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百物語 第六夜 『殴る霊』
しおりを挟むある霊感のある男性とその友人が公園で話していた時のことだった。
何の変哲もない公園。そこにある大きな木。
その木を指差して、霊感のある男性は言った。
「あそこに幽霊がいる」
またそんなこと言って。と友人は小馬鹿にした様子だった。
「そんなに言うなら証拠を見せてくれよ」
「証拠って言ったって見えないんだろう?」
「見えない俺にも知らせてくれってこと」
そんなことできない。そう言うと友人は、
「どの辺りに立ってるの?」
と聞いてきた。
霊感のある男が場所を示すと、友人はそのあたり目掛けて思いっきり拳を振り下ろした。
その瞬間、友人は何かに驚いて固まる。
明らかに何かに当たったのだ。
空を切ったはずの拳が、何かに当たったのだ。
「おい、今何かを殴ったぞ」
そう言い切る前に、友人はその場で気絶してしまった。
霊感のある男が駆け寄ってきて、こう言った。
「殴り返されたぞ」
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