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6章 逢魔が時
6章ー10:まさかの遭遇、魔竜種魔獣【水龍】
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以前にも[精霊泉の滴]を採集した、【迷宮外壁】から900m地点の【精霊泉】で、依頼受領時に受け取った18Lほどの容量がある樽型容器を3つ満杯にし、回収した命彦達は、そのまま【結晶樹】が近場に多く生えている【迷宮外壁】から2km地点まで進み、手分けして数本の【結晶樹】から樹液を採集して、同じく2Lほどの小さい樽型容器を満杯にした。
[結晶樹の樹液]で満たされた採集容器を〈出納の親子結晶〉へと収納し、自分の〈余次元の鞄〉へ仕舞った命彦は、ポマコンを見つつ言う。
「30分で2つ採集か。この分だと1時間もかからねえや」
『そうですね。残る[精霊石の欠片]もここから1km圏内で手に入る。余裕です』
命彦の肩に乗るミサヤが《思念の声》で語ると、勇子が物足りんといった表情で口を開いた。
「余裕はええんやけど、全然魔獣おらんね? 今までみたく、こっちが避けとるわけやあらへんねんやろ?」
「ああ。そもそも《旋風の眼》に魔獣がほとんど映ってねえ。ツルメとドリアードの無差別狩猟のせいで、一時的にここらの魔獣の個体数が減ってるんだろう」
命彦が言うと、メイアも同意する。
「そうでしょうね。ドリアードが潜んでいたツルメ達の巣は外壁から4km地点だから、ツルメの活動が活発だった巣から近い領域は、相当魔獣の個体数が減ってる筈よ?」
「僕らにとっては進行速度をあげられて楽だし、採集時間も短縮できるから、このまま進みたいところだね? さっさと残りの採集も済ませようよ」
「そうですね。[精霊石の欠片]の採集は初めてですし、私、実は結構楽しみにしてるんです」
舞子が淡く笑うと、メイアも笑った。
「うふふ、その気持ちは分かるわ。【精霊石】は普通の宝飾品としても、女性に人気があるからね?」
「やれやれ、宝石探しじゃねえんだが……まあいいや、さっさと移動するぞ?」
命彦が《旋風の纏い》を具現化して移動すると、メイア達も続いた。
魔獣の姿がほぼ見えず、安全であるため、今回は普通に道路や地面を走る命彦達。
ふと、小隊の先頭を走る命彦は違和感を覚えた。
(……見られてる?)
命彦が周囲に《旋風の眼》による探査魔法の風を送るが、それらしいモノは見えず、しかし、チリチリと首筋にはいつまでも違和感が付き纏った。
(殺気は感じねえし、探査魔法にも姿はねえ。ってことは気のせいか? 疲れてんのかねえ、俺も……)
訝しむ命彦の様子に気付き、ミサヤが心配そうに問う。
『どうしました、マヒコ?』
「いや、ドリアード戦後にも感じた違和感をまた感じたんだ。……最近休んでねえから、神経がささくれてんのかもしんねえ」
『それはいけません! さっさと依頼を終わらせて、帰ってイチャイチャしましょう!』
「ああ、そうしよう」
自分の顔に身体をスリスリするミサヤに笑いかけ、命彦は荒れた道路を疾風のようにひた走った。
命彦達が通り過ぎた道路の上空の空間が、不気味に一瞬揺れたが、それに気付いた者は皆無であった。
【迷宮外壁】から3km地点の、廃墟に隠れた奇岩地帯へとたどり着いた命彦達は、天に逆らうように屹立する黒色奇岩の前で立ち止まった。
「よし、ここが目的地だ。こいつが【精霊石】だぞ」
「……あの、思ってたのと違うんですが?」
「まあ見た目はムダにデッカイ黒曜石だもんね? 舞子が見たかったのってこれでしょ?」
空太が黒曜石に似た黒色奇岩に、自分の〈余次元の鞄〉から取り出した採集用具の打槌を振り下ろすと、ガチンと奇岩の一部が剥離して、空太の手の上に落ちた。
すると、黒色だった奇岩の一部がみるみる虹色にも似た遊色効果を得て、蛋白石のように輝く。
「そ、そうですっ! これですよ、これ! 私の知ってる【精霊石】は! うわぁー……」
「【精霊石】は多種多様の精霊を種類を問わずに吸収して閉じ込めた石や。石自体がデカいほど、吸収する精霊も多く混ざってしもて、最終的には石灰岩みたく白い石か黒曜石みたく黒い石として、デデンと立っとるんよ」
「巨岩の【精霊石】は、石が吸収した精霊のうち、陰闇の精霊が陽聖の精霊より多ければ黒い【精霊石】に見えて、その逆の場合は白い【精霊石】に見えるの。石が小さければ精霊の混ざり方も綺麗に見えるから、宝石みたいに使われるわけね」
「ドム爺に聞いた話じゃ、魔法具の研磨材として【精霊石】がよく使われるのは、石自体に精霊が閉じ込められてて、魔法具に封入された精霊魔法によく親和するからだそうだ。……さて、【精霊石】について舞子に基礎知識を教えたところでだ。がっつり採集するぞ?」
「「「おー!」」」
自分の〈余次元の鞄〉から〈出納の親子結晶〉の親結晶を取り出した命彦は、親結晶に魔力を送り、採集した[精霊石の欠片]を入れる箱型容器を取り出した。
命彦とメイア、空太が採集用の打槌を持ち、石の一部を剥離させ、勇子と舞子が剥離した[精霊石の欠片]を箱型容器へとどんどん入れて行く。
10分ほどで容器は山盛りの[精霊石の欠片]で埋まった。
「よし。これくらいでいいだろ」
命彦が子結晶を箱型容器の周囲に配置し、親結晶に魔力を送って、〈出納の親子結晶〉に山盛りの[精霊石の欠片]を収納する。
『依頼完了ですね?』
「ああ。これでようやく街に帰れる」
命彦がホッとした表情で、肩に乗るミサヤに語りかけると、勇子が周囲を見回して言った。
「結局1時間もかからんかったね? 魔獣おらんかったらホンマ楽勝やわ。少しくらいやったら出て来てもええねんで?」
「やめろよ、そういうこと言うのは! ホントに出て来てたらどうするんだよ! 勇子だけで戦ってよ? 僕らは逃げるからさ」
「ウチを餌に逃げるんか、酷過ぎるやろ!」
勇子の発言に空太が噛み付く。ムスッとして対峙する勇子と空太。
2人の間にメイアと舞子が入ろうとした時だった。
命彦とミサヤが慌てた様子で、揃って同じ方角を見る。
「……っ! 空間転移の反応だ!」
『まさか、どうしてここに!』
命彦とミサヤが見詰める先にある、廃墟の建物の屋上。
その屋上に、青い竜鱗を持つ魔竜種魔獣【水龍】が、虹色の空間の裂け目から落ちるように、突然出現した。
【魔狼】小隊の全員が、突然出現したミズチを見て驚き、一斉に蒼ざめる。
「ゆ、勇子が魔獣が出て来ても良いとか言ったせいだっ!」
「アレが出たんがウチのせい言うんかっ!」
「バカたれ、モメてる場合か! 逃げるぞ!」
「そ、そうよ! 舞子!」
「はい!」
自分の一言で我に返ったメイア達を引き連れ、精霊付与魔法《旋風の纏い》を使い、駆け出す命彦。
幸い廃墟の屋上に空間転移したミズチは自重で廃墟を押しつぶし、足場を失ってひっくり返って瓦礫に埋もれており、出足につまずいている。逃走を図るには絶好の機会であった。
魔竜種魔獣【水龍】。
関西迷宮【魔竜の樹海】の深奥、第3迷宮域に棲息する高位魔獣の1種であり、天魔種魔獣【女霊樹】に匹敵、あるいは凌駕しさえする、危険度3級以上の魔獣であった。
