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5章 迷宮
5章ー23:激戦の時、【魔狼】小隊 対 【女霊樹】と【蔓女】の混成群
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命彦とミサヤが一進一退の攻防を、ドリアード達と続ける頃。
空太とメイア、勇子も30体のツルメ達と激しい戦闘を繰り広げていた。
ドリアードを目指して命彦が飛び出すと同時に、空太とメイアが精霊攻撃魔法を短縮詠唱し、風と火の2つの範囲系魔法弾を素早く具現化する。
「砕け《旋風の槌》!」
「砕け《火炎の槌》!」
具現化と同時に放たれた2つの範囲系魔法弾は、小隊の左右に立つ廃墟の建築物にそれぞれ着弾し、魔法散弾をばらまいて、廃墟と化した建築物を完全に倒壊、崩落させた。
左右の廃墟の屋上にいたツルメ達と、廃墟内を下に下にと密かに移動し、奇襲する隙をうかがっていたツルメ達が、魔法散弾と崩落に巻き込まれ、手傷を負って動きを止める。
廃墟内にいた6体はそのまま圧死したが、その戦果も確認せずに、空太は即座に勇子とメイアへ指示を出し、風の精霊結界魔法を短縮詠唱して、2重の周囲系魔法防壁を具現化した。
「勇子、背後から高速接近するツルメを迎撃してくれ! メイアは〈シロン〉へ指示。防御特化型を僕らの護衛に回して、あとは各個にツルメを攻撃させて! そんでもって覆え、《旋風の円壁》!」
「分かった! 包め《旋風の纏い》、そいで包め《火炎の纏い》! 行くぞいやぁーっ!」
空太の具現化した半球状の周囲系魔法防壁がメイア達を包み込む前に、勇子が後方へと飛び出し、精霊付与魔法を纏いつつ、12体のツルメに突貫する。
メイアも4つの〈出納の親子結晶〉に格納していた、4体4組の〈シロン〉16体を全て周囲に展開しており、すぐに指示を出した。
「〈シロン〉2、6、10、14号は、私達の防御を担当。残りは各個にツルメを攻撃、行け!」
結界魔法から弾かれたように〈シロン〉が出撃して行くと、それとほぼ同時に、崩落した左右の廃墟の瓦礫の山から、動ける程度に回復したツルメ達が飛び出して、手近にいた〈シロン〉に襲いかかる。
〈シロン〉達は素早くちょこまかと動き回り、小型誘導弾や火炎放射器、粘着弾を撃ちまくって牽制し、ツルメと距離を詰めて一気に体当たりした。
全身に魔法力場を纏う〈シロン〉が、同じく魔法力場を纏うツルメを弾き飛ばし、また、結界魔法の魔法防壁で身を守るツルメも、別の〈シロン〉が魔法防壁をぶち破って弾き飛ばした。
メイアが〈シロン〉に封入した魔法は、地水火風の4種の精霊付与魔法である。
つまり〈シロン〉は、常時4重の魔法力場を全身に纏っており、魔法士のように魔法力場の集束こそ不可能だったが、魔法の効力、出力だけで見れば、そこいらの魔獣が使う移動系や周囲系の結界魔法も、体当たりで突破できるほどの魔法攻撃力を持っていた。
道路に倒したツルメへ、近くにいた〈シロン〉が蜘蛛のように飛びかかり、4本の多目的腕部でがっちり胴体を固定すると、〈シロン〉がズドンと一瞬震えて、ツルメがぴくぴくと痙攣し、絶命した。
〈シロン〉が倒れたツルメからすっと離れると、ツルメの胸部に太く深い貫通痕がある。
実は全ての〈シロン〉の下部には、炸薬式杭打機が仕込まれており、身体をがっちり捕縛できるほど接触していれば、たとえ捕縛対象が魔法力場を身に纏っていても、〈シロン〉の纏う魔法力場である程度相殺して、太い杭を打ち込んで損傷を与えることが可能であった。
炸薬式杭打機は〈シロン〉の接近戦用の切り札であるが、くっ付かれた瞬間に3体のツルメが絶命したことで、〈シロン〉との接近戦を危険と判断し、ツルメ達は遠距離魔法攻撃を多用し始める。
精霊結界魔法の上から降り注ぐ多量の精霊攻撃魔法と、次々に破損する〈シロン〉達に顔色を失い、空太が唇を震わせた。
「くっ、もう対応したのか! 思った以上に知恵が回る。あと3体くらいは倒して欲しかったけど……メイア、勇子に加えて〈シロン〉の援護も必要だ。ツルメの数をとにかく減らすよ! 穿て《火炎の矢》」
「了解! 勇子の援護は私がするわ、空太は〈シロン〉をお願い! 穿て《水流の矢》! そして、包め《火炎の纏い》」
メイアが破損する〈シロン〉達を見ていられず、視界から外すように勇子を見て言うと、空太が左右に散らばり、追い回す〈シロン〉と距離を取りつつ魔法攻撃を繰り返すツルメ達へ、短縮詠唱で具現化して、器用にも15ずつに分けた追尾系魔法弾を同時に放った。
一流の学科魔法士でも難しい高等技能を空太が披露すると、メイアも短縮詠唱で30ほどの火の追尾系魔法弾を具現化し、後方で12体のツルメ達と交戦する勇子を援護する。
火の追尾系魔法弾30発を制御しつつ、火の魔法力場で筋力が底上げされた状態で、メイアが持ち歩いていた弓の武具型魔法具、〈魔竹の炎弓:ホムラヨイチ〉をキリリと引き絞り、これまた魔法具と思しき矢をつがえて、ツルメに放った。
魔法具の弓と矢は手に持った時点でメイアの纏う火の魔法力場を取り込み、その力を集束させて自らに宿す。
集束した魔法力場を纏う矢がサッと放たれ、それこそ精霊攻撃魔法の集束系魔法弾のように、当たったツルメの頭部を一撃で吹き飛ばした。
希少品級の武具型魔法具であるホムラヨイチは、関西迷宮で取れる真竹に似た異世界産の植物、【魔竹】から作られた合成弓であり、その形状は装備者の迷宮での取り回し、特に携帯性を重視したためか、和弓よりも古代の狩り弓や洋弓の方に近かった。
《火炎の纏い》を封入されたこの弓は、弓に魔力を注ぐと任意で装備者の筋力を底上げでき、魔法の効力を限界まで勝手に吸い込み、集める性質を持つ【魔竹】のせいで、弓の反発力も増して、常識を超えた速さの矢を射れる。
弓と同じ【魔竹】製の矢を、付与魔法を使ってつがえれば、矢が勝手に魔法力場を吸ってその効力を集束させ、集束系魔法弾のように矢を射ることも可能だった。
勇子から距離を取り、メイアの追尾系魔法弾を避けたツルメを、2体、3体とメイアの矢が抉り抜く。
追尾系魔法弾と集束系魔法弾を同時に使っているとも言うべきメイアの魔法攻撃に、舞子は目を剥いた。
「め、メイアさん、凄いです。弓も上手い……」
結界魔法の内側で、防御特化の〈シロン〉4体に囲まれて魔法を使うメイアと空太。
そのメイアと空太の間に挟まり、蒼い顔をしてポマコンを構える舞子が、呆然と言った。
「褒めてくれてありがとっ! 私は命彦や空太と比べると、攻撃魔法の練度がまだまだ低いから、こういう補助的に使える遠距離魔法攻撃手段を主武装にしてるのよってぇー、外したっ! 穿て《地礫の矢》!」
メイアが悔しそうに顔をしかめて、地の追尾系魔法弾を短縮詠唱で10ほど放ち、矢を避けた1体のツルメが石つぶての矢に激しく打たれて、絶命した。
「ごめん舞子。ホントは先輩として余裕見せたいとこだけど、矢弾も結構高いし、今わりと切羽詰ってるから、気を散らせるのは勘弁してくれる?」
「あ、申し訳ありませんでした!」
「メイア、勇子の援護、急げ!」
空太に指示され、次の矢をつがえるメイアの焦る眼を見て、舞子は反省し、口をつぐんだ。
弓や火器に代表される飛び道具類の武具型魔法具は、他の武具型魔法具と違って生産数が限られている。
理由は単純で、魔法戦闘において使う意味が見出しにくいからであった。
遠距離を攻撃する場合は攻撃魔法を使った方が速いし、矢弾を消費せずに済むため、弾薬費用を節約できる。
また、戦闘に有用である付与魔法は、道具に効力を一時的に上乗せする時、魔法使用者にその道具が接触しているか、使用者の傍に道具がある方が、高い効力を発揮した。
よって普通の材料で作る場合、接近戦用の武器の方が付与魔法とは相性が良い。
接近戦用の武器は付与魔法を存分に活かせるのに、魔法使用者から矢弾を切り離して使うことが前提の飛び道具類は、付与魔法の効力を活かしにくく、武具型魔法具として使うには、接近戦用の武器より使い勝手に劣ったのである。
地球にある材料を使う限りにおいて、飛び道具類の武具型魔法具は作る必要性に乏しかった。
しかし、【魔竹】のように自ら魔法を吸収し、蓄積する性質を持つ材料を使えば話は違う。
製作費用は相当かかるが、こうした素材を使えば付与魔法とも親和する飛び道具類の魔法具を作ることが可能であった。
メイアのように、魔法戦闘において後衛の役割を持つ学科魔法士は、攻撃魔法以外にも遠距離魔法攻撃手段を欲する者が稀にいるため、そういう物好きの魔法士のために、飛び道具類の武具型魔法具は少量だけ生産され、相当の高額を付けられて市場で取引されている。
