死神と愉快な仲間達

なつき

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「なにやってんの?」
僕のドアから妹の由希子が顔を出していた。
…目が死んでいる。
「この人は、死神さんだよ。なんでも僕が死ぬから案内しにきてくれたんだって!」
なにいってんの、頭おかしいよ、とかなんとか、ぶつぶつ言いながら僕の部屋に入ってくると、座っている僕を見下ろす。
「ごめん、聞き方が悪かったみたい…一人でなにしてんの?」
まるで、ゴキブリを発見したかのような冷酷な顔だ。
「だから、ここにいる―」
もう一度説明しようとすると、フフッっと、後ろで笑い声がした。
「死神というのは、特定の人間にしか見ることができないんだよ。」
なるほど。由希子からしたら、僕は一人でしゃべっていたのか。…死神とかなんとか言いながら。
「ごめんごめん、寝ぼけてたみたいだよ。」
ぴくりとも表情を変えないまま、気持ち悪っと一言呟くと部屋を出て行ってしまった。
「君は、なぜ僕が見えるか分かるかい?」
死神さんが聞いてきた。
「なぜって、すぐ死ぬからですよね?」
「それもあるが、魂が迷ってしまうような特殊な人間にだけ見ることができるのだよ」
ほうほうと僕がうなずいていると、死神さんは、にやりと笑いながら
「君は死ぬと言われて、そして私が死神だと言われて、冗談だとかは思わないのかい?」
なんか楽しそうだ。
「あ!そう考えると僕普通じゃないですよね。何にも疑問に思いませんでしたよ。本当に。」
「そうか。」
面白いおもちゃでも見つけた子供のように彼は笑っていた。
朝ご飯よー!下から母の声がした。


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