1 / 3
プロローグ
しおりを挟む
残業三昧の毎日で麻痺した身体の体内時計は狂っており、一日が瞬く間に過ぎていく。
理央の休日の過ごし方は、過労な日々で摩耗した体力と自分自身の時間を取り戻すように、日が高く昇っても尚貪る惰眠と、ネットサーフィンだけで終わっていた。
自炊の気力も無い。とんと回らない思考。スマホの画面と睨めっこをするのをやめ、コンビニに向かうべく機械的にポケットに詰め込むものは、いつもの必要最低限の物と、噛んでいたガムを包み紙で包んだゴミ。
「スマホは絶対。財布も、ああ…使い捨てカイロも入れないと。……食べたらすぐ寝よ。」
そう気怠げにぶつぶつと独り言を呟く中、理央の手元のポケットから男の声がした。
「───まったく…いつからポケットに、機能性を押し付けるようになったんですか。本当にこれがあなたの宝物?」
「は…?」
理央は頭を抱えた。とうとう幻聴が聴こえるほどにまで疲れてしまったのか。ポケットが喋ったように聞こえるだなんて。
疲れた序でに、“当たり前”を仕舞われるポケットのボヤき声に付き合ってやろうと、理央は玄関前で立ったまま肩を竦めていた。
理央の休日の過ごし方は、過労な日々で摩耗した体力と自分自身の時間を取り戻すように、日が高く昇っても尚貪る惰眠と、ネットサーフィンだけで終わっていた。
自炊の気力も無い。とんと回らない思考。スマホの画面と睨めっこをするのをやめ、コンビニに向かうべく機械的にポケットに詰め込むものは、いつもの必要最低限の物と、噛んでいたガムを包み紙で包んだゴミ。
「スマホは絶対。財布も、ああ…使い捨てカイロも入れないと。……食べたらすぐ寝よ。」
そう気怠げにぶつぶつと独り言を呟く中、理央の手元のポケットから男の声がした。
「───まったく…いつからポケットに、機能性を押し付けるようになったんですか。本当にこれがあなたの宝物?」
「は…?」
理央は頭を抱えた。とうとう幻聴が聴こえるほどにまで疲れてしまったのか。ポケットが喋ったように聞こえるだなんて。
疲れた序でに、“当たり前”を仕舞われるポケットのボヤき声に付き合ってやろうと、理央は玄関前で立ったまま肩を竦めていた。
0
あなたにおすすめの小説
婚約破棄ブームに乗ってみた結果、婚約者様が本性を現しました
ラム猫
恋愛
『最新のトレンドは、婚約破棄!
フィアンセに婚約破棄を提示して、相手の反応で本心を知ってみましょう。これにより、仲が深まったと答えたカップルは大勢います!
※結果がどうなろうと、我々は責任を負いません』
……という特設ページを親友から見せられたエレアノールは、なかなか距離の縮まらない婚約者が自分のことをどう思っているのかを知るためにも、この流行に乗ってみることにした。
彼が他の女性と仲良くしているところを目撃した今、彼と婚約破棄して身を引くのが正しいのかもしれないと、そう思いながら。
しかし実際に婚約破棄を提示してみると、彼は豹変して……!?
※『小説家になろう』様、『カクヨム』様にも投稿しています
『話さない王妃と冷たい王 ―すれ違いの宮廷愛
柴田はつみ
恋愛
王国随一の名門に生まれたリディア王妃と、若き国王アレクシス。
二人は幼なじみで、三年前の政略結婚から穏やかな日々を過ごしてきた。
だが王の帰還は途絶え、宮廷に「王が隣国の姫と夜を共にした」との噂が流れる。
信じたいのに、確信に変わる光景を見てしまった夜。
王妃の孤独が始まり、沈黙の愛がゆっくりと崩れていく――。
誤解と嫉妬の果てに、愛を取り戻せるのか。
王宮を舞台に描く、切なく美しい愛の再生物語。
【完結】今更、好きだと言われても困ります……不仲な幼馴染が夫になりまして!
Rohdea
恋愛
──私の事を嫌いだと最初に言ったのはあなたなのに!
婚約者の王子からある日突然、婚約破棄をされてしまった、
侯爵令嬢のオリヴィア。
次の嫁ぎ先なんて絶対に見つからないと思っていたのに、何故かすぐに婚約の話が舞い込んで来て、
あれよあれよとそのまま結婚する事に……
しかし、なんとその結婚相手は、ある日を境に突然冷たくされ、そのまま疎遠になっていた不仲な幼馴染の侯爵令息ヒューズだった。
「俺はお前を愛してなどいない!」
「そんな事は昔から知っているわ!」
しかし、初夜でそう宣言したはずのヒューズの様子は何故かどんどんおかしくなっていく……
そして、婚約者だった王子の様子も……?
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~
由良
恋愛
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。
両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。
そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。
王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。
――彼が愛する女性を連れてくるまでは。
お飾り王妃の死後~王の後悔~
ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。
王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。
ウィルベルト王国では周知の事実だった。
しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。
最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。
小説家になろう様にも投稿しています。
あの素晴らしい愛をもう一度
仏白目
恋愛
伯爵夫人セレス・クリスティアーノは
33歳、愛する夫ジャレッド・クリスティアーノ伯爵との間には、可愛い子供が2人いる。
家同士のつながりで婚約した2人だが
婚約期間にはお互いに惹かれあい
好きだ!
私も大好き〜!
僕はもっと大好きだ!
私だって〜!
と人前でいちゃつく姿は有名であった
そんな情熱をもち結婚した2人は子宝にもめぐまれ爵位も継承し順風満帆であった
はず・・・
このお話は、作者の自分勝手な世界観でのフィクションです。
あしからず!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる