5 / 21
第5話 おかしなもの拾いました
しおりを挟む
「知らない異世界だ……」
「そんなのあたりまえだっつーの!」
意識を取り戻した俺は独り呟き、自分につっこみをいれていた。
一度はこういう系の台詞言ってみたかったという願望があったのだ
けれど、俺の想像していたパターンとはちょっと違ったために、寂しさを味わうことになってしまった。
普通は草原か街か森か、なんかそういう分かりやすいところに飛ばしてくれるもんだろ?
しかし俺は何の案内もないというのに、黒を基調とした建材で作られた怪しげな遺跡の前で佇んでいた。
これが途方にくれずにいられるだろうか?
いや、不可能だ。
いつのものかは知らないが、そびえ立つ柱が乱雑に並んでいて崩れかけているものもある。
入口に扉などはなく、地下へと誘うかのような造りとなっているのも不気味さをいや増す。
どう考えても美少女ナビゲーターちゃんがいることを前提にしてここにワープさせたとしか思えない。
でも、ちょっと考えてたハイレンシアに飛ばされるってのじゃなかったっぽくてよかったとは思う。
一体店長推しってのはなんだったのだろうか……?
遺跡以外は森に囲まれていて、この場所だけがぽっかりと口を開けたかのように開けている。
見渡す限り木! 木! 木! のパターンのほうが良かっただろうか、なんてのんきなことも頭をよぎる。
「しっかしどうすっかなぁー!?」
俺は少し大きめの声で口にしてみた。
こう言うと女神と意思疎通できるパターンやらがあったりするというのを見たことがあったので、その願望こみこみだ。
グラマー姉ちゃんの声をもう一度聞きたいという願いも含まれている。
当たり前だ。
でもなにもなかった。
俺の心は寂しさに包まれる。
ひゅうと温かな風が俺の足の間をすり抜けていく。
現実とはかくも厳しいものなのだ。
「ん……?」
そういえば服装が変わっている。
現代技術の粋をつくした服装ではなく、まるで手縫いでつくられたかのような布の服。
何の繊維かは分からないが、編み込みで作られた荒い布地が何枚か重ねられていて、ファッション的には悪くはない。
現代の基準で言えばダサいと言えるとは思うがな。
この世界での基準だと現代の服がださいと感じるかもしれん。
俺は原宿系の服の良さが未だによく分からない。
あれこそ唐突に出会ったら異世界人だと勘違いしてしまうんじゃないかと思う程だ。
防御力補正13と書かれていたけれど、それはこの服の分で、意外と丈夫そうだが数値で表示されているのでまぎれもなく13なんだろう。
13というものが一体どれほどの効果なのかは分からないが、布の服に特殊な力がなければその性能は推測できる。
防御力なんて皆無に等しい。裸体を隠し、寒風や簡単なゴミや虫から身を守る程度の性能だ。
武器なしで防具は布の服。
木の棒でいいからくれよ……。
そんなことを思いながら森に落ちていた長めの棒を拾い上げる。
ステータスを確認すると補正攻撃力が15上がっていた。
こちらもいったいどの程度のものかはさっぱり分からないが、木の棒の攻撃力も大体俺でも想像は付く。
殴れば痛い、その程度だ。
「ここに……入るかぁ……?」
遺跡を見ながら何の気なしに口に出してみる。
どう考えても遺跡からは怪しげな匂いしかしない。
だからといって森を歩くのは怖い。
異世界と言ったらモンスターがいるのが当たり前。
俺はレベル1なんだからやられてしまう。
「スライムちゃんでも出てくれればいいけどなっ」
小さく呟きスライムが出たのを想定して棒を振ってみた。
「ほっ、はっ、とぉっ!」
勿論棒を後ろ手に決めポーズも決めてみる。
我ながら悪くないけれど、異世界補正がかかっていたりはしないようだ。
まさに前門の虎後門の狼。行くも地獄、行かざるも地獄。
ため息が思わず飛び出る。
「はぁ。あー誰でもいいから異世界人とあいてーなー! できたら女の子!」
ぴゅうと乾いた風が俺の肩をなでていく。
この図ったかのようなタイミングが、おちょくられているようでむかつく。
もしそうだとするなら意味があってここに飛ばされたのかもしれない。
俺は意を決して遺跡の中に入ることに決めた。
中はなぜか明かりがついており薄暗いけど見えないことはない。
アンティークのような造りのランプ。揺らめく炎がなんとも気分を浮つかせる。
さらにはひんやりと冷たい空気が流れていて、まるで肝試し気分である。
棒を取る手の力もグッと強まるというもんだ。
「しっかし何の遺跡なんだろう。いや遺跡に何もくそもないか……。あ、そうだ」
俺は折角なので鑑定を試してみることにした。
良いものでもあればアイテムボックスに入れといてもいいだろう。
どうせ無制限なんだから拾っといて損することはなかろうとの判断。
むしろ積極的に使っておかないと、いざという時に使えなくて困ってしまう。
そこらに落ちている石ころを手に取り、
『石。レア度☆ 何の変哲もないただの石。投げれば痛い』
別に投げる前提で考える必要はないと思うが、鑑定結果がこう出たのは出たのだから仕方がない。
いくつかアイテムボックスに入れてみると、整理されるようで石×10となっている。
大きさとか形は大分違うのだけど、一体どういう仕組みかは分からない。