魔竜種魔獣や巨人種魔獣は、そもそも天魔種魔獣に数えられていたが、その種類の多さから天魔種とは独立した種として区別された、いわく付きの魔獣種族であり、特に魔竜種魔獣は、経年によって知能や魔力がグンと上昇し、身体も天井知らずに成長するため、危険視されている。
出現したミズチは15m近い、青い山椒魚とも言うべき魔獣であったが、ミズチの平均個体値である全長20mと比べるとやや小柄であるため、成竜というより幼竜であることがうかがえる。
普通に考えれば、成竜よりはまだしも逃げやすい相手と考えられた。
命彦がもがくミズチの様子を探査魔法の風で確認して、後ろを走るメイア達に指示した。
「逃げ切れるぞ! ある程度まで引き離したら〈転移結晶〉を使う!」
「あ、焦ったよ、ホントに! 心臓が止まるかと思った」
命彦達が《旋風の纏い》で十数秒走り、ミズチと距離をあけた時だった。
感知系の精霊探査魔法を使っている命彦とミサヤが、揃って背後を見る。
「……っ! 攻撃魔法だ! 後ろと上から来るぞ!」
『追尾系魔法弾です!』
数百はあるだろう水の追尾系魔法弾が背後や頭上から飛来し、命彦達の足を止めさせた。
ズドドドッっと迫り来る魔法弾を避ける命彦達。
しかし、弾数が多過ぎて命彦と勇子はともかく、メイア達には全弾回避が難しかった。
「こらマズイ、メイアっ!」
「分かってる! 空太、一緒に! 覆え《陽聖の円壁》」
「了解っ! 舞子はこっちへ! 覆え《旋風の円壁》」
「はい!」
命彦と勇子が魔法弾を回避する一方、メイアと空太は短縮詠唱で周囲系魔法防壁を2枚ずつ、計4枚具現化し、舞子と共に3人で半球状の魔法防壁に立てこもって、追尾系魔法弾の雨に耐える。
3枚の周囲系魔法防壁を失いつつも、どうにか魔法弾の雨に耐え切り、ホッとしたメイア達。
そのメイア達に、命彦とミサヤの警戒の声が飛んだ。
「まだだ!」
『次が来ますよ!』
新しい魔法の気配に気付き、警告する命彦とミサヤ。
すると、命彦達の眼前の道を寸断するように、突如として地面から輝く水の壁がそそり立ち、恐ろしく広い範囲を半球状に包み込んだ。
廃墟や道路を絶ち切るように円形に周囲を切り取り、包み込む、半径300m以上はあるであろう水の壁に、唖然とする命彦達。
てっきりまた魔法攻撃だと思っていた命彦達は逃げる機を失い、完全に結界内に呑み込まれ、閉じ込められてしまった。
硝子のように透明で、澄んでいる水の魔法防壁を見て、空太が慌てて言う。
「ほ、捕縛系の結界魔法だ……僕ら閉じ込められちゃったよっ!」
「みりゃあ分かるわっ! 命彦、突破でけへんのか?」
「俺は行けそうだが……どうだミサヤ?」
『そうですね……突破自体はできるでしょうが、少々時間がかかります。この手の魔法防壁は、魔竜種魔獣が獲物を逃さぬように使う、水流と陽聖の精霊融合結界魔法。閉じ込める結界の効力も非常に高いですが、それ以上に厄介極まるのが、魔法防壁の自己修復力と空間干渉力です。小規模の結界の裂け目では瞬時に修復され、空間転移による魔法の効力も削がれてしまう怖れがある。もし〈転移結晶〉を使って迷宮を出るのであれば、1度結界から出て使うべきでしょう。精霊融合魔法や命彦の源伝魔法、メイアの神霊魔法であれば、自己修復力や空間干渉力ごと結界を破壊できますが……』
命彦が魔法防壁からすぐに視線を外し、背後を振り返って指示した。
「どうもそれを使う時間は与えてくれねえらしい! 全員右へ避けろっ!」
命彦が叫ぶと同時に、《旋風の纏い》の薄緑の魔法力場を維持していたメイア達が右の廃墟へ飛び込む。
命彦もメイア達に続いた。
命彦達が退避した一瞬。眼前の廃墟の建物が、水の集束系魔法弾によって派手に貫かれ、崩れ落ちた。
高速で進む集束系魔法弾は、命彦達がついさっきまでいた道路に着弾し、道路の舗装を抉って地面の土砂を巻き上げる。
廃墟のぶち破った壁からそれを見て、勇子が口を開いた。
「完全にこっちを狙っとるで!」
「止まってたらマズイ! 動くぞ!」
命彦達は飛び込んだ廃墟を突っ切り、外に出てまた走り出した。
ミズチが具現化した結界魔法内を走り回る命彦達。
命彦とミサヤは、ミズチがどうやって自分達を感知しているのか、すぐに推測した。
「俺の《旋風の眼》に干渉する、別の精霊探査魔法の気配がある。恐らく《陰闇の眼》だ」
『ということは魔力感知ですね? 魔力の波動を断てば、狙撃の目を失う筈ですが?』
「ああ、試してみよう」
命彦は走りつつも、腰の〈余次元の鞄〉から黒い暗幕の特殊型魔法具、〈陰闇の隠形幕〉を取り出して、後ろのメイア達に言った。
「目の前の高い廃墟へ飛んで、全員集まれ!」
「「「了解!」」」
互いに信じているのだろうか。指示と共に風の魔法力場をまとった命彦達は飛び上がり、周囲で1番背の高い廃墟の屋上へ着地して、集まった。
命彦が魔法具の暗幕を一気に広げて全員をすっぽり覆い、そのまま移動する。
壊れて扉が開きっ放しの、廃墟の非常階段から3階下の階へと降りて、作業机や椅子、書類が床に転がっている事務室と思しき室内を進み、窓際の柱の傍に屈んで息を殺した。
1度だけ廃墟が激しく揺れ、命彦達が肩を寄せ合う。
「廃墟の屋上、俺達の降り立った場所へ集束系魔法弾が着弾し、屋上の一部を吹き飛ばしただけだ。瓦礫は上の階で止まってる。この階まで被害はねえ」
《旋風の眼》の効力範囲をぎりぎりまで絞り、命彦がミサヤを抱えて説明する。
そのまま10秒経ち、20秒経ち、ようやく命彦達は一息ついた。
魔法攻撃は断続的に続いているが、攻撃魔法の気配は明後日の方へ飛んで行っている。
ミズチの狙撃の目から一先ず逃れたことを、命彦は確信した。
「ふぅー……良かった、どうやら俺達を見失ったらしいぞ?」
『推測通り、魔力感知でしたね』
「ああ。この〈陰闇の隠形幕〉のおかげで助かった」
命彦が魔法具の暗幕へ、感謝するように頬ずりした。その命彦へ舞子が問う。
「こ、この暗幕の魔法具には、どういう効力があるんですか?」
顔がやや青い舞子の問いに、ホッとした様子の勇子とメイアが答えた。
「陰闇の精霊による儀式魔法が封入されてて、暗幕で覆った空間の魔法の気配、魔力の波動を、全て吸収して外部から隠す効果があるのよ」
「この暗幕で囲った空間内で精霊魔法を使っても、魔法の気配は外からほぼ感じ取られへんねん。ウチらも今、《旋風の纏い》を使ったままやけど、この魔法の気配は暗幕のおかげで消えとるんよ」
「探査魔法を使う魔獣と戦うにはほぼ必須の魔法具ね? 1枚で1000万円ほどするわ」
「い、1000万円ですかっ!」
「せや。まあ、これを高いと思うかどうかはその人次第やけど、魔力感知の探査魔法を無力化する魔法の布って考えれば、ウチは安いと思うで? 今こうして攻撃魔法による狙撃を回避して、話す余裕を作ってくれてるわけやしね?」
口をあんぐり開ける舞子へ、勇子が苦笑して語った。
舞子達の会話を聞きつつ、こちらも蒼い顔の空太が命彦に問う。
「と、とりあえず一息つけたわけだけど、これからどうするんだい命彦?」
命彦は暗幕から顔だけ出して、窓の外を見てから言った。
「どうもしねえよ? あのミズチ、まだ俺達を探してるし、俺達も檻から出ねえと帰れん。とにかく今は、逃げる作戦を考えるだけだ」
「逃げると言っても……そもそも第3迷宮域にいる筈の魔竜が、どうして第1迷宮域にいるんですか?」
「俺が聞きてえよ。まあ、その理由が分かったところで、ミズチが消えるわけじゃねえ。逃走に失敗したら、戦うつもりだ……メイアもいるし。じー」