飛び道具類の武具型魔法具では、道具の制作に小さい部品が多いものほど、道具を魔法具化する異相空間処理に手間がかかるため、手裏剣や弓よりも火器類の方が圧倒的に高額であった。
その点、メイアのホムラヨイチはまだ手に入れやすい一品だったが、弓も火器類も弾薬費用は基本的に高い。
無駄弾を使うことは、メイアも極力避けたかったのである。
「せい、せい、せいやーっ! これで4体目や。残り6発、さあ次は誰が逝く?」
《火炎の纏い》による火の魔法力場と反応し、〈双炎の魔甲拳:フレイムフィスト〉を装備する勇子の拳が燃え上がり、地の魔法力場に覆われたツルメの胴体と衝突して、ツルメの胴体が魔法力場諸共に爆裂四散する。
フレイムフィストの、《火炎の矢》を封入された魔法結晶の力である。
空の回転式弾倉を手動でガチャリと回し、倒れた4体のツルメ達を踏み越えて、眼前のツルメ達を見た勇子が、爛々と輝く瞳で、一番近くにいた1体のツルメを見た。
「次は……お前じゃあぁーっ!」
鬼気迫る表情でツルメに飛びかかる勇子。
ツルメの青い体液を全身に浴びたその姿はまさに鬼であったが、勇子も人の子であるらしく、打撲や擦過傷、青あざがそこかしこにあった。
しかし、闘争本能を剥き出しにする勇子は止まらず、魔法攻撃を仕かける。
「はあっ! てやっ! こいつで止めや、《エアロ・レイド》!」
燃える右拳を振り抜き、同じく燃える左拳を突き上げて、ツルメの身体を浮かせた勇子が、踏み込んで横蹴りを放つ。
《火炎の纏い》と一緒に身に纏っていた《旋風の纏い》の魔法力場が、右の蹴り足へと瞬時に集束し、勇子がツルメを蹴り飛ばした。
横蹴りがツルメに触れた瞬間、右足に集束された魔法力場が一気に膨れ上がり、ツルメと衝突する。
ツルメが腹部をゴボンッと陥没させられ、爆発に巻き込まれたように物凄い勢いで吹き飛ばされた。
同族の援護をしようと勇子に飛びかかろうとしていた3体のツルメ達に、勇子は予め気付いていたのだろう。
勇子が蹴り飛ばして即死させたツルメの骸は、飛びかかったツルメ達をも巻き込み、数十mほど一緒に飛んで行った。
精霊付与魔法《エアロ・レイド》。《火炎の纏い》から派生する《フレア・ラッシュ》と同じく、〔闘士〕学科の固有魔法であり、《旋風の纏い》から派生する精霊付与魔法で、これも魔法攻撃と共に攻撃した相手を後退させる効力を持っている。
単純である分、特筆すべき点に乏しい〔闘士〕学科の固有魔法だが、しかし単純であるが故に使いやすい。
《エアロ・レイド》によってツルメ達との間合いを調整した勇子は、周囲を見回して言う。
「ふうぅー……残りはどんだけや? まだウチは行けるで!」
疲労が少し見える深いため息を吐き、勇子が拳を握って、自分の前方に集まるツルメ達を見て宣言した。
荒々しい勇子を見つつ、焦り顔の空太が言う。
「駄目だ……もうそろそろ3分が経過するけど、あと12体も残ってる。勇子の前に6体、僕らの左右に3体ずつ。〈シロン〉も16体のうち、半数の8体が破壊された。これじゃあ……」
「命彦とミサヤが、前でまだドリアード達を押えてくれてるわ! 3分っていうのは命彦が仮に設定した努力目標でしょ? 私達はまだ生きてる……指揮を任されてるんだからしっかりして空太っ!」
すぐ傍にいるメイアに叱咤され、怖気づいていた空太が、目が覚めたようにメイアを一瞥する。
「そ、そうだったね。できる限りのことをしよう! メイア、勇子に軽傷系の治癒魔法を使ってくれ! あのバカ、致命傷こそ避けてるけど、軽傷は無視するせいで身体のキレが少しずつ落ちてる。今のうちに治癒しといた方がいい!」
「了解! 其の地礫の天威を活力とし、傷痍を癒せ。治せ《地礫の祈り》」
メイアが地の治癒力場を具現化し、ツルメ6体と対峙する勇子を治癒力場で包み込む。
勇子の負っていた傷が少し減り、重そうだった足取りに力が戻った。
精霊治癒魔法《地礫の祈り》。地の精霊達を魔力に取り込んで使役し、身体の自己治癒能力を後押しして、傷を癒す魔法であった。
《○○の祈り》と呼称される軽傷系の治癒魔法は、魔法的効力より魔法展開速度や効力射程を重視した、応急処置を行うための低位の治癒魔法であり、魔法の制御も容易である。
軽傷系の治癒魔法は、本来戦闘時に負った軽い外傷を逐次回復させ、一定の戦闘力を維持するための魔法であるが、魔法士が致命傷や重傷を負い、治療に一刻を争う時に、重傷系の治癒魔法を使うまでの時間稼ぎの延命措置としても、使われることが多々あった。
