幽々として誘う

舞台譲

文字の大きさ
22 / 34

第二十二夜 衝突

しおりを挟む
 一条は正樹の頬を軽く叩き、完全に抵抗がないことを確認したあと、彼を運び、綾人の結界のもとまで歩いた。明乃がやや怯えの混じる表情で、おずおずと立ち上がる。

「あの、正樹さん大丈夫なんですか? その背中の奴とか、見るからに体に悪そうっていうか、それ以上のものっていうか」

「俺も初めて見るからわからん。何処か落ち着いた場所で調べないとな。和泉、傷はどうだ?」

「ええ、もう大分塞がったわ。ありがとね。助けてくれて」

「礼は良い。それより正樹の治療と、この気持ち悪いのを薬で麻痺させてくれ。今すぐ摘出は出来ないからな。動きだけでも完全に封じとかないと」

 頷いた和泉は、神経の怪物の上に人差し指をかざした。その指先から、徐々に毒性の体液が滲み出て、ひと雫落ちる。雫に触れた瞬間、怪物は電気を流されたように痙攣した。

 呪術専門の薬師の家に生まれた和泉は、こうして自身の体液に薬の性質を付加することが出来る。元々人魚というものは肉も油も涙でさえ何らかの薬効を持つ。人魚に近い体質の和泉だからこその異能だった。

 怪物に関しては、一先ずは安心だろう。あとは何処で摘出するかだ。だがそれを考えようとしたところで、綾人が疑問を口にした。

「ねえ一条さん、正樹さんは操られてたから無面を操れたんだよね」

「ああ。あいつも修祓印は持ってるが、格はそれほど高くない……」

 そこまで話した所で気づいた。術者が気を失ったにも関わらず、無面は姿を消していない。

 どうやら、今の戦闘で曼荼羅の粛清機能が発動したらしい。神祇省に許可を取れず、修祓印も機能していないのが仇となった。

 今や一条たちは、呪術社会の敵として捕らえられる存在だ。

 無面たちは小刀を構えて向かってきた。一条は骸羽織で焼き払い、誘は紅揚羽で霊力を略奪し、綾人は墨絵の獣で、和泉は指の雫の毒で迎撃を行う。

 僅か数秒の間に、敵は一気にその数を減らす。だがすべてを倒すのは無理だった。

 四人の攻撃をすり抜け、一体の無面が明乃へと迫った。無面が小刀を一閃する。彼女に刃が触れるより前に、一条は明乃の腕を引いた。刃が彼女を斬りつけることはなく、しかし、彼女の鞄を切り裂いてしまった。斬り裂かれた鞄から、正樹の資料が落ちる。

 明乃は慌てて資料を拾おうとするが、手を伸ばした彼女に無面が短刀で斬り掛かった。一条は彼女の襟首を掴み、強引に引かせ、無面を蹴り飛ばした。

「バカっ! ただの人間なんだから無茶すんな!」

「けど資料が!」

 落ちた資料を、無面が回収し、その場で燃やしてしまった。

「また作ればいい。幸い、正樹はこっちいるんだからな」

 夕長なことを言っているのはでもわかっている。そんなものを作る間、相手がのんびりと待ってくれているわけがない。なにより、まずはこの状況を切り抜けなければならない。

 一条は正樹を抱えて走り出した。

「振り切るぞ。何処か隠れられる場所に行かないと」

「でも何処にっ! 粛正機能が発動する前ならともかく後からじゃ難しいんじゃない!」

 和泉の言う通りだ。五法曼荼羅が厄介なのは、粛正機能が発動した時点で対象は完全に曼荼羅の監視下に置かれるところだ。日本全土に五法曼荼羅が敷かれている以上、逃げ場はない。だから呪術的な犯罪を行う者は、監視下に置かれる前に手を打ち、自分の逃げ道を用意しておくのだ。今回一条たちは、そんな準備をする暇などなかった。すでに監視下に置かれてしまった以上、無面たちは何処までも一条たちを追跡する。

 路地から河川敷まで走っても、まだ無面は追ってきた。人払いがされてるとはいえさすがに都心だ。ここに来るまでに何人かヒトを見かけたが、こちらに気をかける様子など微塵もない。もちろんこちらも巻き込むつもりは毛頭ないが、さすがに目の前の危険にすら全く気づかせない曼荼羅の機能はどうかと思わざるを得ない。

 このまま河川敷を走れば道路に出る。さすがにそこまで行けば、無面たちも暴れない筈だ。

 だが周囲の無面が急に動きを止めた。それと同時に、数台の自動車がブレーキをかける音を聞いた。車が停車したのは、河川敷の横に段差を設けて敷かれた道路だ。

 道路に停まったのは、外法対策局が使用する黒塗りの公用車だった。

 見慣れた車を見て、一条は警戒した。すでに自分たちは粛正対象。

 しかも、紫堂秋水は六年もの間、神祇省で働いていた。それだけの時間があれば、正樹にしたようにあの神経の怪物を埋め込むことで、自分の手駒を増やしているのではないかと。

 車のドアが開かれ、黒いスーツを着た数人の局員が出てくる。そのなかには、一条の見知った顔もいた。彼らが現れた瞬間、無面たちは一条たちをぐるりと囲み、動きを止めた。

 一向の代表とばかりに、ひとりの男が前に出る。

 緒方宗谷。一時期は一条の相棒でもあった局員だった。

「通報を聞いてまさかと思って来てみたが……本当にお前だったとはな」

 眼鏡越しに鋭い視線を向けて宗谷が言った。冷静だが、怒りの籠る声音だった。

 助けを求めていたのに、いざ現れれば罪を突きつけられるとは間抜けな話だ。とても煙草が吸いたい気分になる。この場を切り抜けたら絶対に禁煙を破ろうと一条は誓った。

「祭塚一条、丹村和泉、紫堂誘、六倉綾人、ご同行願おう。もちろん、そこの一般人もな」

「ちょっと待ってよ!」綾人が食ってかかった。「なんでぼくたちが捕まんなきゃならないのさ! 捕まえるべき奴は別にいるだろ!」

「市民のいるところでの過剰な呪術の使用、罪のない呪術師への暴行、公共物である無面の破壊。その他幾つかの嫌疑もかけられている。これで捕まらない理由がないとでも?」

 矢継ぎ早に罪状をあげられ、さすがに綾人も押し黙った。

 不可抗力とはいえ、全部やっていることだ。

「どうする、一条君。投降する」和泉が小声で尋ねてきた。

「いや、逃げる。このまま従っても、なんの解決にもならないからな」

 大人しく投降したとしても、こちらには弁解の手段がない。曼荼羅での精神検閲はかけられたままだ。あり得ないとは思うが、例え神祇省に秋水の手駒がいないとしても、こちらは犯した罪の理由を喋ることも出来ない。素直に従えば、独房にぶち込まれるのがオチだ。

 正樹の資料が手元にあれば、取り調べの時に読んでもらうことが出来たかもしれないが、それもすでに焼かれてしまった。秋水の狙いは、初めからこの状況に自分たちを陥れることだったのかもしれない。だから資料を持つ明乃を捜させ、大量の無面をけしかけ、正樹を駒として利用した。自分に繋がる資料を焼き払い、手を汚すことなく自分たちを始末するために。

 もしかしたら一条が岸本杏の死体を見つけたときすでに、こうなるよう仕組まれていたのかもしれない。まったくもって腹立たしい。ここまで秋水の思い通りに踊らされてる。

 だがこのままでは済まさい。最後の勝ちは必ず掴むつもりでいた。

 一条は骸羽織の黒灰から黒い長槍を造り上げた。日本刀と並んで、一条が最も好む得物の形。先程は狭い路地だったがいまは広い河川敷だ。こちらの方が都合が良い。

「応じるつもりはないか。ならこちらも力づくでやらせてもらう」

 宗谷が右腕の裾を捲る。彼の右腕には、一条のものより一段上の修祓印が刻まれている。

 印が起動した瞬間、海の底にでも沈められたように一条の全身に圧力がかけられた。

 呪術犯罪者に対して使用される五法曼荼羅の粛正機能。さらに宗谷は、周囲に結界を張った。認識阻害などという生易しいものではない。罪人を逃さないために張る空間封鎖の結界。

 新宿で綾人たちが使われたのと同じものだ。

「ったく、昔の相棒にここまでするこたねぇだろ」

「違うな。相棒だったからこそ、ここまでするんだ。わざわざ出向いてやったんだ。早々に縄についてもらおうか」

 その言葉とともに周囲を囲む無面たちが襲い掛かってきた。

「お断りだ。まだまだやるべき仕事が残ってるんでなぁっ!」

 一条は槍の穂先に火をつけ、くるくると回すと地面に突き刺した。

 蜘蛛の巣状に火が走る。火は無面を焼き払うだけでなく、河にまで届き水を蒸発させた。

 爆散するように水蒸気が巻き起こり、一条たちの姿を隠す。

 一条は次の術式を構成しながら言った。

「俺が足止めする。その間に、お前たちは何処か隠れられる場所に逃げろ」

「けど曼荼羅に捕捉されてるんだよ。ここを切り抜けてもまた追いかけられちゃうよ」

 綾人の意見は最もだ。だがこちらには、それを切り抜けられる手札がある。

「和泉、どんな方法を使っても良いから正樹を叩き起こせ。そいつの能力なら、俺たちと曼荼羅の縁を断って、監視
から逃れることも出来る筈だ」

「わかった。迷惑かけられた分、きっちり働いてもわらないとね」

 短い会話の間に、術式の準備は出来た。方針も決め、あとは行動に移すだけだ。

「結界を破る。合図をしたら全力で走れ」

 一条は槍を構え、呪術を発動させようとした。その直前、後ろから誘が声をかけてきた。

「一条さん、無茶をするのは構いませんが、あとで必ず戻ってくるように。わたしの依頼、まだ終わってませんからね」

 依頼を終わらせるということは、誘が紫堂家の里に戻るということだ。そうなれば彼女はどうなるかわからない。廃棄される可能性もある。

 一条は曖昧に頷き、術式を発動させた。黒槍に膨大な霊気が宿り、その先端には赤黒い火が激しく燃え始める。その熱量は凄まじく、周囲を覆っていた水蒸気が一瞬にして吹き飛んだ。

 晴れた視界の先では、宗谷が張り詰めた表情をしていた。

 当然だ。彼はこの術式を何度も見ているのだから。

 概念供犠。食物や器物ではなく、形のない物を贄にすることで術式を強化する代償呪術。

 一条が捧げるのは自身の活動時間だ。一撃だけなら供物にするのは数十分もあれば充分だ。その時間分の供物が、膨大な熱量となり槍の火力を増大させる。

 槍を振りかぶるのを見るや、宗谷は迷いなく部下に命令した。

「避けろ! 無常の炎だ。絶対に触れるなよ! 焼き尽くされるぞ!」

 宗谷たちが避けた先に、槍を振り下ろす。

 赤黒い炎が解き放たれ、触れるものをすべて燃やしてゆく。いや、そんな生易しいものではない。火に触れたものは草も土もコンクリートも、その瞬間に物体から気体へと相転移した。

 火は結界すらも容赦なく焼き、空間を区切る境界に風穴を空けた。

 結界の外に向けて誘たちが走り出す。宗谷は部下に捕まえるよう命じるが、当然一条が許す筈もない。一条は槍を宙に投げ放った。黒槍は空中でバラバラに分解し、幾つもの短刀となって、局員たちの目の前に振り落ちた。短刀を起点に火が生まれ、炎の壁が出来上がる。

「そう急ぐなよ。せっかく結界まで張ったんだ。もう少しここで遊ぼうぜ」

 誘たちが脱出したあと、すぐに結界は閉じた。

 宗谷はそれを見届けるとため息を吐き、眼鏡を胸ポケットに仕舞った。

「悪いがこっちも仕事で来てるんだ」

 拳を構えたあと、十メートル以上ある距離を、宗谷は一瞬で詰めた。

 宗谷の拳を、一条は両腕を交差して防ぐ。衝撃で殴り飛ばされるが何とか踏み留まった。

 拳は重く、防いだ両腕には鈍い痛みと痺れが残った。

「早々に終わらせてもらうぞ」宗谷は片足を引き、拳を構えた。

 呪術師としての能力だけなら、彼は正樹にも劣る。元々宗谷は呪術師ではなく、退魔に特化した武術家の家の生まれだからだ。そのためこの場に張った結界も彼の力ではなく、あくまで曼荼羅の補助によるものだった。だが戦闘能力においては、宗谷は正樹の遥か上にいる実力の持ち主だ。心してかからなければならない相手だった。

 骸羽織から、新たに黒槍を形成し、一条は元相棒に対峙した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

盾の間違った使い方

KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。 まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。 マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。 しかし、当たった次の瞬間。 気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。 周囲は白骨死体だらけ。 慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。 仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。 ここは―― 多分、ボス部屋。 しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。 与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる 【異世界ショッピング】。 一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。 魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、 水一滴すら買えない。 ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。 そんな中、盾だけが違った。 傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。 両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。 盾で殴り 盾で守り 腹が減れば・・・盾で焼く。 フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。 ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。 ――そんなある日。 聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。 盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。 ​【AIの使用について】 本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。 主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。 ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...