王子に転生したので悪役令嬢と正統派ヒロインと共に無双する

こたつぬこ

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 二人に指輪を嵌めた途端光が泉のように溢れ、そして少し大きめだった指輪はピタリと吸い付くように変化した。
 同時にクラリと揺れて頭を抑えたので、俺は二人の肩を支え抱きよせる。

「おい! 大丈夫か!? しまった、この指輪自体が……呪いかなんかの……」

 呪われた装備の類。
 俺がやっていたゲームでそういった物があったのを覚えている。
 身に付ければ何らかの代償が降りかかり、そして外すことの出来なくなる忌まわしきアイテム。
 焦りが俺の心を掴み汗がにじんだ。

 けれどそうではなく、どうやら二人は気を取り直したようで小さく頭を振った。

「いえ、これは……そういったものではありませんわ。エリーゼも同じだった?」

「はい、頭の中に知識が入り込んできて身体から力が溢れ出るような感覚でした」

「ええ、新しい力を得たのは同じなのね。これは魔法なのかしら? 新しい事ができるようになったみたいなの」

「私は傷を癒す力を得たようです。誰も傷を負っていないので試すことはできませんが……」

 二人の会話を聞き呪いのアイテムではなくマジックアイテムの類なのだと推測した。
 とすれば傷を治せる力なんてものは、当たり過ぎるほどに当たりの力。
 エリーゼの持つ雰囲気からしたら、聖女とでも呼ばれてしまいそうだ。

「試してみよう」

 俺は腰から僅かに剣を抜き取ると指の先に細い傷を作ってみた。
 チクリと痛みぽたりと赤の雫が零れ落ちる。
 この程度の痛みなんて差し当たった疑問の解決に必要な代償にもなりはしない。
 それでも二人が慌てた様子を見せてくれたので、少しうれしいと感じたのは内緒だ。

「あ、あ、エトワイア、そこまでしなくてもいいのに! いきますね! ヒール!」

 エリーゼの手から温かな光が放たれ、俺の傷が少しずつであるが塞がれていく。
 エリーゼの優しさも同時に流れ込んでくるような気もした。
 失った血は戻ることはないが、短時間で傷は塞がり出血は完全に止まっている。

「本当だ、凄いもんだな! しかし、なんでヒールって言葉を口にしたんだ?」

 魔法を使用する時になにかを口にする必要はない。
 残念ながらこの世界には魔法名も呪文もないのだ。作ろうと思えば作れるとは思うがどうしようか。
 連携をとる上では魔法名を口にした方が分かりやすい。
 手を差し向けるだけなので、何が起きるかは実際に発動するまで分からないからだ。

「頭の中に流れ込んできた知識にこの言葉がありました。指輪をつけた状態で口にすると癒しの力を発揮できるようです」

「はーなるほどな。ヒールリングってことか……」

「ヒールリングですか……? 良い物をエトに頂きました」

 嬉しそうに両手を胸の前で合わせるエリーゼに思わず口元が緩む。

「はは、俺があげたっていうと少し違うような気がするけどな。アリゼッタはなんだったんだ?」

「ええと……。鑑定と地図の力みたいですわね。
 私が知りたいと思ったものが何かが分かるというものと、周辺の地形図を示してくれる力みたいだわ」

 二人が得たのはあり得ないほどに有用な力。
 エリーゼの指輪でその効果が本物だと分かった今、アリゼッタの言葉も正しいのだろう。
 実際に確かめた所、鑑定『アイデンティファイ』は対象の名称と希少度に、簡単な説明が出るというもの。
 地図『マップ』は現在はダンジョンであるので入り組んだ迷路のような図を、中空に表示することができた。

 俺たち3人を現す青い光点が記されており、奥の方にはいくつか赤い光点が見える。
 ゲームのような表記だが、俺の推測が正しいのであればこんなに便利な物はない。

「赤い光は魔物……ってことなんだろうな、おそらく」

「そういうことになるのでしょうか? けれどあらかじめ分かるというのはえらく便利です」

「ふふん、そうでしょうそうでしょう。エトからの婚約指輪ですから。ま、エリーゼの癒しの力も物凄いと思いますけれど」

「あら、アリゼッタがそう言ってくれるなんて珍しいです。残った指輪は鑑定できないんですよね?」

「この箱とか剣とかには使えたんですけれど、指輪だけは無理みたいですわ」

 実際に付けてみないとダメということなのだろう。
 二人が説明してくれたのだが、指輪は一度つけたらその人物以外には使用することができなくなるのだという。
 俺たちだけで独占していいものか分からないが、誰かに譲る必要もないので、俺は両の指に指輪をはめた。
 当然と言わんばかりに指輪は光り俺の指に吸い付くようにピタリと収まって、二人の言っていた事象が俺を襲ってきた。
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