アビス・ドミネーター~深淵魔法で力を奪って世界最強~

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第1章 深淵に答えよ

第12話 スタンピード事後

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 あの後すぐに中学校にきららを迎えに行って、急いで家まで帰ってきた。さすがにもうゴブリンは狩りつくしただろうし、問題はないが、外に出るのはきららも不安であろうしな。

「ただいま、ありがとうお兄ちゃん」

「大丈夫だ。怖くなかったか?」

「うん、お兄ちゃんもいたし、大丈夫」

 ゴブリンリーダーまで出てるとかなりの大事だったようで、今はBクラスの魔物でも倒せる探索者さんが見回りに出ている。あの後相棒が探索者協会に連絡してくれたらしい。

「とりあえず、お風呂とごはん用意するね!」

「無理しなくてもいいんだぞ?」

 今日は長時間の部活に加えてイレギュラーなこともあったわけだ。精神的にも身体的にもつかれているだろう。

「無理はしてないよ。お兄ちゃんの方が大変だったの知ってるもん。おっきなゴブリンと戦ってたよね」

 一度学校に見に行った際にホブゴブリンと戦ってたのを見られていたようだ。

「そうか、じゃあ頼むよ。何かあったら何でも言ってくれよ?」

 大切な妹なんだ。なんだってできるさ。

「そうだね、じゃあ、今日はお風呂入れるの頼んでいい?」

「了解」

 とりあえず、その足で風呂を洗ってお湯をはる。そういえば、スタンピード本戦の方は大丈夫だったんだろうか。今日逃げ出していたゴブリンなどを考えると心配になるが...。多分大丈夫だろう。北の戦士が対応に当たってくれていれば絶対に心配する必要もないしな。

「お兄ちゃーん! ごはんできたよ~」

 早いな。手早くできるものを作ったのか。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 昨日は疲れたようでご飯を食べた後はすぐに寝てしまった。起きてからスマホを確認するといろいろな連絡が来ていた。

 まずは美佳からの連絡。どうも俺の住んでいる区域で警報が出ているのに気が付いて安否確認をしたかったのだろう。

『警報が出ていると聞きました。落ち着いたらでいいので、返信をください。大丈夫でしょうか?』

 昨日すぐに寝てしまったのが申し訳ないな。

『すまない。いろいろあって疲れて寝てしまった。今は大丈夫だよ』

 これで良し。次は相棒からの連絡だ。どうも相棒は一足先に探索者協会に連絡を入れた際俺と共にゴブリンリーダーを倒したことを話したそうだ。それに関する報告と謝罪だった。

『ゴブリンリーダーを倒した時の事を聞かれて君の事を言ってしまったよ。君が自分の事を隠しておきたいタイプだったら申し訳ない。それから支部長さんは驚いていてね。君前にも何かしたのかい?』

 まぁ確かにゴブリンリーダーを一人で倒したとは俺らの実力では言いにくいしな。俺も同じことをしただろう。ホブゴブリンの事件の時に名前を憶えてくれていたのか? 名乗ったわけではないし、受付嬢さんが提出した書面だけを見て俺の名前を覚えたのか。

『構わない。支部長に覚えられていた件は今回のスタンピードの前兆を俺が確認したからだな』

 最後は探索者協会からの連絡だ。どうやら今回の俺の活躍が評価されて、お礼をしたいので学校が終わった後に探索者協会札幌支部に来てほしいとのこと。なるほど。

 では今日の予定はそれで決まりだな。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 学校へ行くと少し騒がしかった。心なしか今日は俺が見られているような気がする。うーん、いつもより早めにイヤホンをして窓の外でも眺めてるとするか。

「君、おい君! 君もこの学校だったのか!」

 心なしかイヤホン越しに相棒の声がするような。

「相棒じゃないか。お前もこの学校だったのか?」

「まぁね。というか君は年上だと思っていたよ」

 周りが何やらひそひそしているような気もするが、この相棒に関しては悪いことは言われてないといえるな。イケメンだし、性格も悪いところがない。どう転んでも悪くはならんだろう。

「相棒、そういえば昨日の魔石は売ったか?」

 昨日ホブゴブリンの魔石が2個落ちたので、1個ずつ分けたのだ。

「自分で狩った分は売ったけどね。君と狩った分は記念にうちにおいてあるよ」

 なるほど。それはいい。俺も記念にとっておくとしよう。

「俺も相棒と狩った分は取っておくことにするよ」

「はは、ありがとう。おや、そろそろ朝のホームルームの時間だし自分の教室に戻るとするよ」

「おう、じゃあまたな」

 そうか、相棒もこの学校か。これから登校の憂鬱さが少しは晴れるな。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 適当に授業を受けた後の昼休み。相棒が総菜パンを持ってやってきた。

「君は弁当かい?」

「ああ、妹が作ってくれた」

 俺は毎日きららに弁当を作ってもらっている。きららには本当、頭が上がらないな。

「妹がいるのか。僕は姉がいるけど毎日大変だよ」

「姉か。上がいるのはいいことじゃないか」

 俺もあまり思ったことはないがたまに上の兄弟が欲しいと思うときはある。

「確かに、そう思えばいいかもね」

 相棒は苦笑しながら総菜パンを食べ始めた。そしてはっと思い出したように口を開く。ちゃんと手で口を覆ってるあたり、品を感じるな。

「そういえば僕と君、探索者協会の年末表彰の候補に上がったらしいよ。もしかするかもしれないと支部長さんがいっていたよ」

 なん……だと……。年末表彰といえばその地区、というか県で活躍した探索者が数名表彰されて賞金をもらえるあれじゃないか。表彰の条件は探索で成果を上げることだったはずだが。

「俺ら別に探索で成果を上げたわけじゃなくないか?」

「ああ、その点は僕も聞いたよ。どうやら、自主性を持って市民を守ったことが評価されたらしい」

 確かに俺らは探索者協会の指示を受けてゴブリンを狩っていたわけではないが。

「なるほどな。相棒も探索者協会の指示を受けずにやってたのか」

「家族のためだよ。移動中に襲われたらかなわないだろうしね」

 おや? さすが相棒だな。俺と思考回路が似ている。思考回路が似ているからこそあの場で出会ったということか。

「俺も妹の為だったからな。両親はどうせ職場から出てこないし」

「なるほど、共働きね」

 昼終わりの予鈴がなる少し前に相棒は自分の教室へ戻っていった。

「あの二人が絡んでるのは映えますね~」

「ほんとですねぇ」

 今日はイヤホンをしていなかったので人の会話が聞こえてくる。……何が生えるって? ちょこちょこしか聞こえなかったから文脈が全然わからん。

 まぁいいや。とりあえず後2時間適当に授業を受けて探索者協会まで急ごう。
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