僕は警官。武器はコネ。【イラストつき】

本庄照

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Plologue:多賀、参る。

第4話:警察 ~彼は警察官じゃない~

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 多賀は額に手を当て、今までの流れを頭の中で反芻する。

 多賀の財布の中には免許証があったから、男が多賀の名を知るのは自然だ。
 しかし、職場を知るのはどう考えても不自然である。
 とはいえ、別に多賀は秘密結社に就職したわけではないから、全くありえないことではない。
 多賀の知らない方法が、あってもおかしくはなかった。

 はったりか? 本気か?

 もし本当なら、男の年齢からして、他部署とはいえ多賀の上司であるのは確実である。今までの乱雑な物言いは、確実に職場で問題視されるだろう。
 もし、本当ならば。しかし、不安には思わなかった。

 男は、多賀と目が合うのを待ってからまた話し始めた。
「君、僕と同じところに勤めてるんじゃない?
 仕事中に、君の名前を見たことがある。多賀雅臣、歳も同じで出身地も同じ。
 さすがに本人だろ、よくある名前でもないのに、同姓同名同年齢同郷だなんて」

 やはり職場は特定されていたし、同じだった。と、男は言う。けれども、
「そんなはずありません」
 多賀は断言してみせた。

「どうして?」
「あなた、警察ではないと言いましたよね?」
 無意識に、多賀は男を、あなたと呼びなおしていた。

「言ったね」
「嘘じゃありませんね?」
「嘘じゃないよ」
「僕は警官なんです。同じ職場なら、あなたは警察官のはずです」
 多賀は勝ち誇って言った。

「それは、半分正しいけど半分間違ってる」
 男は困ったように眉の端を下げて微笑んだ。多賀は勝ち誇った顔を凍りつかせる。
「はい?」

「僕の職場は確かに警察だよ。けど、警察官じゃないし、公務員でもないんだ。ごめんね、ややこしくて」
「たとえそんな人がいたとしても、僕の個人情報をそんなに知っているはずが……」
「あるんだよ。疑う気持ちもわかるけど。なんなら、一緒に行く? 僕が県警庁舎で働いてるの見たら、証明できるでしょ」

 電車が停車しかけている。男は扉の外を指差してみせた。駅名表示を見るまでもなく、県警庁舎の最寄駅だ。
 多賀は曖昧に頷き、男について降りた。男は多賀の存在などいないかのように一人さっさと歩きはじめた。確かに道筋は多賀の通勤ルートと同じだ。

いぶかしみながらも、多賀は男の後を律儀についていった。
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