とりだすとちゃんと拾った石と同じものが出てくるのは確認した。
「レア度もよく分からんしなー。っと……何これ」
色々鑑定していると床の割れ目の隙間に挟まるようにして、変な丸い円盤のような物を見つけた。
バッジのようなメダルのような。
指で汚れを払うとつやつやとした銀色があらわれる。
若草模様のようなものが縁に飾られていて、中央に足が大量にあるムカデのような変な虫のようなものが彫り込まれていた。
中心には何かをはめ込むようなくぼみ。
勿論鑑定してみる。
『常闇蟲の封印盤。レア度☆☆☆☆☆☆☆☆ 封印珠と対になった常闇蟲の力を解放する盤』
「そんなのあたりまえだっつーの!」
意識を取り戻した俺は独り呟き、自分につっこみをいれていた。
一度はこういう系の台詞言ってみたかったという願望があったのだ
けれど、俺の想像していたパターンとはちょっと違ったために、寂しさを味わうことになってしまった。
普通は草原か街か森か、なんかそういう分かりやすいところに飛ばしてくれるもんだろ?
しかし俺は何の案内もないというのに、黒を基調とした建材で作られた怪しげな遺跡の前で佇んでいた。
これが途方にくれずにいられるだろうか?
いや、不可能だ。
いつのものかは知らないが、そびえ立つ柱が乱雑に並んでいて崩れかけているものもある。
入口に扉などはなく、地下へと誘うかのような造りとなっているのも不気味さをいや増す。
どう考えても美少女ナビゲーターちゃんがいることを前提にしてここにワープさせたとしか思えない。
でも、ちょっと考えてたハイレンシアに飛ばされるってのじゃなかったっぽくてよかったとは思う。
一体店長推しってのはなんだったのだろうか……?
遺跡以外は森に囲まれていて、この場所だけがぽっかりと口を開けたかのように開けている。
見渡す限り木! 木! 木! のパターンのほうが良かっただろうか、なんてのんきなことも頭をよぎる。
「しっかしどうすっかなぁー!?」
俺は少し大きめの声で口にしてみた。
こう言うと女神と意思疎通できるパターンやらがあったりするというのを見たことがあったので、その願望こみこみだ。
グラマー姉ちゃんの声をもう一度聞きたいという願いも含まれている。
当たり前だ。
でもなにもなかった。
俺の心は寂しさに包まれる。
ひゅうと温かな風が俺の足の間をすり抜けていく。
現実とはかくも厳しいものなのだ。
「ん……?」
そういえば服装が変わっている。
現代技術の粋をつくした服装ではなく、まるで手縫いでつくられたかのような布の服。
何の繊維かは分からないが、編み込みで作られた荒い布地が何枚か重ねられていて、ファッション的には悪くはない。
現代の基準で言えばダサいと言えるとは思うがな。
この世界での基準だと現代の服がださいと感じるかもしれん。
俺は原宿系の服の良さが未だによく分からない。
あれこそ唐突に出会ったら異世界人だと勘違いしてしまうんじゃないかと思う程だ。
防御力補正13と書かれていたけれど、それはこの服の分で、意外と丈夫そうだが数値で表示されているのでまぎれもなく13なんだろう。
13というものが一体どれほどの効果なのかは分からないが、布の服に特殊な力がなければその性能は推測できる。
防御力なんて皆無に等しい。裸体を隠し、寒風や簡単なゴミや虫から身を守る程度の性能だ。
武器なしで防具は布の服。
木の棒でいいからくれよ……。
そんなことを思いながら森に落ちていた長めの棒を拾い上げる。
ステータスを確認すると補正攻撃力が15上がっていた。
こちらもいったいどの程度のものかはさっぱり分からないが、木の棒の攻撃力も大体俺でも想像は付く。
殴れば痛い、その程度だ。
「ここに……入るかぁ……?」
遺跡を見ながら何の気なしに口に出してみる。
どう考えても遺跡からは怪しげな匂いしかしない。
だからといって森を歩くのは怖い。
異世界と言ったらモンスターがいるのが当たり前。
俺はレベル1なんだからやられてしまう。
「スライムちゃんでも出てくれればいいけどなっ」
小さく呟きスライムが出たのを想定して棒を振ってみた。
「ほっ、はっ、とぉっ!」
勿論棒を後ろ手に決めポーズも決めてみる。
我ながら悪くないけれど、異世界補正がかかっていたりはしないようだ。
まさに前門の虎後門の狼。行くも地獄、行かざるも地獄。
ため息が思わず飛び出る。
「はぁ。あー誰でもいいから異世界人とあいてーなー! できたら女の子!」
ぴゅうと乾いた風が俺の肩をなでていく。
この図ったかのようなタイミングが、おちょくられているようでむかつく。
もしそうだとするなら意味があってここに飛ばされたのかもしれない。
俺は意を決して遺跡の中に入ることに決めた。
中はなぜか明かりがついており薄暗いけど見えないことはない。
アンティークのような造りのランプ。揺らめく炎がなんとも気分を浮つかせる。
さらにはひんやりと冷たい空気が流れていて、まるで肝試し気分である。
棒を取る手の力もグッと強まるというもんだ。
「しっかし何の遺跡なんだろう。いや遺跡に何もくそもないか……。あ、そうだ」
俺は折角なので鑑定を試してみることにした。
良いものでもあればアイテムボックスに入れといてもいいだろう。
どうせ無制限なんだから拾っといて損することはなかろうとの判断。
むしろ積極的に使っておかないと、いざという時に使えなくて困ってしまう。
そこらに落ちている石ころを手に取り、
『石。レア度☆ 何の変哲もないただの石。投げれば痛い』
別に投げる前提で考える必要はないと思うが、鑑定結果がこう出たのは出たのだから仕方がない。
いくつかアイテムボックスに入れてみると、整理されるようで石×10となっている。
大きさとか形は大分違うのだけど、一体どういう仕組みかは分からない。
とりだすとちゃんと拾った石と同じものが出てくるのは確認した。
「レア度もよく分からんしなー。っと……何これ」
色々鑑定していると床の割れ目の隙間に挟まるようにして、変な丸い円盤のような物を見つけた。
バッジのようなメダルのような。
指で汚れを払うとつやつやとした銀色があらわれる。
若草模様のようなものが縁に飾られていて、中央に足が大量にあるムカデのような変な虫のようなものが彫り込まれていた。
中心には何かをはめ込むようなくぼみ。
勿論鑑定してみる。
『常闇蟲の封印盤。レア度☆☆☆☆☆☆☆☆ 封印珠と対になった常闇蟲の力を解放する盤』
0
あなたにおすすめの小説
転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜
まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、
専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活
現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。
しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。
彼は大陸一の富を誇る名門貴族――
ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。
カイルに与えられたのは
・世界一とも言える圧倒的な財力
・財力に比例して増大する規格外の魔力
そして何より彼を驚かせたのは――
彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。
献身的なエルフのメイド長リリア。
護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。
さらに個性豊かな巨乳メイドたち。
カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。
すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――
「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」
領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、
時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、
最強の御曹司カイルは
世界一幸せなハーレムを築いていく。
最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。
ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!
由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。
しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。
さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。
そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。
「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」
やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった!
しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って?
いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした
たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。
死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、すれ違いの末に離れ離れになった夫婦の物語。
再会したとき、二人が選ぶのは「離婚」か、それとも「再構築」か。
妻を一途に想い続ける夫と、
その想いを一ミリも知らない妻。
――攻防戦の幕が、いま上がる。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる