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Mission:大地に光を
第75話:会議 ~目標の意味が分からない~
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「それでは、定例幹部会を始めます」
弥恵が声をあげた。一同がぺこりと礼をする。円を作るように机を並べて、その周囲に点々と幹部が座っている光景は、まるで悪の組織のミーティングだ。全員が白いシャツを身に着けているという奇妙な光景が、なおさら悪の組織感を醸し出している。
「今回から、博実が幹部会に加わります」
辻が立ち上がって三嶋を紹介する。照れくさく感じながらも三嶋は頭を下げてあいさつした。教団にしては珍しく敬語で互いに話が進んでいるが、それは重要な場だから、ということなのだろう。
「まず、定例報告から始めます」
「今月分の会計がこちらになります」
薫が立ち上がって資料を配る。
「まず収入がですね……」
数字に目を通して驚いた。会計報告が本当に細かい。役所でもここまで細かく会計報告を行わないだろう。
「薫くん」
弥恵が手を挙げた。
「今月の『その他』の金額分、いくらなんでも大きすぎませんか? 使途不明金ということですか?」
その金はY計画に使われたのものの一部だ。弥恵に説明はできない。一気に薫の顔が陰る。
「それは博実がお兄さんに渡した金です。要するに賄賂ですね」
薫はこちらにウインクを向けてきた。話を合わせろ、ということだろう。
「はい、僕が兄に渡した分です」
三嶋が補足すると、弥恵は追及の手を止めた。
「それは広報費としてカウントしてください」
薫の表情が凍る。また新たに会計上の処理を考えなければならないからだろう。三嶋は同情する。
「了解です。弥恵さんありがとうございます」
ありがたいとは全く思ってなさそうな声で薫は一礼してから着席した。
「博実の件はどれくらい進んでる?」
何やら富士に耳打ちされた弥恵が辻に尋ねた。
「博実、報告をお願い」
辻が三嶋にバトンタッチする。
「先日、名古屋で兄に初めて会ってきました。今のところ、毎週水曜しか会えなさそうとのことなので、毎週水曜に会えるように取り計らってきました」
これは嘘ではない。何年も会っていなかったのに、急に毎週会おうと言われて不思議そうな兄ではあったが、博実に興味のない秀実はかえって詮索することもなく了承してくれた。
「それは良い」
富士の小さなつぶやきに弥恵が拍手を添える。幹部たちがそれに続いて拍手を送り、会議室に大きな拍手が沸き起こった。
「兄から尋ねられたのですが、最終目標は次の参院選なのか、と。参院選となると、そう簡単にはいかないので、もう一段階、別の選挙を踏んだ方がいいと言われました」
三嶋が一週間かけて考えた質問を富士に投げかける。もちろん、こんなことは兄に尋ねられてなどいない。
「いや、参院選じゃない。現在の目標は知事だと言ってくれ」
「知事ですか」
てっきり頷くか衆院選だと訂正されるかと思っていたので三嶋は驚いた。国会議員を目指していると思い込んでいた。
「知事というのは、滋賀県のでしょうか?」
「ああ」
滋賀県の知事になって、いったい富士は何をしたいんだ?
「知事から先はどうされるのですか?」
「いや、知事から先はない」
つまり、最終目標は知事ということだ。全く意味が分からない。三嶋は混乱している。
「……それでは、その旨を来週兄に伝えておきます」
読みが外れたショックをうまく隠しながら、三嶋は着席する。議題は変わり、議論が白熱しはじめたが、それは三嶋の耳に届いていなかった。
弥恵が声をあげた。一同がぺこりと礼をする。円を作るように机を並べて、その周囲に点々と幹部が座っている光景は、まるで悪の組織のミーティングだ。全員が白いシャツを身に着けているという奇妙な光景が、なおさら悪の組織感を醸し出している。
「今回から、博実が幹部会に加わります」
辻が立ち上がって三嶋を紹介する。照れくさく感じながらも三嶋は頭を下げてあいさつした。教団にしては珍しく敬語で互いに話が進んでいるが、それは重要な場だから、ということなのだろう。
「まず、定例報告から始めます」
「今月分の会計がこちらになります」
薫が立ち上がって資料を配る。
「まず収入がですね……」
数字に目を通して驚いた。会計報告が本当に細かい。役所でもここまで細かく会計報告を行わないだろう。
「薫くん」
弥恵が手を挙げた。
「今月の『その他』の金額分、いくらなんでも大きすぎませんか? 使途不明金ということですか?」
その金はY計画に使われたのものの一部だ。弥恵に説明はできない。一気に薫の顔が陰る。
「それは博実がお兄さんに渡した金です。要するに賄賂ですね」
薫はこちらにウインクを向けてきた。話を合わせろ、ということだろう。
「はい、僕が兄に渡した分です」
三嶋が補足すると、弥恵は追及の手を止めた。
「それは広報費としてカウントしてください」
薫の表情が凍る。また新たに会計上の処理を考えなければならないからだろう。三嶋は同情する。
「了解です。弥恵さんありがとうございます」
ありがたいとは全く思ってなさそうな声で薫は一礼してから着席した。
「博実の件はどれくらい進んでる?」
何やら富士に耳打ちされた弥恵が辻に尋ねた。
「博実、報告をお願い」
辻が三嶋にバトンタッチする。
「先日、名古屋で兄に初めて会ってきました。今のところ、毎週水曜しか会えなさそうとのことなので、毎週水曜に会えるように取り計らってきました」
これは嘘ではない。何年も会っていなかったのに、急に毎週会おうと言われて不思議そうな兄ではあったが、博実に興味のない秀実はかえって詮索することもなく了承してくれた。
「それは良い」
富士の小さなつぶやきに弥恵が拍手を添える。幹部たちがそれに続いて拍手を送り、会議室に大きな拍手が沸き起こった。
「兄から尋ねられたのですが、最終目標は次の参院選なのか、と。参院選となると、そう簡単にはいかないので、もう一段階、別の選挙を踏んだ方がいいと言われました」
三嶋が一週間かけて考えた質問を富士に投げかける。もちろん、こんなことは兄に尋ねられてなどいない。
「いや、参院選じゃない。現在の目標は知事だと言ってくれ」
「知事ですか」
てっきり頷くか衆院選だと訂正されるかと思っていたので三嶋は驚いた。国会議員を目指していると思い込んでいた。
「知事というのは、滋賀県のでしょうか?」
「ああ」
滋賀県の知事になって、いったい富士は何をしたいんだ?
「知事から先はどうされるのですか?」
「いや、知事から先はない」
つまり、最終目標は知事ということだ。全く意味が分からない。三嶋は混乱している。
「……それでは、その旨を来週兄に伝えておきます」
読みが外れたショックをうまく隠しながら、三嶋は着席する。議題は変わり、議論が白熱しはじめたが、それは三嶋の耳に届いていなかった。
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