その意味では、重傷系や状態系の治癒魔法より、よっぽど使用頻度が多い治癒魔法である。
回復した勇子がツルメに飛びかかる姿を見て、メイアが疲れの見える表情で言う。
「ふう。可能だったら、壊れた〈シロン〉達も《陽聖の恵み》で修復したいけど……」
「駄目だ! 8体もの〈シロン〉に《陽聖の恵み》を使えば、メイアの魔力が回復量以上に消費されてきっと枯渇する。ここでメイアに倒れられたら、僕ら全員が死ぬよ? ごめん、諦めてくれ! 今はツルメを討つのが先決だ! 穿て《地礫の矢》!」
空太が、ツルメの精霊攻撃魔法に破壊され、結界魔法の周囲に転がる壊れた〈シロン〉達を悔しそうに見るメイアを説得し、周囲系の魔法防壁にしつこく攻撃して来るツルメ達を迎撃する。
2重に展開された風の周囲系魔法防壁の近くにいる6体のツルメ達は、素早く身を翻し、空太の具現化した30の追尾系魔法弾を全て回避した。
「く、魔法弾の制御力が落ちてる……しっかりしろ、僕っ!」
空太が自分の顔を手で叩いた。
連戦によって魔力の消費が多く、少しづつ倦怠感や疲労感が蓄積し、戦闘力が落ちている空太。
メイアの方も、負けず劣らず疲労が表面化しており、元気そうに見える勇子も、実は相当の心的疲労を抱えていた。
魔獣と持久戦を行えば、魔力消費量と魔力回復量の関係から、学科魔法士は高確率で魔獣に負けてしまう。
これは基本的に魔獣の方が生まれ持った魔力量が多く、魔力回復量も多いためであった。
本来であれば、短期決戦こそ学科魔法士が魔獣との戦闘において、最も勝利しやすい戦い方である。
しかし今は、多勢に無勢の数の力で、持久戦に無理やり引きずり込まれていた。
劣勢は当然の結果である。
魔力を増やす修練をよっぽど積んだ学科魔法士であればともかく、恵まれた才能にあぐらをかき、魔法の修練に手を抜きがちの勇子や空太は、当然の如く持久戦に弱かった。
また、魔法の修練こそ日々積んでいるが、修練期間が根本的に短いメイアも、まだ持久戦には弱い。
そして、持久戦に弱いのに加えて、連戦での疲労がメイア達にはある。
範囲系魔法弾による奇襲の先制攻撃や、ミサヤの助力もあったとはいえ、【魔狼】小隊だけですでに80体近くのツルメ達を討伐している。
ここへ来て、魔力の過剰消費による心身の疲労が、戦闘に影響を与えるのも当然のことだった。
「……み、皆さん」
守られている舞子は、じわじわと自分達が追い詰められていることを、感じ取っていた。
不安げに揺れる舞子の表情を一瞥したメイアが、ギュっと唇を噛む。
「空太、私……」
メイアの言わんとすることをすぐに察した空太が、厳しい表情でツルメを見つつ言う。
「切り札を使うかどうかはメイアの判断だ。本心を言えば使って欲しいけど……でも僕は逆に問いたいね? 今この切羽詰った、追い詰められた状態で、メイアはあの力の塊を御せるのかい? おっと、穿て《旋風の矢》! く、外したか」
「そ、それは! ……っ、穿て《水流の矢》!」
空太の風の追尾系魔法弾に続いて、水の追尾系魔法弾を放ち、口籠るメイア。
そのメイアをチラリと見て、空太が口を開いた。
「その様子じゃ、決意も覚悟もありませんって言ってるのと同じだよ? 自分から切り札を使おうと思ってくれた、その意志は買う。いつもあの魔法系統を使うことを嫌がり、躊躇うメイアが、よくぞ言ってくれたと、その想いの進歩は歓迎するよ? けど……自分でも使用を迷ってるんだったら、希望を持たせる言い方は止めてくれ。思考の邪魔だ、僕らがメイアに頼ってしまうからね? 貫け《地礫の槍》! いよっし、あと11体だ!」
「はっきり言うわね? ……勇子、援護するわ! 穿て《火炎の矢》!」
空太のキツイ言葉にメイアが僅かに苦笑し、離れた位置で6体のツルメと戦闘する勇子を見て、叫んだ。
勇子を援護するため、十数発の火の追尾系魔法弾を放ったメイアに、空太が言う。
「当然だよ、ホントにメイアの力が必要だったら、命彦が力を貸せって、切り札を使えって言う筈だからね? 僕はメイア自身の判断より、命彦の判断を信じてる。勇子も多分同じだと思うよ? よし、お見事。メイアの援護で勇子が1体倒した。これで残り10体だ!」
「……?」