命彦達の視線が一斉にメイアへ集まる。メイアが渋い表情で言った。
「また私? いやそう来るとは薄々思ってたけど」
「頼むでメイア! 【神の使徒】候補!」
ニッコリして言う勇子に、メイアがガックリと肩を落とした。
[結晶樹の樹液]で満たされた採集容器を〈出納の親子結晶〉へと収納し、自分の〈余次元の鞄〉へ仕舞った命彦は、ポマコンを見つつ言う。
「30分で2つ採集か。この分だと1時間もかからねえや」
『そうですね。残る[精霊石の欠片]もここから1km圏内で手に入る。余裕です』
命彦の肩に乗るミサヤが《思念の声》で語ると、勇子が物足りんといった表情で口を開いた。
「余裕はええんやけど、全然魔獣おらんね? 今までみたく、こっちが避けとるわけやあらへんねんやろ?」
「ああ。そもそも《旋風の眼》に魔獣がほとんど映ってねえ。ツルメとドリアードの無差別狩猟のせいで、一時的にここらの魔獣の個体数が減ってるんだろう」
命彦が言うと、メイアも同意する。
「そうでしょうね。ドリアードが潜んでいたツルメ達の巣は外壁から4km地点だから、ツルメの活動が活発だった巣から近い領域は、相当魔獣の個体数が減ってる筈よ?」
「僕らにとっては進行速度をあげられて楽だし、採集時間も短縮できるから、このまま進みたいところだね? さっさと残りの採集も済ませようよ」
「そうですね。[精霊石の欠片]の採集は初めてですし、私、実は結構楽しみにしてるんです」
舞子が淡く笑うと、メイアも笑った。
「うふふ、その気持ちは分かるわ。【精霊石】は普通の宝飾品としても、女性に人気があるからね?」
「やれやれ、宝石探しじゃねえんだが……まあいいや、さっさと移動するぞ?」
命彦が《旋風の纏い》を具現化して移動すると、メイア達も続いた。
魔獣の姿がほぼ見えず、安全であるため、今回は普通に道路や地面を走る命彦達。
ふと、小隊の先頭を走る命彦は違和感を覚えた。
(……見られてる?)
命彦が周囲に《旋風の眼》による探査魔法の風を送るが、それらしいモノは見えず、しかし、チリチリと首筋にはいつまでも違和感が付き纏った。
(殺気は感じねえし、探査魔法にも姿はねえ。ってことは気のせいか? 疲れてんのかねえ、俺も……)
訝しむ命彦の様子に気付き、ミサヤが心配そうに問う。
『どうしました、マヒコ?』
「いや、ドリアード戦後にも感じた違和感をまた感じたんだ。……最近休んでねえから、神経がささくれてんのかもしんねえ」
『それはいけません! さっさと依頼を終わらせて、帰ってイチャイチャしましょう!』
「ああ、そうしよう」
自分の顔に身体をスリスリするミサヤに笑いかけ、命彦は荒れた道路を疾風のようにひた走った。
命彦達が通り過ぎた道路の上空の空間が、不気味に一瞬揺れたが、それに気付いた者は皆無であった。
【迷宮外壁】から3km地点の、廃墟に隠れた奇岩地帯へとたどり着いた命彦達は、天に逆らうように屹立する黒色奇岩の前で立ち止まった。
「よし、ここが目的地だ。こいつが【精霊石】だぞ」
「……あの、思ってたのと違うんですが?」
「まあ見た目はムダにデッカイ黒曜石だもんね? 舞子が見たかったのってこれでしょ?」
空太が黒曜石に似た黒色奇岩に、自分の〈余次元の鞄〉から取り出した採集用具の打槌を振り下ろすと、ガチンと奇岩の一部が剥離して、空太の手の上に落ちた。
すると、黒色だった奇岩の一部がみるみる虹色にも似た遊色効果を得て、蛋白石のように輝く。
「そ、そうですっ! これですよ、これ! 私の知ってる【精霊石】は! うわぁー……」
「【精霊石】は多種多様の精霊を種類を問わずに吸収して閉じ込めた石や。石自体がデカいほど、吸収する精霊も多く混ざってしもて、最終的には石灰岩みたく白い石か黒曜石みたく黒い石として、デデンと立っとるんよ」
「巨岩の【精霊石】は、石が吸収した精霊のうち、陰闇の精霊が陽聖の精霊より多ければ黒い【精霊石】に見えて、その逆の場合は白い【精霊石】に見えるの。石が小さければ精霊の混ざり方も綺麗に見えるから、宝石みたいに使われるわけね」
「ドム爺に聞いた話じゃ、魔法具の研磨材として【精霊石】がよく使われるのは、石自体に精霊が閉じ込められてて、魔法具に封入された精霊魔法によく親和するからだそうだ。……さて、【精霊石】について舞子に基礎知識を教えたところでだ。がっつり採集するぞ?」
「「「おー!」」」
自分の〈余次元の鞄〉から〈出納の親子結晶〉の親結晶を取り出した命彦は、親結晶に魔力を送り、採集した[精霊石の欠片]を入れる箱型容器を取り出した。
命彦とメイア、空太が採集用の打槌を持ち、石の一部を剥離させ、勇子と舞子が剥離した[精霊石の欠片]を箱型容器へとどんどん入れて行く。
10分ほどで容器は山盛りの[精霊石の欠片]で埋まった。
「よし。これくらいでいいだろ」
命彦が子結晶を箱型容器の周囲に配置し、親結晶に魔力を送って、〈出納の親子結晶〉に山盛りの[精霊石の欠片]を収納する。
『依頼完了ですね?』
「ああ。これでようやく街に帰れる」
命彦がホッとした表情で、肩に乗るミサヤに語りかけると、勇子が周囲を見回して言った。
「結局1時間もかからんかったね? 魔獣おらんかったらホンマ楽勝やわ。少しくらいやったら出て来てもええねんで?」
「やめろよ、そういうこと言うのは! ホントに出て来てたらどうするんだよ! 勇子だけで戦ってよ? 僕らは逃げるからさ」
「ウチを餌に逃げるんか、酷過ぎるやろ!」
勇子の発言に空太が噛み付く。ムスッとして対峙する勇子と空太。
2人の間にメイアと舞子が入ろうとした時だった。
命彦とミサヤが慌てた様子で、揃って同じ方角を見る。
「……っ! 空間転移の反応だ!」
『まさか、どうしてここに!』
命彦とミサヤが見詰める先にある、廃墟の建物の屋上。
その屋上に、青い竜鱗を持つ魔竜種魔獣【水龍】が、虹色の空間の裂け目から落ちるように、突然出現した。
【魔狼】小隊の全員が、突然出現したミズチを見て驚き、一斉に蒼ざめる。
「ゆ、勇子が魔獣が出て来ても良いとか言ったせいだっ!」
「アレが出たんがウチのせい言うんかっ!」
「バカたれ、モメてる場合か! 逃げるぞ!」
「そ、そうよ! 舞子!」
「はい!」
自分の一言で我に返ったメイア達を引き連れ、精霊付与魔法《旋風の纏い》を使い、駆け出す命彦。
幸い廃墟の屋上に空間転移したミズチは自重で廃墟を押しつぶし、足場を失ってひっくり返って瓦礫に埋もれており、出足につまずいている。逃走を図るには絶好の機会であった。
魔竜種魔獣【水龍】。
関西迷宮【魔竜の樹海】の深奥、第3迷宮域に棲息する高位魔獣の1種であり、天魔種魔獣【女霊樹】に匹敵、あるいは凌駕しさえする、危険度3級以上の魔獣であった。
魔竜種魔獣や巨人種魔獣は、そもそも天魔種魔獣に数えられていたが、その種類の多さから天魔種とは独立した種として区別された、いわく付きの魔獣種族であり、特に魔竜種魔獣は、経年によって知能や魔力がグンと上昇し、身体も天井知らずに成長するため、危険視されている。
出現したミズチは15m近い、青い山椒魚とも言うべき魔獣であったが、ミズチの平均個体値である全長20mと比べるとやや小柄であるため、成竜というより幼竜であることがうかがえる。
普通に考えれば、成竜よりはまだしも逃げやすい相手と考えられた。
命彦がもがくミズチの様子を探査魔法の風で確認して、後ろを走るメイア達に指示した。
「逃げ切れるぞ! ある程度まで引き離したら〈転移結晶〉を使う!」
「あ、焦ったよ、ホントに! 心臓が止まるかと思った」
命彦達が《旋風の纏い》で十数秒走り、ミズチと距離をあけた時だった。
感知系の精霊探査魔法を使っている命彦とミサヤが、揃って背後を見る。
「……っ! 攻撃魔法だ! 後ろと上から来るぞ!」
『追尾系魔法弾です!』
数百はあるだろう水の追尾系魔法弾が背後や頭上から飛来し、命彦達の足を止めさせた。
ズドドドッっと迫り来る魔法弾を避ける命彦達。
しかし、弾数が多過ぎて命彦と勇子はともかく、メイア達には全弾回避が難しかった。
「こらマズイ、メイアっ!」
「分かってる! 空太、一緒に! 覆え《陽聖の円壁》」
「了解っ! 舞子はこっちへ! 覆え《旋風の円壁》」
「はい!」
命彦と勇子が魔法弾を回避する一方、メイアと空太は短縮詠唱で周囲系魔法防壁を2枚ずつ、計4枚具現化し、舞子と共に3人で半球状の魔法防壁に立てこもって、追尾系魔法弾の雨に耐える。
3枚の周囲系魔法防壁を失いつつも、どうにか魔法弾の雨に耐え切り、ホッとしたメイア達。
そのメイア達に、命彦とミサヤの警戒の声が飛んだ。
「まだだ!」
『次が来ますよ!』
新しい魔法の気配に気付き、警告する命彦とミサヤ。
すると、命彦達の眼前の道を寸断するように、突如として地面から輝く水の壁がそそり立ち、恐ろしく広い範囲を半球状に包み込んだ。
廃墟や道路を絶ち切るように円形に周囲を切り取り、包み込む、半径300m以上はあるであろう水の壁に、唖然とする命彦達。
てっきりまた魔法攻撃だと思っていた命彦達は逃げる機を失い、完全に結界内に呑み込まれ、閉じ込められてしまった。
硝子のように透明で、澄んでいる水の魔法防壁を見て、空太が慌てて言う。
「ほ、捕縛系の結界魔法だ……僕ら閉じ込められちゃったよっ!」
「みりゃあ分かるわっ! 命彦、突破でけへんのか?」
「俺は行けそうだが……どうだミサヤ?」
『そうですね……突破自体はできるでしょうが、少々時間がかかります。この手の魔法防壁は、魔竜種魔獣が獲物を逃さぬように使う、水流と陽聖の精霊融合結界魔法。閉じ込める結界の効力も非常に高いですが、それ以上に厄介極まるのが、魔法防壁の自己修復力と空間干渉力です。小規模の結界の裂け目では瞬時に修復され、空間転移による魔法の効力も削がれてしまう怖れがある。もし〈転移結晶〉を使って迷宮を出るのであれば、1度結界から出て使うべきでしょう。精霊融合魔法や命彦の源伝魔法、メイアの神霊魔法であれば、自己修復力や空間干渉力ごと結界を破壊できますが……』
命彦が魔法防壁からすぐに視線を外し、背後を振り返って指示した。
「どうもそれを使う時間は与えてくれねえらしい! 全員右へ避けろっ!」
命彦が叫ぶと同時に、《旋風の纏い》の薄緑の魔法力場を維持していたメイア達が右の廃墟へ飛び込む。
命彦もメイア達に続いた。
命彦達が退避した一瞬。眼前の廃墟の建物が、水の集束系魔法弾によって派手に貫かれ、崩れ落ちた。
高速で進む集束系魔法弾は、命彦達がついさっきまでいた道路に着弾し、道路の舗装を抉って地面の土砂を巻き上げる。
廃墟のぶち破った壁からそれを見て、勇子が口を開いた。
「完全にこっちを狙っとるで!」
「止まってたらマズイ! 動くぞ!」
命彦達は飛び込んだ廃墟を突っ切り、外に出てまた走り出した。
ミズチが具現化した結界魔法内を走り回る命彦達。
命彦とミサヤは、ミズチがどうやって自分達を感知しているのか、すぐに推測した。
「俺の《旋風の眼》に干渉する、別の精霊探査魔法の気配がある。恐らく《陰闇の眼》だ」
『ということは魔力感知ですね? 魔力の波動を断てば、狙撃の目を失う筈ですが?』
「ああ、試してみよう」
命彦は走りつつも、腰の〈余次元の鞄〉から黒い暗幕の特殊型魔法具、〈陰闇の隠形幕〉を取り出して、後ろのメイア達に言った。
「目の前の高い廃墟へ飛んで、全員集まれ!」
「「「了解!」」」
互いに信じているのだろうか。指示と共に風の魔法力場をまとった命彦達は飛び上がり、周囲で1番背の高い廃墟の屋上へ着地して、集まった。
命彦が魔法具の暗幕を一気に広げて全員をすっぽり覆い、そのまま移動する。
壊れて扉が開きっ放しの、廃墟の非常階段から3階下の階へと降りて、作業机や椅子、書類が床に転がっている事務室と思しき室内を進み、窓際の柱の傍に屈んで息を殺した。
1度だけ廃墟が激しく揺れ、命彦達が肩を寄せ合う。
「廃墟の屋上、俺達の降り立った場所へ集束系魔法弾が着弾し、屋上の一部を吹き飛ばしただけだ。瓦礫は上の階で止まってる。この階まで被害はねえ」
《旋風の眼》の効力範囲をぎりぎりまで絞り、命彦がミサヤを抱えて説明する。
そのまま10秒経ち、20秒経ち、ようやく命彦達は一息ついた。
魔法攻撃は断続的に続いているが、攻撃魔法の気配は明後日の方へ飛んで行っている。
ミズチの狙撃の目から一先ず逃れたことを、命彦は確信した。
「ふぅー……良かった、どうやら俺達を見失ったらしいぞ?」
『推測通り、魔力感知でしたね』
「ああ。この〈陰闇の隠形幕〉のおかげで助かった」
命彦が魔法具の暗幕へ、感謝するように頬ずりした。その命彦へ舞子が問う。
「こ、この暗幕の魔法具には、どういう効力があるんですか?」
顔がやや青い舞子の問いに、ホッとした様子の勇子とメイアが答えた。
「陰闇の精霊による儀式魔法が封入されてて、暗幕で覆った空間の魔法の気配、魔力の波動を、全て吸収して外部から隠す効果があるのよ」
「この暗幕で囲った空間内で精霊魔法を使っても、魔法の気配は外からほぼ感じ取られへんねん。ウチらも今、《旋風の纏い》を使ったままやけど、この魔法の気配は暗幕のおかげで消えとるんよ」
「探査魔法を使う魔獣と戦うにはほぼ必須の魔法具ね? 1枚で1000万円ほどするわ」
「い、1000万円ですかっ!」
「せや。まあ、これを高いと思うかどうかはその人次第やけど、魔力感知の探査魔法を無力化する魔法の布って考えれば、ウチは安いと思うで? 今こうして攻撃魔法による狙撃を回避して、話す余裕を作ってくれてるわけやしね?」
口をあんぐり開ける舞子へ、勇子が苦笑して語った。
舞子達の会話を聞きつつ、こちらも蒼い顔の空太が命彦に問う。
「と、とりあえず一息つけたわけだけど、これからどうするんだい命彦?」
命彦は暗幕から顔だけ出して、窓の外を見てから言った。
「どうもしねえよ? あのミズチ、まだ俺達を探してるし、俺達も檻から出ねえと帰れん。とにかく今は、逃げる作戦を考えるだけだ」
「逃げると言っても……そもそも第3迷宮域にいる筈の魔竜が、どうして第1迷宮域にいるんですか?」
「俺が聞きてえよ。まあ、その理由が分かったところで、ミズチが消えるわけじゃねえ。逃走に失敗したら、戦うつもりだ……メイアもいるし。じー」
命彦達の視線が一斉にメイアへ集まる。メイアが渋い表情で言った。
「また私? いやそう来るとは薄々思ってたけど」
「頼むでメイア! 【神の使徒】候補!」
ニッコリして言う勇子に、メイアがガックリと肩を落とした。
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