知識が多いんだけど、でも今はそれが本当に必要だと、あの時押し付けられて良かったと思えるくらいに、役に立ってるよ」
「押し付けられ、修得させられた魔法や知識で、命を救われたことが何度もあるからね? 命彦に押し付けられとらんかったら、ウチらは自分でその魔法や知識を教えてって、後から命彦に頼みに行ってたやろ」
「舞子も必要と思う魔法や知識はどんどん私達に聞いてね? 気兼ねするのは駄目よ? そういう依頼、仕事を受けてるんだからね」
「はい!」
舞子がそう返事をした時、先を行く命彦がとある廃墟の屋上で足を止めた。
足を止めた命彦の横に舞子が立つと、命彦が眼前に建つ、原型を残すものの所々崩れた高層分譲住宅を指差した。
「話してる間に目的地に到着だ。結構速度出したがよく付いて来た。そこは褒めてやるよ。【結晶樹】はあの崩れた分譲住宅の裏手だ。今のところ、ここらに魔獣の気配はねえ。安心して採集できるぞ?」
「はい、褒めてくださってありがとうございます! 《旋風の纏い》は得意ですからね、もう少し速く移動しても付いて行けますよ? 私、この状態で走ったら最高時速80kmくらいまでは出せますから。別荘で計ったことがあるので」
自分を売り込むように息巻く舞子へ、勇子が少しがっかりした様子で返した。
「えー、《旋風の纏い》使って走っても時速80kmが最高速か……メイアや空太と同じやん。ちっと物足りんわ。ウチと命彦は道まっすぐやったら、《旋風の纏い》だけで最高時速100km以上出せるで?」
「ひゃ、100kmっ!」
「魔法力場で空気抵抗を極限まで減らし、体重も軽くして自分の背後に加速気流を作ったら、それぐらいは出せる。走ってるのか飛んでるのか傍から見れば微妙だろうが……。しかし魔法抜きの、物理法則の制限がある状態でも、地球には最高時速100km以上を叩き出す生物がいるんだ。物理法則を書き換えられる筈の魔法士が、それも高い身体能力を持つ筈の前衛系の魔法士が、それより遅くてどうするよ」
命彦の説得力がある言葉に、凹むように舞子が顔を歪めた。
「うぐ! た、確かに」
「あと命彦と勇子は、付与魔法の重ねがけや精霊融合付与魔法で、走ってというか地面に足が付いてる状態で移動して、最高時速198kmを叩き出したことがあるから普通に車を抜くよ? 日本の乗用車って表示最高時速180kmだからね? まあ速度制限を取っ払ったら、車は200kmとかも出せるだろうけど」
「それ言いだしたらウチらかて空飛んだ方がもっと速いし、瞬間移動もできるやんか!」
「どこで対抗意識を燃やしてんだバカが。舞子も早く付いて来い。【結晶樹】はすぐそこにあるぞ」
「あ、はい!」
命彦に先導されて廃墟の屋上を降り、道路に面した分譲住宅の裏に回ると、壁面が円形に抉れて、その抉れた円形の範囲に納まるように、1本の【結晶樹】がひっそりと立っていた。
そこだけ剥き出しの地面であり、異世界のものと思しき花が広く円形の範囲に咲き乱れている。
その様子を見て舞子は目を丸くした。
「はわぁぁー……以前も見ましたけど、不思議ですねこの地形。周囲の地形空間が円形に抉れて、抉れた範囲にすっぽり納まるように、異世界の地形があります。これって【虹の御柱】のせいですよね?」
「そうだよ。今後も迷宮に潜ってればいつか実際に見られると思うけど、【魔晶】が異世界の地形空間ごと魔獣を召喚する時には、【虹の御柱】が上空から地上へ降りて来るんだ」
「私、その場面を報道番組で見たことがあります。地球の地形空間と異世界の地形空間を入れ換える、特殊現象ですよね?」
「せや。現象自体が虹色に輝くどデカい円柱に見えるから、【虹の御柱】って言われとるんよ。【魔晶】が魔獣を召喚する際、上空に次元の裂け目ができて、そっから【虹の御柱】が落ちて来るんや」
「地球と異世界とを繋ぐ回廊とも言われてるわね? 【虹の御柱】が落ちた地球の地形空間は、円形に切り取られ、同じ様に円形に切り取られた異世界の地形空間とそっくり入れ換えられるのよ」
「【魔晶】に近い場所ほど【虹の御柱】がよく落ちて来る。そういう場所じゃ、切り取り範囲が重複することも多いから、第3迷宮域や第2迷宮域では、ここみたいに円形に抉られた地形を見ることが少ねえ」
『しかし、第1迷宮域は【魔晶】から距離がある分、【虹の御柱】が落ちる機会が限られています。そのため、地形交換が限定的であり、円形に抉られた場所もよく見れられるわけです』
「はへえぇー」
「そら、いつまでボーっと見てるんだ。さっさと採集作業を終わらせるぞ?」
「は、はい!」
前回【蔓女】の奇襲に遭い、失敗した[結晶樹の樹液]を採集する依頼。
その依頼が遂に達成できると思い、舞子は興奮した様子で命彦から水筒を受け取った。
依頼所から預かった提出用の水筒、採集容器を手に持つ舞子に、自前の短刀を〈余次元の鞄〉から取り出して、命彦が言う。
「これを貸してやるから採集してみろ。樹液の採集方法は一昨日の依頼所受付で梢さんに聞いたろ? 幹の曲線に合わせて、弧を描く感じで切れ込みを入れるんだ。……そうだ、切れ込みはそのぐらいでいい。あとは出て来る樹液を容器に入れるだけだ。[結晶樹の樹液]は採集方法が単純だから新人でもすぐ採れる。簡単だろ?」
「はい!」
「舞子、樹液こぼさんように容器持って、ここ見てみ? 木の幹に結晶の膜や柱がくっ付いてるやろ?」
「あ、ホントだ。これって……樹液が固まったモノですよね?」
【結晶樹】の幹に生えた結晶柱を不思議そうに見る舞子へ、命彦とミサヤが言う。
「そうだ。[結晶樹の樹液]は、周囲の空間に同化する精霊を引きずり出して取り込み、その力を蓄えて固まる性質を持つ。魔力も閉じ込められるから、消費型魔法具である魔法結晶の素材として重宝されるわけだ」
『魔法具が壊れると、異相空間に歪みが生じて閉じ込められていた魔法が外に出るのは分かりますね? 消費型魔法具はその原理を利用して、意図的に魔法具を壊すことで魔法具内に封入し、定着・保管していた魔法を発動させるのです』
「[結晶樹の樹液]が固まった琥珀、樹液の結晶は、異相空間処理が簡単だし、結晶自体に精霊や魔力を蓄積できるから、結晶が破損した際は結晶内に閉じ込められた魔法の効力を底上げして、現実空間に放出してくれるの。だから凄い需要があるわけね」
「意外と凄いんですね、この樹……」
「せやで。分かったら丁重に扱いや? ありがたい樹やからね?」
「切れ込みを入れたら、樹液が切れ込みの溝に沿って滴るでしょ? その樹液で切れ込みが塞がるには30分くらいかかるから、それまでは樹液が採取できる。採り過ぎには注意だけどね?」
「分かりました」
舞子が真剣に樹液を採集する様子見て、昔の自分達を思い出したのか、命彦達が懐かしそうに笑い合った。
「……よし、容器の目盛り一杯です。1度で全部採れてしまいましたけど、取り過ぎましたか?」
「いや、1分くらいで出た量にしては確かに多いが、樹自体が元気だったらこれぐらいは取れる時がたまにある。心配はいらん。運が良かったってことだ」
「それを持ち帰れば採集依頼は達成よ。それじゃあ舞子、作業も終わったし、樹の傷口に魔力を送ってくれる?」
「ま、魔力ですか? むむむ……」
メイアに言われた通り、舞子が【結晶樹】の切れ込みに魔力を送ると、溢れていた樹液がすぐに固まった。
「これって?」
「[結晶樹の樹液]は魔力や精霊といった高次元の力を取り込み、結晶化して閉じ込める。さっきも言ったろ? 通常は30分ほどかけて精霊を取り込み、樹液が固まるんだが、魔力の場合は精霊より取り込みやすいのか、樹液に取り込んですぐに固まるんだよ」
『こうした応急処置をしてあげることで、【結晶樹】は枯れずに残ってくれるのです。【結晶樹】は精霊を吸収して成長しますが、樹液の結晶に蓄えた魔力や精霊を吸うことでも成長します。樹液を貰った代価を払った、そう思えばいいのですよ』
「……しっかり憶えておきます。しかし、まさか迷宮を進んでから、たった10分で依頼対象物を手に入れるとは。一昨日は3時間近く迷宮を歩いた挙句、採集にも失敗したのに」
「3時間歩いてって、どこまで行ってたんよ?」
目を丸くする勇子へ、命彦が答える。
「【迷宮外壁】から8km地点だ」
「はあ? 第2迷宮域のすぐ傍やんか! ホンマによう生きとったね? というか、ようそこまで行けたね?」
「あははは……運が良かったんです」
勇子がしみじみ言うのに、舞子は苦笑を返した。
夕焼け空に夜空が混じり始めた空模様を見て、命彦が言う。
「さて、採集依頼もほぼ終わったし、いよいよ魔獣との戦闘だ」
「そうね。いい具合に陽も落ちかけだし、芋も弱体化してる頃だわ」
「まあ、最初の訓練の相手には相応しいでしょ? どういう戦いを舞子がするのか、見ものだね」
「せやね。しかし完全に陽が落ちると1対1で戦う相手としては少し物足りへん。さっさと芋と戦いに行こか? ほら舞子、はよ水筒を〈余次元の鞄〉へ仕舞い? [結晶樹の樹液]は水筒に入れてても腐敗すんのが早い。〈余次元の鞄〉へ放り込んで、時間止めんと痛んでまうで」
「あ、はい! 命彦さん、これありがとうございました」
舞子が採集道具の短刀を命彦に返し、自分の〈余次元の鞄〉へ[結晶樹の樹液]入りの水筒を仕舞った。
特殊型魔法具の〈余次元の鞄〉は、迷宮内の物品の輸送を目的として作られた魔法具であり、鞄内部には陰闇の精霊と陽聖の精霊の、時空間にも干渉できる性質を持つ2種の心象精霊を介した、精霊融合儀式魔法による亜空間が作られている。
その亜空間へ鞄口から入った物品を収納しているため、収納された物品は本来の世界との関わりを断たれて、時間が停止した。
〈余次元の鞄〉の亜空間内は、物理法則の適用が除外される特殊空間であり、亜空間に隔離されたモノが生物であろうが無生物であろうが、基本的に全て時間を止められ、劣化や腐敗を防止できる。
具体例を挙げると、〈余次元の鞄〉にポマコンを入れていたら、電源を入れた状態で鞄に入れているというのに、電力残量は鞄に入れた時のままで一切減らず、何時間後でも入れた時の電力残量のまま取り出せた。
ついでに言うと、亜空間内は本来の世界と一切の関わりを断った時空間であるため、当然電波の圏外域であり、通信も不通である。
〈余次元の鞄〉から取り出した時にポマコンが着信を知らせるのは、電波状態が回復して、鞄内にあった時に止められていたポマコンの通信が、一気に届くからであった。
「採集物も仕舞ったところで、抜けてる新人への実戦訓練を開始するしようか。おっ……運良く芋も見付かった」
命彦がそう言ってミサヤの喉をくすぐると、勇子が嬉しそうに宣言した。
「さっすが小隊長、仕事が早いわ。それじゃあモノ共、芋狩りじゃあ!」
「「おおーっ!」」
「さあ舞子、楽しい芋の試練の始まりだぞ?」
「……はい?」
命彦達がにやにや笑う様子を見て、舞子はたらりと冷や汗をかいた。
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