舞子はすぐ傍で交わされるメイアと空太との会話に、胸のざわつきを憶えていた。
まるでこの窮地を脱するモノを、メイアが持っているように聞こえたからである。
空太とメイア、勇子も30体のツルメ達と激しい戦闘を繰り広げていた。
ドリアードを目指して命彦が飛び出すと同時に、空太とメイアが精霊攻撃魔法を短縮詠唱し、風と火の2つの範囲系魔法弾を素早く具現化する。
「砕け《旋風の槌》!」
「砕け《火炎の槌》!」
具現化と同時に放たれた2つの範囲系魔法弾は、小隊の左右に立つ廃墟の建築物にそれぞれ着弾し、魔法散弾をばらまいて、廃墟と化した建築物を完全に倒壊、崩落させた。
左右の廃墟の屋上にいたツルメ達と、廃墟内を下に下にと密かに移動し、奇襲する隙をうかがっていたツルメ達が、魔法散弾と崩落に巻き込まれ、手傷を負って動きを止める。
廃墟内にいた6体はそのまま圧死したが、その戦果も確認せずに、空太は即座に勇子とメイアへ指示を出し、風の精霊結界魔法を短縮詠唱して、2重の周囲系魔法防壁を具現化した。
「勇子、背後から高速接近するツルメを迎撃してくれ! メイアは〈シロン〉へ指示。防御特化型を僕らの護衛に回して、あとは各個にツルメを攻撃させて! そんでもって覆え、《旋風の円壁》!」
「分かった! 包め《旋風の纏い》、そいで包め《火炎の纏い》! 行くぞいやぁーっ!」
空太の具現化した半球状の周囲系魔法防壁がメイア達を包み込む前に、勇子が後方へと飛び出し、精霊付与魔法を纏いつつ、12体のツルメに突貫する。
メイアも4つの〈出納の親子結晶〉に格納していた、4体4組の〈シロン〉16体を全て周囲に展開しており、すぐに指示を出した。
「〈シロン〉2、6、10、14号は、私達の防御を担当。残りは各個にツルメを攻撃、行け!」
結界魔法から弾かれたように〈シロン〉が出撃して行くと、それとほぼ同時に、崩落した左右の廃墟の瓦礫の山から、動ける程度に回復したツルメ達が飛び出して、手近にいた〈シロン〉に襲いかかる。
〈シロン〉達は素早くちょこまかと動き回り、小型誘導弾や火炎放射器、粘着弾を撃ちまくって牽制し、ツルメと距離を詰めて一気に体当たりした。
全身に魔法力場を纏う〈シロン〉が、同じく魔法力場を纏うツルメを弾き飛ばし、また、結界魔法の魔法防壁で身を守るツルメも、別の〈シロン〉が魔法防壁をぶち破って弾き飛ばした。
メイアが〈シロン〉に封入した魔法は、地水火風の4種の精霊付与魔法である。
つまり〈シロン〉は、常時4重の魔法力場を全身に纏っており、魔法士のように魔法力場の集束こそ不可能だったが、魔法の効力、出力だけで見れば、そこいらの魔獣が使う移動系や周囲系の結界魔法も、体当たりで突破できるほどの魔法攻撃力を持っていた。
道路に倒したツルメへ、近くにいた〈シロン〉が蜘蛛のように飛びかかり、4本の多目的腕部でがっちり胴体を固定すると、〈シロン〉がズドンと一瞬震えて、ツルメがぴくぴくと痙攣し、絶命した。
〈シロン〉が倒れたツルメからすっと離れると、ツルメの胸部に太く深い貫通痕がある。
実は全ての〈シロン〉の下部には、炸薬式杭打機が仕込まれており、身体をがっちり捕縛できるほど接触していれば、たとえ捕縛対象が魔法力場を身に纏っていても、〈シロン〉の纏う魔法力場である程度相殺して、太い杭を打ち込んで損傷を与えることが可能であった。
炸薬式杭打機は〈シロン〉の接近戦用の切り札であるが、くっ付かれた瞬間に3体のツルメが絶命したことで、〈シロン〉との接近戦を危険と判断し、ツルメ達は遠距離魔法攻撃を多用し始める。
精霊結界魔法の上から降り注ぐ多量の精霊攻撃魔法と、次々に破損する〈シロン〉達に顔色を失い、空太が唇を震わせた。
「くっ、もう対応したのか! 思った以上に知恵が回る。あと3体くらいは倒して欲しかったけど……メイア、勇子に加えて〈シロン〉の援護も必要だ。ツルメの数をとにかく減らすよ! 穿て《火炎の矢》」
「了解! 勇子の援護は私がするわ、空太は〈シロン〉をお願い! 穿て《水流の矢》! そして、包め《火炎の纏い》」
メイアが破損する〈シロン〉達を見ていられず、視界から外すように勇子を見て言うと、空太が左右に散らばり、追い回す〈シロン〉と距離を取りつつ魔法攻撃を繰り返すツルメ達へ、短縮詠唱で具現化して、器用にも15ずつに分けた追尾系魔法弾を同時に放った。
一流の学科魔法士でも難しい高等技能を空太が披露すると、メイアも短縮詠唱で30ほどの火の追尾系魔法弾を具現化し、後方で12体のツルメ達と交戦する勇子を援護する。
火の追尾系魔法弾30発を制御しつつ、火の魔法力場で筋力が底上げされた状態で、メイアが持ち歩いていた弓の武具型魔法具、〈魔竹の炎弓:ホムラヨイチ〉をキリリと引き絞り、これまた魔法具と思しき矢をつがえて、ツルメに放った。
魔法具の弓と矢は手に持った時点でメイアの纏う火の魔法力場を取り込み、その力を集束させて自らに宿す。
集束した魔法力場を纏う矢がサッと放たれ、それこそ精霊攻撃魔法の集束系魔法弾のように、当たったツルメの頭部を一撃で吹き飛ばした。
希少品級の武具型魔法具であるホムラヨイチは、関西迷宮で取れる真竹に似た異世界産の植物、【魔竹】から作られた合成弓であり、その形状は装備者の迷宮での取り回し、特に携帯性を重視したためか、和弓よりも古代の狩り弓や洋弓の方に近かった。
《火炎の纏い》を封入されたこの弓は、弓に魔力を注ぐと任意で装備者の筋力を底上げでき、魔法の効力を限界まで勝手に吸い込み、集める性質を持つ【魔竹】のせいで、弓の反発力も増して、常識を超えた速さの矢を射れる。
弓と同じ【魔竹】製の矢を、付与魔法を使ってつがえれば、矢が勝手に魔法力場を吸ってその効力を集束させ、集束系魔法弾のように矢を射ることも可能だった。
勇子から距離を取り、メイアの追尾系魔法弾を避けたツルメを、2体、3体とメイアの矢が抉り抜く。
追尾系魔法弾と集束系魔法弾を同時に使っているとも言うべきメイアの魔法攻撃に、舞子は目を剥いた。
「め、メイアさん、凄いです。弓も上手い……」
結界魔法の内側で、防御特化の〈シロン〉4体に囲まれて魔法を使うメイアと空太。
そのメイアと空太の間に挟まり、蒼い顔をしてポマコンを構える舞子が、呆然と言った。
「褒めてくれてありがとっ! 私は命彦や空太と比べると、攻撃魔法の練度がまだまだ低いから、こういう補助的に使える遠距離魔法攻撃手段を主武装にしてるのよってぇー、外したっ! 穿て《地礫の矢》!」
メイアが悔しそうに顔をしかめて、地の追尾系魔法弾を短縮詠唱で10ほど放ち、矢を避けた1体のツルメが石つぶての矢に激しく打たれて、絶命した。
「ごめん舞子。ホントは先輩として余裕見せたいとこだけど、矢弾も結構高いし、今わりと切羽詰ってるから、気を散らせるのは勘弁してくれる?」
「あ、申し訳ありませんでした!」
「メイア、勇子の援護、急げ!」
空太に指示され、次の矢をつがえるメイアの焦る眼を見て、舞子は反省し、口をつぐんだ。
弓や火器に代表される飛び道具類の武具型魔法具は、他の武具型魔法具と違って生産数が限られている。
理由は単純で、魔法戦闘において使う意味が見出しにくいからであった。
遠距離を攻撃する場合は攻撃魔法を使った方が速いし、矢弾を消費せずに済むため、弾薬費用を節約できる。
また、戦闘に有用である付与魔法は、道具に効力を一時的に上乗せする時、魔法使用者にその道具が接触しているか、使用者の傍に道具がある方が、高い効力を発揮した。
よって普通の材料で作る場合、接近戦用の武器の方が付与魔法とは相性が良い。
接近戦用の武器は付与魔法を存分に活かせるのに、魔法使用者から矢弾を切り離して使うことが前提の飛び道具類は、付与魔法の効力を活かしにくく、武具型魔法具として使うには、接近戦用の武器より使い勝手に劣ったのである。
地球にある材料を使う限りにおいて、飛び道具類の武具型魔法具は作る必要性に乏しかった。
しかし、【魔竹】のように自ら魔法を吸収し、蓄積する性質を持つ材料を使えば話は違う。
製作費用は相当かかるが、こうした素材を使えば付与魔法とも親和する飛び道具類の魔法具を作ることが可能であった。
メイアのように、魔法戦闘において後衛の役割を持つ学科魔法士は、攻撃魔法以外にも遠距離魔法攻撃手段を欲する者が稀にいるため、そういう物好きの魔法士のために、飛び道具類の武具型魔法具は少量だけ生産され、相当の高額を付けられて市場で取引されている。
飛び道具類の武具型魔法具では、道具の制作に小さい部品が多いものほど、道具を魔法具化する異相空間処理に手間がかかるため、手裏剣や弓よりも火器類の方が圧倒的に高額であった。
その点、メイアのホムラヨイチはまだ手に入れやすい一品だったが、弓も火器類も弾薬費用は基本的に高い。
無駄弾を使うことは、メイアも極力避けたかったのである。
「せい、せい、せいやーっ! これで4体目や。残り6発、さあ次は誰が逝く?」
《火炎の纏い》による火の魔法力場と反応し、〈双炎の魔甲拳:フレイムフィスト〉を装備する勇子の拳が燃え上がり、地の魔法力場に覆われたツルメの胴体と衝突して、ツルメの胴体が魔法力場諸共に爆裂四散する。
フレイムフィストの、《火炎の矢》を封入された魔法結晶の力である。
空の回転式弾倉を手動でガチャリと回し、倒れた4体のツルメ達を踏み越えて、眼前のツルメ達を見た勇子が、爛々と輝く瞳で、一番近くにいた1体のツルメを見た。
「次は……お前じゃあぁーっ!」
鬼気迫る表情でツルメに飛びかかる勇子。
ツルメの青い体液を全身に浴びたその姿はまさに鬼であったが、勇子も人の子であるらしく、打撲や擦過傷、青あざがそこかしこにあった。
しかし、闘争本能を剥き出しにする勇子は止まらず、魔法攻撃を仕かける。
「はあっ! てやっ! こいつで止めや、《エアロ・レイド》!」
燃える右拳を振り抜き、同じく燃える左拳を突き上げて、ツルメの身体を浮かせた勇子が、踏み込んで横蹴りを放つ。
《火炎の纏い》と一緒に身に纏っていた《旋風の纏い》の魔法力場が、右の蹴り足へと瞬時に集束し、勇子がツルメを蹴り飛ばした。
横蹴りがツルメに触れた瞬間、右足に集束された魔法力場が一気に膨れ上がり、ツルメと衝突する。
ツルメが腹部をゴボンッと陥没させられ、爆発に巻き込まれたように物凄い勢いで吹き飛ばされた。
同族の援護をしようと勇子に飛びかかろうとしていた3体のツルメ達に、勇子は予め気付いていたのだろう。
勇子が蹴り飛ばして即死させたツルメの骸は、飛びかかったツルメ達をも巻き込み、数十mほど一緒に飛んで行った。
精霊付与魔法《エアロ・レイド》。《火炎の纏い》から派生する《フレア・ラッシュ》と同じく、〔闘士〕学科の固有魔法であり、《旋風の纏い》から派生する精霊付与魔法で、これも魔法攻撃と共に攻撃した相手を後退させる効力を持っている。
単純である分、特筆すべき点に乏しい〔闘士〕学科の固有魔法だが、しかし単純であるが故に使いやすい。
《エアロ・レイド》によってツルメ達との間合いを調整した勇子は、周囲を見回して言う。
「ふうぅー……残りはどんだけや? まだウチは行けるで!」
疲労が少し見える深いため息を吐き、勇子が拳を握って、自分の前方に集まるツルメ達を見て宣言した。
荒々しい勇子を見つつ、焦り顔の空太が言う。
「駄目だ……もうそろそろ3分が経過するけど、あと12体も残ってる。勇子の前に6体、僕らの左右に3体ずつ。〈シロン〉も16体のうち、半数の8体が破壊された。これじゃあ……」
「命彦とミサヤが、前でまだドリアード達を押えてくれてるわ! 3分っていうのは命彦が仮に設定した努力目標でしょ? 私達はまだ生きてる……指揮を任されてるんだからしっかりして空太っ!」
すぐ傍にいるメイアに叱咤され、怖気づいていた空太が、目が覚めたようにメイアを一瞥する。
「そ、そうだったね。できる限りのことをしよう! メイア、勇子に軽傷系の治癒魔法を使ってくれ! あのバカ、致命傷こそ避けてるけど、軽傷は無視するせいで身体のキレが少しずつ落ちてる。今のうちに治癒しといた方がいい!」
「了解! 其の地礫の天威を活力とし、傷痍を癒せ。治せ《地礫の祈り》」
メイアが地の治癒力場を具現化し、ツルメ6体と対峙する勇子を治癒力場で包み込む。
勇子の負っていた傷が少し減り、重そうだった足取りに力が戻った。
精霊治癒魔法《地礫の祈り》。地の精霊達を魔力に取り込んで使役し、身体の自己治癒能力を後押しして、傷を癒す魔法であった。
《○○の祈り》と呼称される軽傷系の治癒魔法は、魔法的効力より魔法展開速度や効力射程を重視した、応急処置を行うための低位の治癒魔法であり、魔法の制御も容易である。
軽傷系の治癒魔法は、本来戦闘時に負った軽い外傷を逐次回復させ、一定の戦闘力を維持するための魔法であるが、魔法士が致命傷や重傷を負い、治療に一刻を争う時に、重傷系の治癒魔法を使うまでの時間稼ぎの延命措置としても、使われることが多々あった。
その意味では、重傷系や状態系の治癒魔法より、よっぽど使用頻度が多い治癒魔法である。
回復した勇子がツルメに飛びかかる姿を見て、メイアが疲れの見える表情で言う。
「ふう。可能だったら、壊れた〈シロン〉達も《陽聖の恵み》で修復したいけど……」
「駄目だ! 8体もの〈シロン〉に《陽聖の恵み》を使えば、メイアの魔力が回復量以上に消費されてきっと枯渇する。ここでメイアに倒れられたら、僕ら全員が死ぬよ? ごめん、諦めてくれ! 今はツルメを討つのが先決だ! 穿て《地礫の矢》!」
空太が、ツルメの精霊攻撃魔法に破壊され、結界魔法の周囲に転がる壊れた〈シロン〉達を悔しそうに見るメイアを説得し、周囲系の魔法防壁にしつこく攻撃して来るツルメ達を迎撃する。
2重に展開された風の周囲系魔法防壁の近くにいる6体のツルメ達は、素早く身を翻し、空太の具現化した30の追尾系魔法弾を全て回避した。
「く、魔法弾の制御力が落ちてる……しっかりしろ、僕っ!」
空太が自分の顔を手で叩いた。
連戦によって魔力の消費が多く、少しづつ倦怠感や疲労感が蓄積し、戦闘力が落ちている空太。
メイアの方も、負けず劣らず疲労が表面化しており、元気そうに見える勇子も、実は相当の心的疲労を抱えていた。
魔獣と持久戦を行えば、魔力消費量と魔力回復量の関係から、学科魔法士は高確率で魔獣に負けてしまう。
これは基本的に魔獣の方が生まれ持った魔力量が多く、魔力回復量も多いためであった。
本来であれば、短期決戦こそ学科魔法士が魔獣との戦闘において、最も勝利しやすい戦い方である。
しかし今は、多勢に無勢の数の力で、持久戦に無理やり引きずり込まれていた。
劣勢は当然の結果である。
魔力を増やす修練をよっぽど積んだ学科魔法士であればともかく、恵まれた才能にあぐらをかき、魔法の修練に手を抜きがちの勇子や空太は、当然の如く持久戦に弱かった。
また、魔法の修練こそ日々積んでいるが、修練期間が根本的に短いメイアも、まだ持久戦には弱い。
そして、持久戦に弱いのに加えて、連戦での疲労がメイア達にはある。
範囲系魔法弾による奇襲の先制攻撃や、ミサヤの助力もあったとはいえ、【魔狼】小隊だけですでに80体近くのツルメ達を討伐している。
ここへ来て、魔力の過剰消費による心身の疲労が、戦闘に影響を与えるのも当然のことだった。
「……み、皆さん」
守られている舞子は、じわじわと自分達が追い詰められていることを、感じ取っていた。
不安げに揺れる舞子の表情を一瞥したメイアが、ギュっと唇を噛む。
「空太、私……」
メイアの言わんとすることをすぐに察した空太が、厳しい表情でツルメを見つつ言う。
「切り札を使うかどうかはメイアの判断だ。本心を言えば使って欲しいけど……でも僕は逆に問いたいね? 今この切羽詰った、追い詰められた状態で、メイアはあの力の塊を御せるのかい? おっと、穿て《旋風の矢》! く、外したか」
「そ、それは! ……っ、穿て《水流の矢》!」
空太の風の追尾系魔法弾に続いて、水の追尾系魔法弾を放ち、口籠るメイア。
そのメイアをチラリと見て、空太が口を開いた。
「その様子じゃ、決意も覚悟もありませんって言ってるのと同じだよ? 自分から切り札を使おうと思ってくれた、その意志は買う。いつもあの魔法系統を使うことを嫌がり、躊躇うメイアが、よくぞ言ってくれたと、その想いの進歩は歓迎するよ? けど……自分でも使用を迷ってるんだったら、希望を持たせる言い方は止めてくれ。思考の邪魔だ、僕らがメイアに頼ってしまうからね? 貫け《地礫の槍》! いよっし、あと11体だ!」
「はっきり言うわね? ……勇子、援護するわ! 穿て《火炎の矢》!」
空太のキツイ言葉にメイアが僅かに苦笑し、離れた位置で6体のツルメと戦闘する勇子を見て、叫んだ。
勇子を援護するため、十数発の火の追尾系魔法弾を放ったメイアに、空太が言う。
「当然だよ、ホントにメイアの力が必要だったら、命彦が力を貸せって、切り札を使えって言う筈だからね? 僕はメイア自身の判断より、命彦の判断を信じてる。勇子も多分同じだと思うよ? よし、お見事。メイアの援護で勇子が1体倒した。これで残り10体だ!」
「……?」
舞子はすぐ傍で交わされるメイアと空太との会話に、胸のざわつきを憶えていた。
まるでこの窮地を脱するモノを、メイアが持っているように聞こえたからである。
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