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Mission:大地に光を
第70話:賄賂 ~金は捨てるものじゃない~
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もちろん選挙戦の件が順調に進行していると見せかけるための嘘だ。賄賂が必要などと辻に言っておけばもっともらしいだろうという安直な考えで彼を悩ましそうな表情にさせてしまった三嶋の心が痛む。
「それ、恐らくは領収書とかレシートとかって出んよな?」
「出ないと思うよ」
出たら賄賂の意味がない。だがそれを聞いた薫は眉間にしわを寄せる。
「そういうお金は、こっちの帳簿には一応載せられるやろうけど、向こうの帳簿には載せられないわけやん? 向こうとトラブルを起こさんためにも、どう記載するか色々と考えなあかんわけや」
「やっぱりそれだけの帳簿に乗らないお金ってのは厳しいの?」
「弥恵さんは厳しいからなぁ。経理部の目を盗んで裏金を作るのは数十円やって難しいと思うで」
薫はなぜか自慢げだ。虎の威を借る狐ということわざを三嶋は思い出す。
「逆に言えば、俺らでも百万となるとちょっと難しいんよな」
「そうか……」
三嶋としては、じゃあそんな金いらないよと言うこともできるが、安易に引っ込めたら嘘がばれてしまう。
「つじまちゃんは、次回博実がお兄さんと会うまでに用意してほしいって言ってたけど、次っていつなん?」
「来週の水曜日だと思うけど」
ぐふっという薫のうめき声が聞こえたのは気のせいだろうか。
「……まあ、期限を延ばしてくれって兄に言ったら延ばしてくれると思うよ」
「ほんまに? できれば、あと一か月くらいはかかるかも……」
本当に薫が苦しそうなのを見て、三嶋は頷く。
「それってお兄さんに手渡しやんな?」
「もちろん」
実際には手渡しできないので、どこかしらで金を処分することになるだろう。
「頑張ってな。博実はすごいんやから」
薫が三嶋の背中をトントン叩いて励ましてきた。
「ああ、ありがとう」
三嶋は館内に入る薫の背中を目で追っていた。
薫はちょうど一ヶ月で言われただけの金を用意してきた。薫から恨み言を随分聞かされたが、その内容からすると彼が相当苦労したのには違いない。頭が下がる。
結局、薫が血の滲むような努力で捻出した裏金は、兄と会った帰りに寄った銀行で、多賀の口座に振り込んでおいた。百万を道端に捨てるわけにもいかないし、自分のスマートフォンから確認できた口座番号は、多賀が情報課に入るときに手続きした記録しか残っていなかったからである。
多賀はきっと驚くに違いないが、まあいいか。
「それ、恐らくは領収書とかレシートとかって出んよな?」
「出ないと思うよ」
出たら賄賂の意味がない。だがそれを聞いた薫は眉間にしわを寄せる。
「そういうお金は、こっちの帳簿には一応載せられるやろうけど、向こうの帳簿には載せられないわけやん? 向こうとトラブルを起こさんためにも、どう記載するか色々と考えなあかんわけや」
「やっぱりそれだけの帳簿に乗らないお金ってのは厳しいの?」
「弥恵さんは厳しいからなぁ。経理部の目を盗んで裏金を作るのは数十円やって難しいと思うで」
薫はなぜか自慢げだ。虎の威を借る狐ということわざを三嶋は思い出す。
「逆に言えば、俺らでも百万となるとちょっと難しいんよな」
「そうか……」
三嶋としては、じゃあそんな金いらないよと言うこともできるが、安易に引っ込めたら嘘がばれてしまう。
「つじまちゃんは、次回博実がお兄さんと会うまでに用意してほしいって言ってたけど、次っていつなん?」
「来週の水曜日だと思うけど」
ぐふっという薫のうめき声が聞こえたのは気のせいだろうか。
「……まあ、期限を延ばしてくれって兄に言ったら延ばしてくれると思うよ」
「ほんまに? できれば、あと一か月くらいはかかるかも……」
本当に薫が苦しそうなのを見て、三嶋は頷く。
「それってお兄さんに手渡しやんな?」
「もちろん」
実際には手渡しできないので、どこかしらで金を処分することになるだろう。
「頑張ってな。博実はすごいんやから」
薫が三嶋の背中をトントン叩いて励ましてきた。
「ああ、ありがとう」
三嶋は館内に入る薫の背中を目で追っていた。
薫はちょうど一ヶ月で言われただけの金を用意してきた。薫から恨み言を随分聞かされたが、その内容からすると彼が相当苦労したのには違いない。頭が下がる。
結局、薫が血の滲むような努力で捻出した裏金は、兄と会った帰りに寄った銀行で、多賀の口座に振り込んでおいた。百万を道端に捨てるわけにもいかないし、自分のスマートフォンから確認できた口座番号は、多賀が情報課に入るときに手続きした記録しか残っていなかったからである。
多賀はきっと驚くに違いないが、まあいいか。
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